異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第4章

第69話

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馬事の中で、俺は今までで1番緊張していた。謁見に向かっているのだが、前世でもそんな経験なかったので心臓がいたい。そんなの天皇陛下に直接会いに行くような物だ。馬車には俺含め家族5人とエドワードが乗っている。ロゼッタ達は、紅葉の寝殿に入ってもらっていた。

緊張して固まっていると、ジークが肩に手を置いてきた。

「そんなに緊張するな。王も怖い人ではないしな。」

「…どんな方なんですか?」 

「そうだな…冒険者にいそうで大雑把だけど悪い人ではないな。あと戦うのが大好きで、俺も何回か剣を教えろって言われたかな。」

「そうだったんですか!処罰で国を追放とかないですかね…。」

「はははっ!それはないだろ、少なからず王も事情を知ってるだろうからな。」

「だと良いですけど…」

そうこうしているうちに、馬車は王城についた。



王城の応接間のような所に、俺だけ案内された。リゼから謁見での作法などは教えてもらったが、それでも何か失敗しないか不安だった。
王城は白い石で出来ており、汚れ1つないような神殿のような感じだった。

緊張で気持ち悪いので、異空間の扉を開けた。中を覗くと、ロゼッタは紅葉の木を眺め、スサノオは石の上で座禅、紅葉は渡り廊下で寝ていた。

俺の魔力に気づいたロゼッタが、扉に走ってきた。

「マスター、どうかしましたか?今日は謁見の日では?」

「今、応接間みたいな所にいるんだけど…神聖すぎて気持ち悪い心臓が潰れそう…。」

「大丈夫です、何かあっても私がお守りしますから。」

そう言って扉から手を出して、俺の頭を撫でた。それだけで少し落ち着いた気がした。

「ありがとう、また後でね。2人にもよろしく。」

「わかりました。」

扉を閉じると、部屋のドアが開いて女性が1人入ってきた。慌てて立ち上がって、背筋を伸ばす。

「はじめまして、ダライアス国王の秘書を務めるリーゼロッテと申します。レイ・トライデント・レストリア様ですね?何か謁見の前に提出される物があると聞いて来ました。」

「は、初めまして!レイ・トライデント・レストリアと申します!」

「ふふっ、そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。どうぞ座ってください。」

とてもクールな人かと思っていたが、優しく微笑みながら言われたので少し緊張が和らいだ。

「それで、提出される物とは?」

「あ、ちょっと待ってください。」

そう言ってレイは魔法袋の中から魔石を取り出した。

「これです。」

「驚きました、魔法袋を使えるのですね。これは何の魔石でしょうか?」

「とりあえず見せますね。出来るかな…」

ロゼッタにもう一度あの映像を見せたくなかったので、魔石を左手に乗せ壁の方に向いて、右手の指を魔石に当て壁に向けて魔力を放つイメージをした。

少し角が曲がっているが、あの日の映像が壁に映し出された。

「こ、これは…」

「…ブレイド第二王子が元婚約者のティナ副団長に暴行をした際の映像です。」

ちょうどティナさんがブレイドに連れて行かれそうになった所で、映像を止めた。

「この先にその映像がありますが、あまり見たいものではないので今はここで。」

「私も見たいわけではないので、充分ですよ。なるほど、これを渡したかったというわけですね。謁見の際に、王に献上しておきます。それでは行きましょうか、手順はお分かりですか?」

「一通りわかると思います。」

「それなら大丈夫ですね。では謁見の間に参りましょう。」

魔石を渡し応接間を出て、いよいよ謁見の間へと向かった。
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