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第五章
第238話 凄い悪者がいましたよ
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ドサッ、ドサッドサッと三人がその場に崩れ落ち、最後の一人はボトッと奴隷の魔道具が落ちました。
「こ、これはどういう事ですか!? お、おい、しっかりしろ! ······な、なに! 奴隷の魔道具が外れている」
「はい。この方達は悪者ですから気絶させました。お兄さんは人攫いでここに来たのですよね?」
倒れた者を揺り動かしていて、自分の手首を見たのでしょう。奴隷魔道具が無くなっている事に気付いて聞いてきました。
「そ、そうだがどうして、それに奴隷の腕輪が外れるなんて」
「僕には外せるのですよ、もちろん悪い事をした人のは外しません。今から教会の悪者を全員捕まえますので、お兄さんは、安心して下さいね」
「分かった。ありがとう少年。なにか手伝う事はあるかな?」
「いえいえ。僕には二人も仲間がいますから大丈夫です。お兄さんは冒険者ギルドの隣に転移させますから、そこでなにかあれば手伝ってあげて下さい」
お兄さんは頷きなにか言いそうでしたが、誰かが近付いてきましたので、転移で送っておきました。もちろん悪者はカヤッツにお任せです。
大きな扉ではなく、横に合った普通の大きさの扉から一人、二人と計五人の白いローブ姿のおじさん達が出てきました。
「なんの音ですか。枢機卿様達の到着······ではなさそうだな、お前達は何者だ? それに門番がいないではないか」
(五人とも駄目なヤツね。ちょうど開けてくれたのだから、あそこから入りましょうよ)
(はい。では、ぐるぐる~)
「なぜ答えないのですか? 冒険者のようですが今日から――」
(ほいっと!)
ドサッと五人纏めて倒れましたので、おじさん達が持っている魔道具を収納して、テラとアミーにも手伝ってもらい奴隷の魔道具を嵌めた後、カヤッツに送りました。
おじさん達が出てきた扉から中に入ると――っ!
「この感じは邪神さん! テラ、アミー、気を付けてください、この前のガープなんて足元にも及ばないほどの魔力を持った邪神さんがいますよ」
「くっ、なんでこんな強力なヤツが······それも私に気付かせないなんて、まずいわよ、ライ、おもいっきりやっちゃいなさい! アミーは私と結界を張るわよ!」
「くぬぬ。恐ろしいほどの圧力じゃ、テラ様に合わせるのじゃ!」
「大丈夫ですよ、僕が二人に魔力が行かないように動かします! ぐるぐるー! ほいっと! もう、この大聖堂の中の人は纏めて気絶させちゃいます! 後で謝りますね! くっ、負けませんよ! ぐるぐるー! ほいっと!」
一気に押し寄せてきた触れるんじゃないかと思えるほどに濃い魔力が僕達に迫ってきましたが、気付くのが早かったお陰で、後ろから来たテラとアミーは、ほんの少し浴びただけで避ける事に成功しました。
「二人とも僕から離れないで下さいね。ぐるぐるは全開でやってますけれど、しばらくかかります。テラ、この大聖堂の中の魔道具を収納しちゃいますけれど大丈夫ですか? 気絶した人は転移させちゃいます」
「ちょっと待ってね! んん! やっちゃって! カヤッツにはとりあえず全員に魔道具を付けるように手紙を書きなさい! 分けてる場合じゃないから!」
僕はすぐに紙とペンを出して手紙を書いて先にカヤッツに向けて飛ばし、その後すぐに気絶した人達を飛ばして、魔道具をすべて収納してしまいました。
すると――っ!
ゴゴゴゴと音が鳴り出し、パラパラと天井からホコリや小さな石が落ちてくるじゃないですか!
「あっ、遣っちゃいましたよ! い、一回外にでますよ! 転移!」
パッ
大聖堂の遥か上空に転移して、浮遊でその場に浮く事に成功しました。
「危なかったです、建物の大事なところに魔道具が使われていたみたいですね」
「ふぅ。これだけ離れれば圧も無いわね、でも見事に潰れたわよ」
「崩れたお陰でホコリが立ち込めておるな。して、あの圧の主は何者じゃ?」
「あれほど強力な邪神はアイツしかいないわ。バアルね、ライ、どれくらいかかりそう? 今は何が起こったか分かってもいないはずだから、今の内なんだけど」
「数時間はかかりそうですよ。物凄く多い上に、回復もどんどん回復している感じです」
まずいですね、フィーアなら教えればできそうですけど······聞いて見るしかありませんね。
「ちょっと念話でフィーアにですが、僕と同じようにぐるぐるで魔力を抜けるか聞いてみます」
「それならぐるぐるしてる全員よ。少しでもバアルの魔力を動かせたら良いのだから。アミーもやり方は分かるでしょ、頑張ってみなさい」
「ふむ、やってみようぞ! ぐ~るぐる~なのじゃ!」
アミーはぎこちなくですが、魔力を動かし始めました。流石魔王と呼ばれるだけあって、やり始めるとどんどん滑らかに魔力を回しています。
おお! ムルムルもできていますね、ありがとうムルムル。
そして僕はぐるぐるできそうな、お屋敷のみんなと、フィーア、ティ、プシュケとリント、イシェに、兄さん達もですね。早速念話を送りました。
(みんな聞いて下さい。今、凄く強い邪神の魔力を抜いています。相手の魔力をぐるぐるできる方いますか! いたら返事をして下さい!)
(ライ! フィーアよ! 任せといて!)
(僕もできるよ! 兄さんもできるって!)
(母さんも大丈夫よ! 後のみんなはまだ無理だけど、どうすれば良いの?)
(今からこっちに呼ぶから助けて欲しいです! 行きますよ! 転移!)
パッ
「な、なによここ! 浮いてるじゃない!」
「「うわっ!」」
「っ! ライ、あんな大きな力の塊を相手にしてるの!? フィーア、アースもシーも全力で回しちゃいなさい! 行くわよ!」
「フィーア、母さんに兄さん達もアミーに、あっ、ムルムルもお願いします! 全開です! ぐるぐるー!」
「こ、これはどういう事ですか!? お、おい、しっかりしろ! ······な、なに! 奴隷の魔道具が外れている」
「はい。この方達は悪者ですから気絶させました。お兄さんは人攫いでここに来たのですよね?」
倒れた者を揺り動かしていて、自分の手首を見たのでしょう。奴隷魔道具が無くなっている事に気付いて聞いてきました。
「そ、そうだがどうして、それに奴隷の腕輪が外れるなんて」
「僕には外せるのですよ、もちろん悪い事をした人のは外しません。今から教会の悪者を全員捕まえますので、お兄さんは、安心して下さいね」
「分かった。ありがとう少年。なにか手伝う事はあるかな?」
「いえいえ。僕には二人も仲間がいますから大丈夫です。お兄さんは冒険者ギルドの隣に転移させますから、そこでなにかあれば手伝ってあげて下さい」
お兄さんは頷きなにか言いそうでしたが、誰かが近付いてきましたので、転移で送っておきました。もちろん悪者はカヤッツにお任せです。
大きな扉ではなく、横に合った普通の大きさの扉から一人、二人と計五人の白いローブ姿のおじさん達が出てきました。
「なんの音ですか。枢機卿様達の到着······ではなさそうだな、お前達は何者だ? それに門番がいないではないか」
(五人とも駄目なヤツね。ちょうど開けてくれたのだから、あそこから入りましょうよ)
(はい。では、ぐるぐる~)
「なぜ答えないのですか? 冒険者のようですが今日から――」
(ほいっと!)
ドサッと五人纏めて倒れましたので、おじさん達が持っている魔道具を収納して、テラとアミーにも手伝ってもらい奴隷の魔道具を嵌めた後、カヤッツに送りました。
おじさん達が出てきた扉から中に入ると――っ!
「この感じは邪神さん! テラ、アミー、気を付けてください、この前のガープなんて足元にも及ばないほどの魔力を持った邪神さんがいますよ」
「くっ、なんでこんな強力なヤツが······それも私に気付かせないなんて、まずいわよ、ライ、おもいっきりやっちゃいなさい! アミーは私と結界を張るわよ!」
「くぬぬ。恐ろしいほどの圧力じゃ、テラ様に合わせるのじゃ!」
「大丈夫ですよ、僕が二人に魔力が行かないように動かします! ぐるぐるー! ほいっと! もう、この大聖堂の中の人は纏めて気絶させちゃいます! 後で謝りますね! くっ、負けませんよ! ぐるぐるー! ほいっと!」
一気に押し寄せてきた触れるんじゃないかと思えるほどに濃い魔力が僕達に迫ってきましたが、気付くのが早かったお陰で、後ろから来たテラとアミーは、ほんの少し浴びただけで避ける事に成功しました。
「二人とも僕から離れないで下さいね。ぐるぐるは全開でやってますけれど、しばらくかかります。テラ、この大聖堂の中の魔道具を収納しちゃいますけれど大丈夫ですか? 気絶した人は転移させちゃいます」
「ちょっと待ってね! んん! やっちゃって! カヤッツにはとりあえず全員に魔道具を付けるように手紙を書きなさい! 分けてる場合じゃないから!」
僕はすぐに紙とペンを出して手紙を書いて先にカヤッツに向けて飛ばし、その後すぐに気絶した人達を飛ばして、魔道具をすべて収納してしまいました。
すると――っ!
ゴゴゴゴと音が鳴り出し、パラパラと天井からホコリや小さな石が落ちてくるじゃないですか!
「あっ、遣っちゃいましたよ! い、一回外にでますよ! 転移!」
パッ
大聖堂の遥か上空に転移して、浮遊でその場に浮く事に成功しました。
「危なかったです、建物の大事なところに魔道具が使われていたみたいですね」
「ふぅ。これだけ離れれば圧も無いわね、でも見事に潰れたわよ」
「崩れたお陰でホコリが立ち込めておるな。して、あの圧の主は何者じゃ?」
「あれほど強力な邪神はアイツしかいないわ。バアルね、ライ、どれくらいかかりそう? 今は何が起こったか分かってもいないはずだから、今の内なんだけど」
「数時間はかかりそうですよ。物凄く多い上に、回復もどんどん回復している感じです」
まずいですね、フィーアなら教えればできそうですけど······聞いて見るしかありませんね。
「ちょっと念話でフィーアにですが、僕と同じようにぐるぐるで魔力を抜けるか聞いてみます」
「それならぐるぐるしてる全員よ。少しでもバアルの魔力を動かせたら良いのだから。アミーもやり方は分かるでしょ、頑張ってみなさい」
「ふむ、やってみようぞ! ぐ~るぐる~なのじゃ!」
アミーはぎこちなくですが、魔力を動かし始めました。流石魔王と呼ばれるだけあって、やり始めるとどんどん滑らかに魔力を回しています。
おお! ムルムルもできていますね、ありがとうムルムル。
そして僕はぐるぐるできそうな、お屋敷のみんなと、フィーア、ティ、プシュケとリント、イシェに、兄さん達もですね。早速念話を送りました。
(みんな聞いて下さい。今、凄く強い邪神の魔力を抜いています。相手の魔力をぐるぐるできる方いますか! いたら返事をして下さい!)
(ライ! フィーアよ! 任せといて!)
(僕もできるよ! 兄さんもできるって!)
(母さんも大丈夫よ! 後のみんなはまだ無理だけど、どうすれば良いの?)
(今からこっちに呼ぶから助けて欲しいです! 行きますよ! 転移!)
パッ
「な、なによここ! 浮いてるじゃない!」
「「うわっ!」」
「っ! ライ、あんな大きな力の塊を相手にしてるの!? フィーア、アースもシーも全力で回しちゃいなさい! 行くわよ!」
「フィーア、母さんに兄さん達もアミーに、あっ、ムルムルもお願いします! 全開です! ぐるぐるー!」
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