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第3章
第49話
しおりを挟む真ん中に立つジェラールが嬉しそうに話し始めた。
「ルールは簡単。1.相手を殺しちゃダメ。2.制限時間は20分。3.気絶とか続行不能になったらそこで試合終了。4.ここには僕の魔法障壁が貼ってあるからどんな魔法を打っても壊れないよ☆」
最後のルールは俺の方を見ながら言っていた。
何も知らない人が見たら、冒険者の4人が子供をリンチする構図にしか見えないのだろう。だがこの場にいる4人、ジェラール・アリア・ロゼッタ・紅葉からすれば、勝ちが確定している試合を見るようなものだ。もちろん勝つのはレイの方だ。
「じゃあ準備はいいかなー?」
レイは特に構えをとらなかったが、ジャン達の方はジャンが先頭に立ち、もう1人の弓使い男性と魔道士らしき女性が真ん中、その後ろにヒーラーの女性がサポートのために配置についた。
「それじゃ、始めっ!」
(どう倒そうかな…あっ)
目をつぶってう~んと考えている俺に、相手の魔道士の火球が直撃し、俺の周りに煙がたった。
「ど、どうしよう直撃しちゃった!」
相手の女の動揺する声が聞こえるが、煙が晴れるとみんな目を見開いて俺を見ていた。確実に直撃をしたのに、相手の俺が無傷だったからだ。それどころか、最初の位置から全く動いていない。
実際何か当たった感触もあまりしなかった。
「くっ、怯むな!ドミニクもクレアも攻撃を続けろ!」
よっぽどジェラールの登録抹消という言葉が効いたのか、ジャンは俺を本気で倒そうとしていた。ジャンに言われた2人は戸惑いながらも、男の方は風魔法を矢に付与し、女の方は再び火球を放ってきた。
俺はジャンに人差し指を向けた。
「『異空間の穴』」
すると俺の目の前に2つの大きな穴が空き、矢と火球は吸い込まれて穴と一緒に消えた。
「なっ、あれは空間魔法?!」
遠くからアリアの驚いた声が聞こえたが、聞き流してそのまま指パッチンをした。
すると、ジャンの顔の前に2つの穴が生じ、そこから先ほどの矢と火球が出現しジャンの頰をかすめ通過していった。
4人は突然の事に固まってしまっている。
「もういいかな…。」
俺は瞬時に駆け出して、ジャンの懐に入り右手に力を込めた。おそらく無属性魔法で手を強化したら、ジャンはあっけなく死ぬ。なので、なるべくやりすぎないように意識する。
(イメージはゴンのジャ○ャン拳のグーで念能力はなしと…)
「ほっ!」
そして軽く拳を突き出した。
「がっ!」
ジャンの体は勢いよく後ろへ吹っ飛び、魔法障壁に体を強く打ち付け地面に倒れた。
(やっべ…めっちゃ手加減したんだけどな…)
とりあえず拳を使うのをやめて、魔法で終わらせる事にした。
「『黒炎龍の拘束』」
残りの3人の足元に黒く光る魔法陣が出現し、そこから黒い龍の尻尾のような物が出てきて3人を拘束した。
「くっ…!これは!」
「動けない!」「うぅ…」
俺は苦しむ3人の近くに歩いて行った。
「あなた達は別に嫌いじゃないんです。なので降参してくれませんか?しないなら…」
そう言って俺が少し手を握ると、拘束する力が強まり3人とも苦しそうな声を出した。
すぐに弓使いの男が降参をし、勝負はあっけなく終わった。
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