異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

文字の大きさ
上 下
61 / 210
第3章

第57話

しおりを挟む

その夜、男ーブレイドは怒り狂っていた。せっかく新しいおもちゃで性欲を処理する予定だったのに、光ったと思ったら急にいなくなったからだ。
仕方なくベットでくたばっている女で欲を満たした。だが、どんな新しいプレイをしても怒りと性欲が治らない。

「くそっ!あの女…!どこいきやがった!」

「…あっ!ブレイド様そんな激しくっ…!ぁあ!」

そして再び、寝ている違う女を叩き起こし欲を処理するのだった。女が早く終らせる為に大げさに演技し、さらに撮られているのも知らずにー。




王都の門でギルドカードを見せた。はじめてギルドカードで入るのは、少しテンションが上がった。初めて定期を使って電車に乗ったような感覚だ。
ティナさんがお金を払って通ろうとすると、流石に門番の人が気がついた。

「ティナ副団長!今日はお休みを取られたんですね。いつもは滅多に取らないのに。」

「え、えぇ。同僚に無理やりね…。」

「そうですか。それと今日の朝、副団長を見かけたらブレイド第二王子に連絡するようにと伝達があったのですが…、何かあったんですか?」

「…!そう、私がここに来た事は言わないでおいてもらえるかな?」

「わかりました…。まぁあの王子の事だから色々あるのでしょう。お気をつけて~。」

「ありがとう。」


どうやら王国の衛兵でも、あいつを良く思っている人は少ないようだ。

「まぁ、どうせすぐバレちゃうと思うしいつまでも隠れてても仕方ないんだけどね。」

「国王様に言ってみてはどうですか?」

「それも考えたんだけど、両親も結婚を喜んでるし…国王様は今他国に訪問されてるから不在なの。だから昨日の食事会にもいなかったし、あの人はそのタイミングを狙ってたみたいね。国王様には頭が上がらないみたいだし、すごくお強いから。」

「そうなんですか…」

紅葉がいきなり「そうじゃ!」と叫んだ。何かと思い見ると、俺の顔を見て嬉しそうにしている。嫌な予感しかしない…

「もういっそボコボコにしてレイが代わりに婚約者になればいいんじゃ!」

「発想がぶっ飛びすぎだろ…まぁ確かにボコボコにするのは簡単だけど、不敬罪で死刑だよ。一瞬考えたけど。」
 
「か、簡単なのね…。」

「ならその不敬罪にしたやつも倒して…」

「国王様だよ、それ。この国にいられなくなるわ!」

「いいじゃろ!別に4人で旅をするのも悪くない、むしろ妾からすれば楽しそうじゃ!」

「あのなぁ、父さんも母さんも」

「私もその意見だけには賛成です。」

「む、今回だけは貴様と気が合いそうだな。やはり鉄娘でもあのクズは気に入らんか。」

1番協力しちゃいけない2人が手を取り始めた。こんなのゾロとサンジが肩組んで戦ってるようなものだ。最強だけど、絶対しっくりこないやつ。

「ロゼッタまで…」

「あんなクズ、野放しにはしておけません…。ティナさんが婚約破棄を申し出ても取りつく島もないでしょう。ならいっそ消して仕舞えばいいんです。

「ふふっ、もういっそそれでもいいかもしれないわね。」

「いや、あんたもそっちかい!」

「冗談よ、私だってこの国の人達は好きだしあまり離れたくはないかなぁ。あ、もうすぐよ。」    



ティナさんの家にあと少しで着くという所で、クソ王子と昨日の部下らしき2人が出てきた。

(くそ…やっぱり見つかるよな。ジャイアンとスネ夫みたいな構図とりやがって。ドラえ○んの映画見てみろ、ジァイアン怖いくらい人格変わってるんだぞ。最早ドラ○もんよりのび太に主人公補正かけてんじゃねぇかってくらいいい奴なのにこいつときたら…。)

ブレイドは目の笑っていない、いつもの笑顔になった。

「ティナ!昨日は探したんだよ。どこに行っていたんだい?ご友人の方と一緒だったのかな?」

「それは…」

ティナさんは昨日の事を思い出したのか、少し震えている。紅葉が心配そうにしているが、おさまる気配はない。

「おい、ティナは貴様との結婚なんぞ望んでおらん。早く取り消せ。」

「あ…!」

「同感ですね。女性に無理やり性交渉をしようなど少しはマスターを見習って欲しいです。」

「はぁ…もういいや…。まぁ俺もこの人嫌いだし…。」

レイはもう諦める事にした。常識の少し欠けているこの2人ならいずれこうなる事は分かっていたし、もしこれで不敬罪によって家がなくなったとしても、神獣を全て売り払ってその金は全て家族に渡せばいいかと思っていた。まぁそれで両親が許してくれるなど思ってはいないし、むしろ勘当されるんじゃかと思う。

だとしても、レイ自身のこの男への怒りは大きかった。
前世で自分の友人が襲われる所など見たことがなかった。日本は平和の国だったから、そんな事に遭遇する機会もなかったし、この先もないと思っていた。もちろん、前世に女友達がゼロというわけではなかったが、その人達が強姦されそうになるなど男の俺からしたら想像もできなかった。

だが、この世界に来てその常識は覆った。ゴブリンやクソみたいな連中に強姦される女性がいる、友人がその被害にあうという事実を目の当たりにして、加害者のコイツに対して怒りが収まらなかった。前世でニュースなどの文だけ見ても分からなかったことが、ようやくわかった。

なのでロゼッタや紅葉がコイツに何か言っても、もうあまり止めないようにした。

「性交渉?おい鉄娘、それはいったいどういう事じゃ。」

「コイツは昨日…」

「ロゼッタさん!もういいの!私なら大丈夫だから…」

「ですが…!」

ティナさんはどこも大丈夫そうではなかった。だが、表情は迷惑をかけたくないと言っているような感じだった。
ブレイドは鼻で笑うと、ティナを再び鎧を着たまま抱き寄せた。

「ティナ…僕は昨日心配していたんだ。君がいなくなって夜も眠れなかったんだよ。さぁ、王城へ一緒に帰ろう。」

「なっ…!」

ティナはさらに震え、顔色はとても悪くなった。

(こいつ…!言うに事欠いてなんて事を!嗅覚を強化したからわかるけど、男のイカ臭い匂いと女の匂い撒き散らかしてるくせによくそんな事言えるなっ…!)

流石にもう限界だったし、ティナが体調を崩しそうだったので体が動いた。

「お前いい加減に…!」



「ふん!」「っ!」

俺が止めようとした瞬間、ブレイドは殴られ後ろにすっ飛んだ。
見上げると、紅葉とロゼッタが拳を突き出していた。

「貴様、本当にクズだな…。お前なんかにティナを任すはずなかろう。」

「最初からあなたは嫌いでしたが、もう無理です。あなたは魔物と同じ理性のない動物です。」

取り巻きの2人がブレイドに駆けつけ、何をしている!やら不敬だぞ!と騒ぎ立てている。早朝で人も昨日ほどいなかったが、さすがに増えてきていた。
2人とも殴ってもなお怒りが収まっていないようだったが、それはレイも同じだった。
紅葉はティナの手を取ると自分のそばに来させた。

「もう大丈夫じゃ。妾達にはマスターがおるからな。」

「「えっ?!」」

俺とティナさんの声が重なった。

「そうです、あんなのマスターが消し炭にしてくれますから。」

「いや…消し炭まではどうだろう…」

紅葉はブレイドの前へ歩いていき、鼻血を垂れ流すブレイドを見下ろした。

「おい、貴様。曲がりなりにも腕は立つと聞いた。それなら妾の主人と勝負しろ。」

「また勝手に…まぁもういいけど。」

「嫌と言うなら、ティナは無理矢理にでも連れてこの国を出て行く。」

「ふっ、ここまで無礼な女は初めてだよ。君のいっている主人というのは、あの子供のことかい?いいだろう、勝負くらい受けようじゃないか!」

「ふん、せいぜい死ぬなよ。」

「この私が負けるはずないだろ?私が勝ったらティナは私の奴隷にでもなってもらおう。毎日夜の相手をさせ、メイドより酷い扱いをさせるのも悪くないなぁ!」

ブレイドはようやく化けの皮が剥がれ、ゲスい顔になった。

「ふん、くるはずのない未来を妄想して楽しんでおれ。勝負は今日の午後、あそこの大きな闘技場でじゃ。」

紅葉の指差した方には、王都にある『ダライアス闘技場』があった。よくギルド同士の力比べや、魔物同士の戦うイベントなどが行われる所だ。

(あれ、戦う俺が放置されて話がどんどん進んでいく…。)

「いいだろう。せいぜい逃げない事だな!」

「ふんっ」

紅葉はそう言い残して帰ってきた。

「レイ、文句はあるまいな?」

「もういいよ。俺も殴りそうだったし。」

「さすが妾のレイじゃ~。わかっておるのぉ!」

そう言ってまた頰を擦り寄せてきた。
するとロゼッタに支えられていたティナが口を開いた。

「あ、あの…」

「どうしたんですか?」

「その皆さんに迷惑をお掛けしてしまって…」

「何を言っておるのじゃ。迷惑など思うわけなかろう、ティナは妾達の大切な友人じゃ。」


その言葉にティナの瞳から小さな雫がこぼれた。そんなティナを紅葉は優しく抱きしめた。

「大丈夫じゃ、妾のレイは無敵じゃからな。」

「………ぅっ…ありがとう……ずっと誰にも言えなくてっ………!」

「良かったですね、ティナさん。」

「………はい。」


レイもその光景に頰を緩ませた。たった女性3人、されど自分なんかよりよっぽど芯は強いと思った。
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫
ファンタジー
 孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。  僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。  そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。  それから、5年近くがたった。  5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て… これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです… +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-  2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます  時々さかのぼって部分修正することがあります  誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)  感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

生臭坊主の異世界転生 死霊術師はスローライフを送れない

しめさば
ファンタジー
急遽異世界へと転生することになった九条颯馬(30) 小さな村に厄介になるも、生活の為に冒険者に。 ギルドに騙され、与えられたのは最低ランクのカッパープレート。 それに挫けることなく日々の雑務をこなしながらも、不慣れな異世界生活を送っていた。 そんな九条を優しく癒してくれるのは、ギルドの担当職員であるミア(10)と、森で助けた狐のカガリ(モフモフ)。 とは言えそんな日常も長くは続かず、ある日を境に九条は人生の転機を迎えることとなる。 ダンジョンで手に入れた魔法書。村を襲う盗賊団に、新たなる出会い。そして見直された九条の評価。 冒険者ギルドの最高ランクであるプラチナを手にし、目標であるスローライフに一歩前進したかのようにも見えたのだが、現実はそう甘くない。 今度はそれを利用しようと擦り寄って来る者達の手により、日常は非日常へと変化していく……。 「俺は田舎でモフモフに囲まれ、ミアと一緒にのんびり暮らしていたいんだ!!」 降りかかる火の粉は魔獣達と死霊術でズバッと解決! 面倒臭がりの生臭坊主は死霊術師として成り上がり、残念ながらスローライフは送れない。 これは、いずれ魔王と呼ばれる男と、勇者の少女の物語である。

処理中です...