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第3章
第46話
しおりを挟む門について3人分の大銅貨を払い、久しぶりに王都に入った。洗礼の日以来だったので、約3年ぶりだ。
「おぉ、すごい人の数だな…。」
やはり国の中心都市という事もあり、人も多く店がたくさんあり活気にあふれていた。
「レイ見ろ!あれは何じゃ!」
「マスター、あれは何のお店でしょうか?」
「と、とりあえず今から先にギルドに行って魔石を売ってお金を作りに行くから、お店はそのあとね。」
2人とも初めての王都に興奮気味だった。普段からこれくらい仲良くして欲しいのだが。
(いつもは坂田○時と土方十○郎並みに仲悪いもんな…。)
こうして王都の散策が始まった。
なんというか…ギルドに来るまで異常に疲れた。やはり2人ともとても可愛いし、少し変わった服装なのでかなり目立った。異空間に戻るか提案したが、手を掴んで離さなかったので余計困った。
予定より少し遅くなったが、3年前に来たギルド『アミュレット・サーガ』に到着した。特に外装も変わっておらず、大きなギルドなので、相変わらず中から冒険者達の活気ある声が聞こえる。
「ほぉ、ここがギルドと言うやつか。」
「確かに大きいですね…。マスターはいつかここに登録されるのですか?」
「うん、そのつもり。とりあえず入っちゃおうか。」
ギルドに入ると、前にきた時よりは少し人が多かった。やはり男性の冒険者が多く、自然と後ろの2人に目がいっていた。
「おい、なんだあの美女2人…」
「背がでかい方胸やっべ~。」
「俺はメイド服の方がいいなぁ。」
なんだろう、2人をエロい目で見られるがなんだが気にくわない。
(あれだ、アイ○スとかラブ○イブ!で自分はただ推しを純粋に応援してるのに、ただそのキャラでエロい妄想したいだけとかで可愛いとかいってる奴を見かける時みたいな感じ…)
とりあえずそこらへんの冒険者は放っておいて、受付嬢のアリアさんを探したらすぐに見つかったのでそこに向かう。
「アリアさん!」
「あら、レイ君よね?久しぶり!」
「覚えてくれてんですね。」
ここのギルドは王都で1番大きく、冒険者の数もかなり多いだろうから忘れられていると思っだが、そんな事はなかったらしい。
「えぇ、前あんな事をすれば記憶に残るのは当然よ?」
「あはは…確かに。」
「今日はどうしたの?まだ登録は出来ないわよね?」
「あ、そうだ。魔石を手に入れたのでお金に換えて欲しいんですけど、どうすればいいですか?」
「それならここであってるわよ。でもすごいわね、その年で魔物を狩るなんて。ちなみに何匹くらいいるの?」
「1000匹くらいですかね…。」
「せ、せん?!ちょ、本当なのそれ!ゴブリンとか?」
俺とアリアさんの話を聞いていた他の冒険者も驚いている。
もうどうせ嘘つけとかまた絡ませそうなので、その場で1匹出してみることにした。
「いえ、そんな弱いやつじゃないです。例えば…」
そう言って俺はとりあえずミノタウロスの死体を魔法袋から出した。
「これなんかどうですか?」
「こ、これってミノタウロスよね?!Bランクの冒険者20人近くで倒す魔物よ!
こんなのがあと1000体もいるの?!」
「はい!換えてもらえますかね?」
「ギルドマスターに話してくるからちょっと待ってて!」
そう言ってアリアさんは2階へと駆け上がっていった。
「ふぅ…これでなんとか…」
「なぁ君、あまり嘘をつくのは良くないんじゃないかな?」
「は?」
振り返ると冒険者パーティーらしき人たちがいて、リーダーっぽい若い男の人がかがんで俺に話しかけてきた。
(なんだこれ、もうこういう事ありすぎて『あ!野生の冒険者が現れた!冒険者たちは疑惑の目でこっちを見ている!』みたいな解説が見える…。まだライバルとのポケモ○バトルの方が楽だわ…。)
レイは大きな溜息をついた。
--------------
アリアは急いで2階のギルドマスターの部屋に向かった。扉をノックすると中から「ど~ぞ~」と、少しやる気のない声がした。
急いで部屋に入ってさっき見た事を説明しようとする。
「ギルドマスター!先程…」
「ねぇ今レイ君来てないかな?」
予想外の人物の名前を言われて、言葉に詰まった。
「えっ、何故それを…」
アリアが驚いていると、ギルドマスターは嬉しそうに笑った。
「やっぱりか…。彼の魔力を下から感じたからもしかしてと思ったけど、前より質が上がってる。まぁそれでも力をセーブしてるのかもしれないけど、早く会いたいな…。」
アリアが不思議に思っていると、ギルドマスターは席を勢いよく立った。
「さ、アリアちゃんも早く行こう!今頃冒険者パーティーにでも絡まれてそうだし。」
「え、早く止めさせない…」
アリアはすぐに戻ろうとしたが、手を掴まれ止められてしまった。
「ダメだよ。せっかく面白い事が始まるんだから、それにまた面白いものを見せて欲しいからね!」
そんな理由?と思ったが、ギルドマスターは長い金髪をかきあげながら、子供のように嬉しそうに出て行った。アリアも遅れてついて行った。
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