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第四章
第178話 眠らなくても眠くならないようです
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「ライ! 後ろからも来たわよ!」
「うん! 任せて! シッ!」
僕は今、王城の地下深くにあったダンジョンに来ています。
地下からさらに下におりる階段を、一時間ほどかけて下りると階段の終わりと、その向こうに広がる魔物の群れ······群れどころじゃありませんね。
ダンジョンとダンジョンの外を隔てる透明の壁。
それに、後ろから押さえつけられるようにして押し潰され、あえなく消えるゴブリン。そのゴブリンを押していたゴブリンが次に消えます。
と、それほどまでに、ぎゅうぎゅう詰めのゴブリン達がいましたので、まずはダンジョンに入ろうと刀を抜き、突っ込んで、片っ端から切り進んで行ったのですが、多すぎて、ちょっと楽しくなってきましたから、久しぶりに魔法無しで頑張っているところです。
「ライ! ゴブリンキングの群れが来るわよ! やっちゃいなさい!」
「ゴブリンキングさんですか! 行きますよー! シッ!」
倒して進んでいく内に、ゴブリンから始まり、ゴブリンリーダー、ゴブリンスカウトなどいろんな種類のゴブリンが混ざりだし、それがいなくなると、キングの登場です。
そして、最後はエンペラーの登場!
流石に中々の強さで、二回僕の刀を止めようとしたのですが、持っていた鉄製のこん棒······メイスですね、メイスもスパッと切れて、左腕が落ち、次は右手が落ちたので、三回目でゴブリンエンペラーは消えていきました。
そして広大な一階層から魔物がいなくなり、エンペラーが消えた場所に宝箱が出ました。
「あれ? ボス部屋だったのでしょうか?」
「そうね、普通の階層だと出なかったはずだけど、まあいっぱい倒したんだから、ご褒美なんじゃない?」
「そうだね♪ えっと、宝箱は~、うん、罠はないみたいだね」
「分かるの? もしかして鑑定覚えた?」
「違うよ。箱の魔力の流れ方を見てたんだけど、蓋のところに魔力あるのですが、弱~い魔力なので違うかなって」
「ライ。宝箱は私が見てあげるから、スキルを覚えるまでは我慢しなさいね。んん~、良いわよ、罠はないから」
「そうだね、怪我とかしちゃうと駄目だから、それはテラに任せておくね。さてさてなにかなぁ~」
ジャンプをして一辺が五メートルはある宝箱の蓋の位置まで、そこで蓋の部分を蹴り上げると。
バカン! と勢いよく開き、宝箱の縁に着地すると、中身は何も入ってないように見えたのですが。
「からっぽ? あっ! あの隅に何かありますね、こんな大きな宝箱なのになんだか残念ですね」
「そうね、宝石とか詰まっていると思ってたけど、いったい何かしら、んん~! くふふふ、言ってたそばから大当たりよライ!」
「当たりなの? じゃあとりあえず、よいしょっと」
宝箱の中に飛び降りて、隅にあったよく見ると水晶玉の小さい物のようですが。
「拾って良いわよ、それも罠じゃないから大丈夫よ」
テラがそう言いますから、しゃがみこんで水晶玉を手に取ると。
「重くもないですね。これはなんでしょうかね? あっ! 消えちゃったよ」
拾い上げ、手のひらでコロコロしていたら手のひらに吸い込まれるように消えていきました。
「むふふふ。おめでとうライ。鑑定を覚えたわよ。まだまだ簡単な物しか鑑定できないだろうけど、沢山鑑定して行けば、私くらいは鑑定できるようになるかもね、頑張りなさい」
「おおー! やったぁー!」
すると、宝箱の中にいたのに、宝箱は消えて無くなりました。
で、二階層に行こうとして。
「ねえテラ、このダンジョン二階層は無いのかな? 入ってきた所しか見当たらないんだけど」
「あるわよ? あっちにまっすぐ進みなさい、そうしたら見えてくるはずだから」
「うん」
テラの指差す方向へ進むのですが、壁は近づきて来ましたが、あっ! 微かに魔力の流れがありました。
少し速度をあげて進むと、見えないはずです。
地面に四角く穴が空いていて、遠くからだと穴が見えないだけでした。
「こんなに広くて、なにもない階層なのに、こんな小さな階段の入り口を探させるなんて、意地悪なダンジョンですね」
「そうでもないんじゃない? そのために鑑定を覚える物が宝箱に入っていたんだしね。ところでライ。気付いてないかも知れないけど、あなた今日で丸二日寝てないんだけど大丈夫なの?」
「え? そう言えば眠くありませんね? お腹は空くのでやっつけながら食べてましたけど、大丈夫なのかな?」
「ちょっと待ってね。んん~、まだ超越者だから眠りは必要だし、ダンジョン自体が? んん~! なるほど。困ったダンジョンね、下に行くほど寝る時間が増えていくみたい。一階層は今みたいに寝なくても良いけど、次からは少しずつ寝なきゃ駄目みたいね」
「しばらくはぐるぐる無しで行って、起きてられる時間が短くなれば使えば行けるよね?」
「あっ! そうよね、ライにはそれがあるんだもの。じゃあ進みましょう!」
「いっくよー!」
そして階段に踏み入れた途端、凄く眠くなって、その場で毛布だけなんとか出す事に成功して、寝ることにしました。
「あはは······階段の所は普通なのね、装備も着けたままだしムルムル、ライがこんな毛布だけじゃ風邪引いちゃうかもしれないから、包んでくれる?」
(······いいよ······あたたかくするよ)
「じゃあ私も寝ましょうか、おやすみなさい。ちゅ」
「うん! 任せて! シッ!」
僕は今、王城の地下深くにあったダンジョンに来ています。
地下からさらに下におりる階段を、一時間ほどかけて下りると階段の終わりと、その向こうに広がる魔物の群れ······群れどころじゃありませんね。
ダンジョンとダンジョンの外を隔てる透明の壁。
それに、後ろから押さえつけられるようにして押し潰され、あえなく消えるゴブリン。そのゴブリンを押していたゴブリンが次に消えます。
と、それほどまでに、ぎゅうぎゅう詰めのゴブリン達がいましたので、まずはダンジョンに入ろうと刀を抜き、突っ込んで、片っ端から切り進んで行ったのですが、多すぎて、ちょっと楽しくなってきましたから、久しぶりに魔法無しで頑張っているところです。
「ライ! ゴブリンキングの群れが来るわよ! やっちゃいなさい!」
「ゴブリンキングさんですか! 行きますよー! シッ!」
倒して進んでいく内に、ゴブリンから始まり、ゴブリンリーダー、ゴブリンスカウトなどいろんな種類のゴブリンが混ざりだし、それがいなくなると、キングの登場です。
そして、最後はエンペラーの登場!
流石に中々の強さで、二回僕の刀を止めようとしたのですが、持っていた鉄製のこん棒······メイスですね、メイスもスパッと切れて、左腕が落ち、次は右手が落ちたので、三回目でゴブリンエンペラーは消えていきました。
そして広大な一階層から魔物がいなくなり、エンペラーが消えた場所に宝箱が出ました。
「あれ? ボス部屋だったのでしょうか?」
「そうね、普通の階層だと出なかったはずだけど、まあいっぱい倒したんだから、ご褒美なんじゃない?」
「そうだね♪ えっと、宝箱は~、うん、罠はないみたいだね」
「分かるの? もしかして鑑定覚えた?」
「違うよ。箱の魔力の流れ方を見てたんだけど、蓋のところに魔力あるのですが、弱~い魔力なので違うかなって」
「ライ。宝箱は私が見てあげるから、スキルを覚えるまでは我慢しなさいね。んん~、良いわよ、罠はないから」
「そうだね、怪我とかしちゃうと駄目だから、それはテラに任せておくね。さてさてなにかなぁ~」
ジャンプをして一辺が五メートルはある宝箱の蓋の位置まで、そこで蓋の部分を蹴り上げると。
バカン! と勢いよく開き、宝箱の縁に着地すると、中身は何も入ってないように見えたのですが。
「からっぽ? あっ! あの隅に何かありますね、こんな大きな宝箱なのになんだか残念ですね」
「そうね、宝石とか詰まっていると思ってたけど、いったい何かしら、んん~! くふふふ、言ってたそばから大当たりよライ!」
「当たりなの? じゃあとりあえず、よいしょっと」
宝箱の中に飛び降りて、隅にあったよく見ると水晶玉の小さい物のようですが。
「拾って良いわよ、それも罠じゃないから大丈夫よ」
テラがそう言いますから、しゃがみこんで水晶玉を手に取ると。
「重くもないですね。これはなんでしょうかね? あっ! 消えちゃったよ」
拾い上げ、手のひらでコロコロしていたら手のひらに吸い込まれるように消えていきました。
「むふふふ。おめでとうライ。鑑定を覚えたわよ。まだまだ簡単な物しか鑑定できないだろうけど、沢山鑑定して行けば、私くらいは鑑定できるようになるかもね、頑張りなさい」
「おおー! やったぁー!」
すると、宝箱の中にいたのに、宝箱は消えて無くなりました。
で、二階層に行こうとして。
「ねえテラ、このダンジョン二階層は無いのかな? 入ってきた所しか見当たらないんだけど」
「あるわよ? あっちにまっすぐ進みなさい、そうしたら見えてくるはずだから」
「うん」
テラの指差す方向へ進むのですが、壁は近づきて来ましたが、あっ! 微かに魔力の流れがありました。
少し速度をあげて進むと、見えないはずです。
地面に四角く穴が空いていて、遠くからだと穴が見えないだけでした。
「こんなに広くて、なにもない階層なのに、こんな小さな階段の入り口を探させるなんて、意地悪なダンジョンですね」
「そうでもないんじゃない? そのために鑑定を覚える物が宝箱に入っていたんだしね。ところでライ。気付いてないかも知れないけど、あなた今日で丸二日寝てないんだけど大丈夫なの?」
「え? そう言えば眠くありませんね? お腹は空くのでやっつけながら食べてましたけど、大丈夫なのかな?」
「ちょっと待ってね。んん~、まだ超越者だから眠りは必要だし、ダンジョン自体が? んん~! なるほど。困ったダンジョンね、下に行くほど寝る時間が増えていくみたい。一階層は今みたいに寝なくても良いけど、次からは少しずつ寝なきゃ駄目みたいね」
「しばらくはぐるぐる無しで行って、起きてられる時間が短くなれば使えば行けるよね?」
「あっ! そうよね、ライにはそれがあるんだもの。じゃあ進みましょう!」
「いっくよー!」
そして階段に踏み入れた途端、凄く眠くなって、その場で毛布だけなんとか出す事に成功して、寝ることにしました。
「あはは······階段の所は普通なのね、装備も着けたままだしムルムル、ライがこんな毛布だけじゃ風邪引いちゃうかもしれないから、包んでくれる?」
(······いいよ······あたたかくするよ)
「じゃあ私も寝ましょうか、おやすみなさい。ちゅ」
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