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第五章
第226話 さあ、到着です
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「あっ、そうですね、すぐ退きますからちょっとお待ちください。ここのイール丼は並んでも食べる価値はありますね」
僕はお茶の残りを飲んで、席を立ちました。
「おうよ。分かってるじゃねえか。だから美味しく味わった後は次のヤツに早く変わってやるのが決まりだ。中には食べた後、もう一回ならぶヤツもいるんだぜ」
「おお! 確かに! ですが僕では二杯は無理ですね。大きくなった時はぜひ挑戦したいと思います」
僕達は立ち上がり、話しかけてきたおじさん達と交代してお店を出ました。
「人気なだけあるわね、私達が並んだ時より列が延びてるわよ」
「ふぅ。お腹もぽんぽんじゃ。所でテラ様、頭の綿花が大きゅうなっとるが大丈夫かの?」
「「え?」」
アミーが言った言葉を聞き、僕はテラの頭を見て、テラは自分の頭に手をやって――!
「「ああー!」」
「まずいわ! ライ! ば、場所はどこが良いの!」
「えと、えと、お屋敷はまだいけたはずです! いきますよ! 転移!」
パッ
「ライ! 五つの種があるから耕して!」
「うん。任せて! ぐるぐるー! ほいっと!」
たぶん物凄く沢山か、大きくなるはずですから!
「もっと広く! テラ投げて良いよ! 僕が運ぶから!」
「お願い! えい!」
五百メートル四方の大きな畑を五つ耕しましたから、その中心に運びます!
テラの投げた綿花のふわふわな毛の生えた種が五つ。風に乗せ飛ばし一気に延びる根っこが違う所で地面に付かないように――!
「いっけー!」
ズズズズズンと五つの種は、ほぼ同時に地面に根をおろし、茶色くなっていた地面が、緑とふわふわな白い花に覆われていきます。
「ふう。なんとか間に合いましたね」
「危なかったわ、ここまで一気に広がるなんて思ってなかったから。ありがとうライ。それにアミーも教えてくれてありがとう」
「なんとも······凄いものじゃな。私の家のまわりもこんな感じでかの?」
「そうね。私とライが頑張ったのよ。ちょっとやり過ぎたと思ってるけどね」
「城の尖塔。それも最上階に家があって、地形も山になっておったからの。ひび割れた大地が森に変わっておったのには驚いたがあれは良いものじゃ」
「良かったです。ところでこの綿花はどうしましょう、教えておかないといけませんよね?」
「そうね、お義父様に報せないと。この時間なら執務室にいるんじゃないの?」
「うん」
とりあえずお屋敷はあっちですから人を呼ばなきゃですね。僕はお屋敷の父さんを探して······いました。転移!
パッ
「ただいま。父さんあのね――」
「おわっ! ラ、ライか! あっ! 王様からの手紙を握りつぶしてしまった! ······はぁ、まあ良いか、で。テラの頭を見て分かったよ。綿花だったな。今度はどこだ?」
「ごめんなさい。綿花は屋敷の裏方面ですね。五百メートル四方が五つあります」
「ほう。咲く周期はたぶんテラの物だから早いだろうから、さっそく先日来たあの者達に収穫と加工。作付けはすぐやってもいけそうか?」
「そうね。夏の終わりくらいまでは何回か収穫できるわ。糸を紡いだり、そのまま布団にするのも良いわね」
「うむ。分かった、さっそく手配しておこう。しかし五百メートル四方が五つか、サーバル領を全てを賄うには小さいが、テラの物だ、高級品だろうから貴族向けの物を作るようにするか。ありがとう」
「そうね。絹には負けるかも知れないけど良いものになった自信はあるわ」
「僕もそう思うよ。じゃあ僕達は戻るね。そうだ! 父さんはイール丼を食べた事ありますか? 凄く美味しいお店を見付けましたから今度みんなで行きましょう」
「イールを丼で食べるのか? それは食べた事は無いな。そこまでライが言うなら相当なものだな、分かった、楽しみにしておく。教国だったか、頑張ってきなさい」
「はい。じゃあ行ってきます。転移!」
パッ
そして教国に到着した午後も順調に進み、外周の半分を二日で周り、四日目の夕方前には国境の街まで戻ってきました。
ぐるぐると回りながら少しずつ中心の教都に近付きながら約一ヶ月。その間も、沢山の協会の方を捕まえて来ましたが、間に合ったようです。
僕達は教都に入る列に並びながら、僕達の横を通りすぎた豪奢な馬車が通りすぎるのを見ています。
(今のは司教ね。まったくそこそこの貴族でも馬車にあんなにお金はかけないわよ)
(黒塗りで金縁とは、あんなもの街道を走っておれば盗賊連中が集まってくるぞ。それをあの程度の護衛しか付けていないとは)
(そうだね。もしかすると、凄く強い護衛さんだったりしてね。あっ、進みましたよ)
門での検閲をしないで止まる事もなく門をくぐって行く馬車を見ながら僕達もギルドカードを見せて『えぇぇぇぇぇー!』って言ってもらいながら教都に入りました。
集まりが開催されるのは三日後ですのでまだ余裕があります。僕達はとりあえず冒険者ギルドに行く事にしました。
そこでダンジョン攻略の依頼を請けるつもりです。
僕はお茶の残りを飲んで、席を立ちました。
「おうよ。分かってるじゃねえか。だから美味しく味わった後は次のヤツに早く変わってやるのが決まりだ。中には食べた後、もう一回ならぶヤツもいるんだぜ」
「おお! 確かに! ですが僕では二杯は無理ですね。大きくなった時はぜひ挑戦したいと思います」
僕達は立ち上がり、話しかけてきたおじさん達と交代してお店を出ました。
「人気なだけあるわね、私達が並んだ時より列が延びてるわよ」
「ふぅ。お腹もぽんぽんじゃ。所でテラ様、頭の綿花が大きゅうなっとるが大丈夫かの?」
「「え?」」
アミーが言った言葉を聞き、僕はテラの頭を見て、テラは自分の頭に手をやって――!
「「ああー!」」
「まずいわ! ライ! ば、場所はどこが良いの!」
「えと、えと、お屋敷はまだいけたはずです! いきますよ! 転移!」
パッ
「ライ! 五つの種があるから耕して!」
「うん。任せて! ぐるぐるー! ほいっと!」
たぶん物凄く沢山か、大きくなるはずですから!
「もっと広く! テラ投げて良いよ! 僕が運ぶから!」
「お願い! えい!」
五百メートル四方の大きな畑を五つ耕しましたから、その中心に運びます!
テラの投げた綿花のふわふわな毛の生えた種が五つ。風に乗せ飛ばし一気に延びる根っこが違う所で地面に付かないように――!
「いっけー!」
ズズズズズンと五つの種は、ほぼ同時に地面に根をおろし、茶色くなっていた地面が、緑とふわふわな白い花に覆われていきます。
「ふう。なんとか間に合いましたね」
「危なかったわ、ここまで一気に広がるなんて思ってなかったから。ありがとうライ。それにアミーも教えてくれてありがとう」
「なんとも······凄いものじゃな。私の家のまわりもこんな感じでかの?」
「そうね。私とライが頑張ったのよ。ちょっとやり過ぎたと思ってるけどね」
「城の尖塔。それも最上階に家があって、地形も山になっておったからの。ひび割れた大地が森に変わっておったのには驚いたがあれは良いものじゃ」
「良かったです。ところでこの綿花はどうしましょう、教えておかないといけませんよね?」
「そうね、お義父様に報せないと。この時間なら執務室にいるんじゃないの?」
「うん」
とりあえずお屋敷はあっちですから人を呼ばなきゃですね。僕はお屋敷の父さんを探して······いました。転移!
パッ
「ただいま。父さんあのね――」
「おわっ! ラ、ライか! あっ! 王様からの手紙を握りつぶしてしまった! ······はぁ、まあ良いか、で。テラの頭を見て分かったよ。綿花だったな。今度はどこだ?」
「ごめんなさい。綿花は屋敷の裏方面ですね。五百メートル四方が五つあります」
「ほう。咲く周期はたぶんテラの物だから早いだろうから、さっそく先日来たあの者達に収穫と加工。作付けはすぐやってもいけそうか?」
「そうね。夏の終わりくらいまでは何回か収穫できるわ。糸を紡いだり、そのまま布団にするのも良いわね」
「うむ。分かった、さっそく手配しておこう。しかし五百メートル四方が五つか、サーバル領を全てを賄うには小さいが、テラの物だ、高級品だろうから貴族向けの物を作るようにするか。ありがとう」
「そうね。絹には負けるかも知れないけど良いものになった自信はあるわ」
「僕もそう思うよ。じゃあ僕達は戻るね。そうだ! 父さんはイール丼を食べた事ありますか? 凄く美味しいお店を見付けましたから今度みんなで行きましょう」
「イールを丼で食べるのか? それは食べた事は無いな。そこまでライが言うなら相当なものだな、分かった、楽しみにしておく。教国だったか、頑張ってきなさい」
「はい。じゃあ行ってきます。転移!」
パッ
そして教国に到着した午後も順調に進み、外周の半分を二日で周り、四日目の夕方前には国境の街まで戻ってきました。
ぐるぐると回りながら少しずつ中心の教都に近付きながら約一ヶ月。その間も、沢山の協会の方を捕まえて来ましたが、間に合ったようです。
僕達は教都に入る列に並びながら、僕達の横を通りすぎた豪奢な馬車が通りすぎるのを見ています。
(今のは司教ね。まったくそこそこの貴族でも馬車にあんなにお金はかけないわよ)
(黒塗りで金縁とは、あんなもの街道を走っておれば盗賊連中が集まってくるぞ。それをあの程度の護衛しか付けていないとは)
(そうだね。もしかすると、凄く強い護衛さんだったりしてね。あっ、進みましたよ)
門での検閲をしないで止まる事もなく門をくぐって行く馬車を見ながら僕達もギルドカードを見せて『えぇぇぇぇぇー!』って言ってもらいながら教都に入りました。
集まりが開催されるのは三日後ですのでまだ余裕があります。僕達はとりあえず冒険者ギルドに行く事にしました。
そこでダンジョン攻略の依頼を請けるつもりです。
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