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第3章
第51話
しおりを挟む「マスター、次はどこへ?」
「とりあえず先に教会で約束事を済ませるよ。そしたらロゼッタと紅葉の行きたい所でも行こうか。」
ギルドから出た俺たちは、そのまま教会へと向かった。少し前の電話で、ベラムが礼拝しに来て、ツイスターをプロメテウス様にあげろと言っていたからだ。
「相変わらずデカイな…」
「ここが教会というものですが…。」
「妾はあんまり好かんな。愛の巣の方がよっぽど落ち着いておる。」
「と、とりあえず入ろうか。」
受付に行き、礼拝したい旨を伝えると前と同じ部屋に案内された。
部屋の扉を開けると、中には先客の女性がいた。女性は祭壇の上で、静かにお祈りをしていた。
紫のロングヘアを持つ女性は、ラフな格好をしていたが腰には高そうな剣を携え、髪型は違えどキリトと結婚した直後の22層のアスナにかなり似ていた。
(紫のロングヘア…?どっかで…)
女性はレイたちの気配に気づいたのが、目を開けて振り向いた。
「あっ…」
(あ、この人!確かティナさんだ!)
「こんにちは。まさかこんな所で会うとは。」
女性はそう言うと、にこりと笑った。その破壊力は凄まじかった。
(ぐはっ…なんかえぐい状態異常魔法をかけられたみたいだ…!これフリーザ様が見たら『あなたの戦闘力は…5300万?!あ、ありえないっ!バカなー……』って言ってワンパンだよ絶対。悟空が来る前にED入るよこれ。)
後ろから殺気がしたのでゆっくり振り向くと、2人が冷たい目でレイを見ていた。
「レイ、なぜあの女がここにいる…」
「まさかあの人に会いにここに来たと…?」
「ち、違う違う!たまたまだから!」
「それでは。」
そんな3人を放ってティナは優雅に歩いて行った。
2人を落ち着かせ、祭壇に立って礼拝を始めた。
いつものように、レイの意識は薄れていったー。
目を開けるといつもの白い空間にいた。だが、おかしな事におちゃらけ神とサラーキア様、エロース様の3人の姿が見えなかった。それを察したのか、風神のアネモイ様が口を開いた。
「あ、あの、お久しぶりです!え、えっとベラム様とサラーキア様とエロース様は今日はお休みです…。」
「休みって仕事か何かですか?」
「それは…その…。」
アネモイ様は顔を赤くしてもじもじし始めた。代わりに、今度は大地神のガイア様が話し始めた。
「あやつはエロースにも手を出しての。それがサラーキアにバレて3人で楽しんでる様じゃ。」
「ぶっ!」
俺は思い切り吹き出して咳き込んだ。あのおちゃらけ神は美人なサラーキア様だけでは足りず、エロース様まで手を出してしかも3Pとは。絶対神の恐ろしさを改めて実感した。
先程より顔を真っ赤にしていたアネモイ様がようやく復活した。今日はこの方が進行らしい。
「え、えっと今日は礼拝に来てくれてありがとうございます。」
「いえ、加護も頂いていますしそれくらい気にしないでください。」
「レイ!」
声のした方でプロメテウス様が嬉しそうに俺を見ていた。
「あれを持ってきてくれたんやろ?俺にはよくれんか?!」
「落ち着いてください。ちゃんと持ってきてますよ。」
俺は魔法袋からツイスターを出し、プロメテウス様に献上した。
プロメテウス様は早速広げて、針を回したりして楽しそうにしている。
「うわぁ~これがレイの世界にあった遊びかいなぁ。名前はなんて言うんや?」
「ツイスターです。ルールはわかりますか?」
「それは映像だけ見とったからの、なんとなくわかる。それにしても楽しそうやなぁ…。カクヅチはん!ヘイルダムはん!アネモイはん!ガイア爺さん!あとで一緒にやらんか?!」
「承知した。」
「そうですね…。私も少し興味があるのでやってみましょうか。」
「わ、私なんかでよければ…。」
「ほっほっほっ。たまにはそんな遊びも良いかのぉ。」
「ほな決まりや!レイ、お前さんのお披露目会に来ておったステファニーちゅう女覚えとるか?」
「えぇ、確かオリビア商会の女性会長の方ですよね?」
「そうや。そいつにこれと同じもんを渡して売り出してみ。こら王都で流行ると思うで!わしが心をくすぐられる様な物やからな!」
「わかりました、今度会ったら話してみます。」
「他にもなんかおうたらバンバン作ってもらって構わへんよ?遊びが広がるのはわしの喜びじゃからな!」
「了解しました。」
もう終わりかと思ったら今度は、武神のマルス様に声をかけられた。
「レイ!俺が送った紅葉はどうだ?!なかなかいい奴だろ!」
「むすめ………?娘?!紅葉がマルス様の娘?!」
「あれ、言ってなかったか?あいつは俺の3番目の娘だ!暇そうにしておったからな、そっちに送ってやったんだ。それにしてもさぞお前のことを気に入ってる様だな。お前も、うまく一緒に戦えてる様で安心したぞ!」
「はぁ…どうも。」
(もう紅葉に頭あがんないかも…。)
「え、えっとそれじゃあ今日はこれくらいで!レイさん、また機会があったら礼拝にきてくださいね!」
「はい!」
そして俺の意識は薄れて行った。
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