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第2章
第37話
しおりを挟むこっちでも大分過ごしたので、俺の世界ではかなりの日数が進んでいるのだろう。
俺はおっさんからもらった黒の服とコート、手紙を魔法袋にしまって自分の世界に戻る準備をした。
城の入り口にはアイナさん、エレナ、ゼリスさん、リヒトさんが見送りに来てくれた。
「本当にここに来てくれてありがとう。風邪ひかないようにね。」
「はい、こちらこそありがとうございました。」
「レイ様、今回我々に力を貸してくださり本当に助かりました。またいつかお会いしましょう。」
「……元気でな。刀は持って行って構わん。」
「はい!いつか、必ず。叢雲もありがとうございます!」
エレナは、アイナさんと手を繋いで俯いている。
「エレナ、最後にレイ君に挨拶なさい。」
アイナさんに促され、エレナは俺に抱きついてきた。
「……レイ、行っちゃうの?」
エレナは目を潤ませながら俺を見た。
(なんだこれは。「尊い」という概念がひとり歩きしているぞ。あ、やばい目が痛い。知らなかった、あまりにも可愛いものを見ると網膜って焼けるのか。)
俺は動揺を悟られないように、エレナの頭を撫でた。
「自分の世界に帰らないといけないからね。でもまたいつか必ず会えるよ!」
「ほんとう…?絶対だよ?」
「じゃあ指きりしようか!」
「ゆびきり?」
「こうやって…」
俺は前世の世界にあった指きりげんまんをした。
「これをした2人は、約束を絶対守るっていうおまじないだよ。」
そう言うとエレナの顔がパッと明るくなった。
「ほんと?!じゃあ今度レイの世界を案内して!」
「うん、約束ね。」
「それじゃ始めるわよ?レイ君、そこ立って。」
指定された場所に立つと、アイナさんは詠唱をした。すぐに俺の足元に魔法陣が現れ、白い光を放ち始めた。
「それでは!皆さんまたいつか会いましょう!」
光は俺を包んで静かに消えていった。
「行ってしまいましたね。」
「……いい奴だった。」
「そうね、あの人も気に入っていたしね。さ、仕事に戻るわよ!」
「わたしも手伝うー!」
4人は街の方へと飛んで行った。
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