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第6章
第95話
しおりを挟む訓練所に転移すると、みんな目を見張っていた。とりあえず無視して説明をした。
「今から第5は地龍と、第6はトロールと戦ってもらう。これは模擬戦とかじゃないから、しっかり作戦をたてて挑むように。じゃあ10分後に始めるから、作戦会議始め!」
みんな俺の声にハッとして、各自で作戦の確認を始めた。こっそり聞くと、第5は前衛に魔道具装備の団員を置き後衛にサポートを数人、第6は散らばって全員魔法メインといった感じらしい。
時間になったので、訓練所の真ん中に土の壁を作り第5と地龍、第6とトロールをそれぞれ分けた。
俺は壁の上に立ち、それぞれ準備を終えるのを確認した。
「今から、魔物の檻を壊すからそしたら両隊戦闘を始めてくれ。これは訓練なんかじゃない、準備はいいか?」
各隊から返事がしたので、俺は魔法を解いて檻を壊した。
瞬間、地龍は前衛に向かって吠えながら突進した。後衛の3人が水魔法障壁を作りなんとか食い止め、すかさず前衛の5人が魔剣などの魔道具で斬りかかったり、魔弾を放ったりして攻撃していた。
トロールは周りを囲む団員を眺めて、1番背の低い女性を持っている棍棒でなぎ払った。
女性はすかさず障壁を張ったが、力負けして横に少し吹っ飛ばされた。
トロールが女性に再び殴りかかろうとした所に、別の団員が後ろから魔弾を放ち気をそらした。
それを繰り返しているうちに、30分ほど経った頃2匹は力尽きて倒れた。
仕切りの壁を壊しあたりを見ると、みんな疲れたのか座ったりしている人が多かった。
とりあえず、息を切らしながらも立っているシンディの所に歩いていった。
「手合わせする?」
「し、しません!転移魔法にあれほどの魔物を捕まえてくるなんて…副団長の実力を少しでも疑うよな発言をしてしまいました、申し訳ありません。」
「別に気にしてないよ。でも、やっぱりみんないい連携がとれてるね。これ以上俺がなんか言っても、逆に乱しちゃいそうで迂闊に注意とか出来ないな。」
「なら、集団の訓練より個人での訓練を増やしてみてはいかがでしょう?それだけでも充分な訓練になりますし。」
「わかった、みんなのスケジュールとか見て随時やっていこうか!」
「よろしくお願いします!」
その後、全員に回復魔法をかけ訓練所を後にした。
一通り団員の詳細資料やスケジュールを整理していると、いつしか空は橙色に染まっていた。
「…ふぅ……帰るか。」
なんだか授業を受けて、着任式からの書類整理となかなか忙しい日を過ごしたせいか疲労感が少しあった。
座ったまま、屋敷の自室にある椅子に転移する。
このまま休めると思ったが、目の前には何故かシュティレがいた。
「お帰りなさいませ、レイ様。」
「た、ただいま…。何してるの?」
「もうすぐ夕食のお時間ですので、そろそろ帰って来る頃かと思いまして。」
「あ、そうなんだ…。」
「それと…」
シュティレは長机に置いてある、大量の封筒や資料を机の前に置いた。
「ま、まさかこれはっ…!」
「はい、お見合いや縁談のお手紙が来ております。夕食前にご確認ください。」
そう言ってシュティレは部屋を出ていった。
「あ〝あ〝ぁぁぁああ……」
俺は変な声を出しながら、1枚ずつ目を通していった。
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