異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第3章

第45話

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1発目は左下から、そのまま紅葉を切り上げた。

「ぐっ!」

が、苦しそうにしつつもギリギリの所で父さんは紅葉の葉を大剣の柄頭で防いだ。

(さすが剣で戦ってただけあるな…)

そのまま背後に高速移動し、背後から斬りかかる。
父さんはなんとか反応し、大剣を器用に回して背中をカバーした。
剣と刀がぶつかり、金属音があたりに響く。

そのまま攻撃を休める事なく、距離を置いてから一気に詰めて懐に斬りかかったり、大剣の重い攻撃をいなしたりした。



そろそろ時間かと思ったので、一気に決める準備をした。
『レイ、そろそろ決めてやろう。』
「そうだな…」


父さんも察したのか、柄を両手で握り構えている。

「行くぞ、レイ!」

そして俺めがけて、高速で走り出した。


『レイ、妾たちの愛の力見せてやるか!』
「変な言い方やめなさい。」



そして目を閉じて、呼吸を落ち着かせ父さんの魔力に集中する。そして静かに『正眼の構え』をとった。



「『《紅葉清對・紅龍殲こうりゅうせん》!!』」



激しい金属音が辺りに響き、時が止まった。
 


「いってぇ!」



音をあげたのは父さんだった。仰向けになりお腹をさすっている。もちろん、刃に魔法を付与しているので血が出ることはない。
父さんのもとに駆け寄り、お腹のあたりに軽い回復魔法をかけた。

「おっ、サンキューな。」

「いえ、俺もいい汗をかけました。」

「んな事言って、本気出してなかったろー流石だな。でも最後の一撃は当たった感触がしたんだが…気のせいか?」

「確かに当たりましたよ。」

父さんの言う通り、最後の一撃は俺もくらっていた。俺は手のひらを見せた。
俺の手のひらは一筋だけ横に少し赤くなっていた。

「なんとなく、どう剣が線を描くかわかったので、あらかじめ魔法を纏わせて剣を手で流したんです。まぁそれでも少しヒリヒリしますが。」

「まじかよ…あれを読まれたとは、参った!降参だ。久しぶりに本気出して疲れたからまた今度頼むよ。」

「はい!」

こうして俺と父さんの手合わせは終わった。




服を着替えて、王都に行く準備をした。すると部屋がノックされ、ロゼッタが顔をのぞかせた。

「マスター、私も付いて行っていいですか?」

「何か欲しいものでもあるの?」

「そう言うわけでは…」

「まぁ一緒に行こうか。」

そう言うとロゼッタは顔を明るくした。
何かいい事でもあるのだろうか。

玄関では、リゼが待っていた。

「じゃあリゼ、行ってくるよ。」

「本当は私も行きたい所ですが…ロゼッタさんがいるなら大丈夫でしょう。あ、それとこれを。」

リゼは俺に小さな包みを差し出した。中には、大銅貨と銀貨が何枚か入っていた。

「これは?」

「王都に入るには、門でギルドカードなどの身分を証明するものを出す必要があるんです。普段ご家族で出掛ける際は、洗礼の日のように旦那様と奥様が持っている家紋が彫られたバッチがあるのですが…今回はレイ様だけでの外出となるので入る時にお金を払う必要があります。なのでそれをお使いください。」

「そっか…じゃあ帰ったら返すよ!何か欲しいものとかある?」

「そ、そんな恐れ多いですよ…!とにかくトラブルに巻き込まれないよう気をつけ下さいね。」

「わかった、じゃあ行ってくる!」


とりあえず王都に着いたら、特訓の時にアステルの森で乱獲した魔石とかを売ってリゼに何か買おう。あと、洗礼を受けた教会に行って、技神のプロメテウスさんにツイスターの複製品をあげたりと、結構忙しくなりそうだった。


相変わらずロゼッタは俺の右手に手を繋いで、嬉しそうに歩いている。
(こんな上機嫌な姿初めてだな…。西木○真姫ちゃんが機嫌いい時みたい…)

俺の視線に気づいたのか、ロゼッタが俺の顔を覗き込んだ。

「どうかしましたか、マスター?」

「ちょっ、ちかいちかい!なんでもないから!」

「…そうですか。では行きましょう。」

再び歩き始めた瞬間、頭に紅葉からの念話が響いた。

『レイ、妾を早く出せ!』

どうせこっちの話も聞かなそうなので、指を前に突き出して詠唱し、扉を開けた。紅葉はすぐに扉から出てきて、俺の左手をとった。

「マスター!なぜ女豹を出すんです!」

「ふんっ、貴様だけにレイを独り占めさせてたまるか!レイに怪我があったらどうする!」

「私が側にいてそのような事ありえません!むしろ、酒癖の悪い女豹がうろちょろしないか心配ですね。」

「なんじゃと!このつるぺた鉄娘!」

「なっ、マスターの前で何を言ってるんです!それにマスターは必ずしもあなたみたいなだらしない胸を好むとは限りません!」

「ふんっ、だらしなくなどない。全てはレイを虜にする為に育った女の武器だ、貴様には無いものじゃな。」



「はぁ…疲れる…」

そんな感じで結局、門に着くまで2人の言い合いは終わらなかった。
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