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第3章

第41話

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門に着くと、門番の2人が騒ぎながら俺たちを指差していたがティナさんを降ろすと、急にビシッとなり敬礼した。

「ティ、ティナ副団長?!これはいったい…。」

「それより兵士5名の遺体を運んできたから、家族に届けるまで保管頼む。」

「了解です!……運んできた?!」

俺は魔法袋から遺体を取り出して門番に預けた。2人とも口をあんぐり開けていたが、気にせず再びティナさんと空へ飛んだ。


「でも空を飛ぶのは気持ちいいものね。今回は何から何までありがとう。」

「いえいえ、気にしないでください。」

そうしてすぐに馬車の所へと到着した。
なんだか衛兵達が馬車から誰か出ようとするのを、止めようとしている。

「おやめください、王女殿下!外は安全とは言い切れません!」

「いいのよ、お礼をするだけだから。」

馬車の扉が開き、中からカールがかった綺麗な金髪のロングヘアを持つセルリアンブルーの瞳の少女が降りてきた。

(うわー!おかわわわわわわ!なにこの子、寄宿学校のジュリエ○トのペルシア並みに可愛いんですけど!俺もCV.芽○愛衣さんの声で『記念日は私だけに構ってよね…』とか1回くらい言われてみたかったなぁ…。)

あまりの可愛さにかぐや様みたいな反応をして固まっていると、上品に挨拶をしてきた。

「先程は助けてくださり、ありがとうございました。」

「い、いえいえ…!」

(あれ、そういえばさっき王女殿下って…って事は国王の娘?!)

「 あ、俺はじゃなくて…私は別に大した事は…」

「いいえ、あなたが来て下さらなかったら私達は今頃死んでいたでしょう。それと…」

急に王女殿下は顔を赤くしてモジモジし始めた。

(あ、これはアニメとかラノベでよくある名前聞かれたりするやつじゃ…。)

もしここで名前を教えて、俺の魔法の事などが王都で広まったりすれば後々面倒な事になりそうなのでとりあえず逃げる事にした。

「あの、今日見た事は内密にお願いしますね!」

「あっ、ちょっと!お待ちください!」

「さよなら!」

俺はそう言い残して高速で飛んで帰った。

「まだ名前も聞いてないのに…私の名前も教えていなかったのに残念です…。」


王女殿下はポツリと呟いた。





あれからかなり速く飛んできたので、地図エリアマップから察するにあと10分で着くだろう。

久しぶりだなぁ…と思っていると、頭に念話が届いた。
『レイ、妾を出してくれ。』

地面に降りてロゼッタで扉を開けると、紅葉が嬉しそうな顔で出てきた。

「どうかした?」

「もうすぐ着く頃かと思ってな!妾も挨拶しておこうと思っての。」

「あーそっか。じゃあたまには歩いて帰ろうか!」

「うむ!」


紅葉が手を繋いできたので、少し緊張しながらもまぁいいかと思い歩き出そうとしたら、しまおうとしたロゼッタに話しかけられた。

『…マスター、浮気ですか。』

「え?」


今日ずっと喋らないなと思っていたら、あなた機嫌悪かったの…?


「う、浮気って…」

「レイ、なんじゃこの喋る鉄は。」

「紅葉も喋って…」

「妾はこっちが本当の姿じゃ。けどこやつは…」

『こやつではないです。ロゼッタです。マスター、あまり女を増やすのはやめてください。』

「お、女を増やすって…」

『もういいです。』

すると突然、ロゼッタに魔法陣が浮かび桜色に光り始めた。

「な、なに?!」

光が止むとそこには、水色のポニーテールに桜色の瞳を持ったミニスカートのメイドがいた。

「だ、だ、誰?!」

「マスター、ロゼッタです。」

「はぁ?!」

「なんじゃこやつ、妾に似た魔法を使いおって。」

「先程このおば様が使われた変身魔法を鑑定し、魔法生成で作らせていただきました。マスターは私を使われていたので、私の中に膨大な魔力が宿っておりそれを使わせていただきました。」

やけに前からってところを強調して、冷たい視線を紅葉に向けた。紅葉は眉をぴくりとさせ怒っていた。

「だ、誰がおばさまじゃ!言っておくが、妾はもうレイの手で握られまくっておるからな!胸だって貴様なんぞより充分大きいわ!」

「なんだよその言い方…」

そう言って着物であまりわからなかったが、ずいと大きな胸を突き出した。そしてロゼッタに左手の薬指を見せつけた。そこには、さっき渡した魔石の指輪がはめられていた。

「それに見ろ!妾には婚約指輪の代わりのような物ももらっておる!」

「婚約なんて言ってないわ!念話用の指輪でしょそれ!」

だがロゼッタはひるむ事なく応戦した。

「それなら私は、マスターにもう1ヶ月近く何回も穴に指を入れられていますが?」

「なんじゃと?!レイはそんな事をしておったのか?!」

「してねぇよ!引き金の話だろ!全身全霊で童貞してるわ!」

「もう良い!とにかく妾はレイと一緒に家に帰る!貴様はあいてむぼっくす?とやらに帰って結構じゃ。」

「それなら私が。あなたは早く異空間に戻っていただいて結構ですよ?私が御家族に挨拶しておきますから。」 

そう言うとロゼッタも俺の左手に手を繋いできた。


「え…なんでそんなお見合い前の話みたいになってんの…?」

「レイ、どっちなんじゃ!」

「マスター!」

「え、ええっと…」

前世で女性と特にキャッキャッウフフなイベントがなかった俺としては、どうすればいいのかわからなかった。



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