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ドラゴンクエスト編
16話 調査隊とユキヒラ
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調査隊の隊長を務めている青年は汗だくだった。
謁見の間まで全力疾走を行ったようで髪が随分と乱れている。
荒い呼吸を繰り返している青年が大きく息を吸いこむと、呼吸を整えるため一気に息を吐き出した。
「魔界に向かっていた調査隊1班がドラゴンと鉢合わせしたようです。東の森の洞窟内に生息していたものと思われます」
青年が国王に向けて差し出した無線機からは悲鳴や爆発音が響き渡っている。
遠くで甲高い笑い声やドラゴンの鳴き声が上がっていた。
爆発音や悲鳴に混ざって聞こえるグチャッと何かが潰れたような音は普段、耳にするような聞きなれたものではなく、顔を真っ青にする青年は無線機のボリュームを下げる。
国王が青年から無線機を取り上げた。
ボリュームが下がっているにも関わらずフロア内に巨大な爆発音が響き渡る。
無線機から放たれる巨大な爆発音は調査隊が攻撃を受けている証であり、国王が眉を寄せ険しい表情を浮かべる。
無線機から流れていた悲鳴が次第に弱まっていき、辺りは静寂に包まれる。
「今すぐ騎馬隊を現地に向かわせる」
調査隊を一人でも多く助けるため、国王は顔面蒼白の青年に命令を下す。
「は……はいっ、承知しました!」
国王の命令にピシッと敬礼をした青年がバタバタと慌ただしい足音を立て走り去る。
突然の緊急事態に国王が背後に佇んでいるギフリードに深々と頭を下げた。
「せっかく訪ねて貰ったのにすまないが、急用が出来た」
悪いなと一言呟いて国王は素早く身を翻す。
国王の元に銀騎士団調査員の青年が訪ねる少し前。
極寒の雪山を抜け地下の洞窟に続く出入り口付近で銀騎士の調査隊とユキヒラが向かいあっていた。
人間界の東の森に生息していたドラゴンを探していた調査隊がドラゴンの背に乗るユキヒラと鉢合わせしてしまったため、引き返すことも出来ず仕方なくユキヒラに声をかける。
背後を振り向いたユキヒラは、ニヤニヤと締まりの無い笑みを浮かべて調査隊を見下ろしたため向かいあい、見つめあう形になった。
「あれぇ? どうして銀騎士が、こんな所にいるのぉ?」
クスクスと楽しそうに笑うユキヒラとは違って調査隊は険しい表情を浮かべている。
「まぁ、いいや。やつけちゃおうか!」
自分から問いかけたのにユキヒラは銀騎士からの返事を待つことなく大声を上げる。
突然の攻撃の指示により慌ててナイフを取り出し構えをとる。
彼ら調査隊は情報を売りお金を稼ぐ集団だった。
基本的にモンスターと接触しないように気配を殺し移動する彼らの武器といえば、ご信用に持ち歩いているナイフだけ。
中には果物ナイフを手にする調査隊もいる。
そんな彼らを嘲笑うようにユキヒラは奇妙な笑みを浮かべている。
「あ、お兄さん達もしかして銀騎士の調査隊だったぁ?」
ナイフを取り出した調査隊を見下ろしてニヤニヤと笑うユキヒラが肩を震わせる。
「そんな小さなナイフで僕に勝てると思ってるのぉ?」
声を大きくして頭は大丈夫かなと問いかけたユキヒラがツンツンと自分の頭を人差し指で突っついて見せる。
クスクスと笑うユキヒラは調査隊達の感情を逆撫でするような態度と発言を繰り返す。
しかし、調査隊はユキヒラの相手をする気は全くなかった。
調査隊から全く合図にされずに憤るユキヒラは、大声を張り上げてドラゴンの背中を叩く。
相手にされず気分を害しているようで調査隊を睨み付ける。
「騎馬隊が到着するまで持ちこたえるぞ!」
「ドラゴンに負けるな!」
「おー!」
なおもユキヒラの相手をする気のない調査隊員が、それぞれに口を開く。
完全に無視をされてしまってるユキヒラが唇を尖らせる。
そして、イライラし始めたのかドラゴンの背中を叩いたユキヒラは、すぐ背後に腰を下ろしていた女性の体を押し地面に突き落とした。
「ドラゴンの相手だけじゃなく、この子の相手もしてあげてよ!」
ドサッと地面に倒れる形で調査隊の前に姿を表した女性が無言のまま、その場に立ち上がる。
今までユキヒラの影で大人しくしていた女性が渋々と調査隊の前に姿を現した。
「僕の新しいお人形さんだよ」
クスクスと笑うユキヒラが無理やり女性に魔力を与える。
強引に魔力を注ぎ込まれて体の自由がきかない女性は涙を流していた。
ドラゴンに踏み潰されて息耐えたはずなのに気がついたら、自分を殺したはずのドラゴンとユキヒラが目の前にいた。
そして、ユキヒラに君は僕の奴隷になったからと告げられる。
僕が君の身体を動かすから。
淡々とした口調で呟いたユキヒラの言葉通り、自分で体を動かそうとしたけれど腕どころか指先までピクリとも動かなかった。
ドラゴンに踏み潰される直前に自分を助けようとしてくれた鬼灯と狐の面を着けた討伐隊隊長の姿を思い出す。
ユキヒラの話によると、ボスモンスター討伐隊は壊滅したらしい。
隊長の体に攻撃を当てて骨を砕いた。
そして意識を失った隊長を崖の下に突き落としたと自慢気に語るユキヒラに対して殺意を抱く。
鬼灯はユキヒラの剣が胸を貫いたため激しい出血の後に息耐えたと言う。
許せない、大好きなお兄ちゃんを奪われて憤りを感じるのに体は言うことを聞かず、ユキヒラの指示に素直に従ってしまう。
実は崖から突き落としたはずの討伐隊隊長が生きている事をユキヒラは女性に伝えなかった。
彼女の絶望した顔が見たかったから。
ユキヒラの思惑通り仲間が全て死んでしまって愕然とする女性は、ただ涙を流すばかりで抵抗をする気力も失っていた。
目の前に現れた女性を見た調査隊が驚きのあまり、目を見開き固まってしまう。
確かに自分達が彼女を見つけた時、彼女は息耐えた状態だった。
ボスモンスター討伐隊の遺体を城まで運んだのは自分達だったのだから、手で触れて討伐隊員達の脈の確認をした。
確かに変わり果てた女性の姿もあった。
それなのに自分達の目の前で佇み涙を流す女性は生前の美しい姿のまま、生気を感じることは出来ないけど自分の足で立ち無理やりとは言えユキヒラの命令に従って動いている。
「彼女に何をした!?」
杖を持ち今にも魔法攻撃を仕掛けてきそうな女性を指差して調査隊の一人が声をあげる。
「何って魂を体に戻してあげただけだよ。僕の術でね。ただし彼女の体は、もう僕のものだから僕の命令でしか動かないけどね。あと、僕の魔力が尽きたら彼女も遺体に戻っちゃうからね」
不気味な笑みを浮かべるユキヒラが長々と説明をする。
ニヤニヤと締まりの無い笑みを浮かべながら女性を強引に操るユキヒラに対して調査隊は渋い顔をした。
「さぁ、彼らをやっちゃって!」
元々仲間だった女性に指示を出したユキヒラが調査隊をピシッと指差した。
本当は彼らと戦いたくはない。
しかし、強引に体を操られてしまう。
ユキヒラが特殊魔法を発動している間は、抵抗を試みるものの手足が勝手に動く。
カンッと音を立てて杖を地面に打ち付けると、たちまち空が薄暗く曇り始める。
灰色の雲が頭上に集まりはじめて、雷を発生させる。
生前この大技は一度使うと激しく魔力を消耗したため数時間は同じ技を使うことが出来なかった。
ユキヒラは膨大な量の魔力を持っているようで、この大技を何度も連続で発動させた。
殺したくないのに。
彼女の放った落雷が調査隊の体を直撃する。
死なせたくはないのに。
落雷を受けた調査隊が数名、全身を焼かれ真っ黒い遺体となり、その場に頽れた。
ドラゴンが女性の隣で暴れだす。
女性の記憶の中にある、死の瞬間の恐怖がフラッシュバックした。
ドラゴンは何度も仲間に尻尾を打ち付けた。
仲間を踏みつけ体を引きちぎった。
死ぬ直前に見た光景は、それはそれは悲惨なものだった。
次から次へと仲間を失って近くで戦っていた鬼灯にも徐々に疲れが見え始めていた。
精神的にダメージを受け、残りが鬼灯と自分の二人だけだと思った時は愕然とした。
一番最初にドラゴンの木のツルに弾き飛ばされた隊長が姿を表した時には仲間が、もう一人いたと微かに希望を持った。
しかし、そのすぐ後に自身がドラゴンの攻撃を受けてしまう。
ドラゴンに踏み潰される直前に、こっちに向かってくる隊長と遠くで防御魔法を張ろうとしていた鬼灯を見た。
二人とも間に合わなかったけど。
それでも嬉しかった。
最後まで諦めずに助けようとしてくれたのだから。
せめて二人が、あの後ドラゴンから逃げ切ってくれていたら良かったのに。
考え出したら溢れだす涙が止まらない。
調査隊が次々と倒れていくのを見つめながら女性は目蓋を閉じる。
仲間に会えないのなら人を殺してしまうくらいなら息絶えたままでいかったと嘆いた。
騎馬隊が到着した時には既に調査隊1班は全滅。
地下洞窟の入り口付近には、とても悲惨な光景が広がっていた。
「くそっ、間に合わなかった」
騎馬隊の一人が声を絞り出す。
体を焼かれて息耐えた者。
踏み潰された者。
体を引きちぎられた者。
死因はそれぞれ違うけど酷い殺され方をした仲間を眺める。
中には昨日まで言葉を交わしていた友の姿もあった。
ユキヒラが地下の洞窟に足を踏み入れた頃、ヒビキは飛行術を手に入れるためお金集めに勤しんでいた。
新たに仲間に加わった魔術師の青年と共に3階層のドワーフを倒していく。
「お兄ちゃん! 後ろ、後ろ!」
前方から無数の槍が迫り来る。
右へ左へ体を動かし避ける。それでも避けきれそうにない槍を剣で弾いていると、突然ヒナミが大声を上げる。
「後ろ?」
ヒナミの言葉に反応をして背後を振り向いた途端。勢いよく額にドワーフからの頭突きを受ける。
斧を振り上げて襲ってきたドワーフが突然、振り向いたヒビキとの距離を詰めすぎていたため互いに頭突きをする事になったのだが。
「痛……」
額を押さえて尻餅をついたヒビキの目の前で同じく額を押さえて倒れ込んだドワーフが、じたばたと足を動かして踠いている。
周囲で狩りを行っていた冒険者達がドワーフからの頭突きを受けたヒビキを見て笑っている。
ドワーフに頭突きをされた奴なんて初めて見たと言うけどヒビキも、まさか頭突きを受けるなんて夢にも思っていなかったため放心状態だった。
「お兄ちゃん! 上、上!」
周囲の冒険者からの視線を集めていると突然ヒナミが声を上げる。
「上?」
今度は上かと思い顔を上げると沢山のドワーフが嬉しそうに降ってくる。
目の前に迫るドワーフに驚き顔を引きつらせて無意識の打ちに足を引く。
咄嗟に頭が働かず体を縮めこむ事しか出来ない。
どうする事も出来ずにいると、魔術師の青年がカンッと音を立てて杖の底を地面にあてる。
突然ヒビキの身体が透明な防壁に囲まれる。
すると上から、にこやかに降ってきたドワーフが顔面からブチュッと壁に激突した。
顔を両手で覆って地面に背中から落ちたドワーフが、じたばたと踠いている。
「うわ……痛そう」
顔面を強打って。
随分と間抜けなドワーフもいたもんだ。
頬が強ばる。
思わず本音を漏らせば近寄って来た魔術師の青年に最大限に手加減をされつつも頭を叩かれる。
「呆けすぎだ」
力を込めていなかったため痛くは無かったけど口調は本気で怒っている。
「ごめんなさい」
魔術師の青年を見上げて謝ると、遠くでドワーフの集団を相手にしていたリンスールがクスクスと肩を震わせて笑っていた。
「ヒビキ君は一対一は確かに強いです。しかし、チーム戦や敵が複数いる場合は、まるっきり駄目ですね」
そしてリンスールが続けた言葉を聞き確かに、その通りだと自分でも頷いてしまう。
仲間の攻撃にはあたるし助けられるし何だか仲間の足を引っ張っているだけのようにも思える。
「俺の知ってる奴もチーム戦は、まるっきり駄目だったな。通常の狩りの時にも仲間にとどめを奪われていたし」
ククッと笑う魔術師の青年が言葉を続ける。
「でも、あいつの場合はレベル上げやお金を貯める事には興味が無かったようだし。とろいお前とは、また別か」
そして、一人で納得してしまった青年に、さらっと酷いことを言われた気がする。
「何か否定できない所が辛い……」
自分でもそう思うのだから否定することが出来ない。
クスクスと笑う青年の言葉に納得してしまい頷くと、遠くでドワーフを倒し終えたリンスールがヒビキの元へ歩み寄る。
「また、このような物を拾ったのですが」
リンスールは次の階層に続く通行許可証を見つけるのが上手い。
差し出された金色に輝く板を覗き込むようにしてリンスールを囲むヒビキやヒナミは興味津々。
4階層への通行許可証と文字が記されている板を裏返すと、レベルが200未満であっても4階層へ行くことの出来る通行許可証と書き記されている。
使用回数は1回のみ。
非常に手に入れる事の難しい通行許可証はレアアイテムであり、ヒナミが興味深そうにリンスールの顔を覗き込む。
「緑色のお兄ちゃんはドワーフに好かれているんだね。滅多にお目にかかることの出来るアイテムでは無いから手に入れる事は難しいんだよ」
「緑色のお兄ちゃんですか」
見た目からリンスールの呼び名が決まったのだろう。
全く予想もしていなかった呼び名を耳にして、リンスールは苦笑する。
リンスールの見た目は黄緑色の髪の毛に黄緑色の瞳が印象的。
黄緑色と白色を基調とした衣服を身に付けているため確かに緑色が良く目立つ。
「だったら、ヒビキとヒナミと緑色のお兄さんの3人で通行許可証を使えばいい。俺は200レベルを越えているので、次の階層へ許可証を使わずに行くから」
ヒナミの呼び名を真似て、リンスールの事を緑色のお兄さんと口にした魔術師の青年は自分で口にしておきながら笑ってしまっている。
「今から4階層に行きますか?」
リンスールの肘が魔術の青年の横腹に深く食い込んだ。
ぐふっと声を漏らして横腹を両手で押さえて痛がる素振りを見せる魔術師の青年に対して穏やかな笑みを見せて問いかける。
「俺は別にかまわないが……」
「ごめんなさい。今日はもう遅いから明日でもいいかな?」
魔術師の青年は先へ進む気でリンスールの問いかけに対して頷いた。
ギルドカードを出現させて現在の時刻を確認し、首を左右に振るヒビキは申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「あまり遅くなると、お母さんに怒られちゃうの。ごめんね」
ヒナミがヒビキの腕を掴み魔術師とリンスールに向かって頭を下げる。
「ああ。俺は明日でも構わないが」
「そうですね。私も今日は早めに切り上げますか。昨夜は夜更かしをしてしまったので」
リンスールと魔術師の青年がヒビキとヒナミに予定を合わせてくれる。
ゆっくりと2階層に向け足を進めるリンスールを追いかけてヒナミがパタパタと慌ただしい足音を立て2階層の出入り口を抜ける。
続いてヒビキが2階層に下りて最後に魔術師の青年が2階層へ足を踏み入れる。
2階層には子供から、お年寄りまで沢山の冒険者が狩りを行うために集まっていた。
通行許可証を使って2階層へ足を踏み入れたのか3人の子供達が、悲鳴や奇声を上げ騒ぎながら2階層を走り回っている。
子供達を追い回しているドワーフが楽しそうにピョンピョンと跳び跳ねる。
子供達は逃げる事に必死になっていて気づいていないけど、その後方で中衛と思われるドワーフが長い呪文を唱えているのが見えた。
前にも見た光景に驚いてヒビキが慌てて口を開く。
「誰でもいいから、そのドワーフを倒してください」
気がつけば咄嗟に大声を上げていた。
それは、咄嗟に出してしまったから先程までの、おっとりとした口調ではなくて声のトーンを元の高へ戻してしまう。
隣で魔術師の青年が唐突に雰囲気の変わったヒビキを二度見して大きく肩を震わせた。
謁見の間まで全力疾走を行ったようで髪が随分と乱れている。
荒い呼吸を繰り返している青年が大きく息を吸いこむと、呼吸を整えるため一気に息を吐き出した。
「魔界に向かっていた調査隊1班がドラゴンと鉢合わせしたようです。東の森の洞窟内に生息していたものと思われます」
青年が国王に向けて差し出した無線機からは悲鳴や爆発音が響き渡っている。
遠くで甲高い笑い声やドラゴンの鳴き声が上がっていた。
爆発音や悲鳴に混ざって聞こえるグチャッと何かが潰れたような音は普段、耳にするような聞きなれたものではなく、顔を真っ青にする青年は無線機のボリュームを下げる。
国王が青年から無線機を取り上げた。
ボリュームが下がっているにも関わらずフロア内に巨大な爆発音が響き渡る。
無線機から放たれる巨大な爆発音は調査隊が攻撃を受けている証であり、国王が眉を寄せ険しい表情を浮かべる。
無線機から流れていた悲鳴が次第に弱まっていき、辺りは静寂に包まれる。
「今すぐ騎馬隊を現地に向かわせる」
調査隊を一人でも多く助けるため、国王は顔面蒼白の青年に命令を下す。
「は……はいっ、承知しました!」
国王の命令にピシッと敬礼をした青年がバタバタと慌ただしい足音を立て走り去る。
突然の緊急事態に国王が背後に佇んでいるギフリードに深々と頭を下げた。
「せっかく訪ねて貰ったのにすまないが、急用が出来た」
悪いなと一言呟いて国王は素早く身を翻す。
国王の元に銀騎士団調査員の青年が訪ねる少し前。
極寒の雪山を抜け地下の洞窟に続く出入り口付近で銀騎士の調査隊とユキヒラが向かいあっていた。
人間界の東の森に生息していたドラゴンを探していた調査隊がドラゴンの背に乗るユキヒラと鉢合わせしてしまったため、引き返すことも出来ず仕方なくユキヒラに声をかける。
背後を振り向いたユキヒラは、ニヤニヤと締まりの無い笑みを浮かべて調査隊を見下ろしたため向かいあい、見つめあう形になった。
「あれぇ? どうして銀騎士が、こんな所にいるのぉ?」
クスクスと楽しそうに笑うユキヒラとは違って調査隊は険しい表情を浮かべている。
「まぁ、いいや。やつけちゃおうか!」
自分から問いかけたのにユキヒラは銀騎士からの返事を待つことなく大声を上げる。
突然の攻撃の指示により慌ててナイフを取り出し構えをとる。
彼ら調査隊は情報を売りお金を稼ぐ集団だった。
基本的にモンスターと接触しないように気配を殺し移動する彼らの武器といえば、ご信用に持ち歩いているナイフだけ。
中には果物ナイフを手にする調査隊もいる。
そんな彼らを嘲笑うようにユキヒラは奇妙な笑みを浮かべている。
「あ、お兄さん達もしかして銀騎士の調査隊だったぁ?」
ナイフを取り出した調査隊を見下ろしてニヤニヤと笑うユキヒラが肩を震わせる。
「そんな小さなナイフで僕に勝てると思ってるのぉ?」
声を大きくして頭は大丈夫かなと問いかけたユキヒラがツンツンと自分の頭を人差し指で突っついて見せる。
クスクスと笑うユキヒラは調査隊達の感情を逆撫でするような態度と発言を繰り返す。
しかし、調査隊はユキヒラの相手をする気は全くなかった。
調査隊から全く合図にされずに憤るユキヒラは、大声を張り上げてドラゴンの背中を叩く。
相手にされず気分を害しているようで調査隊を睨み付ける。
「騎馬隊が到着するまで持ちこたえるぞ!」
「ドラゴンに負けるな!」
「おー!」
なおもユキヒラの相手をする気のない調査隊員が、それぞれに口を開く。
完全に無視をされてしまってるユキヒラが唇を尖らせる。
そして、イライラし始めたのかドラゴンの背中を叩いたユキヒラは、すぐ背後に腰を下ろしていた女性の体を押し地面に突き落とした。
「ドラゴンの相手だけじゃなく、この子の相手もしてあげてよ!」
ドサッと地面に倒れる形で調査隊の前に姿を表した女性が無言のまま、その場に立ち上がる。
今までユキヒラの影で大人しくしていた女性が渋々と調査隊の前に姿を現した。
「僕の新しいお人形さんだよ」
クスクスと笑うユキヒラが無理やり女性に魔力を与える。
強引に魔力を注ぎ込まれて体の自由がきかない女性は涙を流していた。
ドラゴンに踏み潰されて息耐えたはずなのに気がついたら、自分を殺したはずのドラゴンとユキヒラが目の前にいた。
そして、ユキヒラに君は僕の奴隷になったからと告げられる。
僕が君の身体を動かすから。
淡々とした口調で呟いたユキヒラの言葉通り、自分で体を動かそうとしたけれど腕どころか指先までピクリとも動かなかった。
ドラゴンに踏み潰される直前に自分を助けようとしてくれた鬼灯と狐の面を着けた討伐隊隊長の姿を思い出す。
ユキヒラの話によると、ボスモンスター討伐隊は壊滅したらしい。
隊長の体に攻撃を当てて骨を砕いた。
そして意識を失った隊長を崖の下に突き落としたと自慢気に語るユキヒラに対して殺意を抱く。
鬼灯はユキヒラの剣が胸を貫いたため激しい出血の後に息耐えたと言う。
許せない、大好きなお兄ちゃんを奪われて憤りを感じるのに体は言うことを聞かず、ユキヒラの指示に素直に従ってしまう。
実は崖から突き落としたはずの討伐隊隊長が生きている事をユキヒラは女性に伝えなかった。
彼女の絶望した顔が見たかったから。
ユキヒラの思惑通り仲間が全て死んでしまって愕然とする女性は、ただ涙を流すばかりで抵抗をする気力も失っていた。
目の前に現れた女性を見た調査隊が驚きのあまり、目を見開き固まってしまう。
確かに自分達が彼女を見つけた時、彼女は息耐えた状態だった。
ボスモンスター討伐隊の遺体を城まで運んだのは自分達だったのだから、手で触れて討伐隊員達の脈の確認をした。
確かに変わり果てた女性の姿もあった。
それなのに自分達の目の前で佇み涙を流す女性は生前の美しい姿のまま、生気を感じることは出来ないけど自分の足で立ち無理やりとは言えユキヒラの命令に従って動いている。
「彼女に何をした!?」
杖を持ち今にも魔法攻撃を仕掛けてきそうな女性を指差して調査隊の一人が声をあげる。
「何って魂を体に戻してあげただけだよ。僕の術でね。ただし彼女の体は、もう僕のものだから僕の命令でしか動かないけどね。あと、僕の魔力が尽きたら彼女も遺体に戻っちゃうからね」
不気味な笑みを浮かべるユキヒラが長々と説明をする。
ニヤニヤと締まりの無い笑みを浮かべながら女性を強引に操るユキヒラに対して調査隊は渋い顔をした。
「さぁ、彼らをやっちゃって!」
元々仲間だった女性に指示を出したユキヒラが調査隊をピシッと指差した。
本当は彼らと戦いたくはない。
しかし、強引に体を操られてしまう。
ユキヒラが特殊魔法を発動している間は、抵抗を試みるものの手足が勝手に動く。
カンッと音を立てて杖を地面に打ち付けると、たちまち空が薄暗く曇り始める。
灰色の雲が頭上に集まりはじめて、雷を発生させる。
生前この大技は一度使うと激しく魔力を消耗したため数時間は同じ技を使うことが出来なかった。
ユキヒラは膨大な量の魔力を持っているようで、この大技を何度も連続で発動させた。
殺したくないのに。
彼女の放った落雷が調査隊の体を直撃する。
死なせたくはないのに。
落雷を受けた調査隊が数名、全身を焼かれ真っ黒い遺体となり、その場に頽れた。
ドラゴンが女性の隣で暴れだす。
女性の記憶の中にある、死の瞬間の恐怖がフラッシュバックした。
ドラゴンは何度も仲間に尻尾を打ち付けた。
仲間を踏みつけ体を引きちぎった。
死ぬ直前に見た光景は、それはそれは悲惨なものだった。
次から次へと仲間を失って近くで戦っていた鬼灯にも徐々に疲れが見え始めていた。
精神的にダメージを受け、残りが鬼灯と自分の二人だけだと思った時は愕然とした。
一番最初にドラゴンの木のツルに弾き飛ばされた隊長が姿を表した時には仲間が、もう一人いたと微かに希望を持った。
しかし、そのすぐ後に自身がドラゴンの攻撃を受けてしまう。
ドラゴンに踏み潰される直前に、こっちに向かってくる隊長と遠くで防御魔法を張ろうとしていた鬼灯を見た。
二人とも間に合わなかったけど。
それでも嬉しかった。
最後まで諦めずに助けようとしてくれたのだから。
せめて二人が、あの後ドラゴンから逃げ切ってくれていたら良かったのに。
考え出したら溢れだす涙が止まらない。
調査隊が次々と倒れていくのを見つめながら女性は目蓋を閉じる。
仲間に会えないのなら人を殺してしまうくらいなら息絶えたままでいかったと嘆いた。
騎馬隊が到着した時には既に調査隊1班は全滅。
地下洞窟の入り口付近には、とても悲惨な光景が広がっていた。
「くそっ、間に合わなかった」
騎馬隊の一人が声を絞り出す。
体を焼かれて息耐えた者。
踏み潰された者。
体を引きちぎられた者。
死因はそれぞれ違うけど酷い殺され方をした仲間を眺める。
中には昨日まで言葉を交わしていた友の姿もあった。
ユキヒラが地下の洞窟に足を踏み入れた頃、ヒビキは飛行術を手に入れるためお金集めに勤しんでいた。
新たに仲間に加わった魔術師の青年と共に3階層のドワーフを倒していく。
「お兄ちゃん! 後ろ、後ろ!」
前方から無数の槍が迫り来る。
右へ左へ体を動かし避ける。それでも避けきれそうにない槍を剣で弾いていると、突然ヒナミが大声を上げる。
「後ろ?」
ヒナミの言葉に反応をして背後を振り向いた途端。勢いよく額にドワーフからの頭突きを受ける。
斧を振り上げて襲ってきたドワーフが突然、振り向いたヒビキとの距離を詰めすぎていたため互いに頭突きをする事になったのだが。
「痛……」
額を押さえて尻餅をついたヒビキの目の前で同じく額を押さえて倒れ込んだドワーフが、じたばたと足を動かして踠いている。
周囲で狩りを行っていた冒険者達がドワーフからの頭突きを受けたヒビキを見て笑っている。
ドワーフに頭突きをされた奴なんて初めて見たと言うけどヒビキも、まさか頭突きを受けるなんて夢にも思っていなかったため放心状態だった。
「お兄ちゃん! 上、上!」
周囲の冒険者からの視線を集めていると突然ヒナミが声を上げる。
「上?」
今度は上かと思い顔を上げると沢山のドワーフが嬉しそうに降ってくる。
目の前に迫るドワーフに驚き顔を引きつらせて無意識の打ちに足を引く。
咄嗟に頭が働かず体を縮めこむ事しか出来ない。
どうする事も出来ずにいると、魔術師の青年がカンッと音を立てて杖の底を地面にあてる。
突然ヒビキの身体が透明な防壁に囲まれる。
すると上から、にこやかに降ってきたドワーフが顔面からブチュッと壁に激突した。
顔を両手で覆って地面に背中から落ちたドワーフが、じたばたと踠いている。
「うわ……痛そう」
顔面を強打って。
随分と間抜けなドワーフもいたもんだ。
頬が強ばる。
思わず本音を漏らせば近寄って来た魔術師の青年に最大限に手加減をされつつも頭を叩かれる。
「呆けすぎだ」
力を込めていなかったため痛くは無かったけど口調は本気で怒っている。
「ごめんなさい」
魔術師の青年を見上げて謝ると、遠くでドワーフの集団を相手にしていたリンスールがクスクスと肩を震わせて笑っていた。
「ヒビキ君は一対一は確かに強いです。しかし、チーム戦や敵が複数いる場合は、まるっきり駄目ですね」
そしてリンスールが続けた言葉を聞き確かに、その通りだと自分でも頷いてしまう。
仲間の攻撃にはあたるし助けられるし何だか仲間の足を引っ張っているだけのようにも思える。
「俺の知ってる奴もチーム戦は、まるっきり駄目だったな。通常の狩りの時にも仲間にとどめを奪われていたし」
ククッと笑う魔術師の青年が言葉を続ける。
「でも、あいつの場合はレベル上げやお金を貯める事には興味が無かったようだし。とろいお前とは、また別か」
そして、一人で納得してしまった青年に、さらっと酷いことを言われた気がする。
「何か否定できない所が辛い……」
自分でもそう思うのだから否定することが出来ない。
クスクスと笑う青年の言葉に納得してしまい頷くと、遠くでドワーフを倒し終えたリンスールがヒビキの元へ歩み寄る。
「また、このような物を拾ったのですが」
リンスールは次の階層に続く通行許可証を見つけるのが上手い。
差し出された金色に輝く板を覗き込むようにしてリンスールを囲むヒビキやヒナミは興味津々。
4階層への通行許可証と文字が記されている板を裏返すと、レベルが200未満であっても4階層へ行くことの出来る通行許可証と書き記されている。
使用回数は1回のみ。
非常に手に入れる事の難しい通行許可証はレアアイテムであり、ヒナミが興味深そうにリンスールの顔を覗き込む。
「緑色のお兄ちゃんはドワーフに好かれているんだね。滅多にお目にかかることの出来るアイテムでは無いから手に入れる事は難しいんだよ」
「緑色のお兄ちゃんですか」
見た目からリンスールの呼び名が決まったのだろう。
全く予想もしていなかった呼び名を耳にして、リンスールは苦笑する。
リンスールの見た目は黄緑色の髪の毛に黄緑色の瞳が印象的。
黄緑色と白色を基調とした衣服を身に付けているため確かに緑色が良く目立つ。
「だったら、ヒビキとヒナミと緑色のお兄さんの3人で通行許可証を使えばいい。俺は200レベルを越えているので、次の階層へ許可証を使わずに行くから」
ヒナミの呼び名を真似て、リンスールの事を緑色のお兄さんと口にした魔術師の青年は自分で口にしておきながら笑ってしまっている。
「今から4階層に行きますか?」
リンスールの肘が魔術の青年の横腹に深く食い込んだ。
ぐふっと声を漏らして横腹を両手で押さえて痛がる素振りを見せる魔術師の青年に対して穏やかな笑みを見せて問いかける。
「俺は別にかまわないが……」
「ごめんなさい。今日はもう遅いから明日でもいいかな?」
魔術師の青年は先へ進む気でリンスールの問いかけに対して頷いた。
ギルドカードを出現させて現在の時刻を確認し、首を左右に振るヒビキは申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「あまり遅くなると、お母さんに怒られちゃうの。ごめんね」
ヒナミがヒビキの腕を掴み魔術師とリンスールに向かって頭を下げる。
「ああ。俺は明日でも構わないが」
「そうですね。私も今日は早めに切り上げますか。昨夜は夜更かしをしてしまったので」
リンスールと魔術師の青年がヒビキとヒナミに予定を合わせてくれる。
ゆっくりと2階層に向け足を進めるリンスールを追いかけてヒナミがパタパタと慌ただしい足音を立て2階層の出入り口を抜ける。
続いてヒビキが2階層に下りて最後に魔術師の青年が2階層へ足を踏み入れる。
2階層には子供から、お年寄りまで沢山の冒険者が狩りを行うために集まっていた。
通行許可証を使って2階層へ足を踏み入れたのか3人の子供達が、悲鳴や奇声を上げ騒ぎながら2階層を走り回っている。
子供達を追い回しているドワーフが楽しそうにピョンピョンと跳び跳ねる。
子供達は逃げる事に必死になっていて気づいていないけど、その後方で中衛と思われるドワーフが長い呪文を唱えているのが見えた。
前にも見た光景に驚いてヒビキが慌てて口を開く。
「誰でもいいから、そのドワーフを倒してください」
気がつけば咄嗟に大声を上げていた。
それは、咄嗟に出してしまったから先程までの、おっとりとした口調ではなくて声のトーンを元の高へ戻してしまう。
隣で魔術師の青年が唐突に雰囲気の変わったヒビキを二度見して大きく肩を震わせた。
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