162 / 241
第四章
第162話 あなた達邪魔です!
しおりを挟む
イシェのお城に到着早々、あわただしく事が起こりましたが、なんとか良い方向で終わることになりましたし、捕まえた四人を詰問するため魔力を少し戻してあげて、『嘘を付かないで、何でも質問に答えて下さい』と命令をして兵士さんに引き渡しました。
「よし。奴らの事は兵士に今は任せて、食堂に案内しよう、夕食を用意してあるのだ」
「うん。そうだね、でも気になってた事が早く片付けられて良かったですよ」
「そうね、ライったらすまほを見てからそわそわしてたもの。でも残念なのは、ダンジョンより先に教国に向かわないとね」
「うむ、構わんぞ。私も――」
「公爵様は学院がございますので付いていく事はできませんよ?」
「あっ! え、あの、······駄目?」
しゅんとなったイシェは、メイドさんを下から見上げるように、訴えかけましたが。
「可愛い顔でお願いしても駄目です。公務で休むのは仕方がありませんが、きちんと学院へは行くべきです」
「イシェ、残念だけど今は頑張って勉強をしてね。将来は家令も頼みたいんだから」
「うう~、頑張る······」
テラにも言われてさらにしゅんとなって、公爵ですって、雰囲気は無くなり、僕やフィーア、ティ、プシュケと同じ十歳の女の子に見えました。
そして『冒険の旅······良いなぁ······』と呟くイシェの手を引きメイドさんの案内で、廊下を進み、二人のメイドさんが待つ扉まで来ると、扉を左右に開け、僕達が止まること無く大きな食堂に到着しました。
「イシュ・チェル! その者が貴様の旦那になる男か!」
入ってすぐに怒鳴り付けてきた、凄くがっしりしたおじさん。公爵にそんな言葉で喋ると家族でも怒られちゃいますよ?
「父上!? 出てきて大丈夫なのですか!? 死んだ事に――あっ······」
おおー、イシェのお父さんなのですね、あれ? 死んだんじゃなくて、嘘を付いて跡目を渡したの? でも父上と言ってますし、ご挨拶はしないといけませんね。
「えっと、初めまして、サーバル男爵改め、サーバル伯爵家の三男。ライリール・ドライ・サーバルと言います。ライとお呼び下さい」
「うむ、礼儀は剣聖のヤツよりできておるな、イシュ・チェルの上の兄、あの二人にも見習わせたいものだ。よし、婚約を認めよう。それに次期公爵家当主は――」
『お待ち下さいませ! 今はなりません、』
『邪魔だ! 退いておれ! 不敬罪で切り捨てるぞ! はっ!』
『切るなら私がいただく! だが今は下がっておれ! ふん!』
『きゃっ』
廊下から何やら騒がしい声が聞こえてきて、たぶん扉を開けてくれたメイドさんの声と、男の人の声が。そして、いきなり。
バタン
「パパ、それは私であろう? 長男の私がやはり相応しいと言う事だ」
「何を言う、私だ。兄上は学院の成績私より下ですぞ、次期当主はこの私が相応しい」
僕達が入ってきた扉を乱暴に開け、男の人が二人、先を競うように入ってきたのですが、その後ろで額から血を流すメイドさんがいました。
「大丈夫ですか! あなた達邪魔です! はっ!」
僕はメイドさんに駆け寄ろうとして、邪魔だった二人の腰を思い切り押して、左右に飛ばし、ゴロンゴロンと転がっていきました。が、そんなのは放っといて廊下でうずくまり、頭を押さえる手では間に合わず、止まらないほど血を流すメイドさんの頭に手のひらを向け、おもいっきり魔力を込めて、回復を唱えました。
「回復! 動かないで下さい、すぐに治しますから」
「「ぷぎょっ」」
転がって、廊下の先にあった壁にぶつかり変な声を出していますが、今はメイドさんです。結構深く切れてますから、もっと魔力を。
「き、貴様! 私を突き飛ばすとは! 不敬罪で即刻その首飛ばしてくれる! 入るのを邪魔したそのメイドも同罪だ!」
「何をするのだ貴様! 誰かこいつとメイドを拷問部屋まで連れて行け! 後で死んだ方がマシだと思うような拷問をしてやる!」
「うるさいです! あなた達は暴漢ですね、捕まえてあげますから寝てて下さい! ぐるぐるー! ほいっと!」
乱暴に二人のぶよぶよ太った男の人の魔力を回し、一気に抜いて気絶させ、メイドさんの怪我を治すことに使い、二人の男の人は、魔道具を色々持っていましたからパンツを残して全て収納し、回復魔法は維持したまま奴隷の腕輪を嵌めておきます。
「ライ! 後頭部も強く打ってるわ、前だけじゃ駄目よ! 骨も折れて、頭の中が出血してるの!」
「分かりました! 集める範囲を広げます! 街の全体からも少しずつ魔力をいただきますよ! ぐるぐるー! ほいっと!」
「旦那様! 何か手伝えることはありますか!?」
「気絶しちゃいましたし、出血が多いです。どこか休ませてあげられるところを確保してください」
「この者を休ませる部屋、近い方が良いな、おい! この食堂で良い! 寝台を一つ用意してくれ! 父上、よろしいですね」
「構わんぞ。それから血を失ったのだ、肉料理をその者のために用意するのだ! 私達が食べる物は後回しで良い! 急げ!」
イシェも、イシェのお父さんも一緒になってお手伝いをしてくれました。
イシェに付いていた兵士さん四人が、寝台を取りに行くため離れると許可を取った後、駆け足でその場を離れて行き、食道内にいたメイドさんも、あわただしく動き、食堂の一角を開けるため、飾られてあった物を移動させ、そこに寝台を運んで来た兵士さんが戻ってきました。
「よし、表面の怪我はなくなりました。運んじゃいましょう。えっと浮遊!」
「まさかその魔法が使える者がおるとは! しかも子供だと! しかしそれが使えれば······」
何か言ってますが今はぶつけたりしないように慎重に食堂の入口をくぐり抜け、寝台を置いてくれた場所まで移動をしていきます。
「ライ、そーっとよ、揺らさないようにね、頭の中はまだ治りきってないからね、それと寝台は壁から離して、周りからお世話できるようにお願い」
テラの声を聞いた兵士さんは急いで寝台を移動させ、壁からニメートルほど離してくれました。その寝台の真上までメイドさんを移動させ、そーっと下ろしました。
「じゃあ全力に戻しますよ! 回復です! ぐるぐるー! ほいっと!」
「よし。奴らの事は兵士に今は任せて、食堂に案内しよう、夕食を用意してあるのだ」
「うん。そうだね、でも気になってた事が早く片付けられて良かったですよ」
「そうね、ライったらすまほを見てからそわそわしてたもの。でも残念なのは、ダンジョンより先に教国に向かわないとね」
「うむ、構わんぞ。私も――」
「公爵様は学院がございますので付いていく事はできませんよ?」
「あっ! え、あの、······駄目?」
しゅんとなったイシェは、メイドさんを下から見上げるように、訴えかけましたが。
「可愛い顔でお願いしても駄目です。公務で休むのは仕方がありませんが、きちんと学院へは行くべきです」
「イシェ、残念だけど今は頑張って勉強をしてね。将来は家令も頼みたいんだから」
「うう~、頑張る······」
テラにも言われてさらにしゅんとなって、公爵ですって、雰囲気は無くなり、僕やフィーア、ティ、プシュケと同じ十歳の女の子に見えました。
そして『冒険の旅······良いなぁ······』と呟くイシェの手を引きメイドさんの案内で、廊下を進み、二人のメイドさんが待つ扉まで来ると、扉を左右に開け、僕達が止まること無く大きな食堂に到着しました。
「イシュ・チェル! その者が貴様の旦那になる男か!」
入ってすぐに怒鳴り付けてきた、凄くがっしりしたおじさん。公爵にそんな言葉で喋ると家族でも怒られちゃいますよ?
「父上!? 出てきて大丈夫なのですか!? 死んだ事に――あっ······」
おおー、イシェのお父さんなのですね、あれ? 死んだんじゃなくて、嘘を付いて跡目を渡したの? でも父上と言ってますし、ご挨拶はしないといけませんね。
「えっと、初めまして、サーバル男爵改め、サーバル伯爵家の三男。ライリール・ドライ・サーバルと言います。ライとお呼び下さい」
「うむ、礼儀は剣聖のヤツよりできておるな、イシュ・チェルの上の兄、あの二人にも見習わせたいものだ。よし、婚約を認めよう。それに次期公爵家当主は――」
『お待ち下さいませ! 今はなりません、』
『邪魔だ! 退いておれ! 不敬罪で切り捨てるぞ! はっ!』
『切るなら私がいただく! だが今は下がっておれ! ふん!』
『きゃっ』
廊下から何やら騒がしい声が聞こえてきて、たぶん扉を開けてくれたメイドさんの声と、男の人の声が。そして、いきなり。
バタン
「パパ、それは私であろう? 長男の私がやはり相応しいと言う事だ」
「何を言う、私だ。兄上は学院の成績私より下ですぞ、次期当主はこの私が相応しい」
僕達が入ってきた扉を乱暴に開け、男の人が二人、先を競うように入ってきたのですが、その後ろで額から血を流すメイドさんがいました。
「大丈夫ですか! あなた達邪魔です! はっ!」
僕はメイドさんに駆け寄ろうとして、邪魔だった二人の腰を思い切り押して、左右に飛ばし、ゴロンゴロンと転がっていきました。が、そんなのは放っといて廊下でうずくまり、頭を押さえる手では間に合わず、止まらないほど血を流すメイドさんの頭に手のひらを向け、おもいっきり魔力を込めて、回復を唱えました。
「回復! 動かないで下さい、すぐに治しますから」
「「ぷぎょっ」」
転がって、廊下の先にあった壁にぶつかり変な声を出していますが、今はメイドさんです。結構深く切れてますから、もっと魔力を。
「き、貴様! 私を突き飛ばすとは! 不敬罪で即刻その首飛ばしてくれる! 入るのを邪魔したそのメイドも同罪だ!」
「何をするのだ貴様! 誰かこいつとメイドを拷問部屋まで連れて行け! 後で死んだ方がマシだと思うような拷問をしてやる!」
「うるさいです! あなた達は暴漢ですね、捕まえてあげますから寝てて下さい! ぐるぐるー! ほいっと!」
乱暴に二人のぶよぶよ太った男の人の魔力を回し、一気に抜いて気絶させ、メイドさんの怪我を治すことに使い、二人の男の人は、魔道具を色々持っていましたからパンツを残して全て収納し、回復魔法は維持したまま奴隷の腕輪を嵌めておきます。
「ライ! 後頭部も強く打ってるわ、前だけじゃ駄目よ! 骨も折れて、頭の中が出血してるの!」
「分かりました! 集める範囲を広げます! 街の全体からも少しずつ魔力をいただきますよ! ぐるぐるー! ほいっと!」
「旦那様! 何か手伝えることはありますか!?」
「気絶しちゃいましたし、出血が多いです。どこか休ませてあげられるところを確保してください」
「この者を休ませる部屋、近い方が良いな、おい! この食堂で良い! 寝台を一つ用意してくれ! 父上、よろしいですね」
「構わんぞ。それから血を失ったのだ、肉料理をその者のために用意するのだ! 私達が食べる物は後回しで良い! 急げ!」
イシェも、イシェのお父さんも一緒になってお手伝いをしてくれました。
イシェに付いていた兵士さん四人が、寝台を取りに行くため離れると許可を取った後、駆け足でその場を離れて行き、食道内にいたメイドさんも、あわただしく動き、食堂の一角を開けるため、飾られてあった物を移動させ、そこに寝台を運んで来た兵士さんが戻ってきました。
「よし、表面の怪我はなくなりました。運んじゃいましょう。えっと浮遊!」
「まさかその魔法が使える者がおるとは! しかも子供だと! しかしそれが使えれば······」
何か言ってますが今はぶつけたりしないように慎重に食堂の入口をくぐり抜け、寝台を置いてくれた場所まで移動をしていきます。
「ライ、そーっとよ、揺らさないようにね、頭の中はまだ治りきってないからね、それと寝台は壁から離して、周りからお世話できるようにお願い」
テラの声を聞いた兵士さんは急いで寝台を移動させ、壁からニメートルほど離してくれました。その寝台の真上までメイドさんを移動させ、そーっと下ろしました。
「じゃあ全力に戻しますよ! 回復です! ぐるぐるー! ほいっと!」
0
お気に入りに追加
1,638
あなたにおすすめの小説
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる