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第五章
第228話 色々教えてあげますよ
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ダンジョンに入った僕達は、見渡す限りの草原と、所々に小さな林がありまして、そこでアルに薬草の取り方を実演で教えたのと、自分で束にするより綺麗なまま買取りしてもらった方がお得ですよと教えました。
「そうなんだな。俺は籠に詰め込むだけ詰め込めば良いと思ってたぞ。折れ曲がっただけで半額以下かよ。聞いてなかったら買い取りで喧嘩してるところだぜ」
「くふふ。僕なんて、綺麗に縛っていったのに駄目でしたよ、やっぱりどこか傷んでしまいますからね。それ以来根っこについてる土だけ綺麗に落として納品してましたよ」
「なるほどな。ありがとうライ。ダンジョンの先に行きたいって思ってたんだろ? 俺に付き合ってもう夕方だぜ、お前ら泊まるところあるのか?」
「ライ。どうするの? 私は別にダンジョンで泊まっても良いけど」
「そうじゃな。今からダンジョンを出ても宿は空いてない可能性があるの、あの冒険者ギルドを見たら一気に増えたようじゃし」
「え? テントも無しで泊まるのか? 一階層はスライムだけだから死にはしないだろうが他の冒険者もいるから物騒だぜ。俺んちスラムだけどよ、泊まっていくか? 誰もいないから後三人くらいは寝れるぜ」
おお。スラムに家があるのですか······また――。
(また連れて帰ろうとしてるの? 良いけど、ちょうど綿花の畑もあるから人手は必要よね)
流石テラです。僕が考えた事を当てちゃいました。でしたらアルのお家にお邪魔してしまいましょう。
「じゃあ、お願いできますか? その代わり僕が夕ごはんをご馳走しますよ」
「おう! 任せとけ! じゃあ初ダンジョンはここまでだな、よし、ついてきな」
アルは僕が編んだ籠に満載の薬草を担ぎ、階段に向かいます。
アルは軽快に階段を上りきり、一緒に冒険者ギルドに向かいます。
「しかしよ、本当にこれ全部もらっても良いのか? 三十本で、銅貨五枚だぞ? こんだけありゃあ大銅貨が五枚はいくぞ?」
「はい。僕達は林のところで松の実を拾ってきたので大丈夫です。これも結構美味しいのでおやつにしたり出きるのですよ」
僕は松ぼっくりを一つ出し、むしりながら中の小さな種を取り出すとフライパンに乗せて種火で炒っていきます。
「ライ、お前器用だな? それ魔法だろ? 俺にも使えたら何でも焼いて食えるよな?」
「はい。アルは生活魔法を使えないの? 僕のやり方は時間がかかって難しいですが、簡単なのは教える事もできますよ?」
フライパン揺すりながら大通りを冒険者ギルドに向けて歩いてるので、ちょっとじろじろ見られていますが、良い感じに香ばしい匂いがしてきました。
アルは僕が魔法を教えると言って、驚いた顔になっています。
「ほ、本当にか!? た、頼む! 教えてくれ! 俺も魔法使いてぇんだ!」
「ちょっ! ちょっと待って! 分かりましたから今はフライパンが熱くなってますので火傷しちゃいますよ!」
アルったら僕が揺すってるフライパンを握ろうとしましたので、慌てて収納しておきました。仕方ありませんね。また後でやる事にしましょう。
「ん~、では初めに魔力がどんなものか感じてもらいましょうか。手を握りますね」
僕はアルの手を握り、ぐるぐるしてあげます。もちろん魔力が抜けていきますから少しずつ補充しながらですけどね。
「うおっ! ぞわぞわするぞ!」
「ぬふふふ。それが魔力ですよ。ぐるぐる回っているの分かりますか? それを自分で回せるようになったらすごく魔法が楽になりますよ」
「ふんふん。これを薬草採取しながらとかやれば良いんだよな?」
「いえいえ。今こうやって歩いている時も、寝る時もいつでもどこでも回しておくのです。そうすると魔力が見えてきて、色々できるようになりますよ」
「よし、やってやるぜ! で、それしないと生活魔法も無理なんだよな?」
「ライ。生活魔法は普通に教えてあげなさい。ライのやり方は時間がかかるんだから。ほら、ギルドについたしさっさと売ってしまいましょう」
「じゃな。しかし沢山並んでおるな。ほれここが最後尾じゃ。並ぶぞ」
ギルドに到着した僕達は、買い取りの列に並びながらアルに生活魔法の水、風を教えていきます。
ですが。火は室内だと危ないので、後回しにしておきます。
それからテラに教えてもらったのですが、なんと、アルは回復魔法が使えるとの事です。
(ライ。回復魔法は教国の悪者をやっつけてからにしましょう。アルって聖女くらいの素質があるわよ。いいえ、負けてないわね。これは育て甲斐があるわよ)
(そうなのですね、中々魔力はある方だと分かってましたから、属性魔法を頑張って教えようかと考えていました)
(くくく。教えれば良かろう。さて気になるのは、中々やりそうな奴らが近付いて来たのじゃが、列には並ばんの?)
僕達の前の人が買い取りのカウンターに進んで次が僕達の番になるのですが、まっすぐこっちに進んでくる五人はどんどん進み僕の横で止まり、話しかけられました。
「おう。俺達は今話題沸騰Sランクの『疾風怒濤』だ。場所を譲りな」
なんと! うわさのSランクさんがテンプレしてくれるのでしょうか! くふふふ。さあ、面白くなって来ましたよ!
「そうなんだな。俺は籠に詰め込むだけ詰め込めば良いと思ってたぞ。折れ曲がっただけで半額以下かよ。聞いてなかったら買い取りで喧嘩してるところだぜ」
「くふふ。僕なんて、綺麗に縛っていったのに駄目でしたよ、やっぱりどこか傷んでしまいますからね。それ以来根っこについてる土だけ綺麗に落として納品してましたよ」
「なるほどな。ありがとうライ。ダンジョンの先に行きたいって思ってたんだろ? 俺に付き合ってもう夕方だぜ、お前ら泊まるところあるのか?」
「ライ。どうするの? 私は別にダンジョンで泊まっても良いけど」
「そうじゃな。今からダンジョンを出ても宿は空いてない可能性があるの、あの冒険者ギルドを見たら一気に増えたようじゃし」
「え? テントも無しで泊まるのか? 一階層はスライムだけだから死にはしないだろうが他の冒険者もいるから物騒だぜ。俺んちスラムだけどよ、泊まっていくか? 誰もいないから後三人くらいは寝れるぜ」
おお。スラムに家があるのですか······また――。
(また連れて帰ろうとしてるの? 良いけど、ちょうど綿花の畑もあるから人手は必要よね)
流石テラです。僕が考えた事を当てちゃいました。でしたらアルのお家にお邪魔してしまいましょう。
「じゃあ、お願いできますか? その代わり僕が夕ごはんをご馳走しますよ」
「おう! 任せとけ! じゃあ初ダンジョンはここまでだな、よし、ついてきな」
アルは僕が編んだ籠に満載の薬草を担ぎ、階段に向かいます。
アルは軽快に階段を上りきり、一緒に冒険者ギルドに向かいます。
「しかしよ、本当にこれ全部もらっても良いのか? 三十本で、銅貨五枚だぞ? こんだけありゃあ大銅貨が五枚はいくぞ?」
「はい。僕達は林のところで松の実を拾ってきたので大丈夫です。これも結構美味しいのでおやつにしたり出きるのですよ」
僕は松ぼっくりを一つ出し、むしりながら中の小さな種を取り出すとフライパンに乗せて種火で炒っていきます。
「ライ、お前器用だな? それ魔法だろ? 俺にも使えたら何でも焼いて食えるよな?」
「はい。アルは生活魔法を使えないの? 僕のやり方は時間がかかって難しいですが、簡単なのは教える事もできますよ?」
フライパン揺すりながら大通りを冒険者ギルドに向けて歩いてるので、ちょっとじろじろ見られていますが、良い感じに香ばしい匂いがしてきました。
アルは僕が魔法を教えると言って、驚いた顔になっています。
「ほ、本当にか!? た、頼む! 教えてくれ! 俺も魔法使いてぇんだ!」
「ちょっ! ちょっと待って! 分かりましたから今はフライパンが熱くなってますので火傷しちゃいますよ!」
アルったら僕が揺すってるフライパンを握ろうとしましたので、慌てて収納しておきました。仕方ありませんね。また後でやる事にしましょう。
「ん~、では初めに魔力がどんなものか感じてもらいましょうか。手を握りますね」
僕はアルの手を握り、ぐるぐるしてあげます。もちろん魔力が抜けていきますから少しずつ補充しながらですけどね。
「うおっ! ぞわぞわするぞ!」
「ぬふふふ。それが魔力ですよ。ぐるぐる回っているの分かりますか? それを自分で回せるようになったらすごく魔法が楽になりますよ」
「ふんふん。これを薬草採取しながらとかやれば良いんだよな?」
「いえいえ。今こうやって歩いている時も、寝る時もいつでもどこでも回しておくのです。そうすると魔力が見えてきて、色々できるようになりますよ」
「よし、やってやるぜ! で、それしないと生活魔法も無理なんだよな?」
「ライ。生活魔法は普通に教えてあげなさい。ライのやり方は時間がかかるんだから。ほら、ギルドについたしさっさと売ってしまいましょう」
「じゃな。しかし沢山並んでおるな。ほれここが最後尾じゃ。並ぶぞ」
ギルドに到着した僕達は、買い取りの列に並びながらアルに生活魔法の水、風を教えていきます。
ですが。火は室内だと危ないので、後回しにしておきます。
それからテラに教えてもらったのですが、なんと、アルは回復魔法が使えるとの事です。
(ライ。回復魔法は教国の悪者をやっつけてからにしましょう。アルって聖女くらいの素質があるわよ。いいえ、負けてないわね。これは育て甲斐があるわよ)
(そうなのですね、中々魔力はある方だと分かってましたから、属性魔法を頑張って教えようかと考えていました)
(くくく。教えれば良かろう。さて気になるのは、中々やりそうな奴らが近付いて来たのじゃが、列には並ばんの?)
僕達の前の人が買い取りのカウンターに進んで次が僕達の番になるのですが、まっすぐこっちに進んでくる五人はどんどん進み僕の横で止まり、話しかけられました。
「おう。俺達は今話題沸騰Sランクの『疾風怒濤』だ。場所を譲りな」
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