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第四章
第141話 あれよあれよと言う間に
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「マリーア驚かせてごめんなさい。カヤッツを呼んでもらいたいのと、父さんはいますか?」
洗濯物を裏返しているところのマリーアでしたが、落ちそうだったシーツを素早く確保して、地面に落とさずにすんだようです。
「ふぅ、もう少しで乾きかけた洗濯物を落とすところでしたよ。ライ坊っちゃんはまあ、昔からそうでしたし諦めてますが、気を付けて下さいませ。カヤッツですね、すぐにお呼びいたします。旦那様はこの時間は書斎か、極たまにですが食堂にいらっしゃるかと」
「あ、ありがとう。本当にごめんね、じゃあ父さんのところに行ってくるからここはお願いしても良いかな?」
「はい。行ってらっしゃいませ」
顔は笑顔ですが、目がこの前の壁を直している時と同じで、結構怒ってる感じです。これはまだお屋敷の仕事は元には戻っていない様ですね。
屋敷に向かいながら心の中で、もう一度謝りながら、イシェと他のみんなを連れてお屋敷に入りました。
とりあえず書斎に向けて歩いてると、食堂から父さんの声が聞こえてきました。
「書斎じゃなくてここにいるみたいですね」
コンコンコンと戸を叩き、返事を待ちます。
マリーアは言ってませんでしたが、もしかしたらお客様がいるかもしれませんから一応礼儀としてね。
『誰だ? 入っても良いぞ』
父さんの声が聞こえ、お許しがありましたので戸を開け中に入りました。
「ライです。戻りました」
「おお、ライか。黙って旅立ったからプシュケとリントが寂しがってたぞ、今度顔を見せてこい。······で、そちらの方々はどう言った繋がりだ? 見たところ人攫いにあった者達に見えるが、私の元へ連れてくるのだ何かあるんだろう?」
ううっ、それを言われると心苦しいですね、近い内に会いに行きましょう。
父さんは何か複雑そうな顔をしていますが、まあ、あると言えばありますので、ご報告はしなきゃですね。
「あのですね、こちら――」
「剣聖様。お目にかかり光栄です。私は帝国貴族のイシュ・チェル・ウノ・アフロディーテと申します。帝国にて公爵をしております」
父さんは立ち上がり。
「アフロディーテ公爵だとは知らず失礼を。ではライがお助けした。と、言うことでしょうか?」
「うむ。どこぞとも知れぬ所に売られるやも知れん所を助けてもらった」
「ライ。良くやった。アフロディーテのおっさん――じゃなくて前アフロディーテ公爵の依頼を請けてだがそうか、頑固で曲がったことが大嫌いな前アフロディーテ公爵は逝かれたのですね。ですが女性当主とは······やんちゃではありましたが、私と変わらない歳の男性がおられたと記憶しておりますが」
おお、父さんは帝国にも出向いて依頼を請けていたのですね。そう言えば、駄目なお兄さんがいると言ってましたね。
「おお、父と面識があったのですか。うむ。継ぐことになったのは父の遺言でな、兄共が不甲斐ない故私にと。だが来年には弟に継がせる。その後は旦那様、ライの元に嫁ぐ事となったゆえ。剣聖様をお義父様と呼ぶ事をお許し願いたい」
「はあっ!? な!? ライとですか!?」
あはは······、言いますよね、やっぱり。それに父さん格好良く決めてましたのに、普段のお顔に戻っていますよ?
「うむ。助けてもらった際に肌を見られてしもうたのでな、肌を見せても良いのは夫だけであると。私は貴族、公爵家としてそう教えられて来た。他の貴族はどうか分からないが、私はその教えを守るつもりだ」
父さんは顔に手を当て撫で下ろして僕を見て。
「ライ? どう言うことかな? まさかまた一緒にお風呂でも入ったのか?」
「いえ、助けに入った馬車の中がとても暑くて奴隷用の服を脱がれていたのです」
「ああ、そう言う事か、はぁ、アフロディーテ公爵、その、本気でしょうか? ライは十歳ですよ?」
「うむ。私と同じ歳だ、問題あるまい。来年には弟が十歳となるのでな、それまでは婚約者としてよろしくお願いする」
「なっ、十歳ですか······はは、もっと上かと······そ、それでは認めるしかありませんね。ですがライは冒険者をしばらく続けるそうですが」
「ぬ? そうなのか旦那様。ついていきたいがまだまだ学業も途中なのでな、旦那様は通ってはおらぬのか?」
「はい。ライはもしかすると私より学はあるかもしれませんね、兄達にも高等部の物を教えていた節がありますから」
教えていたのは算数だけですよ。前世では暗算しかできませんでしたから、そこは結構自信がありますからね。
「ふむ。では私は卒業をしてから冒険者して付いていけば良いのか。公爵家としては卒業はしておかなければ恥だからなして、式は――」
イシェは父さんに進められた椅子に座り、話を進めていますね······まあ綺麗な方ですし、テラが言ってたように家令ですか、少し先ですが一緒にみんなで旅をしている内に仲良くなれるかも知れませんから、今は置いておきましょう。
(ライ······まあそうね、好きじゃなきゃ結婚とかしても幸せにはなれないからね)
(うん。だからテラと結婚できると僕は凄く幸せだよ)
(そ、そうなの、わ、私もし、幸せよって何言わせるの! ほらお義父様のお話が終わったみたいよ)
「ライ。アフロディーテ公爵はお前とは違った方面で天才だな。お前の領地を繁栄させられる逸材と私は思う。王様へは私が連絡を入れておこう」
「うむ。聞けばあの広大な東の森を開拓と言うではないか、私たちの代では難しいがその礎は作れると確信する。頑張ろうではないか」
えっと、そんなところまで話は進んでいるのですね······。
その後は、軽めの食事をみんなで取り、峠に戻ってきて向かいに見える町まで転移で移動し、僕は冒険者ギルドへ、イシェはこの町の管理監の元に顔出しをするそうで、門をくぐり分かれました。
もちろん『後で来るが良い』と合流もする事が決まりました。急ぐんだけどなぁとか思いながらもギルドへ入ると。
「一大事なんだぞ! ギルドも協力してくれ!」
何か大事が起こっているみたいです。
洗濯物を裏返しているところのマリーアでしたが、落ちそうだったシーツを素早く確保して、地面に落とさずにすんだようです。
「ふぅ、もう少しで乾きかけた洗濯物を落とすところでしたよ。ライ坊っちゃんはまあ、昔からそうでしたし諦めてますが、気を付けて下さいませ。カヤッツですね、すぐにお呼びいたします。旦那様はこの時間は書斎か、極たまにですが食堂にいらっしゃるかと」
「あ、ありがとう。本当にごめんね、じゃあ父さんのところに行ってくるからここはお願いしても良いかな?」
「はい。行ってらっしゃいませ」
顔は笑顔ですが、目がこの前の壁を直している時と同じで、結構怒ってる感じです。これはまだお屋敷の仕事は元には戻っていない様ですね。
屋敷に向かいながら心の中で、もう一度謝りながら、イシェと他のみんなを連れてお屋敷に入りました。
とりあえず書斎に向けて歩いてると、食堂から父さんの声が聞こえてきました。
「書斎じゃなくてここにいるみたいですね」
コンコンコンと戸を叩き、返事を待ちます。
マリーアは言ってませんでしたが、もしかしたらお客様がいるかもしれませんから一応礼儀としてね。
『誰だ? 入っても良いぞ』
父さんの声が聞こえ、お許しがありましたので戸を開け中に入りました。
「ライです。戻りました」
「おお、ライか。黙って旅立ったからプシュケとリントが寂しがってたぞ、今度顔を見せてこい。······で、そちらの方々はどう言った繋がりだ? 見たところ人攫いにあった者達に見えるが、私の元へ連れてくるのだ何かあるんだろう?」
ううっ、それを言われると心苦しいですね、近い内に会いに行きましょう。
父さんは何か複雑そうな顔をしていますが、まあ、あると言えばありますので、ご報告はしなきゃですね。
「あのですね、こちら――」
「剣聖様。お目にかかり光栄です。私は帝国貴族のイシュ・チェル・ウノ・アフロディーテと申します。帝国にて公爵をしております」
父さんは立ち上がり。
「アフロディーテ公爵だとは知らず失礼を。ではライがお助けした。と、言うことでしょうか?」
「うむ。どこぞとも知れぬ所に売られるやも知れん所を助けてもらった」
「ライ。良くやった。アフロディーテのおっさん――じゃなくて前アフロディーテ公爵の依頼を請けてだがそうか、頑固で曲がったことが大嫌いな前アフロディーテ公爵は逝かれたのですね。ですが女性当主とは······やんちゃではありましたが、私と変わらない歳の男性がおられたと記憶しておりますが」
おお、父さんは帝国にも出向いて依頼を請けていたのですね。そう言えば、駄目なお兄さんがいると言ってましたね。
「おお、父と面識があったのですか。うむ。継ぐことになったのは父の遺言でな、兄共が不甲斐ない故私にと。だが来年には弟に継がせる。その後は旦那様、ライの元に嫁ぐ事となったゆえ。剣聖様をお義父様と呼ぶ事をお許し願いたい」
「はあっ!? な!? ライとですか!?」
あはは······、言いますよね、やっぱり。それに父さん格好良く決めてましたのに、普段のお顔に戻っていますよ?
「うむ。助けてもらった際に肌を見られてしもうたのでな、肌を見せても良いのは夫だけであると。私は貴族、公爵家としてそう教えられて来た。他の貴族はどうか分からないが、私はその教えを守るつもりだ」
父さんは顔に手を当て撫で下ろして僕を見て。
「ライ? どう言うことかな? まさかまた一緒にお風呂でも入ったのか?」
「いえ、助けに入った馬車の中がとても暑くて奴隷用の服を脱がれていたのです」
「ああ、そう言う事か、はぁ、アフロディーテ公爵、その、本気でしょうか? ライは十歳ですよ?」
「うむ。私と同じ歳だ、問題あるまい。来年には弟が十歳となるのでな、それまでは婚約者としてよろしくお願いする」
「なっ、十歳ですか······はは、もっと上かと······そ、それでは認めるしかありませんね。ですがライは冒険者をしばらく続けるそうですが」
「ぬ? そうなのか旦那様。ついていきたいがまだまだ学業も途中なのでな、旦那様は通ってはおらぬのか?」
「はい。ライはもしかすると私より学はあるかもしれませんね、兄達にも高等部の物を教えていた節がありますから」
教えていたのは算数だけですよ。前世では暗算しかできませんでしたから、そこは結構自信がありますからね。
「ふむ。では私は卒業をしてから冒険者して付いていけば良いのか。公爵家としては卒業はしておかなければ恥だからなして、式は――」
イシェは父さんに進められた椅子に座り、話を進めていますね······まあ綺麗な方ですし、テラが言ってたように家令ですか、少し先ですが一緒にみんなで旅をしている内に仲良くなれるかも知れませんから、今は置いておきましょう。
(ライ······まあそうね、好きじゃなきゃ結婚とかしても幸せにはなれないからね)
(うん。だからテラと結婚できると僕は凄く幸せだよ)
(そ、そうなの、わ、私もし、幸せよって何言わせるの! ほらお義父様のお話が終わったみたいよ)
「ライ。アフロディーテ公爵はお前とは違った方面で天才だな。お前の領地を繁栄させられる逸材と私は思う。王様へは私が連絡を入れておこう」
「うむ。聞けばあの広大な東の森を開拓と言うではないか、私たちの代では難しいがその礎は作れると確信する。頑張ろうではないか」
えっと、そんなところまで話は進んでいるのですね······。
その後は、軽めの食事をみんなで取り、峠に戻ってきて向かいに見える町まで転移で移動し、僕は冒険者ギルドへ、イシェはこの町の管理監の元に顔出しをするそうで、門をくぐり分かれました。
もちろん『後で来るが良い』と合流もする事が決まりました。急ぐんだけどなぁとか思いながらもギルドへ入ると。
「一大事なんだぞ! ギルドも協力してくれ!」
何か大事が起こっているみたいです。
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