26 / 210
第2章
第22話
しおりを挟む秘技とやらの特訓を終えて部屋に戻り、俺はある実験を開始していた。
おっさんに出してもらった小さなペザンテ鉱石をとりあえず二等分にする。
両方の石に手を置き、目を閉じて頭の中のイメージにある形をもとに魔力を流し込んでいく。
目を開けるとそこにはピストルの形をした型のようなものができていた。
(イメージしたのは魔○科の司波達也のCADなんだけどね。)
出来上がった型に、魔法袋から8個の魔石を取り出す。ここにくる前の森で狩った神獣たちの魔石だ。火・水・風・土・闇・光・雷・無属性の石全てを正方形のサイズに加工し、型に一個ずずはめていく。
魔石をはめ終わったら、今度は水の精ウンディーネの魔石を取り出した。魔石に、新しく作ったスキル付与魔法で俺の持っているスキル「世界眼・鑑定・魔法作成・全物理攻撃耐性・全魔法耐性」を付与した。ウンディーネを選んだのは、声が1番綺麗だったからだ。そして魔法作成で対話魔法を付与した。この魔法は動物に付与すれば、その動物と対話が可能になる魔法だ。
全ての魔石をはめ込み、2つの型をあわせて結合魔法で型の境目が見えなくなるまでにした。
完成した銃に少し違うイメージを流し、引き金部分とスライド部分を造形魔法で付け加えれた。
最後に全体を俺の髪の色と同じ桜色にし、細かい部分には紅で塗装してメタリック感を出した。
「よし…!正直銃の知識全くないけど魔法のイメージで作れるから便利だな…。」
金属の弾を必要とする前世の世界の銃だったら、絶対に作れていなかったがこれも異世界転生のおかげかと感謝した。
この銃には弾を入れる場所もなければ必要もない。なぜなら先程入れた魔石があるからだ。
使い方は簡単だ。手動操作の場合は、銃に魔力を流し標的に向けて、引き金を一度引く。これによって魔法を当てたい標的に自動で刻印が出来る。そして使いたい属性魔法をイメージして魔力を流せば、必ず刻印した標的に攻撃できる。
あらぬ方向に向けていても、1度刻印した標的なら必ず魔法が当てられる。
スライドを引けば消費魔力が2倍になるが、標的に与えるダメージも2倍になる。まぁ俺の魔力に消費という概念はもはやないので、標的の強さに合わせてスライドは引けばいい。
自動操作の場合は魔法を当てたい相手に向かって属性魔法のイメージして魔力を流し引き金を1度引けば、銃が向けられている標的を自動で鑑定して1番効果のある魔法を撃ってくれる。
これを作ったのは手を前に出したりして標的に魔法を放つよりも、銃で魔法を撃つのがかっこいいなと思っただけで、これを使えば魔力が大幅アップなどの効果はない。ただの男のロマンを求めた結果だ。
だがこの銃にはいくつか秘密がある。
1つは普通の人間なら持つ事も出来ないだろう。こっちの世界であれだけ俺が苦労して持つ事ができた石からできているのだから、普通の人間にはまず持ち上げる事すら出来ないだろう。
2つ目は中に組み込まれている魔石だ。神獣クラスの魔石を使用しているので、魔石を使って攻撃するのに相当な魔力が必要だ。まぁ魔力が無限の俺には関係のない話だが。
そして3つ目がこの銃の見せ所だ。
「よし…試してみるか。」
銃にほんの少し魔力を流し、口元に近づける。銃のグリップの下の方にはマイクとスピーカー用の細い隙間を作ってある。
(どうやって起動しよう…)
とりあえず適当に声をかけてみた。
「おーい、起動してくれー」
『初めまして。マスターの魔力を感知しました。』
(よし!成功だ!)
『ご用件は?』
ウンディーネの魔石を使ったおかげで、とても綺麗な声をしたS○riみたいなのが出来上がった。言葉遣いもとてもなめらかで、もはや喋るシル○ーホーンというよりもサイコ○スのドミ○ーターに近かった。
(まぁこれは犯罪係数じゃなくて魔力は測れるけどね…)
「いや、用ってわけじゃないんだけど使えるかどうか確認したくて。」
『そうですか。』
もちろん感情など銃にはないので、会話が途切れる。
「あっ、そうだ名前教えてよ!」
『私はあくまで武器ですので、名前などございません。』
「そっか…何がいいかな…ピストルだからピスル。うーん違うな…」
『ピスルでよろしいのですか?』
「あー待って待って!…あ、じゃあロゼッタなんてどう?綺麗な桜色だから!」
『ロゼッタですか…。わかりました、今日から私の事を起動する場合は、ロゼッタとお呼びください。』
「うん、これからよろしくねロゼッタ。」
『こちらこそよろしくお願いします、マスター』
魔法袋にロゼッタをしまい、いつもより1時間ほど遅くにベットに入った。
95
お気に入りに追加
5,960
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる