異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第5章

第87話

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次の日、俺たちは森の中心に来ていた。

あの施設は転移した後に爆破され、地面には大きなクレーターのような物が出来てしまった。
今は王国魔道士団と王国騎士団が調査にあたっている。


ロゼッタに話があると言われ、2人で森を散策していた。

「マスター、昨日はすみません。取り乱してしまいました。」

「大丈夫、俺もそうだったし…。あの施設はなんだったんだろうな。」

「わかりませんが…この国の資材で作れるような所ではありませんでしたね。」

ロゼッタの言う通り、少ししか見ていないが王国の文明で作れるような物は殆ど無かった。
それも今となっては、爆発で全て吹き飛んでしまったので調べようがないのだが。

「もう妖精は放ったんですか?」

「うん。昨日すぐに作ってここに来た時にはもうね。」

「そうですか、良かったです。」

この森を護る為、俺はイヴに似た新しい2人の妖精を創った。この2人がいれば、俺達の目が離れてる時でも安心して森を任せられる。



その後、4人でスズリ様が座っていた切り株に花を添えた。

「スズリ様、エリスさん、ここは俺達が護るんで安心してください。」

するとどこからか、2人の妖精が飛んできた。

「これがレイの言ってた妖精か…。名はなんと言うんじゃ?」

「え?特に決めてないな…。」

「なら、スズとエリなんかどうでしょう?」

ロゼッタが自信満々で答えてきたので、それを採用した。

「スズ、エリ森を護るの手伝ってな。」

俺が2人に言うと、2人は手を繋いで森の奥に消えていった。

「よし、じゃあ今日は帰りますか。空いてる時にでも来よっか。」

「そうですね。もうすぐマスターの謁見などで忙しくて来れなくなる日もあると思うので、1人でも来ようと思います。」

「妾はまた虫探しじゃな!」

「紅葉殿は虫を愛でる派なのですね。」


そんな事を話しながら4人で帰ろうとした時だった。



『ありがとな。』『ありがとうございます!』



「「ーえ?」」


俺は何か聞こえたような気がして振り返った。ロゼッタも、切り株の方を見ている。
だが、そこには誰もおらずスズとエリが仲良く飛び回っているだけだった。

「気のせい、かな…?」

「さぁ…。」

「おーい、レイ早くー!」

「主人殿、遅れているぞ。」

「あっ待ってくれ!行こっか!」

「はい!」


紅葉達に呼ばれ、俺とロゼッタは森を後にした。


切り株の2人は、レイ達を見て静かに微笑んでいた。



--------------


時は少しだけ遡る。

研究所が爆発して少し経った後、まだ陽の登らない暗い中に2人の人物がクレーターを前に立っていた。

1人は茶色いコートをきた初老の男性、もう1人は少し背の低い女性だった。

「じゃあ嬢ちゃん、始めるかね。」

「はい!あ、待ってください!こんな所に綺麗なお花が咲いてますよ!」

女性がしゃがんで見つめる先には、二輪の綺麗なピンク色の花が咲き誇っていた。

「確かに綺麗だが…俺らは早く仕事を済ませねぇとな。」

「はっ!そうですね!足元に気をつけてくださいね。」

そう言って、女性がクレーターを降りようとした瞬間、女性は躓いて転げ落ちた。男性は面白そうに笑っている。

「おいおい、年寄りを心配してくれるのはありがてぇが、嬢ちゃんの身体に傷がついたら大変だぜ?」

「うぅ…すみません…。では仕切り直して、始めましょう!」

女性が丸い球を4つほどクレーターの中でばら撒くと、球は地面の上を低空飛行してあちこちを動き回った。

「さて…こんだけの爆発でブツが残ってるといいがな。」

「まぁなかったら、ありませんでしたって報告すれば良いんでは?」

「嬢ちゃん、がそれで許すと思うかい?」

「はっ…!確かにまずいですね!どうしよう…お願い少しだけでも良いから見つかって!」

すると1つの球が、小さく音を鳴らした。

「おっ!無事見つかったみたいだな。」

そう言って男性は球を全て回収した。ちょうど回収を終えた頃、女性の服から別の音がなった。女性は服のポケットから四角い小さな箱を取り出して、スイッチを押した。

「噂をすればですね。あ、先輩の方でした。」

『どうだった?』

「はい!今無事見つかりましたよ!」

『なら良かった。気をつけて帰って来いよ。』

そうして音声は切れた。

「よしじゃあ嬢ちゃん、つかまってくれ。」

「はいただいま!」

女性は男性の服の袖を掴んだ。

「あ、これを忘れてた。」

そう言って男性はポケットから薄い小さな板を取り出した。

「なんですか、それ?」

「なんでも、ここにあった施設の会話が入ってるとかなんとか…。年寄りにこう言ったもんはよくわかんねぇからな。まぁ勝手にお邪魔してるわけだから、それ相応の物を置いて来いだってよ。」

そう言って男性は板をクレーターの外に投げ飛ばした。

「よしじゃあ帰って茶でも飲むか。」

「いいですね!」

女性が言い切ると同時に、2人の姿は消えていった。


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