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森の主編
138話 副会長VSヒビキ
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銀騎士団特攻隊は国王に仕える騎士である。
「特攻隊とは銀騎士団特攻隊の事を言ってる?」
シエルの顔を見上げたヒビキは戸惑いの表情を見せる。
国王が死滅したと囁かれている今、銀騎士団が仕えるのは時期国王であって時期国王は決まってはいないはず。
シエルが何を思って会長を特攻隊に欲しいですね。
ヒビキに仕える騎士にしてはいかがでしょうかと言葉を続けたのか。
まるで、時期国王はヒビキだと言っているような内容にヒビキは曇った表情をする。
ヒビキの考えでは、時期国王の座につくのはタツウミである。
ヒビキの問いかけに対してシエルは大きく頷いた。
「体の弱いタツウミは表立っては動けないでしょうし、そう考えると時期国王は第二王子であるヒビキが務めることになると思いますが、それはきっと黒幕を捕らえてからの話しになりますね」
シエルは時期国王になるのはヒビキと予想しているようだ。
しかし、ヒビキは時期国王になるのはタツウミであって欲しいと考えているため、シエルの予想を耳にして渋い顔をする。
「体が弱いと言っても寝たきりってわけではないし、王様になれば城内で生活することになるから生活環境は変わらないんじゃないかな? 父上が健在だから、統治者としての働きは父上がするでしょう。国民に人気のある兄さんが時期国王になるべきだと俺は思うよ。俺が王になれば暴動が起きかねないし、国民達の俺に対する評価は知っているよね? 第一王子には仕えたいけれども、第二王子に仕えるのは嫌という国民が殆どだと思うから」
第二王子に関する噂は、情報収集能力に長けているシエルの耳にも入っていた。
「まぁ、否定はしませんが……」
ヒビキの言葉を否定することなく受け入れる。
今回ギルド内で初めてヒビキに出会ったにも関わらず、曾孫であることに気づけなかった理由は、国民達の間で囁かれている第二王子の性格とヒビキの性格が大きく異なっていたためである。
「暴動が起きるかもしれないと怯えているのでしたら、ヒビキは魅了で人を惑わし惹き付けることが出来るでしょう? 今は結界魔法で魅了効果を封じていますよね? 国民からの評判が良くなければ、魅了を発動すればいいと思いますよ」
何故シエルはヒビキが人々を惹き付ける事の出来る魅了を扱う事が出来ると思ったのか、疑問を抱いたヒビキが問いかける。
「俺に人々を惹き付けて魅了する術を扱う事は出来ないはずだけど何故、俺が魅了を扱うことが出来るなんて勘違いを?」
シエルが勘違いをしているのだと思って問いかけてみるけれど、どうやら勘違いをしているのはヒビキのようである。
「使えるはずですよ? 私やユタカと血が繋がっているのですから」
怪訝な顔をしたシエルに問い返されてしまった。
「父であるユタカから、魅了についての話を聞いていませんか?」
シエルの問いかけに対して、ヒビキは首を左右にふる。
父であるユタカが魅了を扱う事が出来る事実に驚くのと同時に、ふと疑問を抱く。
もしも父が魅了効果のある術を扱うことが出来るのであれば国民達から、冷酷無慈悲と恐れられる事もなかったと思うのだけれども。
「ユタカは人々に魅了を発動してまで好かれたいとは思わないと言っていましたから、使うも使わないも本人次第ですけど、ユタカは王族が人々を魅了する術がある事をヒビキにも伝えていなかったのですね」
ヒビキの中に浮かんだ疑問に対して直ぐに答えが出た。
父は敢えて魅了を使うことを避けているらしい。
「俺も魅了で人を操ってまで好かれたいとは思わないけど、魅了の扱い方や封じ方を時間がある時にでも教えてほしいかな。暴走させるなんて事は避けたいから」
「構いませんよ」
即答だった。
淡々とした口調には何の感情もこもっていない。
シエルの感情を声のトーンから読むことの出来なかったヒビキが苦笑する。
ふと、ヒビキが周囲を見渡す素振りを見せた。
シエルと会話を続けているうちに、国王であるユタカの話題を出してしまった。
生徒達が周囲を取り囲んでいる観客席内で、話しをする内容ではないだろう。
国王暗殺の黒幕の正体をつかめてはいないため、国民に第二王子がヒビキであることが伝わるのは危険だろう。
「続きは周囲に人がいない時にした方がいいかな」
周囲を気にする素振りを見せたヒビキが、ポツリと小さな声で呟いた。
「周囲を防壁で取り囲んでいます。私の張り巡らせた防壁は内部からの音を遮断するので、周囲の生徒達には聞こえてはいませんよ」
淡々と言葉を続けるシエルの視線が、周囲に張り巡らされている防壁に移る。
「外からの声は聞こえるのに内部からの声は遮断するとは、随分と俺たちにとって都合のいい防壁だね」
ヒビキが考えを素直に口にした。
「そうですね。私が諜報員としての役割を担うことが出来たのは、音を遮断することの出来る防壁を張り巡らせることが出来たためですし」
少数精鋭の部隊。隠密部隊は諜報員として魔界や妖精の森や天界の情報を得るため活動しているグループである。
「随分と話がそれてしまいましたね。話を元に戻しますが、時期国王候補である第二王子が世間に顔を見せないわけにはいかないでしょう。国王になった暁には護衛である騎士が必要になるでしょうし。もしかしたら会長がヒビキに仕えたいと言うかもしれませんよ」
ふと、話が大きくそれかかってることにシエルが気づいた。
世間的に人気があるのは第一王子であるタツウミだけれども、中には第二王子に仕えたいと言う物好きがいるかもしれない。
第一王子であるタツウミは白い肌に白髪、薄い赤色の瞳が印象的な人懐っこい性格の青年であると国民達の間で囁かれていた。
第二王子であるヒビキは、表舞台に出ることを嫌っているため国民達はその容姿をしらない。
そのため、第二王子であるヒビキがクリーム色の髪に薄い水色の瞳が印象的な国王にそっくりな容姿をしている青年だと銀騎士団により噂が広められたはずなのに、気づけば尾ひれがつき第二王子は国王にそっくりな性格をしていると国民達の間で囁かれるようになっていた。
国民達からの評判が悪いからといって、ヒビキが時期国王候補から外れるわけではない。
世間的には現国王であるユタカが亡くなったことになっている今、国王暗殺の首謀者を捕らえ次第、時期国王を決めなければならない。
第二王子であるヒビキが国王に選ばれる可能性だってある。
もしかしたら、国王暗殺の首謀者である黒幕が捕まれば、ユタカが無事を公表して国王として再び国を治める可能性もあるけれど先のことは分からない。
「会長にはタイミングを見て一度、第二王子に仕える騎士になりませんかと声をかけてみますよ。会長が第二王子の人となりを知りたいと言った場合、迷わずにヒビキを会長の前に突きだしますし、銀騎士団に入りたいと言うのであれば銀騎士団に招待します。タツウミの騎士になりたいと言うのであればタツウミを紹介しますし」
シエルが言葉を続けたことにより、ふと疑問が浮かぶ。
銀騎士団はユタカに仕える部隊であり、入隊条件に関しては無関心だったため、てっきり志願をすれば誰にでも銀騎士団になれるチャンスがあるのだと思っていた。
「年に一回希望者をつのって試験を行い、銀騎士団へ入隊する者を決めているのだと思っていたけど銀騎士団へ入隊するには勧誘を受けなければ入れなかったりするんだ?」
問いかけに対してシエルは驚いたように目を見開く。
珍しく表情に感情が現れたかと思っていれば、眉をしかめて怪訝な目を向けられる。
「知らなかったのですか? 銀騎士団に入隊をするには勧誘を受けなければ入れませんよ。主に勧誘の役目を担っているのは、銀騎士団の各隊長です。生徒達の中で優秀な人材を見つけた場合にのみ、私が騎士団に勧誘することはありますが本当に稀ですよ」
銀騎士団と全く交流がないのであれば、知らないのも無理はない。
しかし、城内で生活をしていれば銀騎士団員と顔を合わすこともあるだろう。
「まさか、銀騎士団と全く交流がなかった何てことはないでしょうね。第二王子は対面や体裁》を気にする方では無いとは聞いていましたが、城内で出会ったにも関わらず横を素通り何てことはなかったでしょうね」
眉を嚬めるシエルに怪訝な目を向けられてもなお、ヒビキは落ち着いたようすを崩さない。
「挨拶をすることはあっても、世間話をするほど仲の良い騎士はいなかったから銀騎士団への加入条件を聞くことの出来る相手がいなかったんだよ」
自分で言っていて悲しくなってきた。
人懐っこい性格のアヤネやタツウミとは違って、ヒビキは人と話をすることに対して苦手意識をもっていた。
ヒビキのあからさまな表情の変化に気づいたシエルが呟いた。
「第二王子は感情が欠落しているとの噂がありましたが、あくまで噂は噂でしかなかったようですね。明らかに自分の言った言葉に対してショックを受けていますし」
ふと、シエルの視線が舞台上に移る。
「対抗戦のチームメートが戻って来ましたね」
108班のメンバーが近づいていることにいち早く気づいたシエルが口を開く。
「お疲れ様です。危なかったですね」
会長に対して興味を抱いた様子のシエルが自ら進んで声をかける。
「あぁ。何とか会計の隙を着くことが出来たが、ひやひやした」
ヒビキの隣に腰を下ろしつつ会長は小さく頷く。
「次はヒビキと会長の二人で、副会長に挑むことになりますが勝てそうですか?」
シエルの問いかけに対して会長が渋い顔をする。
「それは彼次第だな」
ヒビキを指差した。
「副会長は範囲魔法の攻撃を得意とするから、果たして全ての攻撃を防ぎきることが出来るかどうか俺には自信がない。彼なら範囲攻撃魔法の100や200避けることなど容易いことなのだろう?」
会長の中でヒビキは一体どのような人物像になっているのか。
「まぁ、可能でしょう。しかし、大人しく仲間からの攻撃を受けて場外に突き飛ばされている前例があるので、避ける気があればの話になりますが……」
困ったように眉尻を下げるヒビキの代わりに、シエルが会長に返事をする。
「身の危険を感じたら防壁を張り巡らせることくらいはしなさい」
シエルがヒビキに向かって声をかけた。
「うん」
ヒビキは小さく頷いて返す。
その表情から、ヒビキの考えを読み取ることは出来ずに会長は苦笑する。
「すでにステージ上にいる副会長が手招きをしているな。行くか」
会長が落ち着いた様子で、ヒビキに声をかけているように思えるかもしれない。
緊張のあまり早口にならないように気を使っているものの、いつもよりは少し話すペースが早くなっている。
心臓が高速で脈を打つ。
内心では激しく緊張している会長は、その場にゆっくりと腰をあげると緊張を表情に出さないようにして、のんびりとした足取りで歩き出した。
「うん」
会長に続きヒビキが、その場に腰をあげる。
小さく頷いたヒビキの表情から、やはり考えている事を読み取ることは出来ない。
のんびりとした足取りでステージ上に向け足を進めた姿を見ると緊張はしていない様子。
「会長の足を引っ張ることだけはしないでよね!」
ステージ上に続く階段をのぼるヒビキに向かって野次が飛ぶ。
一試合目にヒビキをステージ上から突き落とした男子生徒である。
「うん、分かったよ」
生徒の方を振り向くことなく、ぽつりと返事をするヒビキの声に感情はこもっていない。
淡々とした口調である。
そんなヒビキの態度に腹を立てた男子生徒は兄宛に手紙を書く。
お兄様、お忙しいとは思いますが返事はいつ頃になりますか?
先程の手紙に記した生徒に声をかけたのですが見事に無視をされてしまいました。
今は対抗戦の真っ最中で、その対抗戦のチームメートに編入生がいます。
チームメートとはいえ、同じステージ上で戦う以上こちらに攻撃を向けてくる可能性だってあるでしょう。何とか出来ませんか?
文句の書き連ねられた手紙を四つ折りにして兄のもとへ飛ばす。
男子生徒の手紙が兄の手元に届いた頃。
特攻隊隊長を務める女性の元へシエルから四折りにされた手紙が届いていた。
「学園から逃げ出した男の向かう先には妖精の森がある。我々は騎馬隊と共に男の後を追うようにと、先々代の国王から指示が出た。我々から数日遅れる形ではあるが、禁術を解くことの出来る国王が我々が出発してから8日後に寝室にあるゲートを抜け魔界へ移動。魔界から暗黒騎士団隊長や魔王と共に男を追う形となるだろうとのこと。飛行術を扱うことの出来るヒビキ様や鬼灯様は国王から5日遅れてゲートを抜けて、魔界から男を追う形になるそうだ」
女性騎士が手紙の内容に目を通す。
今後自分達がどのように動くべきなのか指示を出すと、シエルから届いた手紙が目映い光を放ち跡形もなく消えてしまう。
「先々代の国王は妖精の森には向かわないのですか? 回復術に優れた術師と聞きました。人間界で一人しか扱うことの出来ない技、魔力回復の術を扱うそうですし人間界にとどまるのは勿体ない気もしますが」
特攻隊副隊長を務める男性騎士が疑問を抱く。
先々代の国王であるシエルが行動を共にすると魔力切れに陥る可能性はなくなる。
一度、魔力が枯渇した状態となったヒビキに対して心配の声が上がる。
「私も先々代の国王が妖精界へ共に来てくれた方が安心ですぅ」
甲高い声の持ち主が唇を尖らせる。
特攻隊隊長を務める女性騎士に対して上目遣いをする。
「先々代の国王からの手紙は一方通行だ。特攻隊の中に手紙を出せるような技術を持つものはいない。それに、我々から先々代の国王も共に妖精界へ向かうように希望を言うことは出来はしない」
特攻隊長である女性騎士は小さなため息を吐き出した。
編入生とシエル先生が気分を害すような真似は、くれぐれもしないでくれ。
やっと銀騎士団に入隊することが出来たんだ。
俺が銀騎士団に居られなくなるような真似だけはするな。
届いた手紙に心境を書き連ねた男性騎士は、手紙を四つ折りにする。
男性騎士の指先から対抗戦を見物する男子生徒の指先へ、瞬く間に手紙が移動する。
手紙の返事を待ちわびていた男子生徒が、いそいそと手紙を開く。
しかし、手紙の内容は男子生徒に対して注意を促すものであり、期待した手紙の内容では無かった。
「まだ銀騎士団に入隊したばかりだもんね。まだ人望も薄いお兄様が個人の意思で銀騎士団を動かすことは出来ないってことか」
手紙の内容を自分なりに考えて納得をした男子生徒は、小さなため息を吐き出した。
全校生徒が見守る中で生徒会長率いるチームと、生徒会副会長率いるチームによる対抗戦が始まった。
互いにお辞儀をする。
生徒会副会長率いるチームは生徒が欠けることなく、全員揃っての参加である。
対する会長率いるチームは、ヒビキと会長の二人だけの参加である。
「まず、副会長を倒そう」
勝算があるとすれば、第一に副会長を倒すこと。会長がヒビキの耳元で考えを口にした。
開始の合図と共に副会長が先制攻撃を行った。
素早く呪文を唱えて、水魔法を発動する。
会長やヒビキの体を包み込むようにして渦巻く水は勢いがある。
身動きを止めてしまった会長とは違って、ヒビキは周囲を水魔法に囲まれる前に大きく前進をする。
指をパチンと鳴らすことにより会長の体を防壁で包み込み、水魔法攻撃を阻む。
ヒビキは素早く副会長の懐に入り込み、腹部に拳を打ち付けた。
瞬く間の出来事だった。
ヒビキによる素手の攻撃をまともに受けて、場外へ突き飛ばされた副会長は腹部の痛みから立ち上がることが出来ずにいる。
「よし」
副会長の場外を確認した会長が、小さくガッツポーズをした。
観客席からは甲高い悲鳴が上がる。
見た目が良く成績優秀。
水魔法を自在に操る副会長は、生徒達から人気がある。
素手だったとはいえ、ヒビキの攻撃により立ち上がることが出来ずにいる副会長を心配した生徒達が、口々にヒビキを非難する。
頼みの綱である副会長が戦闘不能となってしまったため、呆気にとられていた生徒達を会長は透かさず攻撃した。
「瞬く間の出来事でしたね。副会長による先制攻撃は失敗に終わり、反撃を受け戦闘から離脱。ヒビキが剣を使っていれば、副会長はただではすまなかったでしょう」
圧勝したヒビキをシエルは結界内に招き入れる。
「正直とても焦った。水魔法攻撃に全身を包み込まれてしまえば息が出来なくなる。水の中では身動きは厳しいだろうし、呼吸を止められる時間にも限度があるから」
「副会長による先制攻撃が成功していたら、きっと負けていたのは会長が率いるチームだったでしょうね」
ヒビキの言葉に続くようにしてシエルが呟いた。
会長率いるチームが勝ち進み、安堵した直後の出来事だった。
学園内に突如、鳴り響くけたたましい音は学園内にモンスターが現れたことを示す警告音である。学園敷地内の至るところに設置された照明が真っ赤な光を放つ。
中央に設置されたステージ上に巨大な魔法陣が現れる。
唐突に変化した景色を呆然と見つめていた生徒達の目の前で巨大なアンデッド系モンスター、スケルトンが現れた。
「特攻隊とは銀騎士団特攻隊の事を言ってる?」
シエルの顔を見上げたヒビキは戸惑いの表情を見せる。
国王が死滅したと囁かれている今、銀騎士団が仕えるのは時期国王であって時期国王は決まってはいないはず。
シエルが何を思って会長を特攻隊に欲しいですね。
ヒビキに仕える騎士にしてはいかがでしょうかと言葉を続けたのか。
まるで、時期国王はヒビキだと言っているような内容にヒビキは曇った表情をする。
ヒビキの考えでは、時期国王の座につくのはタツウミである。
ヒビキの問いかけに対してシエルは大きく頷いた。
「体の弱いタツウミは表立っては動けないでしょうし、そう考えると時期国王は第二王子であるヒビキが務めることになると思いますが、それはきっと黒幕を捕らえてからの話しになりますね」
シエルは時期国王になるのはヒビキと予想しているようだ。
しかし、ヒビキは時期国王になるのはタツウミであって欲しいと考えているため、シエルの予想を耳にして渋い顔をする。
「体が弱いと言っても寝たきりってわけではないし、王様になれば城内で生活することになるから生活環境は変わらないんじゃないかな? 父上が健在だから、統治者としての働きは父上がするでしょう。国民に人気のある兄さんが時期国王になるべきだと俺は思うよ。俺が王になれば暴動が起きかねないし、国民達の俺に対する評価は知っているよね? 第一王子には仕えたいけれども、第二王子に仕えるのは嫌という国民が殆どだと思うから」
第二王子に関する噂は、情報収集能力に長けているシエルの耳にも入っていた。
「まぁ、否定はしませんが……」
ヒビキの言葉を否定することなく受け入れる。
今回ギルド内で初めてヒビキに出会ったにも関わらず、曾孫であることに気づけなかった理由は、国民達の間で囁かれている第二王子の性格とヒビキの性格が大きく異なっていたためである。
「暴動が起きるかもしれないと怯えているのでしたら、ヒビキは魅了で人を惑わし惹き付けることが出来るでしょう? 今は結界魔法で魅了効果を封じていますよね? 国民からの評判が良くなければ、魅了を発動すればいいと思いますよ」
何故シエルはヒビキが人々を惹き付ける事の出来る魅了を扱う事が出来ると思ったのか、疑問を抱いたヒビキが問いかける。
「俺に人々を惹き付けて魅了する術を扱う事は出来ないはずだけど何故、俺が魅了を扱うことが出来るなんて勘違いを?」
シエルが勘違いをしているのだと思って問いかけてみるけれど、どうやら勘違いをしているのはヒビキのようである。
「使えるはずですよ? 私やユタカと血が繋がっているのですから」
怪訝な顔をしたシエルに問い返されてしまった。
「父であるユタカから、魅了についての話を聞いていませんか?」
シエルの問いかけに対して、ヒビキは首を左右にふる。
父であるユタカが魅了を扱う事が出来る事実に驚くのと同時に、ふと疑問を抱く。
もしも父が魅了効果のある術を扱うことが出来るのであれば国民達から、冷酷無慈悲と恐れられる事もなかったと思うのだけれども。
「ユタカは人々に魅了を発動してまで好かれたいとは思わないと言っていましたから、使うも使わないも本人次第ですけど、ユタカは王族が人々を魅了する術がある事をヒビキにも伝えていなかったのですね」
ヒビキの中に浮かんだ疑問に対して直ぐに答えが出た。
父は敢えて魅了を使うことを避けているらしい。
「俺も魅了で人を操ってまで好かれたいとは思わないけど、魅了の扱い方や封じ方を時間がある時にでも教えてほしいかな。暴走させるなんて事は避けたいから」
「構いませんよ」
即答だった。
淡々とした口調には何の感情もこもっていない。
シエルの感情を声のトーンから読むことの出来なかったヒビキが苦笑する。
ふと、ヒビキが周囲を見渡す素振りを見せた。
シエルと会話を続けているうちに、国王であるユタカの話題を出してしまった。
生徒達が周囲を取り囲んでいる観客席内で、話しをする内容ではないだろう。
国王暗殺の黒幕の正体をつかめてはいないため、国民に第二王子がヒビキであることが伝わるのは危険だろう。
「続きは周囲に人がいない時にした方がいいかな」
周囲を気にする素振りを見せたヒビキが、ポツリと小さな声で呟いた。
「周囲を防壁で取り囲んでいます。私の張り巡らせた防壁は内部からの音を遮断するので、周囲の生徒達には聞こえてはいませんよ」
淡々と言葉を続けるシエルの視線が、周囲に張り巡らされている防壁に移る。
「外からの声は聞こえるのに内部からの声は遮断するとは、随分と俺たちにとって都合のいい防壁だね」
ヒビキが考えを素直に口にした。
「そうですね。私が諜報員としての役割を担うことが出来たのは、音を遮断することの出来る防壁を張り巡らせることが出来たためですし」
少数精鋭の部隊。隠密部隊は諜報員として魔界や妖精の森や天界の情報を得るため活動しているグループである。
「随分と話がそれてしまいましたね。話を元に戻しますが、時期国王候補である第二王子が世間に顔を見せないわけにはいかないでしょう。国王になった暁には護衛である騎士が必要になるでしょうし。もしかしたら会長がヒビキに仕えたいと言うかもしれませんよ」
ふと、話が大きくそれかかってることにシエルが気づいた。
世間的に人気があるのは第一王子であるタツウミだけれども、中には第二王子に仕えたいと言う物好きがいるかもしれない。
第一王子であるタツウミは白い肌に白髪、薄い赤色の瞳が印象的な人懐っこい性格の青年であると国民達の間で囁かれていた。
第二王子であるヒビキは、表舞台に出ることを嫌っているため国民達はその容姿をしらない。
そのため、第二王子であるヒビキがクリーム色の髪に薄い水色の瞳が印象的な国王にそっくりな容姿をしている青年だと銀騎士団により噂が広められたはずなのに、気づけば尾ひれがつき第二王子は国王にそっくりな性格をしていると国民達の間で囁かれるようになっていた。
国民達からの評判が悪いからといって、ヒビキが時期国王候補から外れるわけではない。
世間的には現国王であるユタカが亡くなったことになっている今、国王暗殺の首謀者を捕らえ次第、時期国王を決めなければならない。
第二王子であるヒビキが国王に選ばれる可能性だってある。
もしかしたら、国王暗殺の首謀者である黒幕が捕まれば、ユタカが無事を公表して国王として再び国を治める可能性もあるけれど先のことは分からない。
「会長にはタイミングを見て一度、第二王子に仕える騎士になりませんかと声をかけてみますよ。会長が第二王子の人となりを知りたいと言った場合、迷わずにヒビキを会長の前に突きだしますし、銀騎士団に入りたいと言うのであれば銀騎士団に招待します。タツウミの騎士になりたいと言うのであればタツウミを紹介しますし」
シエルが言葉を続けたことにより、ふと疑問が浮かぶ。
銀騎士団はユタカに仕える部隊であり、入隊条件に関しては無関心だったため、てっきり志願をすれば誰にでも銀騎士団になれるチャンスがあるのだと思っていた。
「年に一回希望者をつのって試験を行い、銀騎士団へ入隊する者を決めているのだと思っていたけど銀騎士団へ入隊するには勧誘を受けなければ入れなかったりするんだ?」
問いかけに対してシエルは驚いたように目を見開く。
珍しく表情に感情が現れたかと思っていれば、眉をしかめて怪訝な目を向けられる。
「知らなかったのですか? 銀騎士団に入隊をするには勧誘を受けなければ入れませんよ。主に勧誘の役目を担っているのは、銀騎士団の各隊長です。生徒達の中で優秀な人材を見つけた場合にのみ、私が騎士団に勧誘することはありますが本当に稀ですよ」
銀騎士団と全く交流がないのであれば、知らないのも無理はない。
しかし、城内で生活をしていれば銀騎士団員と顔を合わすこともあるだろう。
「まさか、銀騎士団と全く交流がなかった何てことはないでしょうね。第二王子は対面や体裁》を気にする方では無いとは聞いていましたが、城内で出会ったにも関わらず横を素通り何てことはなかったでしょうね」
眉を嚬めるシエルに怪訝な目を向けられてもなお、ヒビキは落ち着いたようすを崩さない。
「挨拶をすることはあっても、世間話をするほど仲の良い騎士はいなかったから銀騎士団への加入条件を聞くことの出来る相手がいなかったんだよ」
自分で言っていて悲しくなってきた。
人懐っこい性格のアヤネやタツウミとは違って、ヒビキは人と話をすることに対して苦手意識をもっていた。
ヒビキのあからさまな表情の変化に気づいたシエルが呟いた。
「第二王子は感情が欠落しているとの噂がありましたが、あくまで噂は噂でしかなかったようですね。明らかに自分の言った言葉に対してショックを受けていますし」
ふと、シエルの視線が舞台上に移る。
「対抗戦のチームメートが戻って来ましたね」
108班のメンバーが近づいていることにいち早く気づいたシエルが口を開く。
「お疲れ様です。危なかったですね」
会長に対して興味を抱いた様子のシエルが自ら進んで声をかける。
「あぁ。何とか会計の隙を着くことが出来たが、ひやひやした」
ヒビキの隣に腰を下ろしつつ会長は小さく頷く。
「次はヒビキと会長の二人で、副会長に挑むことになりますが勝てそうですか?」
シエルの問いかけに対して会長が渋い顔をする。
「それは彼次第だな」
ヒビキを指差した。
「副会長は範囲魔法の攻撃を得意とするから、果たして全ての攻撃を防ぎきることが出来るかどうか俺には自信がない。彼なら範囲攻撃魔法の100や200避けることなど容易いことなのだろう?」
会長の中でヒビキは一体どのような人物像になっているのか。
「まぁ、可能でしょう。しかし、大人しく仲間からの攻撃を受けて場外に突き飛ばされている前例があるので、避ける気があればの話になりますが……」
困ったように眉尻を下げるヒビキの代わりに、シエルが会長に返事をする。
「身の危険を感じたら防壁を張り巡らせることくらいはしなさい」
シエルがヒビキに向かって声をかけた。
「うん」
ヒビキは小さく頷いて返す。
その表情から、ヒビキの考えを読み取ることは出来ずに会長は苦笑する。
「すでにステージ上にいる副会長が手招きをしているな。行くか」
会長が落ち着いた様子で、ヒビキに声をかけているように思えるかもしれない。
緊張のあまり早口にならないように気を使っているものの、いつもよりは少し話すペースが早くなっている。
心臓が高速で脈を打つ。
内心では激しく緊張している会長は、その場にゆっくりと腰をあげると緊張を表情に出さないようにして、のんびりとした足取りで歩き出した。
「うん」
会長に続きヒビキが、その場に腰をあげる。
小さく頷いたヒビキの表情から、やはり考えている事を読み取ることは出来ない。
のんびりとした足取りでステージ上に向け足を進めた姿を見ると緊張はしていない様子。
「会長の足を引っ張ることだけはしないでよね!」
ステージ上に続く階段をのぼるヒビキに向かって野次が飛ぶ。
一試合目にヒビキをステージ上から突き落とした男子生徒である。
「うん、分かったよ」
生徒の方を振り向くことなく、ぽつりと返事をするヒビキの声に感情はこもっていない。
淡々とした口調である。
そんなヒビキの態度に腹を立てた男子生徒は兄宛に手紙を書く。
お兄様、お忙しいとは思いますが返事はいつ頃になりますか?
先程の手紙に記した生徒に声をかけたのですが見事に無視をされてしまいました。
今は対抗戦の真っ最中で、その対抗戦のチームメートに編入生がいます。
チームメートとはいえ、同じステージ上で戦う以上こちらに攻撃を向けてくる可能性だってあるでしょう。何とか出来ませんか?
文句の書き連ねられた手紙を四つ折りにして兄のもとへ飛ばす。
男子生徒の手紙が兄の手元に届いた頃。
特攻隊隊長を務める女性の元へシエルから四折りにされた手紙が届いていた。
「学園から逃げ出した男の向かう先には妖精の森がある。我々は騎馬隊と共に男の後を追うようにと、先々代の国王から指示が出た。我々から数日遅れる形ではあるが、禁術を解くことの出来る国王が我々が出発してから8日後に寝室にあるゲートを抜け魔界へ移動。魔界から暗黒騎士団隊長や魔王と共に男を追う形となるだろうとのこと。飛行術を扱うことの出来るヒビキ様や鬼灯様は国王から5日遅れてゲートを抜けて、魔界から男を追う形になるそうだ」
女性騎士が手紙の内容に目を通す。
今後自分達がどのように動くべきなのか指示を出すと、シエルから届いた手紙が目映い光を放ち跡形もなく消えてしまう。
「先々代の国王は妖精の森には向かわないのですか? 回復術に優れた術師と聞きました。人間界で一人しか扱うことの出来ない技、魔力回復の術を扱うそうですし人間界にとどまるのは勿体ない気もしますが」
特攻隊副隊長を務める男性騎士が疑問を抱く。
先々代の国王であるシエルが行動を共にすると魔力切れに陥る可能性はなくなる。
一度、魔力が枯渇した状態となったヒビキに対して心配の声が上がる。
「私も先々代の国王が妖精界へ共に来てくれた方が安心ですぅ」
甲高い声の持ち主が唇を尖らせる。
特攻隊隊長を務める女性騎士に対して上目遣いをする。
「先々代の国王からの手紙は一方通行だ。特攻隊の中に手紙を出せるような技術を持つものはいない。それに、我々から先々代の国王も共に妖精界へ向かうように希望を言うことは出来はしない」
特攻隊長である女性騎士は小さなため息を吐き出した。
編入生とシエル先生が気分を害すような真似は、くれぐれもしないでくれ。
やっと銀騎士団に入隊することが出来たんだ。
俺が銀騎士団に居られなくなるような真似だけはするな。
届いた手紙に心境を書き連ねた男性騎士は、手紙を四つ折りにする。
男性騎士の指先から対抗戦を見物する男子生徒の指先へ、瞬く間に手紙が移動する。
手紙の返事を待ちわびていた男子生徒が、いそいそと手紙を開く。
しかし、手紙の内容は男子生徒に対して注意を促すものであり、期待した手紙の内容では無かった。
「まだ銀騎士団に入隊したばかりだもんね。まだ人望も薄いお兄様が個人の意思で銀騎士団を動かすことは出来ないってことか」
手紙の内容を自分なりに考えて納得をした男子生徒は、小さなため息を吐き出した。
全校生徒が見守る中で生徒会長率いるチームと、生徒会副会長率いるチームによる対抗戦が始まった。
互いにお辞儀をする。
生徒会副会長率いるチームは生徒が欠けることなく、全員揃っての参加である。
対する会長率いるチームは、ヒビキと会長の二人だけの参加である。
「まず、副会長を倒そう」
勝算があるとすれば、第一に副会長を倒すこと。会長がヒビキの耳元で考えを口にした。
開始の合図と共に副会長が先制攻撃を行った。
素早く呪文を唱えて、水魔法を発動する。
会長やヒビキの体を包み込むようにして渦巻く水は勢いがある。
身動きを止めてしまった会長とは違って、ヒビキは周囲を水魔法に囲まれる前に大きく前進をする。
指をパチンと鳴らすことにより会長の体を防壁で包み込み、水魔法攻撃を阻む。
ヒビキは素早く副会長の懐に入り込み、腹部に拳を打ち付けた。
瞬く間の出来事だった。
ヒビキによる素手の攻撃をまともに受けて、場外へ突き飛ばされた副会長は腹部の痛みから立ち上がることが出来ずにいる。
「よし」
副会長の場外を確認した会長が、小さくガッツポーズをした。
観客席からは甲高い悲鳴が上がる。
見た目が良く成績優秀。
水魔法を自在に操る副会長は、生徒達から人気がある。
素手だったとはいえ、ヒビキの攻撃により立ち上がることが出来ずにいる副会長を心配した生徒達が、口々にヒビキを非難する。
頼みの綱である副会長が戦闘不能となってしまったため、呆気にとられていた生徒達を会長は透かさず攻撃した。
「瞬く間の出来事でしたね。副会長による先制攻撃は失敗に終わり、反撃を受け戦闘から離脱。ヒビキが剣を使っていれば、副会長はただではすまなかったでしょう」
圧勝したヒビキをシエルは結界内に招き入れる。
「正直とても焦った。水魔法攻撃に全身を包み込まれてしまえば息が出来なくなる。水の中では身動きは厳しいだろうし、呼吸を止められる時間にも限度があるから」
「副会長による先制攻撃が成功していたら、きっと負けていたのは会長が率いるチームだったでしょうね」
ヒビキの言葉に続くようにしてシエルが呟いた。
会長率いるチームが勝ち進み、安堵した直後の出来事だった。
学園内に突如、鳴り響くけたたましい音は学園内にモンスターが現れたことを示す警告音である。学園敷地内の至るところに設置された照明が真っ赤な光を放つ。
中央に設置されたステージ上に巨大な魔法陣が現れる。
唐突に変化した景色を呆然と見つめていた生徒達の目の前で巨大なアンデッド系モンスター、スケルトンが現れた。
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