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第四章
第143話 のんびりと待ち合わせ場所に
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ギルドを出て、入ってきた門とは逆の方へ向かいます。この町は向こう側の門が管理監で、入ってきた側が冒険者ギルドと二つの門を守るために分かれているようです。
「あっ、串焼きが売ってますね、今食べてしまうと夕ごはんが食べれなくなりそうですが、お屋敷で少し食べたせいかお腹が鳴っちゃいましたよ」
「ムルムルと半分ずつ食べれば? オーク肉だけど、中々の大きさだから半分くらいなら食べても大丈夫よ。助けてあげてねムルムル」
(······うん······だいじょうぶ)
「え? 誰か頭の中で喋った! 何が大丈夫なの!?」
僕達の少し離れた先を歩いている子が突然止まってそんな事を。
「ムルムルの声を聞いたのかな?」
「うん。その可能性が有望ね、ムルムルはまだ相手を決めての念話はできて無いから漏れたのかも。でも······この子念話の素質がありそうね、まだスキルにはなってないけど」
そうなんだ、少しスキル獲得のお手伝いしちゃいましょう。
(こんにちは。これは念話ってやつだよ)
僕達は突然止まってキョロキョロしている子の近くに来て止まり、念話で喋りかけてみました。
「なっ! また! ね、ねんわ?」
(頭の中でお喋りができるスキルだよ。それを君は使えるかもしれないよ)
「え? 頭の中で······」
(ね、ねんわー!)
(そうそう。聞こえてるよ)
(おおー! すげー! で、これって何の役に立つんだ? それにあんた誰?)
(今君の横に来たよ。何の役にですか、そうですね、僕みたいに冒険者じゃなくても、何か友達と内緒話する時とか、僕ならスライムのムルムルとお話できたりして良いかな)
止まった僕の方に気が付いて、振り向きました。
「どわっ! あ、あんたが今の!?」
「うん。初めまして。ライって言います」
「お、おう。俺はキャロだ。おっ、そいつがムルムルだな」
(キャロだ。聞こえるか?)
(······きこえるよ······きゃろ)
「おおー! マジだ! こんなの初めてだぜ!」
くふふ。跳び跳ねて喜んでますね。ってか僕と同じくらいの子だけど······キャロ? 女の子かな?
(そうよ、私も今見てビックリしたわ。ちなみに今はライだけに念話してるからね)
(こうかな。でもこの子の魔力は変わってるね?)
(ええ。魔族の血を薄く引いてる感じね、何代も前のご先祖に人と愛し合った魔族がいたのでしょうね、まあそんなに珍しくはないわ。この子はたまたまそれが強く出てるだけね、ほら、話が続いているわよ)
「すげーな、でも俺はソロだからなぁ、弱っちいから町の中の依頼しか請けれねえし、魔物と会う機会もねえよ。あっ、あのごみ捨て場にスライムがいたな······」
「くふふ。難しいですよ。ムルムルも今日やっと喋れる様になりましたからね。それにムルムルはこう見えて、一緒に冒険して凄いスライムになったんですよ」
(······がんばってる)
「そうか、俺だけが話せてもしかたねえからな。まあやるだけやってみるぜ! じゃあな、俺は手紙配達依頼の途中なんでな、あばよ!」
そう言って、止まっていた遅れを取り戻すかのように走り去っていきました。
「あはは······。まあ良いですかね、ごみ捨て場のスライムさんなら危険は無いでしょう」
「そうね、ほらイシェの待つ管理監の屋敷に行くんでしょ、さっさとオークの串焼き買って向かいましょう」
「だね」
オークの串焼きを1本だけ買い、先にムルムルに半分あげて、噛りながら大通りを進み、門が見え、そこそこ大きなお屋敷が見えてきました。
そこにはさっきのキャロが、門番さんとお話ししています、管理監に届けるお手紙だったのですね。今は達成報告のサイン待ちですかね。
そして僕達も到着です。
「こんにちは。ライと言います、ここで待ち合わせをしているので、取り次ぎをお願いできますか?」
「ん? 駄目だ駄目だ! 今は大事なお客様がいるからな。管理監も忙しいのだ、日を改めてくれ」
「そうなのですか? ん~、じゃあアフロディーテ公爵に、ライは次の町に向かいます。と伝えておいていただけますか?」
「おっ、さっきの。なんだ、お前達もここが目的地だったんだな。しゃあねえよな、公爵様だぜ、いつもなら中で直接渡すんだが今日は門番に頼んだくらいだ」
「そうなんだ。僕はアフロディーテ公爵がここにいるから来いって言われたから来たけど、管理監さんが忙しいなら仕方がないよね」
「ん? 話が噛み合ってないような気がするぞ?」
「でも大丈夫? ライをここで門前払いしたらイシェが怒らない? 門番が首にならなきゃ良いけど」
「あ、あの、あなた様は公爵様のお連れ様ですか?」
「一応先ほどそうなったと言うか――」
「おい! ここにお嬢様がいると聞いてきた! いるんだろ! 中に入れてくれ!」
先ほどのお兄さんが、沢山の兵士さん達と、冒険者さん達を連れて走りながら叫んでやって来ました。
「おっ! さっきの『スライム使い』じゃねえか! みんなを連れてきたぜ。おい、門番、ここにお嬢様が来てるはずだ、いるんだろ!? 通してくれ!」
あはは······また騒がしくなってきましたね。
「あっ、串焼きが売ってますね、今食べてしまうと夕ごはんが食べれなくなりそうですが、お屋敷で少し食べたせいかお腹が鳴っちゃいましたよ」
「ムルムルと半分ずつ食べれば? オーク肉だけど、中々の大きさだから半分くらいなら食べても大丈夫よ。助けてあげてねムルムル」
(······うん······だいじょうぶ)
「え? 誰か頭の中で喋った! 何が大丈夫なの!?」
僕達の少し離れた先を歩いている子が突然止まってそんな事を。
「ムルムルの声を聞いたのかな?」
「うん。その可能性が有望ね、ムルムルはまだ相手を決めての念話はできて無いから漏れたのかも。でも······この子念話の素質がありそうね、まだスキルにはなってないけど」
そうなんだ、少しスキル獲得のお手伝いしちゃいましょう。
(こんにちは。これは念話ってやつだよ)
僕達は突然止まってキョロキョロしている子の近くに来て止まり、念話で喋りかけてみました。
「なっ! また! ね、ねんわ?」
(頭の中でお喋りができるスキルだよ。それを君は使えるかもしれないよ)
「え? 頭の中で······」
(ね、ねんわー!)
(そうそう。聞こえてるよ)
(おおー! すげー! で、これって何の役に立つんだ? それにあんた誰?)
(今君の横に来たよ。何の役にですか、そうですね、僕みたいに冒険者じゃなくても、何か友達と内緒話する時とか、僕ならスライムのムルムルとお話できたりして良いかな)
止まった僕の方に気が付いて、振り向きました。
「どわっ! あ、あんたが今の!?」
「うん。初めまして。ライって言います」
「お、おう。俺はキャロだ。おっ、そいつがムルムルだな」
(キャロだ。聞こえるか?)
(······きこえるよ······きゃろ)
「おおー! マジだ! こんなの初めてだぜ!」
くふふ。跳び跳ねて喜んでますね。ってか僕と同じくらいの子だけど······キャロ? 女の子かな?
(そうよ、私も今見てビックリしたわ。ちなみに今はライだけに念話してるからね)
(こうかな。でもこの子の魔力は変わってるね?)
(ええ。魔族の血を薄く引いてる感じね、何代も前のご先祖に人と愛し合った魔族がいたのでしょうね、まあそんなに珍しくはないわ。この子はたまたまそれが強く出てるだけね、ほら、話が続いているわよ)
「すげーな、でも俺はソロだからなぁ、弱っちいから町の中の依頼しか請けれねえし、魔物と会う機会もねえよ。あっ、あのごみ捨て場にスライムがいたな······」
「くふふ。難しいですよ。ムルムルも今日やっと喋れる様になりましたからね。それにムルムルはこう見えて、一緒に冒険して凄いスライムになったんですよ」
(······がんばってる)
「そうか、俺だけが話せてもしかたねえからな。まあやるだけやってみるぜ! じゃあな、俺は手紙配達依頼の途中なんでな、あばよ!」
そう言って、止まっていた遅れを取り戻すかのように走り去っていきました。
「あはは······。まあ良いですかね、ごみ捨て場のスライムさんなら危険は無いでしょう」
「そうね、ほらイシェの待つ管理監の屋敷に行くんでしょ、さっさとオークの串焼き買って向かいましょう」
「だね」
オークの串焼きを1本だけ買い、先にムルムルに半分あげて、噛りながら大通りを進み、門が見え、そこそこ大きなお屋敷が見えてきました。
そこにはさっきのキャロが、門番さんとお話ししています、管理監に届けるお手紙だったのですね。今は達成報告のサイン待ちですかね。
そして僕達も到着です。
「こんにちは。ライと言います、ここで待ち合わせをしているので、取り次ぎをお願いできますか?」
「ん? 駄目だ駄目だ! 今は大事なお客様がいるからな。管理監も忙しいのだ、日を改めてくれ」
「そうなのですか? ん~、じゃあアフロディーテ公爵に、ライは次の町に向かいます。と伝えておいていただけますか?」
「おっ、さっきの。なんだ、お前達もここが目的地だったんだな。しゃあねえよな、公爵様だぜ、いつもなら中で直接渡すんだが今日は門番に頼んだくらいだ」
「そうなんだ。僕はアフロディーテ公爵がここにいるから来いって言われたから来たけど、管理監さんが忙しいなら仕方がないよね」
「ん? 話が噛み合ってないような気がするぞ?」
「でも大丈夫? ライをここで門前払いしたらイシェが怒らない? 門番が首にならなきゃ良いけど」
「あ、あの、あなた様は公爵様のお連れ様ですか?」
「一応先ほどそうなったと言うか――」
「おい! ここにお嬢様がいると聞いてきた! いるんだろ! 中に入れてくれ!」
先ほどのお兄さんが、沢山の兵士さん達と、冒険者さん達を連れて走りながら叫んでやって来ました。
「おっ! さっきの『スライム使い』じゃねえか! みんなを連れてきたぜ。おい、門番、ここにお嬢様が来てるはずだ、いるんだろ!? 通してくれ!」
あはは······また騒がしくなってきましたね。
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