【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

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第五章

第204話 謁見するよ

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「おお~、綺麗な待合室ですね♪」

「そうね、あまり使ってないのかしら? 綺麗過ぎるわ、ライ、ちゃんとお尻のホコリを落としてから座りなさいね、アミーあなたもよ」

「うむ。心得ておる。じゃが、テラ様にアミーと名を呼ばれるとは光栄じゃな」

「だって、ライが名前で呼んであげないと可哀想とか言うんだもん。その内なれるわよ」

「アミーもテラって呼べば良いのに、駄目なの?」

「私は良いのだけど、アミーはね~」

「そうじゃな、そこは変えられんのじゃ。まあ良いではないか、ほれ、メイドがお茶を用意しようと待っておるのじゃから、座ってしまおうでわないか」

「くくっ、ライ殿達は王とお会いになるのに少しも緊張しないのですね」

 僕達はお尻を払って、大きな三人がけのソファーに座り、ナガト男爵さんは一人がけのソファーに。そしてメイドさんがお茶をみんなの前に置いて、お菓子もトンとテーブルに置いてくれました。

「はい。うちにもよくパラジウム国王様が遊びにきますから、なれちゃったのかもしれませんね」

「ライ、あなたは最初の方からほとんど緊張はしてなかったわね、王様だろうが、公爵様でも、宿屋の店主でも一緒じゃない」

「はは······よく遊びにですか、私なら緊張してハゲてしまいますよ、今だって緊張で喉が渇いて。あっ、すいません、お茶のおかわりをお願いしますね」

「はい、すぐに」

 ナガトさんがメイドさんにお茶をお願いしましたので、部屋を観察しちゃいましょう。この部屋には後、二人がけのソファーと立派な一人がけのソファーがあり、多分王様が座る所だと思います。

 その他は、調度品が派手すぎず、綺麗な物が沢山置いてあります。

 そんな事をしながら、王様が来るのに時間はそんなにかからないと思い、メイドさんがお茶と一緒に出してくれた、色々種類があって、美味しいお菓子と、お茶を飲みきるかなってところで戸が叩かれました。

『謁見場が整いましたので、お迎えに上がりました』

 あれ? いきなり謁見なのですね、ここで会ってからかと思ったのですが、グランジさんがここより謁見場が良いと思ったのでしょう。

「ご案内いたしますね」

 お茶を入れてくれたメイドさんが、もう一人いたメイドさんに部屋の片付けを任せて僕達を案内してくれるようです。

 待合室から出ると、迎えにきてくれたメイドさん一人と騎士さんが二人、前と後ろにメイドさんと騎士さん一人ずつに別れて護衛も兼ねているのかもしれませんね。

 そして謁見場ですが、そこには入らず、隣の騎士さんが立っている部屋に入りました。

 そこには大きなソファーにグランジさん。一人がけの立派なソファーにお爺さん······王様かな? それとぷくぷくで、たぷたぷのおじさんは二人がけのソファーに、······悪者宰相さんでしょうね、それにメイドさんも三人いて、騎士さんは七人、壁際に四人、残りの三人は王様のソファーの後ろ。

 大きな部屋ですし、奥へと続く戸の向こうには、沢山の方の気配がしていました。

「ナガト男爵様をお連れしました」

「ナガト男爵よ、そなたは森の開拓に行っていたはずでは?」

 そう聞いてきたのは二人がけのソファーに座るぷくぷくのおじさんです。

「はっ、王に是非見てもらいたい物を手に入れましたので、急ぎ戻ってきた次第です」

「何を手に入れたと言うのだ、それはナガト男爵に任せた物より大切と言うのか?」

「宰相様、当然です。これ以上無いと言えるほどの物です。宰相様も驚かれると思いますよ」

「ふん。ならば見せてみよ、私が先に検分しよう。ところでナガト男爵よ、その子供らは何者だ?」

 うわぁ~、睨んできてますよ、まあ良いですけど、とりあえず挨拶しましょうか。

「初めまして。シャルーン国王様、僕はパラジウム王国貴族、ライリール・ドライ・サーバル辺境伯と言います」

 紋章の付いたナイフを見せ、挨拶完了です。

 それを聞いた王様、悪者宰相さん、それにグランジさんまで驚いていますが、まあ良いでしょう。

 すると王様とグランジさんは立ち上がり、宰相さんは驚いているだけで、立ち上がりはしませんね。

「シャルーン王国国王だ。パラジウム王国からの客人とは気付かず失礼をした。宰相、なぜ座ったままでいるのだ。他国の辺境伯殿が挨拶をしておると言うのに」

「ああ、良いですよ王様、この大陸には冒険者として来ていますので、でも、王様が立っているのに、座っていては駄目ですよ? えっと······」

 すると苦々しい顔をしながらのそのそと立ち上がり。

「シャルーン王国宰相ベルトーク・ギ・シヤイセ伯爵です。辺境伯様、驚きのあまり失礼をしました」

「では、辺境伯殿、座って下さい」

 王様がそういったので、チラリとグランジさんを見ると、こくりと頷きました。

 準備は完了のようです。

「ありがとうございます。あっ、宰相さん、ナガト男爵さんがいってた物ですが、たぶん宰相さんが説明できると思いますので、この机に広げますから、最初から最後まで全ての説明をお願いしますね」

「なっ――」

 何か言おうとしましたが、さっさと出してしまいます。

 そして僕達全員が座ったにもかかわらず、宰相さんだけが少し怒りの表情を一瞬だけ見せましたが、巧みに隠して。

「ふむ、ナガト男爵よ、お前が代わりに読むがよい――」

「あっ、僕は宰相さんに頼みましたよ、ほら資料を手に持ってますしお願いしますね」

「これは国王暗殺計画の、屋敷に隠していた物ではないか! ま、まさか私の計画したことが全てここにあるのか、王を殺し、この国を乗っとる私の――なっ! なぜ喋ってしまっているのだ! どういう事だグランジ! 何とかしろ!」

「はい、一度黙って下さいね、それからそこで立って待っていてください、逃げないように悪さもしないで下さいね」

「王よ、今聞いた通り、宰相が王の暗殺及び、シャルーン王国に向けた謀反の資料とこの国の貴族、犯罪者の貴族達がしでかした、これから行おうとしていた事が細かく書かれています。どうか一読を」

「ふむ。私も何か調子が戻ったようだな、これは?」

「それは、宰相さんが王様に悪さをしていたからですよ、それをグランジさんが取り除いてくれたのです」

「なんと!」

 そして、グランジさんが頷くと、返すように頷いた王様は、一番手前の物から手をつけ始めました。
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