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第五章

第237話 街中巡りから大聖堂へ

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「ギルドマスターさん。先に脱出しておいてくれますか? このお爺さんと女の子はお任せしたいのですが」

「それは構わないが、敷地内にそこそこ多い警備員がいたぞ? あっ、そうだな、Sランクが三人もいるならいくら警備員がいようと関係ないか」

「いえ、誰にも会わず出れますよ。えっと、冒険者ギルドで良いですよね? 転移で送っちゃいますよ」

「ほう。少年は転移魔法を使えるのか。だが、上級者でも私達四人を連れての転移は厳しくないのか?」

 転移と聞いて驚いているギルドマスターとは違い、お爺さんは感心したような顔で僕を見てきます。

「はい。大丈夫ですよ。ギルド前に送っちゃいますから、向こうについたらアルって冒険者に今晩は泊まりに行くの遅くなるって伝えてくれますか?」

「アルお兄ちゃんに? アルお兄ちゃん冒険者になったんだ」

「おお! 君はアルを知ってるのかな。スラムに住んでる子なのですけど、最近知り合って泊めてもらってるのです」

「あ、ああ。薬草を駄目にされた子だな。本当にできるのなら任せておけ。後は、衛兵を呼ぶんだよな?」

 どうしましょうか、呼んでこのお屋敷に集まって来ると目立ってしまいますね。

「ライ。もう呼んでもらって、一気にやっちゃえば? どうせこの街をぐるっと回らないといけないんだから。そうかカヤッツに頼んじゃいましょう」

「そうじゃな。広いこの街を回っておる間、上手く避ける事ができた者は城に集まるのじゃろ?」

「そうですね。あっ、このお屋敷に捕まっていた人達を集めますから保護していってもらえれば助かります。悪者は僕が別のところに犯罪奴隷として連れていっちゃいますので」

 うん。良い作戦かもです。バラバラなところにいるだろう捕まってる方をここに集めれば、その後衛兵さんに任せるにしても連絡してもらうのを一回で終わらせられますね。

「分かった。このお屋敷に集まってくるのだな、まあ途中で元いたところに帰る奴もいるだろうが、来た者は確実に保護できるよう冒険者ギルドも協力しよう」

「はい。お願いしますね。じゃあ転移させますよ。転移!」

 パッ

「くくく、じゃあこのお屋敷から始めちゃいましょう!」

「まだ朝だし頑張れば夜には間に合うでしょ。ライさっさとやっちゃいましょう」

「そうじゃな。大元の教国が終われば、後は好きにこの大陸を旅して、その都度捕まえていけるじゃろうて」

「はい。じゃあまずは閉じ込めた五人からぐるぐる~、ほいっと!」

 地下の部屋に閉じ込めて、中で叫んでいたギキムさんに疾風怒濤のお兄さん達を気絶させ、中に入るともちろん奴隷の魔道具を嵌めてカヤッツにお手紙付きで送っておきます。

 その後お屋敷にいた人達も、テラに見てもらいながらお庭に行ってもらう方と、カヤッツに送る者を次々と別けていきました。

 その後は背負子にアミーを乗せて、テラはお姫様抱っこして浮遊で浮かび上がり、街の外周からぐるぐる回りながら沢山ある教会関係のお屋敷や、奴隷商会、道を歩いたり馬車移動している人達も同じように。

「やはり多いのう。まだ半分くらいじゃが、相当な数の悪者を送ったのではないか?」

「そうね。悪者が十人いたら捕まっている方が二人か三人ってところね。お屋敷に送ったやつらも百人を超えたし、中心部に行くともっと増えるわよ」

「ふぐふぐ、んくん。そうですね、少しずつ大きなお屋敷が増えてきましたからね。上から見ている時大聖堂のまわりは貴族街みたいに大きなお屋敷ばかりでしたし」

「ほら、ライほっぺに串焼きのタレが付いてるわよ。ってアミーも口のまわりがスゴいわ」

 テラが僕のほっぺとアミーの口をタオルで拭いてくれるのですが、テラもほっぺにタレが付いていましたので、僕はタオルを使わずペロリと舐め取ってあげました。

「ふにゃっ! ラ、ライ、こんな人通りがある場所でやめなさい! も、もう、ほらみんなが見てるでしょ!」

「ありがとうなのじゃが、付いたまま放っておけばライがちゅってしてくれるのか? 羨ましいのう。じゃが、このヤミツキーという鳥の串焼きは絶品じゃ」

「ダンジョンの何階層か忘れましたが、いっぱいいましたからまた今度焼いて食べましょうね。じゃあお腹も膨れましたから、昼からも頑張りましょう」

 午後も順調に進んで夕方前には大聖堂だけに。貴族街はほぼ無人の街になってしまい、物凄く静かになっています。

 僕は大聖堂の真正面から歩いて近づいていくと大聖堂の入口に立っていた人達四人持っていた槍で道を塞がれ止められました。

「少年少女達、お待ちなさい。今日からしばらく、教皇選挙が終わるまで大聖堂には入れない決まりなのです。回復の為に来たのなら平民街の教会で受ける事ができますよ」

「そうなのですね。ですが、僕達は怪我もしてませんし、他の教会は全部まわってきましたよ。残りはここだけです」

「なんと! それは素晴らしい事です。ですが入れないのは決まりなのですまないね」

 丁寧な受け答えをしていますので、テラによるとやはりこの方は奴隷の魔道具を付けられた、捕まる前は商人の良い方みたいです。

「ガキ。俺達は忙しいんだ、あきらめて帰りな」

 こっちの方ともう二人は犯罪奴隷との事ですので、やっちゃいますよ! ぐるぐる~、ほいっと!
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