23 / 148
ドラゴンクエスト編
22話 妖精王
しおりを挟む
生前のサヤは大人しく人の話を聞き、笑顔で頷いているような人物だった。
意見を求められた時には真面目に、しっかりと答えるけれども相手が、ただ話を聞いて欲しいだけの時は真剣に相手の話を聞く。
女性からはサヤお姉様と呼ばれ慕われていた。
容姿端麗、性格も良いため男性からの人気も凄まじく親衛隊のようなものが出来上がっていた。
人に好かれるような性格のサヤは、きっと操りやすいだろう。
何も言わずに思い通りに動いてくれる。
そう思ったから、ユキヒラは自分の骸使いの魔法で一人だけ操ることが出きると知り彼女を選んだ。
しかし、ユキヒラは彼女を選んだことを早速、後悔している。
カウンターの前に到着した頃には、サヤの質問攻めを受け、疲れきったようすのユキヒラが大きなため息をつく。
質問の内容は主に狐面を着けていた討伐隊隊長の事について。
ボスモンスター討伐隊隊長を務めている人物は今、何処いるの?
怪我は、していないの?
生きてるって情報は何処で手に入れたの?
隊長を、もしも見つけても手に掛けようとしないでよね。
隊長は、そもそも何歳なの?
ご老体か、それとも子供?
髪の毛の色は確かクリーム色だったかな?
瞳の色は何色だった?
あ、狐面をつけてたから見えなかったんだ。
どんな容姿をしてるの?
幼い顔立ちか、それとも紳士的なおじ様?
可愛い系なのか、平凡なのか、それとも格好いいのかな?
どんな性格をしているの?
無気力か、それとも活発的?
意外と人見知りな所があったりして?
好きな食べ物は?
一緒に食事を取った事が無いけど誘えば、誘いに乗ってくれるのかな?
そもそも、独り身なの?
奥さんがいるのなら誘っちゃ駄目だよね。
その前に男性なのか女性なのか聞かなければならなかったね。
いつも狐面をつけてたから本当に性別の見分けがつかないよね。
女性だったら仲良くなれるかな?
仲のいい友人はいるのかな?
もしも、いないのだったら実は隊長の事を密かに気になっていたからお友達になりたいな。
質問に対してユキヒラからの返事は無い。
しかし、溜め込んでいた疑問と共に、密かにボスモンスター討伐隊隊長を務めていた人物の事を気になっていたと気持ちを言葉にしたサヤは次から次へと質問を繰り返す。
ユキヒラは一方的に声をかけられて鬱陶しいと嫌みを言うけれど、サヤはユキヒラの文句など聞いてはいない。
げんなりとするユキヒラは不機嫌になる。
サヤは討伐隊隊長について興味津々。
しかし、ユキヒラ自信も討伐隊隊長を務めていた人物が、どのような人物か知らないため質問の内容に答える事はしない。
仲間が生きていて嬉しい気持ちは分かる。
裏切り者のユキヒラを相手に素直な気持ちを隠すこと無く、はしゃぐサヤに対して最終的にユキヒラは無視を決め込んでいる。
騒がしい性格の持ち主は苦手なのだろう。
ユキヒラの表情は険しいものになっていた。
しかし、サヤはユキヒラの反応など気にする様子もなく質問を続ける。
サヤは次から次に質問を投げ掛けてくるけれど、ユキヒラが討伐隊隊長の個人情報を知るはずもなく、疲れがたまっていくばかり。
ユキヒラも一方的に話しかける事はあっても隊長と話すことは殆どなかったから、サヤに何で答えてくれないのかと問いかけられるけど答えられる訳がない。
無言を貫き通す。
疲れた表情を浮かべながら足を進めていたユキヒラが、カウンターに到着する。
そして、目の前にいる受付嬢に問いかける。
「少し聞きたい事があるんだけど、魔界のドワーフの塔に現れた980レベルのトロールに、とどめを刺した人物って狐面を着けていたんだよねぇ?」
ユキヒラの質問の内容に興味を抱いたサヤが口を閉じる。
ユキヒラに向けて質問を投げ掛ける事を止めた。
「えぇ、狐面をつけていたみたいね。狐の耳付きの白いケープを着た少年がとどめを刺したと聞いてるわよ」
ボスモンスター討伐隊隊長を務めていた人物と980レベルのトロールを倒した人物は同一人物なのかもしれない。
一つの仮説を立てたユキヒラは予想通りの返事を貰えることを期待しながら受付嬢に声をかける。
しかし、受付嬢から返ってきた言葉はユキヒラの予想とは大きく異なっていた。
「狐の耳付きの白いケープ?」
思わず女性の言葉を、そのまま復唱した。
ユキヒラの思い描いていた人物は狐面を着けて、黒いマントを羽織っている青年の姿だった。
青い炎を纏った刀を使い戦う姿を最後に目撃した。
トロールを倒したのは討伐隊隊長を務めていた青年だと思っていたから、遠路はるばる魔界に足を運んだのに。
「人違い?」
ぽつりと一言、呟いたユキヒラの表情から笑みが消える。
ユキヒラの反応から、探していた人物とは異なっていたのかなと予想した受付嬢が困ったように眉尻を下げる。
「ここまで来て人違いでしたって、ありえないでしょぉ?」
愕然とするユキヒラが、大きな声で本音を漏らしたため周囲にいた冒険者の視線を集める。
クエストの受注や新規冒険者の登録などギルド内は混雑している時間帯。
受付業務に勤しんでいた受付嬢やクエストを受けるために列に並んでいた冒険者の視線を、ユキヒラは一身に集めている事に果たして気づいているのだろうか。
昼食を取っている魔族や先程まで親とはぐれて泣きわめいてた幼い子供達まで、ユキヒラに視線を向けて様子を伺っている。
「まぁ、でも敏捷性を著しく上げる働きを持つ狐面は、この世に2つあったと言うことかなぁ。知り得た情報とは少し違っているから心配だな。果たして、魔界の少年が身に付けている狐面が本物がどうか。奪って確かめるしか手段がないかぁ」
受付嬢や冒険者達から注目を集めていることに気づいていないユキヒラが考えを口にする。
「うん。その少年から狐面を奪おう」
討伐隊隊長を務めていた人物よりは楽に狐面を奪うことが出来るかもしれない。
一人で考えて結論を出したユキヒラは、すぐに頭の中を切り替える。
真顔で考えを漏らしたユキヒラの隣でサヤは討伐隊隊長を務めていた人物を思い浮かべていた。
彼が狐耳付きのケープを着ることは、あり得ないと言うか想像がつかない。
想像を巡らせたサヤが、ある少年の姿を思い起こす。
お人形さんのような印象を人に与える少年は、真っ白い肌に華奢な体つきの儚げな風貌をしていた。
クリーム色の髪の毛に薄い水色の瞳。
眉尻を下げ困った様子の少年が着ていた服装が確か白いケープだった。
それに狐の耳が付いたフードを被っていたと思う。
「その子って、どんな子だったの?」
サヤが受付嬢に問いかける。
「お人形さんのような印象の子よ。真っ白い肌に華奢な体つきの儚げな風貌をしていたわね。人懐っこそうな子だったわよ」
受付嬢から返ってきた言葉は見事にサヤの求めていたものだった。
魔界のギルドで出会った少年の特徴と一致する。
サヤの表情が瞬く間に明るくなる。
「その子って青い炎の刀を使って戦ってたんだよねぇ?」
ユキヒラの問いかけに対して受付嬢は頷いた。
ユキヒラはサヤの表情が瞬く間に明るくなった事に気づいていない。
「とどめは青い炎を纏った刀で刺したそうよ」
受付嬢はトロールを倒した人物の情報を980レベルのトロールが現れた時に2階層にいた冒険者達から仕入れていた。
殆どの冒険者が狐面の少年が使っていた武器は赤い炎を纏った剣だったけれど、とどめは青い炎を纏った刀で刺していたと答えている。
「青い炎を纏った武器って今まで売っているのを見たことがないんだけど、何処で手に入れる事が出来るのかな。クエストで出現する特殊武器とかぁ?」
討伐隊隊長の情報を手にいれる事が出来なかったため、ユキヒラが武器の情報を集めにかかる。
「それについては私も調べたんだけど現在、青い炎を纏う刀を販売している武器屋は何処の世界にもないみたい。クエストで出現するのかなと思って調べてみたんだけど、それも確認する事が出来なかったわね」
受付嬢も少年の使っていた武器の情報を掴むことが出来ずにいた。
「その少年が良く狩りを行っている場所って、やっぱりドワーフの塔なのぉ?」
武器の情報を手に入れる事を諦めて、狐面を身につけて高レベルのトロールを倒した少年の情報を集めにかかる。
「えぇ。毎日ドワーフの塔に通っているみたいよ。白い狐耳付きのフードを被っているから目立つのね。目撃情報が次から次へと入ってくるもの」
「そっか、ありがとぉ!」
機会を見て少年から狐面を奪えばいい。
満面の笑みを浮かべたユキヒラは、受付カウンターに設置された電子機器にカードを押し当てて情報料の支払いをする。
ギルドの出入り口に向かって歩きだしたユキヒラに続いてサヤが身を翻す。
「私が操ってほしいって言ったのは、その少年の事よ!」
先を行くユキヒラに追い付いて声をかける。
「何だって?」
正直なところユキヒラはサヤに対して返事をするつもりなど無かった。
しかし、興味深い内容を耳にして驚きと共に問い返す。
「だから、操ってほしいって子が、その子なの!」
嬉しそうに笑みを浮かべるサヤは、何処で少年に出会ったのか。
「数分前の出来事だけど転びそうになっている、その子を見かけて咄嗟に支えたんだけどね。一目見て気に入っちゃったのよ」
サヤが何処で少年と出会ったのか問いかける前に疑問は解けた。
サヤは少年と別れた時に、また出会う事が出来たら柔らかそうなクリーム色の髪の毛を、みつあみにしてお兄ちゃんの形見の品である髪止めで少年の髪をとめて少年に鬼灯の形見の品を託そうと考えていた。
2つ貰ったうちの一つを、お兄ちゃんのお墓に備えて欲しいと頼むつもりでいる。
「殺して狐面を奪うおうかなと思っていたんだけどぉ」
ユキヒラが、ぽつりと続けた言葉にサヤは素早く反応を示す。
勢い良く首を左右に振るとユキヒラを睨み付ける。
「ダメに決まってるでしょう!」
頭の中で未来像を描いていたサヤがユキヒラの呟きに即答した。
ユキヒラに続きサヤにまで狙われだした事など知る良しもないヒビキは、鬼灯やギフリードと共に魔王城へ足を踏み入れようとしていた。
聳え立つ崖の上に建てられた魔王城は近くで見ると、大きさに圧倒される。
ドワーフの塔も大きいと思っていたけど、その何倍あるのだろうか。
魔王城の出入り口には二人の門番が巨大な斧を片手に持ち、悠然と佇んでいる。
話しかけづらい雰囲気を醸し出す彼らを呆然と眺めていると門番の一人がギフリードに気付き、驚きと共に慌てて会釈する。
「中へどうぞ」
門番が扉に手をかけると、もう一人の門番も続いて扉に手をかける。
左右方向に開いた扉を眺めていると、扉を隔てた向こう側に広がる空間が見えた。
「どうぞ」
門番の一人が城内に入る許可を出してくれる。
玄関ホールに足を踏み入れると、それは視界に入りこんだ。
室内は沢山の光の粒子が漂っていた。
すぐに消滅する粒子もあれば、唐突に出現する粒子もある。
キラキラと光輝く室内を眺めて綺麗だなと考えるヒビキが辺りを見渡した。
室内の中央には巨大なブラックホールが出現しており、ブラックホールに続くゲート出入り口の手前には何らかの攻撃を受け弾き飛ばされたのだろう。
二人の人物が宙に浮いた状態で光の柱に包まれている。
複雑な術式によって時を止めていた。
真っ黒な髪の毛が印象的。
黒いドレスを身に付けている女性とは初対面。
瞳の色は何色だろう。
彼女を弾いた衝撃は凄まじく髪を纏めていた紐がほどけてしまって、長い髪の毛が顔を覆い隠している。
魔王は立派な髭を生やした貫禄のある男性が務めているものだと、勝手にイメージ像を作り上げていたヒビキが考えを改める。
そして、彼女と共に光の柱に包まれて時を止めている人物がリンスールだと認識した途端、ヒビキは鳥肌と共に恐怖心に支配されることになる。
妖精王。
8000年以上を生きたとされる妖精王は昔から有名で、様々なジャンルの本や書物の登場人物の一人として数多く描かれていた。
真偽のほどは分からないけれど、人間界で読んだ様々なジャンルの本や書物や絵本の中に登場する妖精王は悪役として描かれている事が多く、人間界を滅ぼそうとするラスボスのような扱いの物が殆どだった。
この世界で最高レベルを持つと言われている妖精王を人々は倒そうと武器を取る。
その見た目を知る者は、ごく一部の者のみ。
妖精王を知る者が少ないため、勝手な憶測が飛び交い絵本の中に登場した妖精王の姿は様々な姿形で描かれていた。
真っ黒なオーラを纏った大男として記されているものもあれば、妖艶な魅力を醸し出す美女として描かれているものもある。
ほかにも醜い化け物として妖精王を表現している本の表紙や、この世の者ではない恐ろしい風貌で描かれているものもある。
魔界にあるドワーフの塔を数千年前に出現させたのは妖精王である事は有名な話。ここ最近ドワーフの塔に度々、異変が起きている事に気づいたリンスールは自分の目で異変を確かめるため、遠路はるばる様子を見るために魔界に足を踏み入れた。
リンスールの設定した緊急クエストで出現するトロールのレベルは約150~300程度。
それなのに、380レベルのトロールが出現をしたとの情報を得て実際に自分の目で見て確認するためにドワーフの塔へ足を踏み入れたリンスールは、そこで予想外の出来事に直面する事になる。
ドワーフの塔の異変を確認するためにダンジョンに足を踏み入れたリンスールを巻き込むような形で、580レベルのトロールと980レベルのトロールが立て続けに出現をする。
ドワーフやトロールの種族は妖精。
そのためリンスールは同じ種族である彼らを制御することが出来ると考えていた。
実際に580レベルや980レベルのトロールが出現をした時、まず最初にトロールの制御を試みたリンスールだけど、制御は見事に失敗に終わる。
実はドワーフが、ごく稀に落とす通行許可証。
非常に珍しいレアアイテムを出現させてヒビキに手渡したのもリンスールの作戦のうちだった。
ヒビキの前では通行許可証を見て何ですかこれと、とぼけて見せたけど実際はヒビキに通行許可証を手渡して、一緒に一つ上の階層を目指す。
最後にはドワーフの塔の最上階を調べるために、リンスールが自ら強引にレアアイテムである通行許可証を出現させていた。
一番最初にヒビキがドワーフの塔の1階層で拾った通行許可証以外は、全てリンスールの自作自演である。
結局ヒビキと共に通行許可証を使う事は叶わなかったけど。
「なぁ、妖精王って800年ほど前に一度、人間界を滅ぼそうとしてなかったか?」
鬼灯が過去に読んだ資料を思い出して、余り大きな声では言えないため小声で呟いた。
資料によれば800年ほど前に妃と娘を人間に殺された妖精王が人間に強い恨みを抱き、人間界に攻め込んだ事になっていた。
実はヒビキも過去に鬼灯と同じ資料に目を通していた。
「確か絶世の美女として知れ渡っていた王の妃と娘を盗賊がさらって、盗みや人殺しの手伝いをさせるため自分達の好きなように彼女達に術を使わせ続けたんだ。強力な術を立て続けに使うことになって、力を消耗して魔力が枯渇してしまった彼女達が使い物にならなくなったと分かると、すぐに両手足を縛って海に突き落としたと書いてあった」
鬼灯の言葉を耳にして、ヒビキが過去に目を通した本の内容を思い起こす。
人に対して恨みを抱いた妖精王は、盗賊を血祭りにして殺しただけでは怒りを沈める事が出来ずに人間界を、ほぼ壊滅に追い込んだとか。
洞窟の中に逃げ込んでいた一部の人間や当時の国王が生き残ったため、800年の時を得て徐々に人間界は再建していったと記されていた。
ドワーフの塔で出会ったリンスールは、ヒビキの種族が人であることを知った上で仲間に誘ってきてくれた。
「彼は俺を最初から裏切るつもりで仲間に誘ったのか?」
数日前に酷い裏切りにあい仲間を大勢、失った過去を持つヒビキが急に不安になって弱音を吐く。
リンスールの体を包み込んでいる柱に指先を当てると、バチッと僅かな衝撃と共に手を弾かれた。
まるで拒絶をされたかのように、ひりひりと痛む手を押さえてショックを受けるヒビキは顔を俯かせる。
ヒビキが漏らすようにして呟いた独り言に返事をするようにして直接、頭の中に声が響く。
裏切るつもりはありませんよとリンスールの声が頭の中に響いたような気がした。
「え?」
頭の中に声が響いたように思えて驚きと共に思わず声を上げてしまう。
急に周囲を見渡す素振りを見せたヒビキに疑問を抱いた鬼灯が首を傾げて問いかけた。
「急にどうしたんだ?」
最後に時を止めているリンスールに視線を向けるけど、身体は衝撃によって宙に浮かんだまま光の柱に包まれて動いた様子はない。
やはりリンスールを襲った衝撃も大きかったようで髪を一つに纏めていた紐が切れて、ほどけてしまっている。
目蓋を閉じたままピクリとも反応を示さないリンスールの声が聞こえたように思えたけど、どう考えても気のせいだよなとヒビキは結論を出す。
「空耳が聞こえた」
鬼灯の問いかけに対して、ぽつりと返事をして視線を目の前に広がるブラックホールに向ける。
「これは何?」
さっきから、ずっと疑問に思っていた事を問いかける。
ブラックホールは一体どのような効果を持つのか、ヒビキの問いかけに対してギフリードが口を開く。
「魔王がブラックホールは魔界と人間界を繋ぐゲートだと言っていた」
魔界と人間界を繋ぐゲート。
全く予想もしていなかった返事を貰った。
ブラックホールに足を踏み入れると、すぐに父上の元へ行けるかもしれない。
期待と希望を抱いたヒビキは最後に見た父親の姿を思い起こす。
あんなに遠くに感じていた人間界に、目の前に広がっているゲートに足を踏み入れるだけで行き来する事が出来る。
ドキドキと脈を打つ心臓を落ち着かせるようにして胸元に、そっと手を添えたヒビキが息を呑む。
意見を求められた時には真面目に、しっかりと答えるけれども相手が、ただ話を聞いて欲しいだけの時は真剣に相手の話を聞く。
女性からはサヤお姉様と呼ばれ慕われていた。
容姿端麗、性格も良いため男性からの人気も凄まじく親衛隊のようなものが出来上がっていた。
人に好かれるような性格のサヤは、きっと操りやすいだろう。
何も言わずに思い通りに動いてくれる。
そう思ったから、ユキヒラは自分の骸使いの魔法で一人だけ操ることが出きると知り彼女を選んだ。
しかし、ユキヒラは彼女を選んだことを早速、後悔している。
カウンターの前に到着した頃には、サヤの質問攻めを受け、疲れきったようすのユキヒラが大きなため息をつく。
質問の内容は主に狐面を着けていた討伐隊隊長の事について。
ボスモンスター討伐隊隊長を務めている人物は今、何処いるの?
怪我は、していないの?
生きてるって情報は何処で手に入れたの?
隊長を、もしも見つけても手に掛けようとしないでよね。
隊長は、そもそも何歳なの?
ご老体か、それとも子供?
髪の毛の色は確かクリーム色だったかな?
瞳の色は何色だった?
あ、狐面をつけてたから見えなかったんだ。
どんな容姿をしてるの?
幼い顔立ちか、それとも紳士的なおじ様?
可愛い系なのか、平凡なのか、それとも格好いいのかな?
どんな性格をしているの?
無気力か、それとも活発的?
意外と人見知りな所があったりして?
好きな食べ物は?
一緒に食事を取った事が無いけど誘えば、誘いに乗ってくれるのかな?
そもそも、独り身なの?
奥さんがいるのなら誘っちゃ駄目だよね。
その前に男性なのか女性なのか聞かなければならなかったね。
いつも狐面をつけてたから本当に性別の見分けがつかないよね。
女性だったら仲良くなれるかな?
仲のいい友人はいるのかな?
もしも、いないのだったら実は隊長の事を密かに気になっていたからお友達になりたいな。
質問に対してユキヒラからの返事は無い。
しかし、溜め込んでいた疑問と共に、密かにボスモンスター討伐隊隊長を務めていた人物の事を気になっていたと気持ちを言葉にしたサヤは次から次へと質問を繰り返す。
ユキヒラは一方的に声をかけられて鬱陶しいと嫌みを言うけれど、サヤはユキヒラの文句など聞いてはいない。
げんなりとするユキヒラは不機嫌になる。
サヤは討伐隊隊長について興味津々。
しかし、ユキヒラ自信も討伐隊隊長を務めていた人物が、どのような人物か知らないため質問の内容に答える事はしない。
仲間が生きていて嬉しい気持ちは分かる。
裏切り者のユキヒラを相手に素直な気持ちを隠すこと無く、はしゃぐサヤに対して最終的にユキヒラは無視を決め込んでいる。
騒がしい性格の持ち主は苦手なのだろう。
ユキヒラの表情は険しいものになっていた。
しかし、サヤはユキヒラの反応など気にする様子もなく質問を続ける。
サヤは次から次に質問を投げ掛けてくるけれど、ユキヒラが討伐隊隊長の個人情報を知るはずもなく、疲れがたまっていくばかり。
ユキヒラも一方的に話しかける事はあっても隊長と話すことは殆どなかったから、サヤに何で答えてくれないのかと問いかけられるけど答えられる訳がない。
無言を貫き通す。
疲れた表情を浮かべながら足を進めていたユキヒラが、カウンターに到着する。
そして、目の前にいる受付嬢に問いかける。
「少し聞きたい事があるんだけど、魔界のドワーフの塔に現れた980レベルのトロールに、とどめを刺した人物って狐面を着けていたんだよねぇ?」
ユキヒラの質問の内容に興味を抱いたサヤが口を閉じる。
ユキヒラに向けて質問を投げ掛ける事を止めた。
「えぇ、狐面をつけていたみたいね。狐の耳付きの白いケープを着た少年がとどめを刺したと聞いてるわよ」
ボスモンスター討伐隊隊長を務めていた人物と980レベルのトロールを倒した人物は同一人物なのかもしれない。
一つの仮説を立てたユキヒラは予想通りの返事を貰えることを期待しながら受付嬢に声をかける。
しかし、受付嬢から返ってきた言葉はユキヒラの予想とは大きく異なっていた。
「狐の耳付きの白いケープ?」
思わず女性の言葉を、そのまま復唱した。
ユキヒラの思い描いていた人物は狐面を着けて、黒いマントを羽織っている青年の姿だった。
青い炎を纏った刀を使い戦う姿を最後に目撃した。
トロールを倒したのは討伐隊隊長を務めていた青年だと思っていたから、遠路はるばる魔界に足を運んだのに。
「人違い?」
ぽつりと一言、呟いたユキヒラの表情から笑みが消える。
ユキヒラの反応から、探していた人物とは異なっていたのかなと予想した受付嬢が困ったように眉尻を下げる。
「ここまで来て人違いでしたって、ありえないでしょぉ?」
愕然とするユキヒラが、大きな声で本音を漏らしたため周囲にいた冒険者の視線を集める。
クエストの受注や新規冒険者の登録などギルド内は混雑している時間帯。
受付業務に勤しんでいた受付嬢やクエストを受けるために列に並んでいた冒険者の視線を、ユキヒラは一身に集めている事に果たして気づいているのだろうか。
昼食を取っている魔族や先程まで親とはぐれて泣きわめいてた幼い子供達まで、ユキヒラに視線を向けて様子を伺っている。
「まぁ、でも敏捷性を著しく上げる働きを持つ狐面は、この世に2つあったと言うことかなぁ。知り得た情報とは少し違っているから心配だな。果たして、魔界の少年が身に付けている狐面が本物がどうか。奪って確かめるしか手段がないかぁ」
受付嬢や冒険者達から注目を集めていることに気づいていないユキヒラが考えを口にする。
「うん。その少年から狐面を奪おう」
討伐隊隊長を務めていた人物よりは楽に狐面を奪うことが出来るかもしれない。
一人で考えて結論を出したユキヒラは、すぐに頭の中を切り替える。
真顔で考えを漏らしたユキヒラの隣でサヤは討伐隊隊長を務めていた人物を思い浮かべていた。
彼が狐耳付きのケープを着ることは、あり得ないと言うか想像がつかない。
想像を巡らせたサヤが、ある少年の姿を思い起こす。
お人形さんのような印象を人に与える少年は、真っ白い肌に華奢な体つきの儚げな風貌をしていた。
クリーム色の髪の毛に薄い水色の瞳。
眉尻を下げ困った様子の少年が着ていた服装が確か白いケープだった。
それに狐の耳が付いたフードを被っていたと思う。
「その子って、どんな子だったの?」
サヤが受付嬢に問いかける。
「お人形さんのような印象の子よ。真っ白い肌に華奢な体つきの儚げな風貌をしていたわね。人懐っこそうな子だったわよ」
受付嬢から返ってきた言葉は見事にサヤの求めていたものだった。
魔界のギルドで出会った少年の特徴と一致する。
サヤの表情が瞬く間に明るくなる。
「その子って青い炎の刀を使って戦ってたんだよねぇ?」
ユキヒラの問いかけに対して受付嬢は頷いた。
ユキヒラはサヤの表情が瞬く間に明るくなった事に気づいていない。
「とどめは青い炎を纏った刀で刺したそうよ」
受付嬢はトロールを倒した人物の情報を980レベルのトロールが現れた時に2階層にいた冒険者達から仕入れていた。
殆どの冒険者が狐面の少年が使っていた武器は赤い炎を纏った剣だったけれど、とどめは青い炎を纏った刀で刺していたと答えている。
「青い炎を纏った武器って今まで売っているのを見たことがないんだけど、何処で手に入れる事が出来るのかな。クエストで出現する特殊武器とかぁ?」
討伐隊隊長の情報を手にいれる事が出来なかったため、ユキヒラが武器の情報を集めにかかる。
「それについては私も調べたんだけど現在、青い炎を纏う刀を販売している武器屋は何処の世界にもないみたい。クエストで出現するのかなと思って調べてみたんだけど、それも確認する事が出来なかったわね」
受付嬢も少年の使っていた武器の情報を掴むことが出来ずにいた。
「その少年が良く狩りを行っている場所って、やっぱりドワーフの塔なのぉ?」
武器の情報を手に入れる事を諦めて、狐面を身につけて高レベルのトロールを倒した少年の情報を集めにかかる。
「えぇ。毎日ドワーフの塔に通っているみたいよ。白い狐耳付きのフードを被っているから目立つのね。目撃情報が次から次へと入ってくるもの」
「そっか、ありがとぉ!」
機会を見て少年から狐面を奪えばいい。
満面の笑みを浮かべたユキヒラは、受付カウンターに設置された電子機器にカードを押し当てて情報料の支払いをする。
ギルドの出入り口に向かって歩きだしたユキヒラに続いてサヤが身を翻す。
「私が操ってほしいって言ったのは、その少年の事よ!」
先を行くユキヒラに追い付いて声をかける。
「何だって?」
正直なところユキヒラはサヤに対して返事をするつもりなど無かった。
しかし、興味深い内容を耳にして驚きと共に問い返す。
「だから、操ってほしいって子が、その子なの!」
嬉しそうに笑みを浮かべるサヤは、何処で少年に出会ったのか。
「数分前の出来事だけど転びそうになっている、その子を見かけて咄嗟に支えたんだけどね。一目見て気に入っちゃったのよ」
サヤが何処で少年と出会ったのか問いかける前に疑問は解けた。
サヤは少年と別れた時に、また出会う事が出来たら柔らかそうなクリーム色の髪の毛を、みつあみにしてお兄ちゃんの形見の品である髪止めで少年の髪をとめて少年に鬼灯の形見の品を託そうと考えていた。
2つ貰ったうちの一つを、お兄ちゃんのお墓に備えて欲しいと頼むつもりでいる。
「殺して狐面を奪うおうかなと思っていたんだけどぉ」
ユキヒラが、ぽつりと続けた言葉にサヤは素早く反応を示す。
勢い良く首を左右に振るとユキヒラを睨み付ける。
「ダメに決まってるでしょう!」
頭の中で未来像を描いていたサヤがユキヒラの呟きに即答した。
ユキヒラに続きサヤにまで狙われだした事など知る良しもないヒビキは、鬼灯やギフリードと共に魔王城へ足を踏み入れようとしていた。
聳え立つ崖の上に建てられた魔王城は近くで見ると、大きさに圧倒される。
ドワーフの塔も大きいと思っていたけど、その何倍あるのだろうか。
魔王城の出入り口には二人の門番が巨大な斧を片手に持ち、悠然と佇んでいる。
話しかけづらい雰囲気を醸し出す彼らを呆然と眺めていると門番の一人がギフリードに気付き、驚きと共に慌てて会釈する。
「中へどうぞ」
門番が扉に手をかけると、もう一人の門番も続いて扉に手をかける。
左右方向に開いた扉を眺めていると、扉を隔てた向こう側に広がる空間が見えた。
「どうぞ」
門番の一人が城内に入る許可を出してくれる。
玄関ホールに足を踏み入れると、それは視界に入りこんだ。
室内は沢山の光の粒子が漂っていた。
すぐに消滅する粒子もあれば、唐突に出現する粒子もある。
キラキラと光輝く室内を眺めて綺麗だなと考えるヒビキが辺りを見渡した。
室内の中央には巨大なブラックホールが出現しており、ブラックホールに続くゲート出入り口の手前には何らかの攻撃を受け弾き飛ばされたのだろう。
二人の人物が宙に浮いた状態で光の柱に包まれている。
複雑な術式によって時を止めていた。
真っ黒な髪の毛が印象的。
黒いドレスを身に付けている女性とは初対面。
瞳の色は何色だろう。
彼女を弾いた衝撃は凄まじく髪を纏めていた紐がほどけてしまって、長い髪の毛が顔を覆い隠している。
魔王は立派な髭を生やした貫禄のある男性が務めているものだと、勝手にイメージ像を作り上げていたヒビキが考えを改める。
そして、彼女と共に光の柱に包まれて時を止めている人物がリンスールだと認識した途端、ヒビキは鳥肌と共に恐怖心に支配されることになる。
妖精王。
8000年以上を生きたとされる妖精王は昔から有名で、様々なジャンルの本や書物の登場人物の一人として数多く描かれていた。
真偽のほどは分からないけれど、人間界で読んだ様々なジャンルの本や書物や絵本の中に登場する妖精王は悪役として描かれている事が多く、人間界を滅ぼそうとするラスボスのような扱いの物が殆どだった。
この世界で最高レベルを持つと言われている妖精王を人々は倒そうと武器を取る。
その見た目を知る者は、ごく一部の者のみ。
妖精王を知る者が少ないため、勝手な憶測が飛び交い絵本の中に登場した妖精王の姿は様々な姿形で描かれていた。
真っ黒なオーラを纏った大男として記されているものもあれば、妖艶な魅力を醸し出す美女として描かれているものもある。
ほかにも醜い化け物として妖精王を表現している本の表紙や、この世の者ではない恐ろしい風貌で描かれているものもある。
魔界にあるドワーフの塔を数千年前に出現させたのは妖精王である事は有名な話。ここ最近ドワーフの塔に度々、異変が起きている事に気づいたリンスールは自分の目で異変を確かめるため、遠路はるばる様子を見るために魔界に足を踏み入れた。
リンスールの設定した緊急クエストで出現するトロールのレベルは約150~300程度。
それなのに、380レベルのトロールが出現をしたとの情報を得て実際に自分の目で見て確認するためにドワーフの塔へ足を踏み入れたリンスールは、そこで予想外の出来事に直面する事になる。
ドワーフの塔の異変を確認するためにダンジョンに足を踏み入れたリンスールを巻き込むような形で、580レベルのトロールと980レベルのトロールが立て続けに出現をする。
ドワーフやトロールの種族は妖精。
そのためリンスールは同じ種族である彼らを制御することが出来ると考えていた。
実際に580レベルや980レベルのトロールが出現をした時、まず最初にトロールの制御を試みたリンスールだけど、制御は見事に失敗に終わる。
実はドワーフが、ごく稀に落とす通行許可証。
非常に珍しいレアアイテムを出現させてヒビキに手渡したのもリンスールの作戦のうちだった。
ヒビキの前では通行許可証を見て何ですかこれと、とぼけて見せたけど実際はヒビキに通行許可証を手渡して、一緒に一つ上の階層を目指す。
最後にはドワーフの塔の最上階を調べるために、リンスールが自ら強引にレアアイテムである通行許可証を出現させていた。
一番最初にヒビキがドワーフの塔の1階層で拾った通行許可証以外は、全てリンスールの自作自演である。
結局ヒビキと共に通行許可証を使う事は叶わなかったけど。
「なぁ、妖精王って800年ほど前に一度、人間界を滅ぼそうとしてなかったか?」
鬼灯が過去に読んだ資料を思い出して、余り大きな声では言えないため小声で呟いた。
資料によれば800年ほど前に妃と娘を人間に殺された妖精王が人間に強い恨みを抱き、人間界に攻め込んだ事になっていた。
実はヒビキも過去に鬼灯と同じ資料に目を通していた。
「確か絶世の美女として知れ渡っていた王の妃と娘を盗賊がさらって、盗みや人殺しの手伝いをさせるため自分達の好きなように彼女達に術を使わせ続けたんだ。強力な術を立て続けに使うことになって、力を消耗して魔力が枯渇してしまった彼女達が使い物にならなくなったと分かると、すぐに両手足を縛って海に突き落としたと書いてあった」
鬼灯の言葉を耳にして、ヒビキが過去に目を通した本の内容を思い起こす。
人に対して恨みを抱いた妖精王は、盗賊を血祭りにして殺しただけでは怒りを沈める事が出来ずに人間界を、ほぼ壊滅に追い込んだとか。
洞窟の中に逃げ込んでいた一部の人間や当時の国王が生き残ったため、800年の時を得て徐々に人間界は再建していったと記されていた。
ドワーフの塔で出会ったリンスールは、ヒビキの種族が人であることを知った上で仲間に誘ってきてくれた。
「彼は俺を最初から裏切るつもりで仲間に誘ったのか?」
数日前に酷い裏切りにあい仲間を大勢、失った過去を持つヒビキが急に不安になって弱音を吐く。
リンスールの体を包み込んでいる柱に指先を当てると、バチッと僅かな衝撃と共に手を弾かれた。
まるで拒絶をされたかのように、ひりひりと痛む手を押さえてショックを受けるヒビキは顔を俯かせる。
ヒビキが漏らすようにして呟いた独り言に返事をするようにして直接、頭の中に声が響く。
裏切るつもりはありませんよとリンスールの声が頭の中に響いたような気がした。
「え?」
頭の中に声が響いたように思えて驚きと共に思わず声を上げてしまう。
急に周囲を見渡す素振りを見せたヒビキに疑問を抱いた鬼灯が首を傾げて問いかけた。
「急にどうしたんだ?」
最後に時を止めているリンスールに視線を向けるけど、身体は衝撃によって宙に浮かんだまま光の柱に包まれて動いた様子はない。
やはりリンスールを襲った衝撃も大きかったようで髪を一つに纏めていた紐が切れて、ほどけてしまっている。
目蓋を閉じたままピクリとも反応を示さないリンスールの声が聞こえたように思えたけど、どう考えても気のせいだよなとヒビキは結論を出す。
「空耳が聞こえた」
鬼灯の問いかけに対して、ぽつりと返事をして視線を目の前に広がるブラックホールに向ける。
「これは何?」
さっきから、ずっと疑問に思っていた事を問いかける。
ブラックホールは一体どのような効果を持つのか、ヒビキの問いかけに対してギフリードが口を開く。
「魔王がブラックホールは魔界と人間界を繋ぐゲートだと言っていた」
魔界と人間界を繋ぐゲート。
全く予想もしていなかった返事を貰った。
ブラックホールに足を踏み入れると、すぐに父上の元へ行けるかもしれない。
期待と希望を抱いたヒビキは最後に見た父親の姿を思い起こす。
あんなに遠くに感じていた人間界に、目の前に広がっているゲートに足を踏み入れるだけで行き来する事が出来る。
ドキドキと脈を打つ心臓を落ち着かせるようにして胸元に、そっと手を添えたヒビキが息を呑む。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる