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ドラゴンクエスト編
27話 ヒビキがモデルをするそうです
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聳え立つ岩山の上に建てられた魔王城から飛び立って山を一つ越えれば、やがて巨大な街が見えてくる。
カードと頭の中で唱えてギルドカードを出現させると、カードに表記されている現在の時刻は午後3時を回ったところだった。
到着が早すぎたなと思いながらも目の前に迫った宮殿のような建物の前で、前方宙返りを行った。
出入り口の前に着地をすると街路を歩いていた魔族達からの視線を一身に受ける形となった。
左右対称に作られた宮殿のような建物内には冒険者達の姿はなく、カウンターでは暇で時間を持て余している受付嬢が一ヶ所に集まり楽しそうに話し込んでいる。
早く着きすぎたため、建物の3階にある食品店で時間を潰すためカウンターの隣にある階段を目指す。
カウンターの前を横切ろうとした所でヒビキの存在に気づいた受付嬢の一人が、大声を張り上げた。
「そこの狐耳の少年!」
声のした方へ視線を向けると、今朝ヒビキと鬼灯に飛行術の販売をしてくれた受付嬢が満面の笑みを浮かべて佇んでいた。
ピシッと人差し指を向けられている。
おいでと手招きをする受付嬢に、ヒビキは自分の顔を指し示して問いかける。
「え、俺?」
「君しかいないでしょう」
受付嬢は満面の笑みを崩す事なく大きく首を上下に動かした。
「来てくれたのね!」
何やら嬉しそうに声を上げた受付嬢が軽やかに受付カウンターを飛び越える。
身軽な女性を呆然と眺めていれば、目の前にやって来た受付嬢に腕を勢い良く掴まれて引き寄せられる。
「あれ? 飛行術を買いに来た子よね?」
反応の薄いヒビキを見て、もしかして人違いだろうかと不安を抱いた受付嬢が指先でフードを捲る。
狐耳フード付きのケープを身に纏っているから今朝の少年だと思ったけれど、自信を無くした受付嬢はヒビキの顔を覗きこんだ。
見事に視線が交わって瞬きを繰り返していると
「やっぱり、そうよね!」
ヒビキの顔を確認した受付嬢がにやりと笑う。
飛行術を手に入れるために何でもすると言ってしまったことを早々に後悔する事になる。
不気味な笑みを浮かべる受付嬢に腕を引かれるがまま、受付カウンターを横切った。
階段を上がり2階フロアに足を踏み入れると、すぐ右側に豪華な扉が現れた。
「ここは?」
巨大な扉を目の前にして受付嬢に問いかける。
今朝2階フロアに足を踏み入れたときは豪華な扉に気づかなかった。
「ここは武具や防具が置いてあるのよ。君に着てもらって販売してもらう防具も、この部屋にあるのよ」
受付嬢はヒビキの腕をしっかりと掴んだまま部屋の説明をする。
扉を開いた受付嬢に腕を引っ張られて、室内に足を踏み入れると、そこは金色に輝く床や天井が広がっていた。
床に敷き詰められた宝石の数々は高価なものだろう。
その上を歩くのは気が引ける。
棚の上には豪華な剣や盾が、ずらりと並んでおり天井には巨大なシャンデリアが吊り下げられている。
腕を引っ張られて部屋の中央に移動した。
部屋の中央に設置されたテーブルの上には既に装備品が準備されている。
白と赤を基調とした防具がテーブルの上に広げられていた。
「ひとまず、これに着替えて」
女性はてきぱきと指示を出す。
「なかなか着こなす事が難しい装備品だから、なかなか売れなくてね。高い防御力を持つから値も張るのよね。今日は、この装備を売り込んでほしいのよ」
満面の笑みを浮かべる受付嬢にケープを脱いでねと指示を受ける。
白いケープを脱ぎ、まず最初に膝下まで長さのある袖のない黒いワンピースを纏う。
次に手渡された布は薄い赤みがかった裾の広がったもので、2つの筒に別れており片脚ずつ通して腰に紐を巻き付けて結ぶ。
袖の広がった分厚い生地は、なめらかな手触りをしており服を身に付けて、その上から赤い甲冑を取り付ける。
「ちょっと重いけど、この剣を背負って」
黒い巨大な剣を手渡される。
普段は持って歩くことのない武器と、着ることのない防具を身に付けて黒いブーツは変えること無く、黒色の長いマフラーを巻き付ける。
「早速、売り込みに行きましょう」
満面の笑みを浮かべる受付嬢がヒビキの腕を掴むと、今度は売り場に案内をしてくれる。
2階から階段を下りて1階フロアに足を踏み入れると突然、周囲がざわついた。
着替えを行っている間に1階のフロア内には人が増えたらしい。
クエストを受けに来た冒険者が数名、カウンターの前に佇んでいた。
カードと頭の中で唱えてギルドカードを出現させると、カードに表記されている現在の時刻は午後3時を回ったところだった。
到着が早すぎたなと思いながらも目の前に迫った宮殿のような建物の前で、前方宙返りを行った。
出入り口の前に着地をすると街路を歩いていた魔族達からの視線を一身に受ける形となった。
左右対称に作られた宮殿のような建物内には冒険者達の姿はなく、カウンターでは暇で時間を持て余している受付嬢が一ヶ所に集まり楽しそうに話し込んでいる。
早く着きすぎたため、建物の3階にある食品店で時間を潰すためカウンターの隣にある階段を目指す。
カウンターの前を横切ろうとした所でヒビキの存在に気づいた受付嬢の一人が、大声を張り上げた。
「そこの狐耳の少年!」
声のした方へ視線を向けると、今朝ヒビキと鬼灯に飛行術の販売をしてくれた受付嬢が満面の笑みを浮かべて佇んでいた。
ピシッと人差し指を向けられている。
おいでと手招きをする受付嬢に、ヒビキは自分の顔を指し示して問いかける。
「え、俺?」
「君しかいないでしょう」
受付嬢は満面の笑みを崩す事なく大きく首を上下に動かした。
「来てくれたのね!」
何やら嬉しそうに声を上げた受付嬢が軽やかに受付カウンターを飛び越える。
身軽な女性を呆然と眺めていれば、目の前にやって来た受付嬢に腕を勢い良く掴まれて引き寄せられる。
「あれ? 飛行術を買いに来た子よね?」
反応の薄いヒビキを見て、もしかして人違いだろうかと不安を抱いた受付嬢が指先でフードを捲る。
狐耳フード付きのケープを身に纏っているから今朝の少年だと思ったけれど、自信を無くした受付嬢はヒビキの顔を覗きこんだ。
見事に視線が交わって瞬きを繰り返していると
「やっぱり、そうよね!」
ヒビキの顔を確認した受付嬢がにやりと笑う。
飛行術を手に入れるために何でもすると言ってしまったことを早々に後悔する事になる。
不気味な笑みを浮かべる受付嬢に腕を引かれるがまま、受付カウンターを横切った。
階段を上がり2階フロアに足を踏み入れると、すぐ右側に豪華な扉が現れた。
「ここは?」
巨大な扉を目の前にして受付嬢に問いかける。
今朝2階フロアに足を踏み入れたときは豪華な扉に気づかなかった。
「ここは武具や防具が置いてあるのよ。君に着てもらって販売してもらう防具も、この部屋にあるのよ」
受付嬢はヒビキの腕をしっかりと掴んだまま部屋の説明をする。
扉を開いた受付嬢に腕を引っ張られて、室内に足を踏み入れると、そこは金色に輝く床や天井が広がっていた。
床に敷き詰められた宝石の数々は高価なものだろう。
その上を歩くのは気が引ける。
棚の上には豪華な剣や盾が、ずらりと並んでおり天井には巨大なシャンデリアが吊り下げられている。
腕を引っ張られて部屋の中央に移動した。
部屋の中央に設置されたテーブルの上には既に装備品が準備されている。
白と赤を基調とした防具がテーブルの上に広げられていた。
「ひとまず、これに着替えて」
女性はてきぱきと指示を出す。
「なかなか着こなす事が難しい装備品だから、なかなか売れなくてね。高い防御力を持つから値も張るのよね。今日は、この装備を売り込んでほしいのよ」
満面の笑みを浮かべる受付嬢にケープを脱いでねと指示を受ける。
白いケープを脱ぎ、まず最初に膝下まで長さのある袖のない黒いワンピースを纏う。
次に手渡された布は薄い赤みがかった裾の広がったもので、2つの筒に別れており片脚ずつ通して腰に紐を巻き付けて結ぶ。
袖の広がった分厚い生地は、なめらかな手触りをしており服を身に付けて、その上から赤い甲冑を取り付ける。
「ちょっと重いけど、この剣を背負って」
黒い巨大な剣を手渡される。
普段は持って歩くことのない武器と、着ることのない防具を身に付けて黒いブーツは変えること無く、黒色の長いマフラーを巻き付ける。
「早速、売り込みに行きましょう」
満面の笑みを浮かべる受付嬢がヒビキの腕を掴むと、今度は売り場に案内をしてくれる。
2階から階段を下りて1階フロアに足を踏み入れると突然、周囲がざわついた。
着替えを行っている間に1階のフロア内には人が増えたらしい。
クエストを受けに来た冒険者が数名、カウンターの前に佇んでいた。
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