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第四章
第175話 お城に向かいましょう
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「はぁ、なんという事だ、私が不甲斐ないばかりに······ん? なんだこれは、服が変わっているぞ?」
「王様らしく着替えてもらいました。メイドさんも手伝ってくれましたよ」
「なんとも良い物だな、これは久しく身に付けていなかった上質な服ではないか、こんな良い物をまた身に付けられるとはな」
「お似合いですよ。それでですね、この後も貴族街を回りながら、悪い人攫い達を捕まえ、お城に行くのですが、たぶん人がいなくなるのですよ。ですから王様にお城に来て欲しいと思うのですが、この後何か用事はありますか?」
「人がいなくなるだと? 君が捕まえるの言うのか? やめておけ、あそこには邪神が――っ! ······大丈夫か、ふぅ、守っている奴がいてな、そいつに挑んだSランクの冒険者達でも仕留められなかった――」
それって。
「犬の邪神、ナベリウスならこのライが倒して、もう復活することもないわよ。安心しなさい」
「なんだと! いくら倒しても復活してくるあの犬の邪神を倒しただと! ならば君はSランクだと言うのか!」
王様はテーブルに手をつき、身を乗りだして聞いてきましたので、僕はいつも通りテラのギルドカードも一緒に王様に見せてあげました。
「真であったか、ならば君に従い登城しよう。昔からの家臣達と共に。すまないが皆を集めるための時間が必要だ。地下にも沢山の家臣達が捕まっていたからな。奴らの鍵を探し――」
「鍵ならライが開けてくれるわよ、魔法の鍵でしょ?」
そうですね、下に沢山の気配がありますから、先に悪者さんの上を通った時にお屋敷に送ってありますから後は良い方だけですしね。
「そ、その通りだが······できると言うのならその通りなのだな。よし、では付いてきてくれ、地下に下りる場所は私がいた部屋にある」
王様は覚めてしまったお茶をぐいっと飲み干して立ち上がり、メイドさんに、屋敷前に馬車と皆を集めるように指示して、向かいの部屋に行きかけて、思い出しました。
「この二人はもう開拓奴隷として送っておいて良いですか?」
「そうだな、こ奴らの部屋の中は精査したいが、時間が惜しい」
「そうですね、······命令です。あなた方や教会の悪事についての資料を、全て持ってお屋敷前に来て下さい。あっ、鍵とか必要ですか? 答えても良いですよ」
「必要ない。いつでも隠滅できるように暖炉の横の鞄に入れ置いてあるだけだからな。暖炉の火も絶やさないようにしていた」
「私も鞄にまとめてあるだけだ。ここには誰も入れないはずだったからな」
「では、それを持って、言った玄関前に来て下さい。悪さは駄目ですよ」
命令が終りましたので、二人は立ち上がり、廊下へ出ていきました。
その後メイドさんも、僕達が向かいの部屋に入った後、『では、準備をして参ります』と言って、みんなを集めて準備をするようです。
「ここだ、開けられるか?」
「はい。ぐるぐる~、ほいっと!」
狭い執務室の中に、入ってきた戸ともう一つ戸があって、僕はいつも通り鍵をぐるぐるして、開けちゃいました。
「では、一応僕が先行しますね」
「うむ。すまないが頼む」
戸を開けると、すぐに階段があって、僕は王様のために光を浮かべると、階段を下りていきました。
その下りた所にも、頑丈そうな扉がありましたが鍵を開け、中に入ると。
「何だ? 奴らが消えたと思ったら、少年と――王様! ご無事でしたか!」
「うおー! 王様が来て下さったぞ!」
「静まれ! 皆、遅くなった、これより登城だ、皆、私に付いてきてくれるか?」
王様は、少し心配そうな顔をしていますが、くふふ。大丈夫そうですね、皆さん笑顔ですから。
おっと、すぐに顔色が曇ってしまいましたね、なるほどです。今の内に奴隷の魔道具を外してしまいましょう。
ぐるぐる~、ほいっと!
「もちろん付いていきたいですが我々はこれが――え?」
ボトッと皆さんの腕から奴隷の魔道具が落ちて『へ?』って顔をしている内に。
(ライ。その壁に積んであるのは麻薬よ。収納しておきなさい。それからみんなにすぐに自分の荷物を準備してもらわないとね)
(うん)
「さて皆さん、自由になりましたから自分の荷物を集めて外に出る準備をお願いします。それからその壁際の麻薬は回収しておきますね、収納!」
「よし、皆! この少年の言う通りだ! 我らの城に戻るぞ! 急ぐのだ!」
「「はっ!」」
五十人ほど近くに集まっていましたが、奥へ続く通路へ皆が走り、たぶん寝るための部屋があるのでしょうね。
「少年よ、遅くなったが。教国、ではないな。オウル魔道王国国王アイゼン・ミィ・オウルだ。ありがとう。それからまだこれからだが、力を貸して欲しい」
「そうですね、忘れていました。僕は、サーバル男爵改め、サーバル伯爵家三男、ライリール・ドライ・サーバルと言います。ライとお呼び下さい。······オウル魔道王国ですか?」
「ああ、遥か昔、数百年前の名だ。信仰のため、オウル魔道王国からオウル教国に変わり、教国へと名を変えてきた。だが、いつしか教会が力を持ち、三年は経っていないが、私は奴らとの政に疲れ、妻に先立たれた心労から病に倒れてな。半年ほどで回復したのだが、療養と言いながらのこの別邸での軟禁がその時に始まったという訳だ」
······だからなのですね、この国から派遣される方が全員教会の方だったのは、この国は教会が乗っ取っていたと言う事ですか。
「なるほどです。あっ、戻ってきましたね、ではお城に向けて出発です!」
奥に誰もいなくなりましたから、奥の荷物も全部収納して、みんなで階段を上りました。
「王様らしく着替えてもらいました。メイドさんも手伝ってくれましたよ」
「なんとも良い物だな、これは久しく身に付けていなかった上質な服ではないか、こんな良い物をまた身に付けられるとはな」
「お似合いですよ。それでですね、この後も貴族街を回りながら、悪い人攫い達を捕まえ、お城に行くのですが、たぶん人がいなくなるのですよ。ですから王様にお城に来て欲しいと思うのですが、この後何か用事はありますか?」
「人がいなくなるだと? 君が捕まえるの言うのか? やめておけ、あそこには邪神が――っ! ······大丈夫か、ふぅ、守っている奴がいてな、そいつに挑んだSランクの冒険者達でも仕留められなかった――」
それって。
「犬の邪神、ナベリウスならこのライが倒して、もう復活することもないわよ。安心しなさい」
「なんだと! いくら倒しても復活してくるあの犬の邪神を倒しただと! ならば君はSランクだと言うのか!」
王様はテーブルに手をつき、身を乗りだして聞いてきましたので、僕はいつも通りテラのギルドカードも一緒に王様に見せてあげました。
「真であったか、ならば君に従い登城しよう。昔からの家臣達と共に。すまないが皆を集めるための時間が必要だ。地下にも沢山の家臣達が捕まっていたからな。奴らの鍵を探し――」
「鍵ならライが開けてくれるわよ、魔法の鍵でしょ?」
そうですね、下に沢山の気配がありますから、先に悪者さんの上を通った時にお屋敷に送ってありますから後は良い方だけですしね。
「そ、その通りだが······できると言うのならその通りなのだな。よし、では付いてきてくれ、地下に下りる場所は私がいた部屋にある」
王様は覚めてしまったお茶をぐいっと飲み干して立ち上がり、メイドさんに、屋敷前に馬車と皆を集めるように指示して、向かいの部屋に行きかけて、思い出しました。
「この二人はもう開拓奴隷として送っておいて良いですか?」
「そうだな、こ奴らの部屋の中は精査したいが、時間が惜しい」
「そうですね、······命令です。あなた方や教会の悪事についての資料を、全て持ってお屋敷前に来て下さい。あっ、鍵とか必要ですか? 答えても良いですよ」
「必要ない。いつでも隠滅できるように暖炉の横の鞄に入れ置いてあるだけだからな。暖炉の火も絶やさないようにしていた」
「私も鞄にまとめてあるだけだ。ここには誰も入れないはずだったからな」
「では、それを持って、言った玄関前に来て下さい。悪さは駄目ですよ」
命令が終りましたので、二人は立ち上がり、廊下へ出ていきました。
その後メイドさんも、僕達が向かいの部屋に入った後、『では、準備をして参ります』と言って、みんなを集めて準備をするようです。
「ここだ、開けられるか?」
「はい。ぐるぐる~、ほいっと!」
狭い執務室の中に、入ってきた戸ともう一つ戸があって、僕はいつも通り鍵をぐるぐるして、開けちゃいました。
「では、一応僕が先行しますね」
「うむ。すまないが頼む」
戸を開けると、すぐに階段があって、僕は王様のために光を浮かべると、階段を下りていきました。
その下りた所にも、頑丈そうな扉がありましたが鍵を開け、中に入ると。
「何だ? 奴らが消えたと思ったら、少年と――王様! ご無事でしたか!」
「うおー! 王様が来て下さったぞ!」
「静まれ! 皆、遅くなった、これより登城だ、皆、私に付いてきてくれるか?」
王様は、少し心配そうな顔をしていますが、くふふ。大丈夫そうですね、皆さん笑顔ですから。
おっと、すぐに顔色が曇ってしまいましたね、なるほどです。今の内に奴隷の魔道具を外してしまいましょう。
ぐるぐる~、ほいっと!
「もちろん付いていきたいですが我々はこれが――え?」
ボトッと皆さんの腕から奴隷の魔道具が落ちて『へ?』って顔をしている内に。
(ライ。その壁に積んであるのは麻薬よ。収納しておきなさい。それからみんなにすぐに自分の荷物を準備してもらわないとね)
(うん)
「さて皆さん、自由になりましたから自分の荷物を集めて外に出る準備をお願いします。それからその壁際の麻薬は回収しておきますね、収納!」
「よし、皆! この少年の言う通りだ! 我らの城に戻るぞ! 急ぐのだ!」
「「はっ!」」
五十人ほど近くに集まっていましたが、奥へ続く通路へ皆が走り、たぶん寝るための部屋があるのでしょうね。
「少年よ、遅くなったが。教国、ではないな。オウル魔道王国国王アイゼン・ミィ・オウルだ。ありがとう。それからまだこれからだが、力を貸して欲しい」
「そうですね、忘れていました。僕は、サーバル男爵改め、サーバル伯爵家三男、ライリール・ドライ・サーバルと言います。ライとお呼び下さい。······オウル魔道王国ですか?」
「ああ、遥か昔、数百年前の名だ。信仰のため、オウル魔道王国からオウル教国に変わり、教国へと名を変えてきた。だが、いつしか教会が力を持ち、三年は経っていないが、私は奴らとの政に疲れ、妻に先立たれた心労から病に倒れてな。半年ほどで回復したのだが、療養と言いながらのこの別邸での軟禁がその時に始まったという訳だ」
······だからなのですね、この国から派遣される方が全員教会の方だったのは、この国は教会が乗っ取っていたと言う事ですか。
「なるほどです。あっ、戻ってきましたね、ではお城に向けて出発です!」
奥に誰もいなくなりましたから、奥の荷物も全部収納して、みんなで階段を上りました。
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