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第五章
第186話 悪者退治が終りましたよ
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「ねえ、そろそろ人数も増えてきたし、気絶させたままの人は、いつものところに転移させた方が良いんじゃない?」
「そうだね、僕があまりにも捕まえて来過ぎるって作らされた悪者棟に送っておきましょう。転移!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あっ、ああ~、カヤッツ隊長~、坊っちゃんがまた開拓奴隷の補充を始めちゃいましたよ」
「ここしばらくは船旅だったからな、久しぶりに静かだったが、隣の大陸に到着してすぐこれか、はぁ、今だと新鉱山が人手不足だったか?」
「新鉱山も、旧鉱山もですね。それにエルフの街も水路と畑の開墾でしょ、ガルさんの村も岩山に穴を掘り出してますし、鍛冶用の炭造りをする人手が欲しいとも言ってましたね」
「ああ、突然やってきたドワーフ達の村か、あの岩山も鉱山になるかも知れんと言ってたしな。まあ、飛ばされて来た人を見て、振り分けていくか、よし、五人ついて来てくれ、魔道具を忘れるなよ、どうせ、また数百人は来るんだろうからな」
「あの教国よりマシだと良いですね、あはは······」
「ま、まあそのお陰でサーバル伯爵領は、目まぐるしく発展しているがな」
「隊長も結婚しましたしね」
「くくっ、違いない。苦言を言う前に『結婚のお祝いです』なんてリヴァイアサン渡されちゃあな。おっと、作業に戻るぞ」
「「はっ」」
「隊長も良いよなぁ、俺も嫁が欲しいぜ」
「まあな。でもリヴァイアサンの革で俺達の革鎧まで、あの突然来たドワーフ達に頼んで作ってもらうくらいだからな、坊っちゃんの魔物退治も悪者退治も怒るに怒れないよな······向こうでは何を倒してくるのか楽しみだな」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
管理監邸に集まってくる悪者達を次々に気絶させて転移させ、最後は資料を持たせて、カヤッツにまとめを頼みます。と管理監に手紙も持たせて転移させました。
「ふあっ、ふあっ、ふあっくしょん!」
「どうしたの? 突然くしゃみなんかして」
「誰かに噂でもされたのかな? って、これで綺麗に片付きましたね。······あっ、孤児院の事を忘れてました! 急いで戻りましょう」
「そうね、もうすぐ夕方だし、全員集まっててくれると良いんだけど」
そして孤児院跡に戻ったのですが。
「多いわね······お肉もっと出さないと」
「はは······ですね」
「あっ! ライ! お帰り! みんな集まったぞ! ちょっと違う奴らもいるけど、スラムの子供達はこれで全員だな。ちょっと飯が足りないんだが······大丈夫か?」
帰ってきた僕達を見付けたルミナが駆けつけてきてそう言いました。
「大人の方はあまりいませんね、孤児の子は分かりますけど、赤ちゃんくらいの子もいますよね? 親は?」
「ああ、旦那さんを亡くした奥さんは、一緒に来たんだが、産みたくて産んでないって大人もいてな、『このままじゃ働けないから赤ちゃんだけ連れて行って!』って託された子も結構いるんだ、不憫だが、それがスラムでは当たり前だからなぁ、だから孤児院が必要なんだけどな」
「じゃあ、仕方ないのかなぁ。親がちゃんといるならって思いもあるけど」
「そこは······アマンダなら?」
「「あたしが育ててやる!」」
「だね。ルミナ、お肉追加するから焼いてくれる?」
「おう、任せとけ! それで悪者はやっつけたのか?」
「もちろん。ほぼいなくなったはずだよ」
「それでか、スラムの元締めが馬車で仲間を連れて行ったからそうなんだな、あいつらは盗みや殺しも平気でやる奴らだったからな、スラムも少しは住みやすくなるだろうな。よし、こっちだ、肉焼くぞ!」
薄暗くなるころ肉の匂いに誘われたのか、スラムの住人が集まり始め、最後にはほとんどのスラム住民が、いるんじゃないかと思うほど大勢集まりました。
そこに来ていて、みんなから長老って呼ばれている方が話しかけてきました。
「子供達を連れていくそうだが、本当に食事も勉強までおしえてもらえるんだな?」
「はい。もちろんですよ。大人の方にも開拓や、畑仕事、家畜のお世話なんてお仕事がありますから、あっ、お仕事すればちゃんとその分の報酬もありますから安心して下さい」
「ふむ。そこにはスラムは無いのかね? 仕事があるなら――」
「くふふ。元冒険者で、歩けなくなった方も、手が無くなった方もお仕事はありますからね、今はできなくても少しずつやっていけば何かはできるようになるものですよ?」
「ほう。どんな仕事だ!?」
「例えばですね――」
僕と長老がどんな仕事があるのかを話していると、少しずつ人が増え、輪になり、耳を澄ませ、真剣な顔で聞いています。
「――だから歩けない人は座ったままできる仕事があるのですよ」
「素晴らしい。みんな聞いたか? この街のスラムでは、その日の飯も事欠くが、仕事があり、俺のような年寄りでもできる仕事がある。お前のように、片腕が無くてもだ」
「そうですね、片腕のお兄さんは冒険者だったのかな?」
「ああ、依頼でしくじってな」
「でしたら街や村の櫓の上とか、外壁の見張りが良いかもですね、目は良いのでしょ?」
「ああ、パーティーでは斥候だったから目には自信があるぞ」
「では、手紙などの軽い物を運ぶのも良いかもしれませんね」
俺は、私はと沢山の方がどんな仕事があるのかなど聞いて来るので、僕が分かる範囲で答えている内に、夜も遅くなり、明日の朝、移動するつもりの方に集まってもらう事にして、お開きになりました。
「そうだね、僕があまりにも捕まえて来過ぎるって作らされた悪者棟に送っておきましょう。転移!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あっ、ああ~、カヤッツ隊長~、坊っちゃんがまた開拓奴隷の補充を始めちゃいましたよ」
「ここしばらくは船旅だったからな、久しぶりに静かだったが、隣の大陸に到着してすぐこれか、はぁ、今だと新鉱山が人手不足だったか?」
「新鉱山も、旧鉱山もですね。それにエルフの街も水路と畑の開墾でしょ、ガルさんの村も岩山に穴を掘り出してますし、鍛冶用の炭造りをする人手が欲しいとも言ってましたね」
「ああ、突然やってきたドワーフ達の村か、あの岩山も鉱山になるかも知れんと言ってたしな。まあ、飛ばされて来た人を見て、振り分けていくか、よし、五人ついて来てくれ、魔道具を忘れるなよ、どうせ、また数百人は来るんだろうからな」
「あの教国よりマシだと良いですね、あはは······」
「ま、まあそのお陰でサーバル伯爵領は、目まぐるしく発展しているがな」
「隊長も結婚しましたしね」
「くくっ、違いない。苦言を言う前に『結婚のお祝いです』なんてリヴァイアサン渡されちゃあな。おっと、作業に戻るぞ」
「「はっ」」
「隊長も良いよなぁ、俺も嫁が欲しいぜ」
「まあな。でもリヴァイアサンの革で俺達の革鎧まで、あの突然来たドワーフ達に頼んで作ってもらうくらいだからな、坊っちゃんの魔物退治も悪者退治も怒るに怒れないよな······向こうでは何を倒してくるのか楽しみだな」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
管理監邸に集まってくる悪者達を次々に気絶させて転移させ、最後は資料を持たせて、カヤッツにまとめを頼みます。と管理監に手紙も持たせて転移させました。
「ふあっ、ふあっ、ふあっくしょん!」
「どうしたの? 突然くしゃみなんかして」
「誰かに噂でもされたのかな? って、これで綺麗に片付きましたね。······あっ、孤児院の事を忘れてました! 急いで戻りましょう」
「そうね、もうすぐ夕方だし、全員集まっててくれると良いんだけど」
そして孤児院跡に戻ったのですが。
「多いわね······お肉もっと出さないと」
「はは······ですね」
「あっ! ライ! お帰り! みんな集まったぞ! ちょっと違う奴らもいるけど、スラムの子供達はこれで全員だな。ちょっと飯が足りないんだが······大丈夫か?」
帰ってきた僕達を見付けたルミナが駆けつけてきてそう言いました。
「大人の方はあまりいませんね、孤児の子は分かりますけど、赤ちゃんくらいの子もいますよね? 親は?」
「ああ、旦那さんを亡くした奥さんは、一緒に来たんだが、産みたくて産んでないって大人もいてな、『このままじゃ働けないから赤ちゃんだけ連れて行って!』って託された子も結構いるんだ、不憫だが、それがスラムでは当たり前だからなぁ、だから孤児院が必要なんだけどな」
「じゃあ、仕方ないのかなぁ。親がちゃんといるならって思いもあるけど」
「そこは······アマンダなら?」
「「あたしが育ててやる!」」
「だね。ルミナ、お肉追加するから焼いてくれる?」
「おう、任せとけ! それで悪者はやっつけたのか?」
「もちろん。ほぼいなくなったはずだよ」
「それでか、スラムの元締めが馬車で仲間を連れて行ったからそうなんだな、あいつらは盗みや殺しも平気でやる奴らだったからな、スラムも少しは住みやすくなるだろうな。よし、こっちだ、肉焼くぞ!」
薄暗くなるころ肉の匂いに誘われたのか、スラムの住人が集まり始め、最後にはほとんどのスラム住民が、いるんじゃないかと思うほど大勢集まりました。
そこに来ていて、みんなから長老って呼ばれている方が話しかけてきました。
「子供達を連れていくそうだが、本当に食事も勉強までおしえてもらえるんだな?」
「はい。もちろんですよ。大人の方にも開拓や、畑仕事、家畜のお世話なんてお仕事がありますから、あっ、お仕事すればちゃんとその分の報酬もありますから安心して下さい」
「ふむ。そこにはスラムは無いのかね? 仕事があるなら――」
「くふふ。元冒険者で、歩けなくなった方も、手が無くなった方もお仕事はありますからね、今はできなくても少しずつやっていけば何かはできるようになるものですよ?」
「ほう。どんな仕事だ!?」
「例えばですね――」
僕と長老がどんな仕事があるのかを話していると、少しずつ人が増え、輪になり、耳を澄ませ、真剣な顔で聞いています。
「――だから歩けない人は座ったままできる仕事があるのですよ」
「素晴らしい。みんな聞いたか? この街のスラムでは、その日の飯も事欠くが、仕事があり、俺のような年寄りでもできる仕事がある。お前のように、片腕が無くてもだ」
「そうですね、片腕のお兄さんは冒険者だったのかな?」
「ああ、依頼でしくじってな」
「でしたら街や村の櫓の上とか、外壁の見張りが良いかもですね、目は良いのでしょ?」
「ああ、パーティーでは斥候だったから目には自信があるぞ」
「では、手紙などの軽い物を運ぶのも良いかもしれませんね」
俺は、私はと沢山の方がどんな仕事があるのかなど聞いて来るので、僕が分かる範囲で答えている内に、夜も遅くなり、明日の朝、移動するつもりの方に集まってもらう事にして、お開きになりました。
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