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第2章
第32話
しおりを挟む「『地獄の豪炎』」
俺が詠唱を終え魔法を発動しようとした瞬間、誰かに羽交い締めにされその場から無理やり離された。
振り返るとゼリスさんとリヒトさんがいた。無言で抵抗したが俺の体に雷魔法と風魔法を使い、何とか止めようとしている。あまり効いていないが。
もう邪魔なので無理やり振りほどいてバハルを消しに行こうとしたら、アイナさんが飛んできて持っている杖の先をを俺の額にくっつけた。
「『#######』」
瞬間、俺の頭に色々な光景が浮かんできた。
『慢心は命取りじゃ、忘れるな!』
『戦いは常に冷静にじゃ。相手の弱点を突くのじゃ。』
『目で追うんじゃなく、魔力を感じ取るようにしてみろ。』
『むやみやたらに突っ込むもんじゃないわ!』
『…………負けるなよ…レイ……』
「…少しは落ち着いたかしら?」
アイナさんが俺を心配そうに見ていた。
(ーそうだ。おっさんは俺に…)
「…すいません。俺取り乱してて」
「なら良かったわ。あの人があなたに授けた事、無駄にしないでね。」
アイナさんは俺の手を強く握り、優しく言いかけた。
「レイ様、これを。とても重かったですが…」
『マスター、私を忘れていましたよ。』
「わ、悪い…。」
ゼリスさんの手には置いてきてしまったロゼッタがあった。
「……これも忘れている。あと回復魔法をありがとう、俺も団員も助かった。」
リヒトさんは叢雲を差し出した。
「いえ、こちらこそありがとうございます。」
すると後ろで氷の海が割れる音がした。
「!まさかバハルが?!」
「そうみたいですね、アイナさん龍騎士の皆さんは?」
「みんな城に避難しているわ。」
「ならアイナさんたちもそこへ避難してください。万が一のために城のあたりも障壁をお願いします。」
「わかったわ、それとエレナから伝言よ。『レイ、頑張って!』だって。」
「…エレナにありがとうと伝えておいてください。」
「わかったわ、レイ君頑張ってね。」
「レイ様、バハルの事頼みました。」
「…健闘を祈る。」
「任せてください、負けませんから!」
3人が城の方へと戻っていったのを確認し、『制御魔法』をかける。これで激しい戦いをしてもこの世界が壊れる事はないだろう。
目の前ではどんどん氷にヒビが入っていく。1回だけとはいえ、『制限解除』をした俺の魔法を砕いていくとは、前五龍の名は伊達じゃないな。
「ロゼッタ、どうする。やっぱり俺たちの世界の魔法じゃ効果ないみたいだな。」
『マスターが右手にもたれている刀を使えばよろしいかと。』
「それは思ったんだけど斬っても再生されないか?あいつもそれなりに強いから、連撃技もあんま打ち込めないだろうし…。」
『それなら私に1つ案があります。ただその刀に付与されている術を、上手く使えるかどうかはわかりませんが。』
「どういうことだ?」
『それはー』
「はぁっ!」
ついにバハルが氷を破り出てきた。
「…はぁ、小僧やってくれたな。」
「うるせぇ。お前は今から俺が倒してやるよ。」
「ん?魔力が収まっているな…。まぁ良い、小僧にやられるほど落ちぶれておらんわ!」
そしていよいよ最終決戦が始まった。
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