131 / 241
第四章
第131話 森の中のお屋敷
しおりを挟む
「少年。これは全冒険者ギルドに通達せねばならない。それからギルドが無い小さな村にまでも。よく届けてくれた、帝国がこんな事を、······ヒュドラとファイアーアントの騒ぎはそういう事だったのか。隙を突きバラマンディ侯爵を暗殺。ヒュドラとファイアーアントで兵力が減ったところに食料支援と言いながら高値で売り、最後は攻め入ると。そして今回のダンジョンか」
「はい。そのようですね。僕はこの後村や町に知らせながら帝都にも行かねばなりません」
「そうだな、兵が動き出せば町や村から徴収があるだろうし、人も金もな。それともう一つの教国絡みの人攫いだな」
「はい。帝都にはその事で。内緒ですが王様から手紙も預かっていますしね」
僕は口に人差し指を当てて『しぃ~』と。
「くくっ。承知した。『内緒』だな。分かった、大陸全土の冒険者ギルドに緊急事態の報告だ、早馬を出して知らせに回るとしよう。遅くとも今月中にはこの大陸は知らせる事が出きるだろう」
「はい。よろしくお願いいたしますね。では僕は先を急ぎますね」
「ああ。気を付けてな、小さなSランク冒険者。ギルドも急がせてもらう」
冒険者ギルドをでて帝国側の門へ向かいます。
門についても朝の混雑は終わった後ですから並ぶ事もなく通り抜け、本格的に帝国に踏み入りました。
「じゃあ走るからテラを掴んでてねムルムル」
「お願いねムルムル! うん、準備終わり! ライ進めー!」
「おおー!」
帝都に向かう街道を馬車より早く走り、追い抜かしていきます。
「そろそろ休まないの? パン食べながら走ってるけど」
「んぐんぐ。ぷはっ」
ジュースでパンの残りを流し込んでお昼ごはんの終了です。
「うん。もう少ししたら森に入らないといけないからね。森の奥にたぶん村かな? 三十人くらいの反応があるんだ。そこもついでに行っておこうと思ってね」
「ふーん。なんでまたそんな森の中に。方向は?」
テラが聞いてきましたから僕は斜め右前を指差しました。
「そっちね。んん~! はぁ~、ライ残念だけど村人じゃないわね」
「え? そうなの? 知らせに行かなくても良い感じかな」
もしかしたら冒険者達が大物を狙ってそこで野営しているのかもしれませんね。
「まあ、捕まえておくのが良いわね、そいつ達の近くには魔物もいないみたいだからぐるぐるしちゃいなさい。人攫いよ」
「そうなの! じゃあ捕まえてお屋敷かな? それとも次は中々大きな街ですからそこで引き渡しても良いのかな」
「そうね、でも人材は沢山いた方がお義父様も助かるからお屋敷ね」
「そうだね、でも捕まってる人はいないのかな?」
もしかしたらいるかもしれないけどテラならそこも見てるから大丈夫かな。
「大丈夫よ。称号の無いやつはいないから」
それを聞いてぐるぐるを始め、街道が下りになり、遠くに街が見えた頃、森の中の人攫い達は全員気絶してくれました。
「じゃあ人攫いに向けて転移するね、転移!」
パッ
転移してきたそこは、広く森が開けていて、その中央に古いですが頑丈そうな石造りで、小さいですがお屋敷があり、所々崩れている小さな木の家もありますが手直しすればまだまだ現役で使えそうな家です。
「ほとんどみんな中にいるね、見張りで外にいたのは一旦ここに集めて~、転移!」
パッ
「パンツは残してだよね。収納!」
外にいた者達は一旦ここに集めておいてお屋敷の中に行きましょう。開いたままの扉から入ると椅子からずり落ちて、床に寝転がる十人の方がいました。
「ほとんどここにいるわね、後は二階よ」
「うん。じゃあ収納! 転移!」
持ち物や服は外の見張りと同じ様に収納して外に転移。そしてホールの真ん中にある階段を上って一つずつ部屋を確認していきます。
「ライ宝箱よ! って収納しておいて後で見ましょう。んん~。良いわね罠は無いわ」
「テラ。先でも良いよ、まだまだ気絶からは起きないからね。ほら開けよう」
ムルムルをいつも通り左手首に乗せ変えて、腰の高さほどある宝箱に手を添えて。
「せーの」
カチャと開いた宝箱の中身はほとんどがお金でしたが、ポツポツと宝石も入っていました。
「うんうん。これなんかテラの髪の毛の色にそっくりで綺麗だよ」
「良い色合いね、でもそっちの水色のはムルムルと同じ色だわ」
ぷるぷる
しばらく宝箱で良いのがないか見たり、またムルムルの王冠用の腕輪もありましたので、ムルムルにあげるとそれまでつけていた王冠が消えてしまいました。
「ムルムル! あなた収納を覚えたのね!」
「凄いよムルムル!」
ぷるっぷると自慢気です。
「うん。ちゃんとスキルがあるわね、前代未聞よ? スライムが収納スキルを習得するなんて。それに魔力もぐるぐるし始めてるわね」
「うん。ちょっと前から少し動いてるかなって時はあったけど今はちゃんと動いてるもの」
「流石私の騎獣よムルムル。どんどんスキルを覚えれば最強のスライムになれるわよ」
ぷるっぷる
「くふふふ。良いね、よしこの部屋はこれで終わり、さっさと終わらせちゃおう」
その後も五つの部屋を一つずつ見て回り、人攫い達を裸にして外に集めていきました。全員を集め終わった後、うちのお屋敷に一度戻って引き渡してから、残りの地下室なども調べることになりました。
「ライ。この部屋だけ魔法で鍵が掛かってるわね、それも相当複雑よ、普通の人はこんなの開けられないわよ」
お屋敷の地下を調べていた時一部屋だけ鍵のかかった部屋がありました。さてさてどんなお宝があるのか楽しみです。
「はい。そのようですね。僕はこの後村や町に知らせながら帝都にも行かねばなりません」
「そうだな、兵が動き出せば町や村から徴収があるだろうし、人も金もな。それともう一つの教国絡みの人攫いだな」
「はい。帝都にはその事で。内緒ですが王様から手紙も預かっていますしね」
僕は口に人差し指を当てて『しぃ~』と。
「くくっ。承知した。『内緒』だな。分かった、大陸全土の冒険者ギルドに緊急事態の報告だ、早馬を出して知らせに回るとしよう。遅くとも今月中にはこの大陸は知らせる事が出きるだろう」
「はい。よろしくお願いいたしますね。では僕は先を急ぎますね」
「ああ。気を付けてな、小さなSランク冒険者。ギルドも急がせてもらう」
冒険者ギルドをでて帝国側の門へ向かいます。
門についても朝の混雑は終わった後ですから並ぶ事もなく通り抜け、本格的に帝国に踏み入りました。
「じゃあ走るからテラを掴んでてねムルムル」
「お願いねムルムル! うん、準備終わり! ライ進めー!」
「おおー!」
帝都に向かう街道を馬車より早く走り、追い抜かしていきます。
「そろそろ休まないの? パン食べながら走ってるけど」
「んぐんぐ。ぷはっ」
ジュースでパンの残りを流し込んでお昼ごはんの終了です。
「うん。もう少ししたら森に入らないといけないからね。森の奥にたぶん村かな? 三十人くらいの反応があるんだ。そこもついでに行っておこうと思ってね」
「ふーん。なんでまたそんな森の中に。方向は?」
テラが聞いてきましたから僕は斜め右前を指差しました。
「そっちね。んん~! はぁ~、ライ残念だけど村人じゃないわね」
「え? そうなの? 知らせに行かなくても良い感じかな」
もしかしたら冒険者達が大物を狙ってそこで野営しているのかもしれませんね。
「まあ、捕まえておくのが良いわね、そいつ達の近くには魔物もいないみたいだからぐるぐるしちゃいなさい。人攫いよ」
「そうなの! じゃあ捕まえてお屋敷かな? それとも次は中々大きな街ですからそこで引き渡しても良いのかな」
「そうね、でも人材は沢山いた方がお義父様も助かるからお屋敷ね」
「そうだね、でも捕まってる人はいないのかな?」
もしかしたらいるかもしれないけどテラならそこも見てるから大丈夫かな。
「大丈夫よ。称号の無いやつはいないから」
それを聞いてぐるぐるを始め、街道が下りになり、遠くに街が見えた頃、森の中の人攫い達は全員気絶してくれました。
「じゃあ人攫いに向けて転移するね、転移!」
パッ
転移してきたそこは、広く森が開けていて、その中央に古いですが頑丈そうな石造りで、小さいですがお屋敷があり、所々崩れている小さな木の家もありますが手直しすればまだまだ現役で使えそうな家です。
「ほとんどみんな中にいるね、見張りで外にいたのは一旦ここに集めて~、転移!」
パッ
「パンツは残してだよね。収納!」
外にいた者達は一旦ここに集めておいてお屋敷の中に行きましょう。開いたままの扉から入ると椅子からずり落ちて、床に寝転がる十人の方がいました。
「ほとんどここにいるわね、後は二階よ」
「うん。じゃあ収納! 転移!」
持ち物や服は外の見張りと同じ様に収納して外に転移。そしてホールの真ん中にある階段を上って一つずつ部屋を確認していきます。
「ライ宝箱よ! って収納しておいて後で見ましょう。んん~。良いわね罠は無いわ」
「テラ。先でも良いよ、まだまだ気絶からは起きないからね。ほら開けよう」
ムルムルをいつも通り左手首に乗せ変えて、腰の高さほどある宝箱に手を添えて。
「せーの」
カチャと開いた宝箱の中身はほとんどがお金でしたが、ポツポツと宝石も入っていました。
「うんうん。これなんかテラの髪の毛の色にそっくりで綺麗だよ」
「良い色合いね、でもそっちの水色のはムルムルと同じ色だわ」
ぷるぷる
しばらく宝箱で良いのがないか見たり、またムルムルの王冠用の腕輪もありましたので、ムルムルにあげるとそれまでつけていた王冠が消えてしまいました。
「ムルムル! あなた収納を覚えたのね!」
「凄いよムルムル!」
ぷるっぷると自慢気です。
「うん。ちゃんとスキルがあるわね、前代未聞よ? スライムが収納スキルを習得するなんて。それに魔力もぐるぐるし始めてるわね」
「うん。ちょっと前から少し動いてるかなって時はあったけど今はちゃんと動いてるもの」
「流石私の騎獣よムルムル。どんどんスキルを覚えれば最強のスライムになれるわよ」
ぷるっぷる
「くふふふ。良いね、よしこの部屋はこれで終わり、さっさと終わらせちゃおう」
その後も五つの部屋を一つずつ見て回り、人攫い達を裸にして外に集めていきました。全員を集め終わった後、うちのお屋敷に一度戻って引き渡してから、残りの地下室なども調べることになりました。
「ライ。この部屋だけ魔法で鍵が掛かってるわね、それも相当複雑よ、普通の人はこんなの開けられないわよ」
お屋敷の地下を調べていた時一部屋だけ鍵のかかった部屋がありました。さてさてどんなお宝があるのか楽しみです。
0
お気に入りに追加
1,637
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
勇者(代理)のお仕事……ですよねコレ?
高菜あやめ
恋愛
実家の提灯屋を継ぐつもりだったのに、家出した兄の帰還によって居場所を失ってしまったヨリ。仕方なく職を求めて王都へやってきたら、偶然出会ったお城の王子様にスカウトされて『勇者(代理)』の仕事をすることに! 仕事仲間であるルイーズ王子の傍若無人ぶりに最初は戸惑っていたが、ある夜倒れていたルイーズを介抱したことをきっかけに次第に打ち解けていく……異世界オフィスラブ?ストーリーです。
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる