異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第3章

第59話

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その後は4人で昼ご飯を済ませ、着替えてから闘技場に向かった。
すでに話は王都広まっているのか、大勢の見物客がおり、皆どっちが勝つかに賭けたりしているようだった。
控室のような所で待っていると、扉をノックする音がした。扉が開いて、ティナさんともう1人知らない女性が入ってきた。

「レイ君、同僚のサキよ。朝言った私に無理やり休暇を取らせた人。」

「無理やりってひどいな~。君がレイ君ね、ティナから話は聞いてるけど本当に子供だったとはね。今日は頑張ってね、私もあの王子は嫌いだからさ!」

「はい、ありがとうございます。」

「じゃあ私達は観客席に戻ってるわね。」

「あ、ちょっと待ってください!」

戻ろうとする2人を慌てて止めた。そしてティナに魔石が埋め込まれた指輪を渡した。

「これは?」

「おっ、レイ君やるね~。もうプロポーズ?」

サキが面白い物を見つけたようにからかってきた。

「違いますよ。席に戻ったらそれに1回だけ魔力を通してください。その魔石には魔法障壁と反撃魔法が付与されていて、この国のどんなに強い人でも破れないし攻撃を受けたら倍にして返す仕様になっているので。アイツが俺たちだけを攻撃してくるとは限らないですからね。」

「…本当にすごいのね。何から何までありがとう。」

「あ、それとサキさん!」

「ん?どうしたの?」

「ちょっと1つお願いがー。」

そう言ってサキの耳元で要件を伝えた。サキはあまり腑に落ちてない様子だったが、了承してくれた。

「それじゃみんな、頑張ってね!」

そう言って2人は控え室を出て行った。

「じゃあ2人とも頑張ろ…」

振り返ると、青キジも凍るような2人がいた。

「マスター、あの指輪はなんですか…?」

「レイ、あれは婚約指輪か?」

「話聞いてたでしょ?!魔道具だから!」

ロゼッタはハグをして、紅葉は頬ずりをして満足そうに出て行った。レイも後から疲れた顔をして追いかけた。


選手の会場入り口から、観客席を見るとほぼ満員になっていた。どうやら王都中から人が集まっているようだ。

「うわぁ、ちょっと緊張するなぁ。」

「マスター、それなら勝った暁には帰ったらご褒美をあげましょう。」

「え、どんなの?!」

「ま、待て!なら妾は寝殿で夜を共に…」

紅葉が変なご褒美内容を言おうとしたら、後ろから声をかけられた。衛兵の1人で、俺たちの闘技場案内係の人だ。

「なぁ、お前達本当にあの王子に勝てるのか?王子は数少ないAランク冒険者だし、部下の2人も魔法が得意な事で有名だし…」

「知ってるよ。1人は火・風・土の三属性使いで、もう1人が火・水・光のこれまた三属性でしょ?そんなのとっくに鑑定済みだから心配ないよ。」

「なっ、ボウズ鑑定が使えるのか?!」

「そうだけど…なんか変?」

「いや、スキルの鑑定を持っているやつはほとんどいないからな…。しかも相手の使える属性がわかるとなると結構レベル高いだろ。」

(ごめん、今ここにいる4人のうち2人は使えるんだよね…。)

「まぁ多少はね。」

すると闘技場から司会の大きな声がした。魔法で声が響くようにしているため、声は闘技場に響き渡った。

『みなさん!本日はお集まりいただきありがとーございます!!これから始まるのは、我が国の第2王子VS無名のFランク冒険者の決闘です!
どちらが勝つのでしょうか?!結果が気になりますね!!』

(嘘つけ。どうせクソ王子の方に賭けてたりするんだろ。)

「全く。なんであんなのがいいんだろうな。」

そう言う俺の手をロゼッタと紅葉が優しく握った。

「私はマスター以外興味ないです。それにこの勝負、私たちの勝ちと決まっていますから。」

「妾もレイ以外の男など、眼中にないからの。勝って今夜は楽しもうな!」

「ありがとな、2人とも。」

『それでは入場していただきましょう!赤コーナー!我が国第二王子!クールでお強いブレイド・リラ・ダライアス様と、お付きの双子魔道士、ギルルとガルルだー!』

ブレイドは高くジャンプし、空中で1回転して着地し観客に手を振った。女性たちから黄色い声援を浴びて、さぞご満悦そうだ。

「てか、あの2人ギルルとガルルって名前だったのかよ…。なんかケロ○軍曹にも同じようなのいなかったっけ…?」

『続いて青コーナー!Fランク冒険者のレイとロゼッタともみじの3人だー!』

「行こうか、2人とも。」

「はい!」  「うむ!」

「3人とも頑張れよー!」

案内役の衛兵の言葉を背に、闘技場入りした。もちろん、黄色い歓声など起きるはずがないと思っていたが何箇所から聞こえた。1つは貴族達が見ているエリアから。

「レイ!負けるんじゃねぇぞー!」
「レイちゃーん!ロゼちゃんと紅葉ちゃんも頑張ってねー!」
「レイ、帰ったら魔法の試合頼む!」
「お兄ちゃーん!」
「レイ様ー!ほどほどにー!」

家族の5人が来ていて、ロゼッタと紅葉はまさかの人物に驚いていた。

「マスター、なぜみなさんが…。」

「さっき転移して報告に行ったんだよ。勘当くらいされるかと思ったけど、事情を説明したら、みんな王子に怒ってたよ。でもまさか来てるとは思わなかかったな…。」


そしてもう一箇所。

「レイくーん!また面白い魔法もの期待してるよー!」

「ちょっ、ギルドマスター!は、恥ずかしいですよっ!れ、レイ君達頑張ってー!」

(いや、なんとなく来るとは思っていたけど少しうざい。アリアさん顔真っ赤になってるし。)

周りの客達も王都一のギルドのマスターが無名の冒険者を応援しているのに驚いていた。

『おおっと!なんとあの「アミュレット・サーガ」のギルドマスター・ジェラール様が無名の冒険者達を応援しているぞ!?一体どういうことなのか!これは試合が面白くなりそうだ!』
『それでは選手の方は位置についてくださーい!』

俺たちは向かい合うように右から、紅葉・俺・ロゼッタの順番に位置についた。

(向こうはギル…ガル…あれどっちだ似てて分かんねぇな。まぁいっか。)

『それでは選手が位置についたようです。ルールは簡単、最後に1人でも残ったチームの勝ちです!それでは…始めっ!!』 

こうしてクズ王子との勝負が始まった。


---------------

試合が始まる少し前、闘技場の観客席の入り口の近くに1人の男がいた。
男はお世辞にもキレイとは言い難いローブを着ていたが、どこか上品さを感じさせる佇まいだった。

男は競技場の方を一瞥し、入り口に入ろうとしていた観客の1人の男に声を掛けた。

「失礼、ここでこれから何が始まるか教えてもらってもいいかい?」

「あんたしらねぇのか?この国の第2王子とFランク冒険者の決闘があるんだってよ!」

「ほぉ~そうなのか。でもこれ勝つ方は決まってる気がするねぇ♫」

男の一言に、観客の男も当たり前のように賛同した。

「だよな?王子が勝つに決まってんのに、相手の方が喧嘩を売ったらしいぜ?バカなやつもいたもんだ…。」

「ほぉ…。まぁ勝つのはその相手の方だと思いますけどねぇ♪」

「はぁ?あんた何言って…」

「それではご機嫌よぅ。良い悪夢ゆめを~🎶」

男は観客の肩に手を置いて、入り口に消えていった。観客の男は何を言っているのだろうかと不思議に思っていたが、自分も入り口に入ろうとした。

だが、そのまま眠るように前に倒れ2度と起き上がる事はなかった。
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