【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

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第四章

第170話 奴隷を買っちゃいましょう?

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「すいませーん。どなたかいらっしゃいますかー」

 灯りがついていましたので、中には行ったのですが、受け付けにも人がいません。

 部屋の奥に人の気配が有りましたので、呼び掛けてみましたが、動く気配がありません。

「困りましたね」

「ライ、そのカウンターの上にあるベルは魔道具よ、それで呼ぶんじゃないの?」

 テラが言うように、カウンターの上にはベルがあり、魔力を帯びています。

「おお、では鳴らしてみましょう」

「はぁ、鍵を開けて入れば良いのに、客のふりでもするの?」

「おおー! それは面白そうですね、お客として入って、眠り薬入りのジュースとか飲まされるのですよ、くふふ。では」

 僕は背伸びをして、カウンターの上からベルを手に取り、チリンチリンと二回鳴らしてみました。

「おお! テラの作戦が当たりです。動きましたよ」

「はぁ、この街はここで終わりだから別に良いけどね、捕まってる方を助けて、本当の奴隷はそのまま魔道具は外しちゃ駄目よ」

「うん。あっ来ましたので、僕はお客さんです」

「まあ、ほどほどにね」

 カチャと静かな音を立てて開いた扉からは、執事でもしているような黒い服を着たおじさんが現れました。

「はて、迷子かな坊や。ここは奴隷商会なので、あっ、冒険者のようですね、それでは戦闘奴隷が要りようですか?」

「こんにちは。僕はサーバル男爵改めサーバル伯爵家三男、ライリール・ドライ・サーバルと言います。今日はこちらで奴隷を見せていただこうと参りました。紋章入りの物はこのナイフで証明になりますか?」

 僕はサーバル男爵家の紋章の入った、解体用のナイフを見せると、その柄頭を一目見て、おじさんはコクリと頷きました。

「はい。ライリール様。確かにサーバル家の紋様でございます。では当商会で扱っております、自慢の奴隷をお見せさせていただきます」

「はい。よろしくお願いします」

 そう言うと、おじさんが出てきた扉を開け、中に案内してくれるようです。

「ライリール様は冒険者をしていらっしゃるようですから、戦闘奴隷を見ていたきだき、その他は身の回りの世話をする者などが良いとは思いますが、いかがいたしましょうか」

(戦闘奴隷は全て犯罪者ね。ここには冒険者は連れては来られてないみたい。人攫いでここにいるのは全て女性よ。だから女の人を頼みなさい)

(ありがとう。そうするね)

「そうですね、戦闘は僕だけで今は十分ですから、女性の身の回りの事をしてもらえる方を全員見る事はできますか?」

「かしこまりました。では大部屋での紹介で良かったでしょうか? 個別で、あるいは数人ずつと色々と選べますが」

 そうですね、一度に見せてもらって、一気にやってしまいましょうか。

「では見比べたりするなら全員一度の方が良いですよね、それなら大部屋でお願いします」

「かしこまりました。では、この部屋に皆を連れてきます。どうぞ」

 そう言われ、案内されたのは、十メートル四方の大きな部屋で、窓もなく、真っ赤な絨毯が敷かれ、大きなソファーがあり、後はテーブルと壁際に小さな机があるだけの部屋でした。

「そちらのソファーでお待ち下さいませ。すぐにメイドが飲み物を持ってきてくれますので」

「はい」

 言われた一番奥のソファーに座り、手前のソファーにおじさんが座りました。

 本当に、座ってすぐに扉がコンコンと叩かれ、『お飲み物をお持ちしました』と外から声がかかりました。

 おじさんが招き入れ、僕とおじさんにジュースとお茶を、テーブルのそれぞれの前に置き、部屋を出ていきました。

「今しばらくお待ち下さいませ、今こちらに来れるよう用意をしておりますので」

「はい。何人ほどいるのですか?」

「現在身の回りの世話をする者で女性ですと五名おります。読み書きは皆ができますのでご安心を、ちなみに今飲み物を持ってきた者もその内の一人でございます」

「へ~、商会でも働きながら勤め先を待つのですね、その方が、いざ勤め先が決まっても、感覚を取り戻すために時間がかかりますし」

「その通りでございます。日頃からここでやっておけば失敗も少なくなりますからね。そろそろでしょうか」

(ねえテラ、この人はどうなの?)

(この人は無罪よ、真面目な奴隷商人ね、悪いのはここの商会長。ここのボスで、犯罪称号はズラリとならんでいるわ。隣の部屋で聞き耳を立てて覗いているわよ)

(じゃあ魔道具をいただいて、気絶だけしてもらっておきましょうかね?)

(そうね、二人しかいなくて、その二人ともやっちゃって良いわよ)

 さて、やっちゃいましょうか、ぐるぐる~、ほいっと! それからパンツだけ残して収納! ついでに転移!

 隣の二人は沢山の魔道具を持っていましたので、全部収納させていただきました。

 それと同時に扉が叩かれ、招き入れると、五名のメイド服を着た女性達が部屋に入ってきました。

 そして僕が座るソファーの対面に並んで立ちました。

「この者達は、借金奴隷としてこちらにいますので、将来的に自由になる予定の者達です。ですが、金額が左から大金貨五枚――」

 おお、大金貨の借金って相当頑張らないと返せませんよね。まあ偽の借金ですが。

 さて、どうしましょうかね、予想では僕も捕まって、腕輪も嵌められる直前に壊しておくつもりでしたが······その流れはありませんし、正直に話してしまいましょうか。

(そうね、このおじさんは良い人だし、それにこの商会の良い人はここにいる者だけだから。見張っていた者もやっつけちゃったし、良いわよ。私が一応結界を張ってあげるから)

(ありがとうテラ)

「おじさん。この方達ですが――」

 僕はテラが結界を張った後、僕は事情を話し始めました。
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