237 / 241
第五章
第237話 街中巡りから大聖堂へ
しおりを挟む
「ギルドマスターさん。先に脱出しておいてくれますか? このお爺さんと女の子はお任せしたいのですが」
「それは構わないが、敷地内にそこそこ多い警備員がいたぞ? あっ、そうだな、Sランクが三人もいるならいくら警備員がいようと関係ないか」
「いえ、誰にも会わず出れますよ。えっと、冒険者ギルドで良いですよね? 転移で送っちゃいますよ」
「ほう。少年は転移魔法を使えるのか。だが、上級者でも私達四人を連れての転移は厳しくないのか?」
転移と聞いて驚いているギルドマスターとは違い、お爺さんは感心したような顔で僕を見てきます。
「はい。大丈夫ですよ。ギルド前に送っちゃいますから、向こうについたらアルって冒険者に今晩は泊まりに行くの遅くなるって伝えてくれますか?」
「アルお兄ちゃんに? アルお兄ちゃん冒険者になったんだ」
「おお! 君はアルを知ってるのかな。スラムに住んでる子なのですけど、最近知り合って泊めてもらってるのです」
「あ、ああ。薬草を駄目にされた子だな。本当にできるのなら任せておけ。後は、衛兵を呼ぶんだよな?」
どうしましょうか、呼んでこのお屋敷に集まって来ると目立ってしまいますね。
「ライ。もう呼んでもらって、一気にやっちゃえば? どうせこの街をぐるっと回らないといけないんだから。そうかカヤッツに頼んじゃいましょう」
「そうじゃな。広いこの街を回っておる間、上手く避ける事ができた者は城に集まるのじゃろ?」
「そうですね。あっ、このお屋敷に捕まっていた人達を集めますから保護していってもらえれば助かります。悪者は僕が別のところに犯罪奴隷として連れていっちゃいますので」
うん。良い作戦かもです。バラバラなところにいるだろう捕まってる方をここに集めれば、その後衛兵さんに任せるにしても連絡してもらうのを一回で終わらせられますね。
「分かった。このお屋敷に集まってくるのだな、まあ途中で元いたところに帰る奴もいるだろうが、来た者は確実に保護できるよう冒険者ギルドも協力しよう」
「はい。お願いしますね。じゃあ転移させますよ。転移!」
パッ
「くくく、じゃあこのお屋敷から始めちゃいましょう!」
「まだ朝だし頑張れば夜には間に合うでしょ。ライさっさとやっちゃいましょう」
「そうじゃな。大元の教国が終われば、後は好きにこの大陸を旅して、その都度捕まえていけるじゃろうて」
「はい。じゃあまずは閉じ込めた五人からぐるぐる~、ほいっと!」
地下の部屋に閉じ込めて、中で叫んでいたギキムさんに疾風怒濤のお兄さん達を気絶させ、中に入るともちろん奴隷の魔道具を嵌めてカヤッツにお手紙付きで送っておきます。
その後お屋敷にいた人達も、テラに見てもらいながらお庭に行ってもらう方と、カヤッツに送る者を次々と別けていきました。
その後は背負子にアミーを乗せて、テラはお姫様抱っこして浮遊で浮かび上がり、街の外周からぐるぐる回りながら沢山ある教会関係のお屋敷や、奴隷商会、道を歩いたり馬車移動している人達も同じように。
「やはり多いのう。まだ半分くらいじゃが、相当な数の悪者を送ったのではないか?」
「そうね。悪者が十人いたら捕まっている方が二人か三人ってところね。お屋敷に送ったやつらも百人を超えたし、中心部に行くともっと増えるわよ」
「ふぐふぐ、んくん。そうですね、少しずつ大きなお屋敷が増えてきましたからね。上から見ている時大聖堂のまわりは貴族街みたいに大きなお屋敷ばかりでしたし」
「ほら、ライほっぺに串焼きのタレが付いてるわよ。ってアミーも口のまわりがスゴいわ」
テラが僕のほっぺとアミーの口をタオルで拭いてくれるのですが、テラもほっぺにタレが付いていましたので、僕はタオルを使わずペロリと舐め取ってあげました。
「ふにゃっ! ラ、ライ、こんな人通りがある場所でやめなさい! も、もう、ほらみんなが見てるでしょ!」
「ありがとうなのじゃが、付いたまま放っておけばライがちゅってしてくれるのか? 羨ましいのう。じゃが、このヤミツキーという鳥の串焼きは絶品じゃ」
「ダンジョンの何階層か忘れましたが、いっぱいいましたからまた今度焼いて食べましょうね。じゃあお腹も膨れましたから、昼からも頑張りましょう」
午後も順調に進んで夕方前には大聖堂だけに。貴族街はほぼ無人の街になってしまい、物凄く静かになっています。
僕は大聖堂の真正面から歩いて近づいていくと大聖堂の入口に立っていた人達四人持っていた槍で道を塞がれ止められました。
「少年少女達、お待ちなさい。今日からしばらく、教皇選挙が終わるまで大聖堂には入れない決まりなのです。回復の為に来たのなら平民街の教会で受ける事ができますよ」
「そうなのですね。ですが、僕達は怪我もしてませんし、他の教会は全部まわってきましたよ。残りはここだけです」
「なんと! それは素晴らしい事です。ですが入れないのは決まりなのですまないね」
丁寧な受け答えをしていますので、テラによるとやはりこの方は奴隷の魔道具を付けられた、捕まる前は商人の良い方みたいです。
「ガキ。俺達は忙しいんだ、あきらめて帰りな」
こっちの方ともう二人は犯罪奴隷との事ですので、やっちゃいますよ! ぐるぐる~、ほいっと!
「それは構わないが、敷地内にそこそこ多い警備員がいたぞ? あっ、そうだな、Sランクが三人もいるならいくら警備員がいようと関係ないか」
「いえ、誰にも会わず出れますよ。えっと、冒険者ギルドで良いですよね? 転移で送っちゃいますよ」
「ほう。少年は転移魔法を使えるのか。だが、上級者でも私達四人を連れての転移は厳しくないのか?」
転移と聞いて驚いているギルドマスターとは違い、お爺さんは感心したような顔で僕を見てきます。
「はい。大丈夫ですよ。ギルド前に送っちゃいますから、向こうについたらアルって冒険者に今晩は泊まりに行くの遅くなるって伝えてくれますか?」
「アルお兄ちゃんに? アルお兄ちゃん冒険者になったんだ」
「おお! 君はアルを知ってるのかな。スラムに住んでる子なのですけど、最近知り合って泊めてもらってるのです」
「あ、ああ。薬草を駄目にされた子だな。本当にできるのなら任せておけ。後は、衛兵を呼ぶんだよな?」
どうしましょうか、呼んでこのお屋敷に集まって来ると目立ってしまいますね。
「ライ。もう呼んでもらって、一気にやっちゃえば? どうせこの街をぐるっと回らないといけないんだから。そうかカヤッツに頼んじゃいましょう」
「そうじゃな。広いこの街を回っておる間、上手く避ける事ができた者は城に集まるのじゃろ?」
「そうですね。あっ、このお屋敷に捕まっていた人達を集めますから保護していってもらえれば助かります。悪者は僕が別のところに犯罪奴隷として連れていっちゃいますので」
うん。良い作戦かもです。バラバラなところにいるだろう捕まってる方をここに集めれば、その後衛兵さんに任せるにしても連絡してもらうのを一回で終わらせられますね。
「分かった。このお屋敷に集まってくるのだな、まあ途中で元いたところに帰る奴もいるだろうが、来た者は確実に保護できるよう冒険者ギルドも協力しよう」
「はい。お願いしますね。じゃあ転移させますよ。転移!」
パッ
「くくく、じゃあこのお屋敷から始めちゃいましょう!」
「まだ朝だし頑張れば夜には間に合うでしょ。ライさっさとやっちゃいましょう」
「そうじゃな。大元の教国が終われば、後は好きにこの大陸を旅して、その都度捕まえていけるじゃろうて」
「はい。じゃあまずは閉じ込めた五人からぐるぐる~、ほいっと!」
地下の部屋に閉じ込めて、中で叫んでいたギキムさんに疾風怒濤のお兄さん達を気絶させ、中に入るともちろん奴隷の魔道具を嵌めてカヤッツにお手紙付きで送っておきます。
その後お屋敷にいた人達も、テラに見てもらいながらお庭に行ってもらう方と、カヤッツに送る者を次々と別けていきました。
その後は背負子にアミーを乗せて、テラはお姫様抱っこして浮遊で浮かび上がり、街の外周からぐるぐる回りながら沢山ある教会関係のお屋敷や、奴隷商会、道を歩いたり馬車移動している人達も同じように。
「やはり多いのう。まだ半分くらいじゃが、相当な数の悪者を送ったのではないか?」
「そうね。悪者が十人いたら捕まっている方が二人か三人ってところね。お屋敷に送ったやつらも百人を超えたし、中心部に行くともっと増えるわよ」
「ふぐふぐ、んくん。そうですね、少しずつ大きなお屋敷が増えてきましたからね。上から見ている時大聖堂のまわりは貴族街みたいに大きなお屋敷ばかりでしたし」
「ほら、ライほっぺに串焼きのタレが付いてるわよ。ってアミーも口のまわりがスゴいわ」
テラが僕のほっぺとアミーの口をタオルで拭いてくれるのですが、テラもほっぺにタレが付いていましたので、僕はタオルを使わずペロリと舐め取ってあげました。
「ふにゃっ! ラ、ライ、こんな人通りがある場所でやめなさい! も、もう、ほらみんなが見てるでしょ!」
「ありがとうなのじゃが、付いたまま放っておけばライがちゅってしてくれるのか? 羨ましいのう。じゃが、このヤミツキーという鳥の串焼きは絶品じゃ」
「ダンジョンの何階層か忘れましたが、いっぱいいましたからまた今度焼いて食べましょうね。じゃあお腹も膨れましたから、昼からも頑張りましょう」
午後も順調に進んで夕方前には大聖堂だけに。貴族街はほぼ無人の街になってしまい、物凄く静かになっています。
僕は大聖堂の真正面から歩いて近づいていくと大聖堂の入口に立っていた人達四人持っていた槍で道を塞がれ止められました。
「少年少女達、お待ちなさい。今日からしばらく、教皇選挙が終わるまで大聖堂には入れない決まりなのです。回復の為に来たのなら平民街の教会で受ける事ができますよ」
「そうなのですね。ですが、僕達は怪我もしてませんし、他の教会は全部まわってきましたよ。残りはここだけです」
「なんと! それは素晴らしい事です。ですが入れないのは決まりなのですまないね」
丁寧な受け答えをしていますので、テラによるとやはりこの方は奴隷の魔道具を付けられた、捕まる前は商人の良い方みたいです。
「ガキ。俺達は忙しいんだ、あきらめて帰りな」
こっちの方ともう二人は犯罪奴隷との事ですので、やっちゃいますよ! ぐるぐる~、ほいっと!
0
お気に入りに追加
1,639
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる