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第五章
第229話 Sランクパーティーとの出会い
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「Sランクの方なのですね。順番はお譲りしませんから後ろにきちんと並んだ方が良いと思いますよ?」
僕がそう言うと、くふふふ。五人のお兄さん達はポカンと口を開けて固まっちゃっいました。
「次の方」
そう買い取り担当のお爺さんが呼んでくれましたから、今ですよ? おーい?
「――っ! お前! 俺達はSランク『疾風怒濤』だぞ! この教都、いやこの大陸最強のパーティーで最難関と言われる教都のダンジョンの記録保持しているパーティーだ! その俺達が順番を譲れという事はそれだけの物を納品しに来たって事だ!」
「ほう。それは凄いですね。でも、あっ、ほら、そんな事している間にまた一組並んじゃいましたよ。では、僕達はお爺さんに呼ばれましたから行きますね」
僕達はカウンターについて、アルが背負っていた籠をお爺さんに渡しました。
「ふむ。後ろで顔を真っ赤にして怒っているようだが、大丈夫なのか?」
「はい。これですから」
そう言ってギルドカードを見せました。
「なんと! くくっ、そうか、じゃあ見させてもらうぞ」
お爺さんが丁寧に籠から薬草を出して、数を数えながら十本ずつ束ねていきます。
「おい! 舐めた事を言いやがって! しっ!」
絡んできていたお兄さんの一人が僕を掴もうとしてきましたので、パンっとはたいて、腕の軌道を変えて空振りさせてあげました。
「何っ!」
「あなたはSランクなのですよね? 沢山いる冒険者の憧れなのですよSランクって。その憧れのSランク冒険者のあなたが、順番を守らず横入りするなんて恥ずかしい人ですね」
「くくっ、その通りだな。おい。いくらSランクだとしても見過ごせないな。ランクダウンを申請しておこうか?」
「なんだと! そんな事をっ! ちっ、ギルマスかよ! くそガキ! 覚えてろ!」
あらら。買い取りのお爺さんがギルドマスターさんだったのですね。五人のお兄さんは買い取りの列に並ばないで出ていっちゃいました。
これは『覚えてろ!』いただきましたし、今後がどうなるのか楽しみですね。このまま敵対するのか、最後には仲間になっちゃうのか、後の四人の方は『やれやれ』って顔していましたしね。
「よし。査定を続けるぞ。だがこれは良いな、綺麗な採取の仕方をしている。評価は最高を付けられる物ばかりだ。よし、銀貨二枚と大銅貨一枚、銅貨五枚だ。依頼とすれば四十三回分だから、アルは見習い卒業だな。おめでとう」
「おおー! なんだかSランクのヤツに絡まれたから、ちょっとドキドキしたけど初日で見習い卒業だぜ!」
「アルおめでとうございます。僕は見習いは長かったですから凄いですよ」
「ライがそれなら俺はすぐに追い付いてやるぜ! よし、報酬もらって家に帰ろうぜ!」
依頼完了のサインをもらって受け付けに向かい、報酬をもらうために並びにいきました。
受け付けは思ったより並んでなくて流れも早く、報酬を受け取ったアルに付いて冒険者ギルドを出ました。
(テラ、アミー。あのお兄さん達後ろに付いてきてますから、僕の横に来ておいてね)
(くくっ。ライよ、ぐるぐるしてしまうのじゃろ? それとも対決するのかの?)
(絡んできていたヤツはぐるぐるで良いわ。悪者手前って感じよ。恐喝が出てるから、いつもあんな事してきたのかも知れないわね)
二人は僕の横に来て、アルも合わせて四人で大通りから細い路地に入ると、一気に景色が変わり、石造りの家から木造に変わってきました。
そこからまた細い、路地裏といえるような道に入ると、お兄さん達が少し足を早めたようで、近付いてきました。
「もうすぐだぞ。この辺りは結構治安が悪いからよ、初顔のヤツは気を付けねえとすぐに囲まれるぜ」
「おお! ならアルがいると安心ってことですね」
「おうよ! まあ俺はこの辺りの浅いところは良いんだけどな。奥は俺でもよく分かんねえよ。って言ってる内に到着だ」
「え? 壁ですね。隠し扉ですか?」
「ひひっ。この板をずらすと~」
アルは壁板の一枚をガコっとずらして外してしまいました。
「早く入れ、バレちゃうだろ」
僕達を先に入れてアルは板を持ちながら入ってくると、ガコっと板を元に戻して部屋の中は真っ暗になりました。
「真っ暗ですね、光を出しますね~、ぐるぐる~、ほいっと!」
光を付けると思ったより広い、四メートル四方の一部屋しかない家でした。
すると外から声が聞こえてきました。
『くそ! 消えたぞ! 索敵はどうしたんだ、お前索敵してただろ!』
『してたけどよ、この辺りにいるとは思うんだが、家に入っちまったんじゃねえのか? 今日はもうあきらめて酒でも飲みに行こうぜ』
『こんなスラムまで追いかけてきてよ、俺らはって何見てんだお前ら! 俺達はSランクだぞ! 見せ物じゃねえんだ、どっか行っちまえ!』
見失ったみたいですね。それにここの住人に絡まれているようです。
「かかかっ。ほらな、見慣れない新顔は絡まれるんだよ」
「くふふ。そうみたいですね。じゃあ、ごはんを食べようと思うのですが。ん~、じゃあ、持ち運びハウスを出しちゃいましょうか」
「ライ。流石に無理があるわよ。大きくできないじゃない」
僕は部屋を見渡して、窓もない、木箱を並べた寝台と、テーブルに椅子が一つあって地面がむき出しの部屋ですが、良いことを思い付いたので、やっちゃいますよ。
僕がそう言うと、くふふふ。五人のお兄さん達はポカンと口を開けて固まっちゃっいました。
「次の方」
そう買い取り担当のお爺さんが呼んでくれましたから、今ですよ? おーい?
「――っ! お前! 俺達はSランク『疾風怒濤』だぞ! この教都、いやこの大陸最強のパーティーで最難関と言われる教都のダンジョンの記録保持しているパーティーだ! その俺達が順番を譲れという事はそれだけの物を納品しに来たって事だ!」
「ほう。それは凄いですね。でも、あっ、ほら、そんな事している間にまた一組並んじゃいましたよ。では、僕達はお爺さんに呼ばれましたから行きますね」
僕達はカウンターについて、アルが背負っていた籠をお爺さんに渡しました。
「ふむ。後ろで顔を真っ赤にして怒っているようだが、大丈夫なのか?」
「はい。これですから」
そう言ってギルドカードを見せました。
「なんと! くくっ、そうか、じゃあ見させてもらうぞ」
お爺さんが丁寧に籠から薬草を出して、数を数えながら十本ずつ束ねていきます。
「おい! 舐めた事を言いやがって! しっ!」
絡んできていたお兄さんの一人が僕を掴もうとしてきましたので、パンっとはたいて、腕の軌道を変えて空振りさせてあげました。
「何っ!」
「あなたはSランクなのですよね? 沢山いる冒険者の憧れなのですよSランクって。その憧れのSランク冒険者のあなたが、順番を守らず横入りするなんて恥ずかしい人ですね」
「くくっ、その通りだな。おい。いくらSランクだとしても見過ごせないな。ランクダウンを申請しておこうか?」
「なんだと! そんな事をっ! ちっ、ギルマスかよ! くそガキ! 覚えてろ!」
あらら。買い取りのお爺さんがギルドマスターさんだったのですね。五人のお兄さんは買い取りの列に並ばないで出ていっちゃいました。
これは『覚えてろ!』いただきましたし、今後がどうなるのか楽しみですね。このまま敵対するのか、最後には仲間になっちゃうのか、後の四人の方は『やれやれ』って顔していましたしね。
「よし。査定を続けるぞ。だがこれは良いな、綺麗な採取の仕方をしている。評価は最高を付けられる物ばかりだ。よし、銀貨二枚と大銅貨一枚、銅貨五枚だ。依頼とすれば四十三回分だから、アルは見習い卒業だな。おめでとう」
「おおー! なんだかSランクのヤツに絡まれたから、ちょっとドキドキしたけど初日で見習い卒業だぜ!」
「アルおめでとうございます。僕は見習いは長かったですから凄いですよ」
「ライがそれなら俺はすぐに追い付いてやるぜ! よし、報酬もらって家に帰ろうぜ!」
依頼完了のサインをもらって受け付けに向かい、報酬をもらうために並びにいきました。
受け付けは思ったより並んでなくて流れも早く、報酬を受け取ったアルに付いて冒険者ギルドを出ました。
(テラ、アミー。あのお兄さん達後ろに付いてきてますから、僕の横に来ておいてね)
(くくっ。ライよ、ぐるぐるしてしまうのじゃろ? それとも対決するのかの?)
(絡んできていたヤツはぐるぐるで良いわ。悪者手前って感じよ。恐喝が出てるから、いつもあんな事してきたのかも知れないわね)
二人は僕の横に来て、アルも合わせて四人で大通りから細い路地に入ると、一気に景色が変わり、石造りの家から木造に変わってきました。
そこからまた細い、路地裏といえるような道に入ると、お兄さん達が少し足を早めたようで、近付いてきました。
「もうすぐだぞ。この辺りは結構治安が悪いからよ、初顔のヤツは気を付けねえとすぐに囲まれるぜ」
「おお! ならアルがいると安心ってことですね」
「おうよ! まあ俺はこの辺りの浅いところは良いんだけどな。奥は俺でもよく分かんねえよ。って言ってる内に到着だ」
「え? 壁ですね。隠し扉ですか?」
「ひひっ。この板をずらすと~」
アルは壁板の一枚をガコっとずらして外してしまいました。
「早く入れ、バレちゃうだろ」
僕達を先に入れてアルは板を持ちながら入ってくると、ガコっと板を元に戻して部屋の中は真っ暗になりました。
「真っ暗ですね、光を出しますね~、ぐるぐる~、ほいっと!」
光を付けると思ったより広い、四メートル四方の一部屋しかない家でした。
すると外から声が聞こえてきました。
『くそ! 消えたぞ! 索敵はどうしたんだ、お前索敵してただろ!』
『してたけどよ、この辺りにいるとは思うんだが、家に入っちまったんじゃねえのか? 今日はもうあきらめて酒でも飲みに行こうぜ』
『こんなスラムまで追いかけてきてよ、俺らはって何見てんだお前ら! 俺達はSランクだぞ! 見せ物じゃねえんだ、どっか行っちまえ!』
見失ったみたいですね。それにここの住人に絡まれているようです。
「かかかっ。ほらな、見慣れない新顔は絡まれるんだよ」
「くふふ。そうみたいですね。じゃあ、ごはんを食べようと思うのですが。ん~、じゃあ、持ち運びハウスを出しちゃいましょうか」
「ライ。流石に無理があるわよ。大きくできないじゃない」
僕は部屋を見渡して、窓もない、木箱を並べた寝台と、テーブルに椅子が一つあって地面がむき出しの部屋ですが、良いことを思い付いたので、やっちゃいますよ。
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