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ドラゴンクエスト編
19話 国王と魔王
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すっかり外は暗くなっている。
ユキヒラとはぐれた事に気づかずに、サヤは街の中を突き進んでいた。
人間界だと街灯が道を照らしてくれるけど、魔界は街路樹が淡い光を放ち道を照らしている。
街路の所々に描えがかれている魔方陣が青白く輝きながら浮かび上がっている。
周囲を見渡せば青白い輝きに包まれた結界が街を囲むようにして張り巡らされていた。
目を凝らして見ると張り巡らされた結界を壊そうと体当たりをする魔物の姿が見える。
昼間は治安のいい魔界は夜になると沢山の魔物の襲撃を受けていた。
沢山の魔族がモンスターの犠牲になった。
力のあるものは襲い来る魔物を倒してレベル上げに勤しんでいた。
しかし、力のない子供やお年寄りの多くは魔物の襲撃により命を落としてしまう。
事態を重く見た魔王が、数十年前から夜になると街を囲うようにして結界を張り巡らせる。
Sランク以上のモンスターが襲ってこない限りは決して壊されない非常に強力な結界が張り巡らされていた。
少し視線を逸らすと夜空には色とりどりの星が輝いていた。
赤や白や黄色。
中でも目映い光を放つのは青や紫色の星。
緑やピンク色と人間界では見かける事の無いようなカラフルな色の星が空にちりばめられている。
「綺麗……」
人間界の星空とは、また違った美しさにサヤが声を漏らす。
星の大きさは均等ではなかった。
小さな星もあれば、太陽のように大きな星もある。
無数に散らばる星空にサヤは、うっとりとみとれる。
魔界に来て、こんなに素晴らしい景色を見ることが出来るとは思っていなかった。
まさか人間界を出て魔界に足を踏み入れる事になるとは夢にも思っていなかったから。
「仲間と一緒にこの景色を見たかったな……」
ポツリと本音を漏らしたサヤが目を潤ませる。
ユキヒラとドラゴンに殺されていった仲間の顔を一人一人思い浮かべて、涙を流し始めたサヤが悲しみにくれる。
ボスモンスター討伐隊隊長を務めていた人物とは、一度でいいから話をしてみたかった。
声のかけやすい雰囲気を持つ副隊長にばかり声をかけていたことを、今更ながら後悔する。
兄である鬼灯には、もっと妹として甘えてみたかった。
いつも素直になれなくて鬼灯が買ってくれた髪止めや髪飾りを大切に懐にしまったまま、お守りとして持ち歩いていたものの使う事が出来きなかった。
いつかは鬼灯に髪飾りをつけてる姿を見せたかったけれど、もうそれも叶わない。
次から次へと流れ出す涙を袖でぬぐう。
夜空を見上げていたサヤは、人通りのある街路を外れてしまった事に気づいてはいなかった。
ほんの少し足場が悪くなったかなと思った程度だった。
「え?」
だから星空が消えて、草木が枝葉を広げて生え重なっているのが見え始めた時には本当に驚いた。
目を見開き唖然とするサヤが気の抜けた声を出す。
気がつけば草木の生い茂る森の中にいた。
「どこは何処?」
辺りを見渡して見るけど、先程までいた街の風景はなくて周りを木々に囲まれている。
弱々しく呟いたサヤが急に不安になる。
星空を遮るように何度か枝葉が視界に入っていたけど、それは街路樹の物だと思っていたからあまり気にとめていなかった。
見知らぬ土地で一人になってしまったサヤは恐怖心から体を小刻みに震わせる。
歩いてきた道を戻るという選択肢はサヤの中には無かったのか。
それとも、それすらも思い付かなかったのか。
眉尻を下げていたサヤが森の奥に向け足を進める。
「早く森を抜けなきゃ……」
不安にかられて正常な判断が出来なくなっているサヤが、ぽつりと呟いた。
どうやらサヤの頭の中では森の出口に向かっているつもりらしい。
しかし、実際にサヤが向かっているのは歩いてきた道とは真逆の方向。
サヤは方向感覚を失っていた。
向かうべき方向とは真逆に進もうとしているサヤを止めてくれる人物は現れるのか。
ふらふらとした足取りで歩くサヤが涙を流す。
サヤの行く手を阻む人物は、すぐに現れた。
「ふらふらしすぎ」
背後から声をかけられ腕を力強く捕まれる。
足払いをかけられると、ふわりと体が宙に浮き上がり、ぐるんっと視界が一変した。
腰から地面に叩きつけられる。
「痛っ……」
激しい痛みが腰に走り声を漏らす。
誰かに足払いをかけられて一本背負いを決められた。
腰の痛みに表情を歪めながら背後に佇んでいる人物を見上げたサヤが、自分を見下ろしている人物を視界に入れると表情を曇らせる。
「勝手に動きまわらないでよ」
サヤを探して街中や森の中を走り回ったのだろう。
息を切らしているユキヒラは不機嫌さを隠すこと無く佇んでいる。
鬱然と地面に座り込むサヤを見下ろして、少し腰を屈めてサヤの首に右手の尺側面を添える。
「次に勝手な行動をしたら飛ばすからね」
少し手を引いたユキヒラが、すぐにサヤの首に右手の尺側面を打ち付ける。
急に真顔に戻ったユキヒラが、ぽつりと続けた言葉を耳にしてサヤは顔を真っ青にした。
次に勝手な行動をした場合、首を飛ばされる。
ユキヒラの言葉に愕然とするサヤは立ち上がる気力もなくす。
「早く宿を探したいのに、足手まといはやめてよぉ」
涙を流しながら俯いてしまったサヤの背後でユキヒラが大きなため息をついた。
サヤ
age.19
rank.S
level.159
使用可能レベル50.電気ショック
使用可能レベル100.雷撃
使用可能レベル150.ライトニング
money.1,799,000G
深夜。
魔王城では慌ただしく漆黒の鎧を身に纏った騎士達が歩き回っていた。
「魔王を呼んで来てくれ。私は控えの間に寄ってから玄関ホールに向かう」
険しい表情を浮かべ城内を歩くギフリードが向こう側から歩いてくる猫耳が印象的な女性に声をかける。
「分かったよ。魔王様に準備が整ったことを知らせてくる」
んにゃと笑みを浮かべ頷いた猫耳の女性が右側に繋がる通路に足を踏み入れる。
ギフリードは、そのまま直進し控えの間に向かう。
ギフリードに指示を受け魔王の寝室にたどり着いた猫耳の女性がドアのぶを掴む。
ノックをする事なく勢い良く開かれた扉は壁に打ち付けられて反動で跳ね返る。
壊れてしまいそうな程の勢いで扉を開いた猫耳が印象的な女性に悪気は無い。
「ほう……」
唐突に開かれた寝室の扉に視線を向けた魔王が、ぽつりと呟いた。
黒を基調とした室内を埋め尽くすのは錆びた刀や剣。
使い物にならないほど壊れた武具やアイテムだった。
室内を囲むように置かれているのは、どれも太古に使われていた魔術師の杖。闇魔法の結晶。なかなか手に入れることの出来ないアイテムなど。
よく見れば使い物にはならないけど、どれも過去に有名な人物が使っていた武器やアイテムばかりが揃っていた。
大事そうに透明なケースに入れられて保管されている。
貴重なアイテムや武具が室内を埋め尽くす中、ほんの少し中央にあいているスペースがあり。
空いたスペースに設置されているベッドの上に腰かけて、黒いブーツを身に付けている魔王が呆然と佇む猫耳の女性を見てククッと肩を震わせる。
少し前屈みになりブーツの紐を結んでいた魔王は靴以外、何も身に付けてはいない。
着替えの真っ最中のため全裸だった。
バタンッと音を立てて素早く扉を閉める。
謝罪も言い訳も咄嗟に出てこなかった。
開いた扉を勢いよく閉じた猫耳の女性が唇に中指、人差し指、薬指。
3本の指先をあて、あわわわわと体を震わせる。
「やだ……ビックリしすぎて、お漏らししちゃいそう」
足をガクガクと震わせて中腰になった猫耳の女性が呟く。
ピーンと立っていた猫耳が魔王の全裸を見てしまった。後で怒られると、恐怖心に支配されているため耳を後ろに向けて怯えている。
プルプルと体を震わせる騎士の目の前でゆっくりとドアのぶが回り。
ガチャッと音を立てて寝室から魔王が姿を現した。
「お漏らしは止めてね。後始末が大変だから」
そして、室内にいたはずなのに猫耳の女性の独り言が、しっかりと聞こえていた魔王が口元に手を当ててクスクスと笑う。
魔王の反応から、彼女が怒っていない事を知った猫耳の女性の表情が明るく変化した。
控えの間に移動したギフリードが扉をノックすると室内にいる人物が返事をする。
室内に足を踏み入れる事を許されたためギフリードが扉を開くと
「本当にいいのか? 魔力が枯渇すれば妖精はしばらくの間、元の姿には戻れないと聞くが」
室内には中性的な顔立ちの青年が佇んでいた。
「はい、大丈夫ですよ」
無表情を浮かべたままリンスールが頷き即答する。
返事を耳にして安堵した様子のギフリードが身を翻す。
「悪いな。魔界と人間界を繋ぐには魔王と国王の魔力だけでは足りないんだ」
ぽつりと呟き扉を開く。
リンスールに向け頭を下げたギフリードが玄関ホールに案内する。
ヒビキや鬼灯やヒナミとドワーフの塔で別れたリンスールは宿に戻るため足を進めていた。
街路を歩く魔族達が種族の違うリンスールを、もの珍しそうに眺めている。
しかし、周囲を気にすることなく進むリンスールは視線を集めることになれてしまっていた。
そんなリンスールの元に魔王からの指示を受けたギフリードが姿を現した。
リンスールに魔王の考えを伝えると無言のまま何やら考え出したリンスールが少しの沈黙の後、小さく頷いた。
分かりましたと頷いたリンスールが魔王城へ赴むく事を決める。
「魔王や国王に貸しを作る事にしましょうか」
クスッと表情に笑みを浮かべたリンスールが、ふわりとその場に浮かぶ。
そして、今まで隠していた羽をひろげると飛行術を使うギフリードと共に空を飛ぶ。
真っ直ぐ魔王城に向かった二人を通行人である魔族達が見上げていた。
そして今に至るわけだけど。
突然お手紙を差し上げます失礼をお許しください。
手紙の冒頭は綺麗な文字。
丁寧な書き出しで始まっていた。
国王の名前もフルネームで記載されており、魔王は黙々と手紙を読み上げていた。
しかし、文章を読み上げていくうちに徐々に文字の形が崩れだす。
次第に手紙の文字は走り書きになり、何やら魔王に対して親しげな口調で手紙の内容が書き記されている。
唐突に手紙の書き方が雑になり、出だしとのギャップに国王は、どのような人物が務めているのだろうかと興味を抱いた魔王がククッと肩を震わせて笑う。
魔王が国王に対して興味を持った瞬間である。
文章の末尾になるにつれて徐々に綺麗な文字に戻り始める。
誠に厚かましいお願いとは存じますが、魔王城から私の寝室までゲートを通して下さいますよう、お願い申し上げます。
頼み事は魔界から人間界へと通じるゲートを作る事だった。
手紙を読み上げて随分と面白い事を考える国王もいたもんだと笑う魔王が、すぐに頼み事を受ける事を決意する。
この手紙を書いた国王に会ってみたいと思った。
やると決めた魔王の行動は、とても早かった。
すぐに国王に向けた手紙を書く。
魔界と人間界を繋ぐゲートを造ろうではないかと手紙に記した魔王が暗黒騎士の一人に手紙を渡して国王に届けるように指示を出す。
深夜に決行する事、国王にもゲートを繋ぐためにしてほしい事があったため詳細を手紙に記した。
深夜。
魔王の手紙に記されていた時刻になり人間界にある城の中でも銀騎士達が慌ただしく動き回っていた。
「そろそろ、お時間です」
「分かった。今から向かう」
調査隊の青年に呼ばれて、カツカツと足音を立てて歩きだした国王の足取りは早い。
白いもこもこのファーの付いた真っ赤なマントを揺らしながら、足早に廊下を歩く国王も慌ただしく城内を歩きまわっている。
「調査隊は寝室の前に待機。騎馬隊は寝室に。特攻隊は城の外の警備を」
早口でそれぞれの部隊に指示を出した国王に、それぞれの部隊長が敬礼をする。
「特攻隊!」
金髪の女性が大声を張り上げる。
「城の外へ!」
女性が続けた言葉に特攻隊が一斉に城の外へ向け歩き出す。
「騎馬隊!」
黒い髭を生やす、がたいの良い男性が声を張り上げる。
「国王と共に!」
黒い髭を生やした男性の言葉に騎馬隊が足早に歩く国王の後に続く。
「ち、ちちち調査隊!」
最近、調査隊の隊長に任命された青年は汗だくだった。
大勢の仲間の前で声を上げる緊張から言葉を噛む。
「し、しししし! 寝室前の警備!」
冷や汗をだらだらと流しながら顔をひきつらせ、それでも言い切った隊長の背を部下達が落ち着かせるようにしてポンポンと叩く。
「おちつけ」
「大丈夫」
ガチガチに緊張している隊長の横を通りすぎていく部下達が、今にも涙ぐみそうな隊長を勇気づけようと声をかける。
「国王の前では普通に話せるのに、何で仲間の前だと緊張するのよ」
最後に調査隊の副隊長を務める女性が、ぽつりと青年の耳元で呟く。
緊張から動けずにいた隊長の腕を引きよせ、前を行く調査隊の後を追った。
その頃、魔界では玄関ホールに足を踏み入れた魔王とリンスールが初対面の挨拶を行っていた。
「私はリンスールと申します。宜しくお願いします」
無表情ではあるけれども深々と頭を下げるリンスールに魔王も習って頭を下げる。
「私はウィネラ。妖精王であるリンスール様のお噂はかねがね聞いております。一度お手合わせ願いたかった」
「いえ、今の私はレベルや魔力を封印されてしまった身です。王と呼ばれる資格はありません。魔王ウィネラ様とお手合わせなど、とんでもない事でございます。すぐに私が地面に倒れ伏す事により決着がつきますよ」
魔王の申し出にリンスールは首を左右にふる。
しかし、魔王は引き下がらなかった。
「あぁ。それなら今の私もレベルと魔力は封印されてしまってるんだ。だから良い勝負になりそうだな」
リンスールと同じように魔王も何らかの術をかけられており、レベルと魔力を封印されてしまっていた。
もともと使えていたスキルはレベルが封印された事により使えなくなった。
しかし、全てのスキルが封印された訳じゃなく封印をされてしまったレベル分のスキルが使えなくなってしまったため、初期段階のスキルは使用可能だった。
「まさか魔王もレベルや魔力に封印の術をかけられてしまっていたなんて思ってもいなかったのですが、天界の王もある朝起きたらレベルや魔力が封印されていたと言ってました」
まさか魔王までレベルや魔力が封印されているとは、予想もしていなかった事実を知り戸惑うリンスールに魔王が問いかける。
「やはり朝起きたら封印されていたのか?」
「ええ、起きたらレベルが下がり魔力も封印されていました」
「実は人間界の国王から届いた手紙にも、それらしい事が書いてあってな」
国王から届いた手紙の下の方に小さい文字で走り書きされていた。
私にも手伝えることがあったら言ってください。
魔力を封じられている身なので大した事は出来ませんが。
手紙を書き終えた後に追加した文字は薄く。
時間のない中、書き記されたらしい。
「何者かが私達にとって良くないことを企んでいるようですね」
リンスールが真剣な表情を浮かべて、ぽつりと呟くと魔王が深く頷く。
国王と魔王が人間界と魔界を繋ぐゲートを繋ごうとしている頃、ヒビキは鬼灯と二人でおやつの奪い合いを行っていた。
ユキヒラとはぐれた事に気づかずに、サヤは街の中を突き進んでいた。
人間界だと街灯が道を照らしてくれるけど、魔界は街路樹が淡い光を放ち道を照らしている。
街路の所々に描えがかれている魔方陣が青白く輝きながら浮かび上がっている。
周囲を見渡せば青白い輝きに包まれた結界が街を囲むようにして張り巡らされていた。
目を凝らして見ると張り巡らされた結界を壊そうと体当たりをする魔物の姿が見える。
昼間は治安のいい魔界は夜になると沢山の魔物の襲撃を受けていた。
沢山の魔族がモンスターの犠牲になった。
力のあるものは襲い来る魔物を倒してレベル上げに勤しんでいた。
しかし、力のない子供やお年寄りの多くは魔物の襲撃により命を落としてしまう。
事態を重く見た魔王が、数十年前から夜になると街を囲うようにして結界を張り巡らせる。
Sランク以上のモンスターが襲ってこない限りは決して壊されない非常に強力な結界が張り巡らされていた。
少し視線を逸らすと夜空には色とりどりの星が輝いていた。
赤や白や黄色。
中でも目映い光を放つのは青や紫色の星。
緑やピンク色と人間界では見かける事の無いようなカラフルな色の星が空にちりばめられている。
「綺麗……」
人間界の星空とは、また違った美しさにサヤが声を漏らす。
星の大きさは均等ではなかった。
小さな星もあれば、太陽のように大きな星もある。
無数に散らばる星空にサヤは、うっとりとみとれる。
魔界に来て、こんなに素晴らしい景色を見ることが出来るとは思っていなかった。
まさか人間界を出て魔界に足を踏み入れる事になるとは夢にも思っていなかったから。
「仲間と一緒にこの景色を見たかったな……」
ポツリと本音を漏らしたサヤが目を潤ませる。
ユキヒラとドラゴンに殺されていった仲間の顔を一人一人思い浮かべて、涙を流し始めたサヤが悲しみにくれる。
ボスモンスター討伐隊隊長を務めていた人物とは、一度でいいから話をしてみたかった。
声のかけやすい雰囲気を持つ副隊長にばかり声をかけていたことを、今更ながら後悔する。
兄である鬼灯には、もっと妹として甘えてみたかった。
いつも素直になれなくて鬼灯が買ってくれた髪止めや髪飾りを大切に懐にしまったまま、お守りとして持ち歩いていたものの使う事が出来きなかった。
いつかは鬼灯に髪飾りをつけてる姿を見せたかったけれど、もうそれも叶わない。
次から次へと流れ出す涙を袖でぬぐう。
夜空を見上げていたサヤは、人通りのある街路を外れてしまった事に気づいてはいなかった。
ほんの少し足場が悪くなったかなと思った程度だった。
「え?」
だから星空が消えて、草木が枝葉を広げて生え重なっているのが見え始めた時には本当に驚いた。
目を見開き唖然とするサヤが気の抜けた声を出す。
気がつけば草木の生い茂る森の中にいた。
「どこは何処?」
辺りを見渡して見るけど、先程までいた街の風景はなくて周りを木々に囲まれている。
弱々しく呟いたサヤが急に不安になる。
星空を遮るように何度か枝葉が視界に入っていたけど、それは街路樹の物だと思っていたからあまり気にとめていなかった。
見知らぬ土地で一人になってしまったサヤは恐怖心から体を小刻みに震わせる。
歩いてきた道を戻るという選択肢はサヤの中には無かったのか。
それとも、それすらも思い付かなかったのか。
眉尻を下げていたサヤが森の奥に向け足を進める。
「早く森を抜けなきゃ……」
不安にかられて正常な判断が出来なくなっているサヤが、ぽつりと呟いた。
どうやらサヤの頭の中では森の出口に向かっているつもりらしい。
しかし、実際にサヤが向かっているのは歩いてきた道とは真逆の方向。
サヤは方向感覚を失っていた。
向かうべき方向とは真逆に進もうとしているサヤを止めてくれる人物は現れるのか。
ふらふらとした足取りで歩くサヤが涙を流す。
サヤの行く手を阻む人物は、すぐに現れた。
「ふらふらしすぎ」
背後から声をかけられ腕を力強く捕まれる。
足払いをかけられると、ふわりと体が宙に浮き上がり、ぐるんっと視界が一変した。
腰から地面に叩きつけられる。
「痛っ……」
激しい痛みが腰に走り声を漏らす。
誰かに足払いをかけられて一本背負いを決められた。
腰の痛みに表情を歪めながら背後に佇んでいる人物を見上げたサヤが、自分を見下ろしている人物を視界に入れると表情を曇らせる。
「勝手に動きまわらないでよ」
サヤを探して街中や森の中を走り回ったのだろう。
息を切らしているユキヒラは不機嫌さを隠すこと無く佇んでいる。
鬱然と地面に座り込むサヤを見下ろして、少し腰を屈めてサヤの首に右手の尺側面を添える。
「次に勝手な行動をしたら飛ばすからね」
少し手を引いたユキヒラが、すぐにサヤの首に右手の尺側面を打ち付ける。
急に真顔に戻ったユキヒラが、ぽつりと続けた言葉を耳にしてサヤは顔を真っ青にした。
次に勝手な行動をした場合、首を飛ばされる。
ユキヒラの言葉に愕然とするサヤは立ち上がる気力もなくす。
「早く宿を探したいのに、足手まといはやめてよぉ」
涙を流しながら俯いてしまったサヤの背後でユキヒラが大きなため息をついた。
サヤ
age.19
rank.S
level.159
使用可能レベル50.電気ショック
使用可能レベル100.雷撃
使用可能レベル150.ライトニング
money.1,799,000G
深夜。
魔王城では慌ただしく漆黒の鎧を身に纏った騎士達が歩き回っていた。
「魔王を呼んで来てくれ。私は控えの間に寄ってから玄関ホールに向かう」
険しい表情を浮かべ城内を歩くギフリードが向こう側から歩いてくる猫耳が印象的な女性に声をかける。
「分かったよ。魔王様に準備が整ったことを知らせてくる」
んにゃと笑みを浮かべ頷いた猫耳の女性が右側に繋がる通路に足を踏み入れる。
ギフリードは、そのまま直進し控えの間に向かう。
ギフリードに指示を受け魔王の寝室にたどり着いた猫耳の女性がドアのぶを掴む。
ノックをする事なく勢い良く開かれた扉は壁に打ち付けられて反動で跳ね返る。
壊れてしまいそうな程の勢いで扉を開いた猫耳が印象的な女性に悪気は無い。
「ほう……」
唐突に開かれた寝室の扉に視線を向けた魔王が、ぽつりと呟いた。
黒を基調とした室内を埋め尽くすのは錆びた刀や剣。
使い物にならないほど壊れた武具やアイテムだった。
室内を囲むように置かれているのは、どれも太古に使われていた魔術師の杖。闇魔法の結晶。なかなか手に入れることの出来ないアイテムなど。
よく見れば使い物にはならないけど、どれも過去に有名な人物が使っていた武器やアイテムばかりが揃っていた。
大事そうに透明なケースに入れられて保管されている。
貴重なアイテムや武具が室内を埋め尽くす中、ほんの少し中央にあいているスペースがあり。
空いたスペースに設置されているベッドの上に腰かけて、黒いブーツを身に付けている魔王が呆然と佇む猫耳の女性を見てククッと肩を震わせる。
少し前屈みになりブーツの紐を結んでいた魔王は靴以外、何も身に付けてはいない。
着替えの真っ最中のため全裸だった。
バタンッと音を立てて素早く扉を閉める。
謝罪も言い訳も咄嗟に出てこなかった。
開いた扉を勢いよく閉じた猫耳の女性が唇に中指、人差し指、薬指。
3本の指先をあて、あわわわわと体を震わせる。
「やだ……ビックリしすぎて、お漏らししちゃいそう」
足をガクガクと震わせて中腰になった猫耳の女性が呟く。
ピーンと立っていた猫耳が魔王の全裸を見てしまった。後で怒られると、恐怖心に支配されているため耳を後ろに向けて怯えている。
プルプルと体を震わせる騎士の目の前でゆっくりとドアのぶが回り。
ガチャッと音を立てて寝室から魔王が姿を現した。
「お漏らしは止めてね。後始末が大変だから」
そして、室内にいたはずなのに猫耳の女性の独り言が、しっかりと聞こえていた魔王が口元に手を当ててクスクスと笑う。
魔王の反応から、彼女が怒っていない事を知った猫耳の女性の表情が明るく変化した。
控えの間に移動したギフリードが扉をノックすると室内にいる人物が返事をする。
室内に足を踏み入れる事を許されたためギフリードが扉を開くと
「本当にいいのか? 魔力が枯渇すれば妖精はしばらくの間、元の姿には戻れないと聞くが」
室内には中性的な顔立ちの青年が佇んでいた。
「はい、大丈夫ですよ」
無表情を浮かべたままリンスールが頷き即答する。
返事を耳にして安堵した様子のギフリードが身を翻す。
「悪いな。魔界と人間界を繋ぐには魔王と国王の魔力だけでは足りないんだ」
ぽつりと呟き扉を開く。
リンスールに向け頭を下げたギフリードが玄関ホールに案内する。
ヒビキや鬼灯やヒナミとドワーフの塔で別れたリンスールは宿に戻るため足を進めていた。
街路を歩く魔族達が種族の違うリンスールを、もの珍しそうに眺めている。
しかし、周囲を気にすることなく進むリンスールは視線を集めることになれてしまっていた。
そんなリンスールの元に魔王からの指示を受けたギフリードが姿を現した。
リンスールに魔王の考えを伝えると無言のまま何やら考え出したリンスールが少しの沈黙の後、小さく頷いた。
分かりましたと頷いたリンスールが魔王城へ赴むく事を決める。
「魔王や国王に貸しを作る事にしましょうか」
クスッと表情に笑みを浮かべたリンスールが、ふわりとその場に浮かぶ。
そして、今まで隠していた羽をひろげると飛行術を使うギフリードと共に空を飛ぶ。
真っ直ぐ魔王城に向かった二人を通行人である魔族達が見上げていた。
そして今に至るわけだけど。
突然お手紙を差し上げます失礼をお許しください。
手紙の冒頭は綺麗な文字。
丁寧な書き出しで始まっていた。
国王の名前もフルネームで記載されており、魔王は黙々と手紙を読み上げていた。
しかし、文章を読み上げていくうちに徐々に文字の形が崩れだす。
次第に手紙の文字は走り書きになり、何やら魔王に対して親しげな口調で手紙の内容が書き記されている。
唐突に手紙の書き方が雑になり、出だしとのギャップに国王は、どのような人物が務めているのだろうかと興味を抱いた魔王がククッと肩を震わせて笑う。
魔王が国王に対して興味を持った瞬間である。
文章の末尾になるにつれて徐々に綺麗な文字に戻り始める。
誠に厚かましいお願いとは存じますが、魔王城から私の寝室までゲートを通して下さいますよう、お願い申し上げます。
頼み事は魔界から人間界へと通じるゲートを作る事だった。
手紙を読み上げて随分と面白い事を考える国王もいたもんだと笑う魔王が、すぐに頼み事を受ける事を決意する。
この手紙を書いた国王に会ってみたいと思った。
やると決めた魔王の行動は、とても早かった。
すぐに国王に向けた手紙を書く。
魔界と人間界を繋ぐゲートを造ろうではないかと手紙に記した魔王が暗黒騎士の一人に手紙を渡して国王に届けるように指示を出す。
深夜に決行する事、国王にもゲートを繋ぐためにしてほしい事があったため詳細を手紙に記した。
深夜。
魔王の手紙に記されていた時刻になり人間界にある城の中でも銀騎士達が慌ただしく動き回っていた。
「そろそろ、お時間です」
「分かった。今から向かう」
調査隊の青年に呼ばれて、カツカツと足音を立てて歩きだした国王の足取りは早い。
白いもこもこのファーの付いた真っ赤なマントを揺らしながら、足早に廊下を歩く国王も慌ただしく城内を歩きまわっている。
「調査隊は寝室の前に待機。騎馬隊は寝室に。特攻隊は城の外の警備を」
早口でそれぞれの部隊に指示を出した国王に、それぞれの部隊長が敬礼をする。
「特攻隊!」
金髪の女性が大声を張り上げる。
「城の外へ!」
女性が続けた言葉に特攻隊が一斉に城の外へ向け歩き出す。
「騎馬隊!」
黒い髭を生やす、がたいの良い男性が声を張り上げる。
「国王と共に!」
黒い髭を生やした男性の言葉に騎馬隊が足早に歩く国王の後に続く。
「ち、ちちち調査隊!」
最近、調査隊の隊長に任命された青年は汗だくだった。
大勢の仲間の前で声を上げる緊張から言葉を噛む。
「し、しししし! 寝室前の警備!」
冷や汗をだらだらと流しながら顔をひきつらせ、それでも言い切った隊長の背を部下達が落ち着かせるようにしてポンポンと叩く。
「おちつけ」
「大丈夫」
ガチガチに緊張している隊長の横を通りすぎていく部下達が、今にも涙ぐみそうな隊長を勇気づけようと声をかける。
「国王の前では普通に話せるのに、何で仲間の前だと緊張するのよ」
最後に調査隊の副隊長を務める女性が、ぽつりと青年の耳元で呟く。
緊張から動けずにいた隊長の腕を引きよせ、前を行く調査隊の後を追った。
その頃、魔界では玄関ホールに足を踏み入れた魔王とリンスールが初対面の挨拶を行っていた。
「私はリンスールと申します。宜しくお願いします」
無表情ではあるけれども深々と頭を下げるリンスールに魔王も習って頭を下げる。
「私はウィネラ。妖精王であるリンスール様のお噂はかねがね聞いております。一度お手合わせ願いたかった」
「いえ、今の私はレベルや魔力を封印されてしまった身です。王と呼ばれる資格はありません。魔王ウィネラ様とお手合わせなど、とんでもない事でございます。すぐに私が地面に倒れ伏す事により決着がつきますよ」
魔王の申し出にリンスールは首を左右にふる。
しかし、魔王は引き下がらなかった。
「あぁ。それなら今の私もレベルと魔力は封印されてしまってるんだ。だから良い勝負になりそうだな」
リンスールと同じように魔王も何らかの術をかけられており、レベルと魔力を封印されてしまっていた。
もともと使えていたスキルはレベルが封印された事により使えなくなった。
しかし、全てのスキルが封印された訳じゃなく封印をされてしまったレベル分のスキルが使えなくなってしまったため、初期段階のスキルは使用可能だった。
「まさか魔王もレベルや魔力に封印の術をかけられてしまっていたなんて思ってもいなかったのですが、天界の王もある朝起きたらレベルや魔力が封印されていたと言ってました」
まさか魔王までレベルや魔力が封印されているとは、予想もしていなかった事実を知り戸惑うリンスールに魔王が問いかける。
「やはり朝起きたら封印されていたのか?」
「ええ、起きたらレベルが下がり魔力も封印されていました」
「実は人間界の国王から届いた手紙にも、それらしい事が書いてあってな」
国王から届いた手紙の下の方に小さい文字で走り書きされていた。
私にも手伝えることがあったら言ってください。
魔力を封じられている身なので大した事は出来ませんが。
手紙を書き終えた後に追加した文字は薄く。
時間のない中、書き記されたらしい。
「何者かが私達にとって良くないことを企んでいるようですね」
リンスールが真剣な表情を浮かべて、ぽつりと呟くと魔王が深く頷く。
国王と魔王が人間界と魔界を繋ぐゲートを繋ごうとしている頃、ヒビキは鬼灯と二人でおやつの奪い合いを行っていた。
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