異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

文字の大きさ
上 下
17 / 210
第2章

第15話

しおりを挟む
2日目も初見の魔物に戸惑うことは何度かあったが、現れた魔物をひたすら倒しては魔石と死体を回収するの繰り返しで1週間が過ぎた。


7日目の夕方、他の魔族とは質の違う魔力を感じ久しぶりに気配隠蔽を使って近づいてみると、太い木の根元に1匹の狼が眠っていた。鑑定をすると

【フェンリル】
Lv.80
神をも喰らう神獣。前の2本の牙に神殺しの魔法が付与されている。

(うわぁ…これヘイルダム様が言ってた神獣だよな。てか神殺しなら亜神の俺もやばいかも…)

確かに牙を見ると、背筋に寒いものが走る感覚があった。だがそれと同時に、ここまでの強者に初めて会ったので戦えるのが少し楽しみだった。1週間でも魔物を狩り過ぎたせいか、自分の感覚の変わりように呆れながらもフェンリル対策を考えた。

(とりあえずやばいのはあの牙だよな…あれに貫かれたら流石に死ぬ。)

対策といっても、牙を壊してから倒す以外の方法は特に浮かばなかったのでその線で行く事にした。普通に戦いたかったので、転移を使うのは禁止にした。

気配隠蔽魔法をとくと、フェンリルは俺の魔力を察知したのか起き上がって辺りを見回した。寝ていたのでわからなかったが、立ち上がると5mくらいはありそうだ。茂みから歩いて目の前に姿を現わすと、フェンリルは鋭い目付きで俺を見据えて吠えた。

「ワオォォォォォン!!!!」


大きな遠吠えを終えたと思ったらフェンリルが動いた。俺の方へと走り大きな牙で嚙み殺そうとしてきたので、ギリギリのところで右に避けた。
避けたと同時にに右手に火属性魔法を付与し、まずフェンリルの前の右側の牙を殴った。

「あっつ!!」

牙が折れると思っていたが、神殺しが付与されているせいか触れただけで手を火傷した。予想外の展開に少し戸惑ったのが動きにも出てしまい、フェンリルはそれを見逃さなかった。
まずい!と思い腕をクロスして魔法で身体強化をした瞬間、フェンリルの尻尾で思いっきり殴られ、俺は背中から木々に突っ込んでいった。10本ほど木をなぎ倒したあたりでようやく俺は止まった。

(くっそ…初めてまともな攻撃受けたな。)

フェンリルは余裕ぶってこっちを見据えて待っていた。
「舐めやがって…」
少しイラついたが、やはり強者と戦うのが楽しくなっていて口がニヤついたのがわかった。
体自体にダメージはなかったが、回復魔法で手の火傷を治した。

(じゃあこれでどうよ!)

俺は右手を前に突き出して、水魔法の応用版を詠唱した。

「『海神の氷槍トライデント』!」

するとフェンリルの足元に青色の魔法陣が浮かび、そこから穂先が三又の氷の槍が何本も飛び出しフェンリルの体を射抜いた。

(…やったか?)

だが、だいたいのアニメの「やったのか?!」とか「…帰ったら俺と~してくれないか?」などは無理無理フラグを立てるよな物で、フェンリルは体を何箇所も射抜かれたにもかかわらず生きていた。むしろ今ので怒りがMAXになっていて、殺気も半端じゃなかった。
フェンリルはジャンプすると、体を丸め回転しながら急降下してきた。

「ちょっ、お前なんだその馬鹿そうな技は!」
俺の言葉なんか当たり前のように無視して、フェンリルは駒のように回転しとんでもないスピードで突進してきた。

「うぉっ!」

思ったよりスピードが速くギリギリで避けることになり、慌ててフェンリルがジャンプする前にいた位置に高速移動した。
そのまま突っ込んでいってくれるかなと思っていたが、あろうことかフェンリルは逆回転をしてスピードを緩めこちら側へと突進してきた。

「めんどくせぇな!だったら…」

俺は、ここ最近で作った新たな闇魔法を使う事にした。頭の中にワン○ースの白いヒゲの親父を殺した黒い人をイメージする。

「『黒炎竜の大渦ブラック・ボルテックス』」

我ながら厨二くさいなと思う詠唱をさると、回転してくるフェンリルの真下に闇の渦が発生しフェンリルの回転を止め少しずつ飲み込んでいった。

「ワォン?!」

さすがのフェンリルも驚きながら黒い渦に抵抗したが、むしろ体はどんどん飲み込まれていき最後には闇も消え何もなくなった。

「『解放リリース』」

飲み込まれた後に短く詠唱すると、今度は地面に闇が広がり、そこから体中黒い火傷を負ったフェンリルの死体が出てきた。
俺の作ったこの魔法は、本来の闇魔法にはないもので対象は闇の中へと引きずり込まれ、その中で黒龍『ファフニール』をイメージした黒炎に体を蝕まれる物だ。

とりあえず死体の見栄えが悪いので、死体に状態異常回復魔法をかけ元の綺麗な姿にして魔法袋にしまった。

「ふぅ…久しぶりにちょっと焦ったな。」

少し休んで、魔法袋にあったケンタウロスの肉を食い眠りについた。
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て… これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです… +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-  2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます  時々さかのぼって部分修正することがあります  誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)  感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

処理中です...