172 / 241
第四章
第172話 凄く心配です······
しおりを挟む
「本当にどうなってやがんだ、ギルドの職員まで半分消えたぞ、おい! ギルマス! これはどういう事だ!」
あっ、ギルマスさんは無事だったのですね、それも立ち上がって、出てきたのは女性の方です。
「私にも分かりません。これは一体······」
「くそ、仲間も消えちまった、なんとか探す依頼とか出ねえのか? ギルドの職員まで消えたんだぞ?」
「もちろん緊急依頼を出すわ、でも、誰が消えたかまでは全員を把握することは難しいでしょうね、こうなったら近隣の街や村にも手配しないとまずいわね」
無駄足になっちゃいますが、ごめんなさいです。早めにこの街から悪者を排除しちゃいますから少しだけ頑張っていて下さいね。
「教会にも動いてもらおうぜ、この街なら教会に動いてもらうのが一番手っ取り早いだろ、支部も地区ごとにあるんだ、くまなく探せるってもんだぜ」
これは教会に潜り込むための好機ですよね。
「お手紙か何か書いてもらえれば、僕が届けましょうか? この街に来たばかりですが、あの大きなお城が教会の元ですよね?」
ギルドマスターさんも、仲間が人攫いだったお兄さんも、少し考えてから。
「俺は賛成だ。南方面の地理に詳しいからそっちを走らせてもらう」
「分かった。今いる者達は聞いて下さい! これより緊急依頼を出します! 王都の教会全てに手紙を配達してもらい、消えた者達の捜索をしてもらいます王都の東西南北で地理に詳しい方角別に別れ、少し待っていてくれ!」
ギルド内の残った、良い人達は皆さん頷き、カウンターに向かって、四列に並んでいきます。
「よし君の分は先に書いてしまおう」
そう言うとギルドマスターさんはカウンターの下から紙を取り出し、サラサラと書いていきます。
僕はカウンターに背伸びをして顎を乗せ手の動きを見学です。
「くくっ、笑っている場合ではないですが、なんとも可愛い······」
ギルドマスターさんは手を止め、僕をじっと見詰めてきましたので、笑ってあげました。
「はうっ、きゃ、きゃわいいの~君のお名前は?」
「ライと言います」
「ライきゅん♡ 良い名前ね~お姉さんは――」
「ギルマス! 早く手紙を書け! ったく、可愛い男の子を見たらいつもこれだ。すまないな、ライ君。ギルマスも普段は優秀なんだがな」
「いえいえ。大丈夫ですよ。僕は頑張る方は大好きですから」
「だ、大好きって言われたぁぁー!」
その後は凄かったです。あっという間に僕の分の手紙が完成して、次から次へ他の方の分を書いていきます。
「だろ? やる気を出せばこんな優秀な奴、そうはいないからな。よし城までの配達は頼んだぞ」
「はい。行ってきます」
(ライ、このギルマスはSランク冒険者よ。ライが領主になった時、領地の冒険者ギルドを頼めたら良いかもね)
(それは流石に無理だろうね。まあ来てくれたら良いですが。じゃあ、仕方ありませんね、お城にまっすぐ向かいましょうか)
(その言い方じゃ、寄り道したそうよ?)
(このギルドの右隣に、沢山反応がありましたからね)
テラがそちらを見ながらですが、僕は手紙を収納してギルドを出ました。
そう隣は教会です。僕の見立てでは、地下には数人しか反応がありませんが、地上部分は反応だらけです。それも良い人がいない感じです。
「全員やってしまって良いわよ。ここには人攫いの犠牲者はいないから、全員お屋敷に飛ばしちゃっても。ついでに地下に麻薬があるから根こそぎ収納しちゃってね」
「おお! 当たりましたね、ではぐるぐる~ほいっと! それから収納! そして転移!」
あっ、当たったのが嬉しくてつい、教会の中身を全部収納しちゃいました。
「あっ、ライ~、あなたね、まあ良いわ、ほら大通りも歩きながらになるんだから行くわよ」
大通りを何度か曲がりながら、少しずつお城に近付いて行きます。道がまっすぐ繋がっていないのは、お城に攻め込む時にまっすぐだと、勢いを付けたまま行けるのですが、こう何度も曲がりくねって進むとそれだけ時間も稼げますし、途中で、攻撃したりもしやすいので、守る方にはしっかりと考えられた作りだそうです。
そして、段々と、大きなお屋敷が建ち並んできたところを見ると、貴族街に入ったみたいです。
「ライここも駄目。全滅よ。やっちゃいなさい! まったく、なんなのこの国! 貴族街に入ったとたんまともな人が、奴隷すらいないじゃない! ほらそっちも駄目! 全然進めないわよ!」
「あはは······本当だね。カヤッツ大丈夫かな、あはは······ほいっと!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「カヤッツ隊長! また来ました!」
「嘘だろ~、坊っちゃんどこから送って来てるのですか······仕方がない! 各門は二名のみ残して後はこっちの処理に回してもらえ! 俺は旦那様と奥様に現状を伝えてくる!」
「はっ!」
「ってまた来たぞ!」
「何! お前の部下だけでは手が足りない? あいつはまったく、よし! おまえ、王に会いに行くぞ! 転移を頼む!」
「ええ。カヤッツ。戻るまでなんとか耐えてね。転移!」
パッ
「なんだと! 宰相! すぐにありったけの奴隷の魔道具を集めよ! それから近衛師団! 全員集合! これよりサーバル伯爵邸にて大仕事だ! 急げ!」
「ライ坊っちゃん······」
「隊長! 魔道具が無くなりました!」
「仕方がない、ロープで――」
パッ
「待たせたカヤッツ! 援軍を呼んできたぞ! ってなんじゃこりゃ!」
「嘘っ、こんなに来てたの!」
「おい剣聖! 驚いている場合か! 近衛師団! 持ってきた魔道具を嵌め、庭の端にでも移動させるのだ!」
「「はっ!」」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ほらほらライ! 次のお屋敷もよ! やっちゃいなさい!」
あはは······本当に、お屋敷大丈夫かな······。
あっ、ギルマスさんは無事だったのですね、それも立ち上がって、出てきたのは女性の方です。
「私にも分かりません。これは一体······」
「くそ、仲間も消えちまった、なんとか探す依頼とか出ねえのか? ギルドの職員まで消えたんだぞ?」
「もちろん緊急依頼を出すわ、でも、誰が消えたかまでは全員を把握することは難しいでしょうね、こうなったら近隣の街や村にも手配しないとまずいわね」
無駄足になっちゃいますが、ごめんなさいです。早めにこの街から悪者を排除しちゃいますから少しだけ頑張っていて下さいね。
「教会にも動いてもらおうぜ、この街なら教会に動いてもらうのが一番手っ取り早いだろ、支部も地区ごとにあるんだ、くまなく探せるってもんだぜ」
これは教会に潜り込むための好機ですよね。
「お手紙か何か書いてもらえれば、僕が届けましょうか? この街に来たばかりですが、あの大きなお城が教会の元ですよね?」
ギルドマスターさんも、仲間が人攫いだったお兄さんも、少し考えてから。
「俺は賛成だ。南方面の地理に詳しいからそっちを走らせてもらう」
「分かった。今いる者達は聞いて下さい! これより緊急依頼を出します! 王都の教会全てに手紙を配達してもらい、消えた者達の捜索をしてもらいます王都の東西南北で地理に詳しい方角別に別れ、少し待っていてくれ!」
ギルド内の残った、良い人達は皆さん頷き、カウンターに向かって、四列に並んでいきます。
「よし君の分は先に書いてしまおう」
そう言うとギルドマスターさんはカウンターの下から紙を取り出し、サラサラと書いていきます。
僕はカウンターに背伸びをして顎を乗せ手の動きを見学です。
「くくっ、笑っている場合ではないですが、なんとも可愛い······」
ギルドマスターさんは手を止め、僕をじっと見詰めてきましたので、笑ってあげました。
「はうっ、きゃ、きゃわいいの~君のお名前は?」
「ライと言います」
「ライきゅん♡ 良い名前ね~お姉さんは――」
「ギルマス! 早く手紙を書け! ったく、可愛い男の子を見たらいつもこれだ。すまないな、ライ君。ギルマスも普段は優秀なんだがな」
「いえいえ。大丈夫ですよ。僕は頑張る方は大好きですから」
「だ、大好きって言われたぁぁー!」
その後は凄かったです。あっという間に僕の分の手紙が完成して、次から次へ他の方の分を書いていきます。
「だろ? やる気を出せばこんな優秀な奴、そうはいないからな。よし城までの配達は頼んだぞ」
「はい。行ってきます」
(ライ、このギルマスはSランク冒険者よ。ライが領主になった時、領地の冒険者ギルドを頼めたら良いかもね)
(それは流石に無理だろうね。まあ来てくれたら良いですが。じゃあ、仕方ありませんね、お城にまっすぐ向かいましょうか)
(その言い方じゃ、寄り道したそうよ?)
(このギルドの右隣に、沢山反応がありましたからね)
テラがそちらを見ながらですが、僕は手紙を収納してギルドを出ました。
そう隣は教会です。僕の見立てでは、地下には数人しか反応がありませんが、地上部分は反応だらけです。それも良い人がいない感じです。
「全員やってしまって良いわよ。ここには人攫いの犠牲者はいないから、全員お屋敷に飛ばしちゃっても。ついでに地下に麻薬があるから根こそぎ収納しちゃってね」
「おお! 当たりましたね、ではぐるぐる~ほいっと! それから収納! そして転移!」
あっ、当たったのが嬉しくてつい、教会の中身を全部収納しちゃいました。
「あっ、ライ~、あなたね、まあ良いわ、ほら大通りも歩きながらになるんだから行くわよ」
大通りを何度か曲がりながら、少しずつお城に近付いて行きます。道がまっすぐ繋がっていないのは、お城に攻め込む時にまっすぐだと、勢いを付けたまま行けるのですが、こう何度も曲がりくねって進むとそれだけ時間も稼げますし、途中で、攻撃したりもしやすいので、守る方にはしっかりと考えられた作りだそうです。
そして、段々と、大きなお屋敷が建ち並んできたところを見ると、貴族街に入ったみたいです。
「ライここも駄目。全滅よ。やっちゃいなさい! まったく、なんなのこの国! 貴族街に入ったとたんまともな人が、奴隷すらいないじゃない! ほらそっちも駄目! 全然進めないわよ!」
「あはは······本当だね。カヤッツ大丈夫かな、あはは······ほいっと!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「カヤッツ隊長! また来ました!」
「嘘だろ~、坊っちゃんどこから送って来てるのですか······仕方がない! 各門は二名のみ残して後はこっちの処理に回してもらえ! 俺は旦那様と奥様に現状を伝えてくる!」
「はっ!」
「ってまた来たぞ!」
「何! お前の部下だけでは手が足りない? あいつはまったく、よし! おまえ、王に会いに行くぞ! 転移を頼む!」
「ええ。カヤッツ。戻るまでなんとか耐えてね。転移!」
パッ
「なんだと! 宰相! すぐにありったけの奴隷の魔道具を集めよ! それから近衛師団! 全員集合! これよりサーバル伯爵邸にて大仕事だ! 急げ!」
「ライ坊っちゃん······」
「隊長! 魔道具が無くなりました!」
「仕方がない、ロープで――」
パッ
「待たせたカヤッツ! 援軍を呼んできたぞ! ってなんじゃこりゃ!」
「嘘っ、こんなに来てたの!」
「おい剣聖! 驚いている場合か! 近衛師団! 持ってきた魔道具を嵌め、庭の端にでも移動させるのだ!」
「「はっ!」」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ほらほらライ! 次のお屋敷もよ! やっちゃいなさい!」
あはは······本当に、お屋敷大丈夫かな······。
0
お気に入りに追加
1,638
あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。


積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる