それは、偽りの姿。冒険者達の物語

しなきしみ

文字の大きさ
上 下
137 / 148
森の主編

136話 下に見た相手が悪かった

しおりを挟む
 チーム対抗戦は朝9時から開会式が行われた。
 リング状の構築物は全校生徒が軽々と入ってしまえる程の大きさがある。
 中央に設置された武舞台は正四角形。
 四方八方から見下ろすことが出来る。

「それでは、第一試合を行います。1班と2班の選手は舞台に上がってください」
 会場出入り口付近に設置された特設コーナーにて、司会進行を務めるのは生徒会副会長である。
 入場と共に1班と2班の生徒に指示が出された。
 早速試合が始まるようだ。
 
「ルールは簡単です。相手チームを打ち負かした方が勝ち上がっていくトーナメント形式となっております。場外へ出てしまった者、敗けを認めた者は例えチームが勝ち上がったとしても次の1試合は見学となりますので注意をしてください」

 副会長のルール説明の直後に鳴り響いた金の音が、試合開始の合図のようだ。
 金の音が鳴りやむ前に、一人の生徒が術を発動する。生徒を中心にして突風が発生した。
 敵味方関係なく突風は生徒達を吹き飛ばして、場外に叩きつけた。
 一瞬の出来事だった。

「あっという間の出来事でしたね。あっぱれです。続けて3班と4班の試合を開始いたします」

 Sクラスの中でも飛び抜けて才能のある生徒が舞台に上がれば、先程のように四方八方から歓声が飛び交うようだ。
 しかし、3班と4班の試合では歓声が上がらないところを見ると彼らの実力は驚くほどの実力ではないのだろう。
 試合開始の合図と共に、生徒達は互いにぶつかり合うようにして接近戦を挑もうとする。

「馬鹿! 魔術師が最前線に出てどうすんだよ!」
 黒を基調とした制服には所々赤のラインが入っている。どうやら、Sクラスの生徒が仲間の魔術師の行動に驚いて声を荒らげたようだ。

「下がれ! 下がれ!」
 怒号が飛び交う中、指示通り足早に後退する女子生徒は目の前に迫り来る剣士に怯えて悲鳴をあげる。

 3班と4班の試合は接戦だった。
 AクラスからFクラスの生徒は舞台の上を逃げ惑い時折、生徒達が互いにぶつかり合って尻餅をつく様子が見てとれる。

 降り注ぐ攻撃魔法。
 鳴りやまぬ効果音は、互いの剣が何度もぶつかり合っていることが分かる。
 死人が出ても可笑しくない状況の中で怪我人すら出さずに試合が進んでいくのは、致命傷となる攻撃には教師が咄嗟に防壁を張り巡らせる等の処置をとっているためである。

 19班と20班による戦いが始まった。
 アヤネの登場と共に沸き上がる歓声は、眠気に苛まれていたヒビキの頭を瞬時に覚醒させる。
 ビクッと大きく肩を揺らしたヒビキは、今にも椅子から転げ落ちそうになっていることに気がついた。
 
「焼き尽くせ!」
 アヤネの口から発せられた言葉と共に、舞台上を炎の渦が取り囲む。
 逃げ場のない状況に追い込まれた生徒達は、敵味方関係なく両手を掲げて降参する。
 勝敗が決まるのに、そう時間はかからなかった。
 生徒同士の実力差が大きい場合は瞬時に勝敗が決まる。
 互角に渡り合い接戦になるチームもあれば、瞬間に勝利が決まるチームもある。
 昨晩起こった出来事の後、何故か興奮してしまって眠りにつけなかったヒビキは今頃になって激しい眠気に苛まれていた。
 
「続けて107班と108班による試合を行います」
 自分達の番となったため、チームメートと共に舞台上へ移動する。
 しかし、ヒビキの足取りはフラフラとしているため覚束ない。
 
「足元がフラフラのようだけど、自分の身は自分で守れそうか?」
 会長はありったけの勇気を出してヒビキに声をかけた。
 高鳴る心臓を落ち着かせるために胸元に手を添えた会長にとって、ヒビキは雲の上にいるような存在である。
 会長は問いかけに対して返事はあるのだろうかと、不安にを抱いていた。

「ごめん。寝不足で……でも、足手まといにはならないようにするよ」
 ヒビキは、はっきりとした口調で呟いた。 

「そっか」
 勇気を出した声かけも、あっと言う間に終わってしまう。
 しかし、返事は貰えた。
 ほんの少しでもヒビキと話すことが出来たため、嬉しさから会長の表情に笑みが浮かぶ。
 


 相手チームと戦う準備は整った。
 本気を出して戦う気は無いものの、ただ呆然と立ち尽くしている訳にもいかずにヒビキは剣を鞘から引き抜くと構えをとる。
 狙うのは正面に佇んでいるFクラスの生徒である。
 開始の合図と共に駆け出そうとした矢先の出来事だった。
 
「痛っ」
 横腹に走った痛みと共に浮遊感に見舞われる。
 状況を把握する間もなく身体は場外へ移動した。
 呆然としたまま、ヒビキは芝生の上に尻餅をつく。
 何が起こったのかヒビキが理解した頃には既に辺りは静まり返っており、観客者の視線を一身に集めていた。

「足手まといは要らないよ。FランクはFランクらしく見物でもしてなよ。因みに僕の兄は銀騎士団特攻隊のメンバーだからね。僕に逆らったら、銀騎士団特攻隊が放ってはおかないよ」
 ヒビキに攻撃して場外に突き飛ばしたのは同じ108班の仲間であるはずの男子生徒だった。
 
「開始早々、仲間を場外へ追い出しますか。兄が銀騎士団だから、その弟である貴方に逆らう者がいたら銀騎士団が放ってはおかないですか。銀騎士団が一個人のために動くはずがないでしょう。見栄を張るのは構いませんが、他人を巻き込まないで欲しいですね」
 声量があったため、ヒビキを突き飛ばした生徒にシエルの声は聞こえていただろう。
 相変わらず無表情であるものの声や口調には、しっかりと怒りの感情がこめられている。
 観客席の最前列に腰を下ろして、シエルはヒビキの試合を今か今かと待ちわびていた。
 しかし、やっとヒビキが武舞台上に現れたと思った矢先に仲間であるはずの生徒に場外へ突き飛ばされてしまったため、ヒビキは戦うこともなく第一試合と第二試合の参加資格を奪われてしまう。
 楽しみを奪われてしまったシエルは怒りを露にした。
 シエルの発言を耳にした生徒は頬を膨らませている。

「一個人のために動くかどうか、その目で確認してみなよ。兄宛の手紙に、馬鹿にされたことを書き記して伝えてやるから」
 生徒は怒りを露にしているものの、シエルの興味は既にヒビキに向いている。

「いつまで座っているつもりですか?」
 未だに芝生に腰を下ろしているヒビキに向かって手招きをした。

「ヒビキのチームには会長がいるので勝ち上がりますよ。勝ち上がりさえすれば、また試合に出ることが出来ます」
 シエルは男子生徒を見事にスルーした。
 男子生徒のターゲットがヒビキから自分へ向いたため、それで満足してしまった様子。
 突然の誘いに驚き、ヒビキは目を見開いたまま放心状態に陥っている。
 視線の先には、観客席の最前列に腰を下ろしているシエルの姿があった。
 シエルの周辺の席は空席となっている。
 シエルの性格は気難しいため、教師や生徒達から嫌われているのかなという考えが浮かぶ。
 ヒビキはシエルの元へ歩み寄ると、指示通り空席に腰を下ろす。

「それだけのレベルがありながら、Fランクに止まっているのは何か事情があるのですか?」
 シエルはすぐに疑問に思っていたことを問いかけた。

「単にランクの更新が面倒だっただけです。Fランクであっても高レベルのモンスターを狩ることは出来るので更新は必要ないと思っていました」
 ヒビキの返事を耳にしたシエルの表情が曇る。

「下に見られるのはヒビキにも問題がありますよ。カードの更新を怠らなければ見下されることも無かったでしょうし。東の森の通行が可能となった暁にはカードの更新を行わなければなりませんね」
 シエルがヒビキの懐にしまってあるカードを指差した。
 
「無駄な争い事を避けるためにカードの更新は随時、行っていかなければなりませんね」
 シエルの意見はごもっとも。
 ヒビキが小さく頷いた。
 
「一つ質問してもいいですか? 何故シエル先生の周囲の席は空席だらけなのですか?」
 シエルを中心に半径2メートルは空席になっている。
 シエルは学園内でどのような立ち位置にいるのか、疑問を抱いて問いかけてみる。

「透明な結界を張ってます」
 どうやら生徒達がシエルを避けている訳ではなく、シエルが生徒達を避けているようで悪びれた様子もなく結界を張り巡らせていることを口にする。

「俺は受け入れて貰えたってことは、少しは気を許して貰えたって事になりますね。しかし、何故透明な結界を?」
 ヒビキの緊張は完全に解けていた。
 頬を綻ばせて呟くと、すぐにシエルが口を開く。

「ひ孫であるヒビキと話しをしたいのですが、人に聞かれたくはない内容を話す事になるかもしれませんし念のために結界を張り人を遠ざけています。それに、気を許すもなにもヒビキに関しては身内ですし。私が恐れているのは新たな出会いです。失った時が辛いですし」
 シエルが小さく頷いた。
 盗賊によって息子を殺された過去を持つシエルは、新たな人との出会いを極端に恐れていた。

「私は親馬鹿と言われるほど我が子が可愛くて可愛くて仕方がなかったのですよ。息子が産んだ子供も可愛いですし、孫が産んだ子供も可愛いと思うじゃありませんか」
 恐れているのは新たな出会いであって、曾孫を可愛いと思う気持ちはあるわけで、シエルが真面目な顔をして言葉を続ける。
 
 真面目な顔をして言葉を続けたシエルに対して、息子である先代の国王や孫である父上は子供は産みませんと、危うく言葉を返してしまいそうになった。
 しかし、先々代の国王の見た目が鬼灯やユタカと、そう変わらない所を見ると世の理を曲げるような力が働いているのかもしれない。

「先代の国王や父上が子を産むことも、あるのかもしれませんね」
 思わず考えを中途半端に口に出してしまう。

「え? あ、可笑しな言い間違えをしました。ヒビキも素直に納得しないでくださいよ」
 自分の言い間違えに気付き、シエルは慌てて言葉を訂正する。
 
「すみません。曾祖父の見た目と年齢が比例していないものですから、世の理を曲げるような力が働いているのだと思いまして、だったら父や祖父が子を産むこともあるのかなと思ってしまいました」
 吹き出して笑うヒビキにシエルは困ったように眉尻を下げる。

「私の成長が止まってしまったのは、妖精王による呪いのせいですよ。私の代では、妖精王は人間を酷く嫌っていましたから年を取らなくなれば周囲からは化け物扱いされますので、私は30代後半で国王の座を降りる形となりました」
 全く予想外の回答だった。
 ここで、リンスールの話題が上がるとは思ってもいなかったヒビキは唖然とする。

「そっか。妖精王が人と距離をつめたのは先代の国王に変わってからでしたね」
 何故シエルが曾祖父でありながら見た目が若いのか理由が分かった。

「そう言う事ですね」
 シエルの表情が穏やかなものへ変化する。

「因みにですが、洞窟内で俺と共にいたクリーム色の髪をツインテールにしてた女子生徒がいたのを覚えていますか?」
 シエルはアヤネがひ孫であることを知っているのだろうか。ふと、疑問を抱いて問いかける。

「炎属性の魔法を操る魔術師でしたよね」

「うん。俺の妹だよ」
 やはり、気づいてはいなかったようで、シエルは首をかしげている。

 妹であることを口にした。
「それは、初耳です。まさか孫が学園に通っているとは思わず気づきませんでした。どこにいます? 声をかけましょうか」
 シエルは嬉しさを隠しきれず、今すぐアヤネの元に向かおうとする。

「今すぐ声をかけに行くのはやめておいた方がいいと思うよ。昨日シエル先生に化けていた黒幕は、最初アヤネを人質にとり、その首筋にナイフを突きつけていたんだ。フードを深く被っていたとは言え、拘束されていたアヤネからシエル先生に変装した術者の顔が見えていたかもしれないし。恐怖に怯えてアヤネは泣いていたから近寄っても怯えられてしまうだけだと思うよ」
 しかし、ヒビキが昨夜の出来事を口にすることにより、今すぐ行動を起こすことを諦める。

「そのような事があったのですね。許せませんね」
 シエルの眉間にシワがよる。
 少しずつシエルの無表情が崩れてきている。感情が表情に現れていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

処理中です...