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第四章
第164話 教国へ入りますよ
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「ライ。お前はどうせ教国に行くんだろ?」
父さんが、捕まえた二人の詰問を終えたのか、僕の方へやって来て、そんな事を聞いて来ました。
「はい。そのつもりです。沢山悪い人を捕まえて、開拓する人を集めますね」
「はぁ、ありがたいんだが、気を付けろよ? ライが強いのは分かっているが、世の中には剣聖、賢者と呼ばれた私達より強く、狡猾な奴がいるからな。お前はテラとムルムルも守りながら闘うんだ、本当に危ないと思ったら逃げろ」
「逃げるのですか?」
「ああ。それでテラもムルムルも傷付かないならその方が良い。奥さんなんだろ? 私の場合はまぁ、沢山逃げたぞ。それでも私は冒険者としてライと同じSランクまで登り詰めたし、母さんもな。怪我無く、無事に生きていればそれで良い。テラもライが無茶をしそうになった時は頼んだ。ムルムルもな」
「ええお義父様。ムルムルも私もいるのですから、怪我なんてさせるもんですか! ね、ムルムル」
(······うん······まかせて)
父さんはムルムルの声を聞いたのか『え?』って顔になりましたが、笑顔に戻り。
「くくくっ。とんだスライムだなムルムルは。まるで一度だけあったことのある、インフィニティスライムのようだ。あのスライムはもう少し大きかったが、テラもムルムルもありがとう」
父さんの後から食堂に戻ってきた母さんとイシェもこちらにやって来ました。
「あら、お話はすみました? ライ、帝国と、教国の国境へ明日の朝送ってあげるわ。そこなら母さんも送ってあげられるから」
「本当! ありがとう母さん。捕まっている方を少しでも早く助けたいと思っていましたから」
「うふふ。そうね、じゃあ早くお風呂をいただいて、寝ておきなさい。朝一番に送ってあげるから寝坊は······したことないわね、アースとシーは良く寝坊していたけど、お兄さん達のそこは父さん似ね。ライは私と同じで朝はすぐに目を覚ますものね」
「はい。母さん達はこれからまだ詰問を続けるのですか?」
「ああ。それはおっさんところの兵士にまかせて、私は先ほどまで聞いた物をまとめておくくらいだな。残りは朝から夕方までにまとめれば良い」
「旦那様、お風呂なら私が案内しよう、明日は早くに出発と聞こえた。寂しいが仕方がない、苦しんでいるだろう民の救出を先にせねばな。よし。ついてくるのだ」
「うん。ありがとうイシェ。父さん母さん、行ってきますね、おやすみなさい」
そうしてイシェの案内で、お風呂に来たのですが、イシェも一緒に入るつもりだったらしく、また泳ぎの競争をしたり、潜りっこ。テラとムルムルは滑り台で遊んだ後、そのまま客室に案内してくれたのですが、泳ぎ疲れたのか、僕達はみんな腹巻きをして、イシェにはナインテールの腹巻きを作ってあったので、それをあげると喜んで着てくれて、しばらくお話しをして、メイドさんが呼びに来てくれたので、イシェは自分の部屋に戻りました。
······オーク村長と、コボルド村長は嫌だったみたいですが、良いと言ってくれる物があって良かったです。さあ寝ちゃいましょう。
コンコンコンと、戸を叩く音で目が覚め『どうぞ』と招き入れるとイシェが枕をもって、入って来ました。
「どうしたのイシェ、眠れなかったの?」
「う、うん。じゃなくて、うむ。せっかく旦那様が同じ城にいるのに、別々は寂しくてな、こっそり部屋を抜け出してきたのだ。一緒に寝よう」
「うん。横においで、今はムルムルとテラが乗っているから動けないので僕がベッドのまん中になっちゃうけど」
「うむ」
そう言い、頷くと、ベッドに上がり、枕を横に並べて、かけてあるシーツをめくり上げ、僕の横にポスンと寝転んでシーツをかけました。
「テラとムルムルは良いな、旦那様と一緒にずっと旅をして行けるんだからな、羨ましいわ、じゃなくて羨ましいぞ」
「イシェ、その喋り方、頑張っているのは分かるけど」
「い、言うな、この喋り方は父上に憧れて、やり始めたのだ。民を思う領主とはこう言うものだと分かったからな」
「そうなんだ、だったら良いね、もしかして、公爵と、領主になったからその喋り方にしろって言われてやっているなら、僕といる時くらいは普通に喋っても良いのかなって思っていたからね」
「くくくっ。まあたまには喋ることもあるやも知れんからその時は良しなに頼む。よし。寝るぞ、明日は早起き、しなきゃ······」
あれ? くふふ。寝ちゃいましたね。
僕ももう······眠いで······す。
コンコンコンと、戸を叩く音で目が覚めました。
『ライ様、朝です。入りますね』
「はい。どうぞ」
カチャと戸が開き、メイドさんが客室に入って来ました。
「おはようございま――え? だ、旦那様と同衾されて······」
「ふぁぁ、おはよう旦那様。ん? どうしたのだ、そんな顔をして」
「メイドさんがね、僕達が一緒に寝ているのを見て驚いているんだよ。そう言えば、こっそりこの部屋に来たんでしょ?」
「うむ。そうすると、向こうでも騒ぎになっているやも知れんな。すまぬが私は旦那様と寝ていたのだ。驚かせてすまないな」
「あは、あはは······わ、分かりました。ではお着替えはこちらに?」
「いや。一度部屋に戻ろう。そうしないと侍女が怒るだろうからな。旦那様、私は一度戻る。後程食堂で」
そして部屋を出ていったイシェ。後で聞いたのですが、凄く怒られたそうで、食堂に現れた時にはしょんぼりとしていました。
朝ごはんを食べ終わる頃には元気な顔に戻っていましたが、僕が母さんに送られる時は泣きそうな顔をしていましたので、時々転移で遊びに来る約束をして、国境の街にやって来ました。
「じゃあ頑張ってきなさいね、母さんは戻るわ」
「うん。行ってきます」
そして僕は帝国から出て教国側にある、国境の街に向かいました。
父さんが、捕まえた二人の詰問を終えたのか、僕の方へやって来て、そんな事を聞いて来ました。
「はい。そのつもりです。沢山悪い人を捕まえて、開拓する人を集めますね」
「はぁ、ありがたいんだが、気を付けろよ? ライが強いのは分かっているが、世の中には剣聖、賢者と呼ばれた私達より強く、狡猾な奴がいるからな。お前はテラとムルムルも守りながら闘うんだ、本当に危ないと思ったら逃げろ」
「逃げるのですか?」
「ああ。それでテラもムルムルも傷付かないならその方が良い。奥さんなんだろ? 私の場合はまぁ、沢山逃げたぞ。それでも私は冒険者としてライと同じSランクまで登り詰めたし、母さんもな。怪我無く、無事に生きていればそれで良い。テラもライが無茶をしそうになった時は頼んだ。ムルムルもな」
「ええお義父様。ムルムルも私もいるのですから、怪我なんてさせるもんですか! ね、ムルムル」
(······うん······まかせて)
父さんはムルムルの声を聞いたのか『え?』って顔になりましたが、笑顔に戻り。
「くくくっ。とんだスライムだなムルムルは。まるで一度だけあったことのある、インフィニティスライムのようだ。あのスライムはもう少し大きかったが、テラもムルムルもありがとう」
父さんの後から食堂に戻ってきた母さんとイシェもこちらにやって来ました。
「あら、お話はすみました? ライ、帝国と、教国の国境へ明日の朝送ってあげるわ。そこなら母さんも送ってあげられるから」
「本当! ありがとう母さん。捕まっている方を少しでも早く助けたいと思っていましたから」
「うふふ。そうね、じゃあ早くお風呂をいただいて、寝ておきなさい。朝一番に送ってあげるから寝坊は······したことないわね、アースとシーは良く寝坊していたけど、お兄さん達のそこは父さん似ね。ライは私と同じで朝はすぐに目を覚ますものね」
「はい。母さん達はこれからまだ詰問を続けるのですか?」
「ああ。それはおっさんところの兵士にまかせて、私は先ほどまで聞いた物をまとめておくくらいだな。残りは朝から夕方までにまとめれば良い」
「旦那様、お風呂なら私が案内しよう、明日は早くに出発と聞こえた。寂しいが仕方がない、苦しんでいるだろう民の救出を先にせねばな。よし。ついてくるのだ」
「うん。ありがとうイシェ。父さん母さん、行ってきますね、おやすみなさい」
そうしてイシェの案内で、お風呂に来たのですが、イシェも一緒に入るつもりだったらしく、また泳ぎの競争をしたり、潜りっこ。テラとムルムルは滑り台で遊んだ後、そのまま客室に案内してくれたのですが、泳ぎ疲れたのか、僕達はみんな腹巻きをして、イシェにはナインテールの腹巻きを作ってあったので、それをあげると喜んで着てくれて、しばらくお話しをして、メイドさんが呼びに来てくれたので、イシェは自分の部屋に戻りました。
······オーク村長と、コボルド村長は嫌だったみたいですが、良いと言ってくれる物があって良かったです。さあ寝ちゃいましょう。
コンコンコンと、戸を叩く音で目が覚め『どうぞ』と招き入れるとイシェが枕をもって、入って来ました。
「どうしたのイシェ、眠れなかったの?」
「う、うん。じゃなくて、うむ。せっかく旦那様が同じ城にいるのに、別々は寂しくてな、こっそり部屋を抜け出してきたのだ。一緒に寝よう」
「うん。横においで、今はムルムルとテラが乗っているから動けないので僕がベッドのまん中になっちゃうけど」
「うむ」
そう言い、頷くと、ベッドに上がり、枕を横に並べて、かけてあるシーツをめくり上げ、僕の横にポスンと寝転んでシーツをかけました。
「テラとムルムルは良いな、旦那様と一緒にずっと旅をして行けるんだからな、羨ましいわ、じゃなくて羨ましいぞ」
「イシェ、その喋り方、頑張っているのは分かるけど」
「い、言うな、この喋り方は父上に憧れて、やり始めたのだ。民を思う領主とはこう言うものだと分かったからな」
「そうなんだ、だったら良いね、もしかして、公爵と、領主になったからその喋り方にしろって言われてやっているなら、僕といる時くらいは普通に喋っても良いのかなって思っていたからね」
「くくくっ。まあたまには喋ることもあるやも知れんからその時は良しなに頼む。よし。寝るぞ、明日は早起き、しなきゃ······」
あれ? くふふ。寝ちゃいましたね。
僕ももう······眠いで······す。
コンコンコンと、戸を叩く音で目が覚めました。
『ライ様、朝です。入りますね』
「はい。どうぞ」
カチャと戸が開き、メイドさんが客室に入って来ました。
「おはようございま――え? だ、旦那様と同衾されて······」
「ふぁぁ、おはよう旦那様。ん? どうしたのだ、そんな顔をして」
「メイドさんがね、僕達が一緒に寝ているのを見て驚いているんだよ。そう言えば、こっそりこの部屋に来たんでしょ?」
「うむ。そうすると、向こうでも騒ぎになっているやも知れんな。すまぬが私は旦那様と寝ていたのだ。驚かせてすまないな」
「あは、あはは······わ、分かりました。ではお着替えはこちらに?」
「いや。一度部屋に戻ろう。そうしないと侍女が怒るだろうからな。旦那様、私は一度戻る。後程食堂で」
そして部屋を出ていったイシェ。後で聞いたのですが、凄く怒られたそうで、食堂に現れた時にはしょんぼりとしていました。
朝ごはんを食べ終わる頃には元気な顔に戻っていましたが、僕が母さんに送られる時は泣きそうな顔をしていましたので、時々転移で遊びに来る約束をして、国境の街にやって来ました。
「じゃあ頑張ってきなさいね、母さんは戻るわ」
「うん。行ってきます」
そして僕は帝国から出て教国側にある、国境の街に向かいました。
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