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全然気づいてないご様子の彼
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「真琴ーこれ手伝ってー」 「…あ、りっちゃん?何手伝えばいいの?」 俺がレポートの手伝いを頼んだのは幼馴染の真琴。それはまあイケメンでモテモテ。ムキリョク系?とか言うらしい。女子が何か言ってた。「何?りっちゃん何でちょっと誇らしそうなの?」 「ふふふ…お前あの女子を見ろ!多分お前のことが好きなやつなんだ!俺としちゃあ、幼馴染がモテモテなのは、嬉しいことだからな!」 「…こりゃ、先は長そうだなあ…」誇らしげにする俺を真琴はぽんぽん、と撫でた。どこか遠い眼をしながら。「俺は別に迷惑なだけだよ…あんなのはさ。」 「そ、そういう事言ってると嫌われるぞ…」 「そんなの気にしないからなぁ。それよりりっちゃんレポート。」 そう言って真琴は腕を俺に向けてくる。 「やぁめろ!腕を絡めるな!そしてその流れで膝に乗せるな!」 「もーりっちゃん暴れない。とか言いながらまんざらでもなさそうな顔じゃん? ここ知りたくて来たんでしょ? これはね…」膝に乗せながらきちんと説明してくる真琴にもう怒る気力も出なくなった。いつもこうなんだ。べったりというか…まんざらでもない顔をしているかもしれないのは、こいつにとって俺が特別ということの意思表示だと思っているから。でも、最近は違う。こーいうのが、恥ずかしくなって来たんだ。それに、他の女子と一緒にいる所を見たらモヤモヤして突撃したくなって「こいつにとっての一番は俺だもんな!」と自慢しそうになるのだ。間近で顔を見ようものなら多分逃げる自信がある。見上げれば、整った顔、きらきらした目元、それに高身長。186らしい。俺、163。「ん?どした?理津紀?」 すぐ近くに真琴の顔。ふんわり、ほのかに良い香りが耳をくすぐる。「っな、なんでもない」 こいつ、こんな香りしてたか?良い匂いすぎて頭ぼんやりする… 多分赤くなったであろう俺の顔を見て、真琴が呟いた。 「意外と、もう少しなのかなぁ?」 「?何か言ったか?聞こえんかったぞ。」 「いーえ、なんにも?」 「嘘こけさっきちょっと言っただろ。教えろ。」 「…気になる?」 ぐい、と真琴が顔を近づける。この近さじゃ、茹でダコみたいに真っ赤になってしまうようだ。全身が赤く、熱い。「きゅっ、急にななんだよ?」声が震える。マンガみたいなセリフになってしまった。 とても近くなった顔、あああなに?!ちょ待てやこら―… 言葉になることはなかった。 ちゅっ 随分と可愛らしいリップ音。口元で鳴った。気の所為であることを切望したが、周りの反応としてやったりとしたり顔をしながらまた抱きついてくる真琴を見て現実とわかった。そして、理解した瞬間に俺はもう目に見えないくらいの速さで逃げた。と思う。もう、記憶があやふやになるくらいに衝撃的だったから。
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