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第2章
第15話
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2日目も初見の魔物に戸惑うことは何度かあったが、現れた魔物をひたすら倒しては魔石と死体を回収するの繰り返しで1週間が過ぎた。
7日目の夕方、他の魔族とは質の違う魔力を感じ久しぶりに気配隠蔽を使って近づいてみると、太い木の根元に1匹の狼が眠っていた。鑑定をすると
【フェンリル】
Lv.80
神をも喰らう神獣。前の2本の牙に神殺しの魔法が付与されている。
(うわぁ…これヘイルダム様が言ってた神獣だよな。てか神殺しなら亜神の俺もやばいかも…)
確かに牙を見ると、背筋に寒いものが走る感覚があった。だがそれと同時に、ここまでの強者に初めて会ったので戦えるのが少し楽しみだった。1週間でも魔物を狩り過ぎたせいか、自分の感覚の変わりように呆れながらもフェンリル対策を考えた。
(とりあえずやばいのはあの牙だよな…あれに貫かれたら流石に死ぬ。)
対策といっても、牙を壊してから倒す以外の方法は特に浮かばなかったのでその線で行く事にした。普通に戦いたかったので、転移を使うのは禁止にした。
気配隠蔽魔法をとくと、フェンリルは俺の魔力を察知したのか起き上がって辺りを見回した。寝ていたのでわからなかったが、立ち上がると5mくらいはありそうだ。茂みから歩いて目の前に姿を現わすと、フェンリルは鋭い目付きで俺を見据えて吠えた。
「ワオォォォォォン!!!!」
大きな遠吠えを終えたと思ったらフェンリルが動いた。俺の方へと走り大きな牙で嚙み殺そうとしてきたので、ギリギリのところで右に避けた。
避けたと同時にに右手に火属性魔法を付与し、まずフェンリルの前の右側の牙を殴った。
「あっつ!!」
牙が折れると思っていたが、神殺しが付与されているせいか触れただけで手を火傷した。予想外の展開に少し戸惑ったのが動きにも出てしまい、フェンリルはそれを見逃さなかった。
まずい!と思い腕をクロスして魔法で身体強化をした瞬間、フェンリルの尻尾で思いっきり殴られ、俺は背中から木々に突っ込んでいった。10本ほど木をなぎ倒したあたりでようやく俺は止まった。
(くっそ…初めてまともな攻撃受けたな。)
フェンリルは余裕ぶってこっちを見据えて待っていた。
「舐めやがって…」
少しイラついたが、やはり強者と戦うのが楽しくなっていて口がニヤついたのがわかった。
体自体にダメージはなかったが、回復魔法で手の火傷を治した。
(じゃあこれでどうよ!)
俺は右手を前に突き出して、水魔法の応用版を詠唱した。
「『海神の氷槍』!」
するとフェンリルの足元に青色の魔法陣が浮かび、そこから穂先が三又の氷の槍が何本も飛び出しフェンリルの体を射抜いた。
(…やったか?)
だが、だいたいのアニメの「やったのか?!」とか「…帰ったら俺と~してくれないか?」などは無理無理フラグを立てるよな物で、フェンリルは体を何箇所も射抜かれたにもかかわらず生きていた。むしろ今ので怒りがMAXになっていて、殺気も半端じゃなかった。
フェンリルはジャンプすると、体を丸め回転しながら急降下してきた。
「ちょっ、お前なんだその馬鹿そうな技は!」
俺の言葉なんか当たり前のように無視して、フェンリルは駒のように回転しとんでもないスピードで突進してきた。
「うぉっ!」
思ったよりスピードが速くギリギリで避けることになり、慌ててフェンリルがジャンプする前にいた位置に高速移動した。
そのまま突っ込んでいってくれるかなと思っていたが、あろうことかフェンリルは逆回転をしてスピードを緩めこちら側へと突進してきた。
「めんどくせぇな!だったら…」
俺は、ここ最近で作った新たな闇魔法を使う事にした。頭の中にワン○ースの白いヒゲの親父を殺した黒い人をイメージする。
「『黒炎竜の大渦』」
我ながら厨二くさいなと思う詠唱をさると、回転してくるフェンリルの真下に闇の渦が発生しフェンリルの回転を止め少しずつ飲み込んでいった。
「ワォン?!」
さすがのフェンリルも驚きながら黒い渦に抵抗したが、むしろ体はどんどん飲み込まれていき最後には闇も消え何もなくなった。
「『解放』」
飲み込まれた後に短く詠唱すると、今度は地面に闇が広がり、そこから体中黒い火傷を負ったフェンリルの死体が出てきた。
俺の作ったこの魔法は、本来の闇魔法にはないもので対象は闇の中へと引きずり込まれ、その中で黒龍『ファフニール』をイメージした黒炎に体を蝕まれる物だ。
とりあえず死体の見栄えが悪いので、死体に状態異常回復魔法をかけ元の綺麗な姿にして魔法袋にしまった。
「ふぅ…久しぶりにちょっと焦ったな。」
少し休んで、魔法袋にあったケンタウロスの肉を食い眠りについた。
7日目の夕方、他の魔族とは質の違う魔力を感じ久しぶりに気配隠蔽を使って近づいてみると、太い木の根元に1匹の狼が眠っていた。鑑定をすると
【フェンリル】
Lv.80
神をも喰らう神獣。前の2本の牙に神殺しの魔法が付与されている。
(うわぁ…これヘイルダム様が言ってた神獣だよな。てか神殺しなら亜神の俺もやばいかも…)
確かに牙を見ると、背筋に寒いものが走る感覚があった。だがそれと同時に、ここまでの強者に初めて会ったので戦えるのが少し楽しみだった。1週間でも魔物を狩り過ぎたせいか、自分の感覚の変わりように呆れながらもフェンリル対策を考えた。
(とりあえずやばいのはあの牙だよな…あれに貫かれたら流石に死ぬ。)
対策といっても、牙を壊してから倒す以外の方法は特に浮かばなかったのでその線で行く事にした。普通に戦いたかったので、転移を使うのは禁止にした。
気配隠蔽魔法をとくと、フェンリルは俺の魔力を察知したのか起き上がって辺りを見回した。寝ていたのでわからなかったが、立ち上がると5mくらいはありそうだ。茂みから歩いて目の前に姿を現わすと、フェンリルは鋭い目付きで俺を見据えて吠えた。
「ワオォォォォォン!!!!」
大きな遠吠えを終えたと思ったらフェンリルが動いた。俺の方へと走り大きな牙で嚙み殺そうとしてきたので、ギリギリのところで右に避けた。
避けたと同時にに右手に火属性魔法を付与し、まずフェンリルの前の右側の牙を殴った。
「あっつ!!」
牙が折れると思っていたが、神殺しが付与されているせいか触れただけで手を火傷した。予想外の展開に少し戸惑ったのが動きにも出てしまい、フェンリルはそれを見逃さなかった。
まずい!と思い腕をクロスして魔法で身体強化をした瞬間、フェンリルの尻尾で思いっきり殴られ、俺は背中から木々に突っ込んでいった。10本ほど木をなぎ倒したあたりでようやく俺は止まった。
(くっそ…初めてまともな攻撃受けたな。)
フェンリルは余裕ぶってこっちを見据えて待っていた。
「舐めやがって…」
少しイラついたが、やはり強者と戦うのが楽しくなっていて口がニヤついたのがわかった。
体自体にダメージはなかったが、回復魔法で手の火傷を治した。
(じゃあこれでどうよ!)
俺は右手を前に突き出して、水魔法の応用版を詠唱した。
「『海神の氷槍』!」
するとフェンリルの足元に青色の魔法陣が浮かび、そこから穂先が三又の氷の槍が何本も飛び出しフェンリルの体を射抜いた。
(…やったか?)
だが、だいたいのアニメの「やったのか?!」とか「…帰ったら俺と~してくれないか?」などは無理無理フラグを立てるよな物で、フェンリルは体を何箇所も射抜かれたにもかかわらず生きていた。むしろ今ので怒りがMAXになっていて、殺気も半端じゃなかった。
フェンリルはジャンプすると、体を丸め回転しながら急降下してきた。
「ちょっ、お前なんだその馬鹿そうな技は!」
俺の言葉なんか当たり前のように無視して、フェンリルは駒のように回転しとんでもないスピードで突進してきた。
「うぉっ!」
思ったよりスピードが速くギリギリで避けることになり、慌ててフェンリルがジャンプする前にいた位置に高速移動した。
そのまま突っ込んでいってくれるかなと思っていたが、あろうことかフェンリルは逆回転をしてスピードを緩めこちら側へと突進してきた。
「めんどくせぇな!だったら…」
俺は、ここ最近で作った新たな闇魔法を使う事にした。頭の中にワン○ースの白いヒゲの親父を殺した黒い人をイメージする。
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飲み込まれた後に短く詠唱すると、今度は地面に闇が広がり、そこから体中黒い火傷を負ったフェンリルの死体が出てきた。
俺の作ったこの魔法は、本来の闇魔法にはないもので対象は闇の中へと引きずり込まれ、その中で黒龍『ファフニール』をイメージした黒炎に体を蝕まれる物だ。
とりあえず死体の見栄えが悪いので、死体に状態異常回復魔法をかけ元の綺麗な姿にして魔法袋にしまった。
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