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第四章
第124話 国境砦の問題
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「すぐに砦に向かって欲しい! 今あそこには――」
砦には向かいますが、何があったのでしょうか······。
「――帝国砦との間にある初心者向けのダンジョンでウォールナットラットが大量発生しているのだ。まだまだ溢れるほどの大量発生ではないのだが、ダンジョンで採れる作物が街の食料の大半を握っている」
なるほどです。ネズミさんが多くて収穫できないのですね。商人さん達が険しい峠道にもかかわらず多かったのはそのせいなのですね。
「それがここ最近だが徐々に増えだし、収穫の護衛が足りていないのだ。君はSランク冒険者だろう。確かギルドで原因の究明と解決の依頼が出ていた筈だ。どうだ? 助けてやって欲しいのだが急ぎの依頼を受けているなら仕方がないが」
「依頼は受けていますね。まずは帝国の冒険者ギルドと帝都に向かう街や村に行く事なのですが······」
「ライ。やってやれば良いじゃない。旅を楽しみながらはおあずけだけど、転移して砦に行けば早く着くでしょ?」
「そうだね。衛兵さん。ではお役に立てるか分かりませんがこの後行ってみますね」
「うむ。確かに商人達がこの街を通るのは街にとっては嬉しい事なのだが麓では本当に困った事なのだ、頼む、どうか解決の糸口だけでも掴んでもらいたい。よし。ではこいつらには懸賞金もかかっていた筈だ、それを渡すので、詰め所に寄ってもらう――」
「それならサーバル男爵領に送る事はできますか? 僕はサーバル男爵家のライリール・ドライ・サーバルと言います。少しでも早くその問題を解決した方がいいですし、領地の開拓費用の足しになりますから」
「ぬっ。剣聖様の! ドライと言うことは、三男坊か、くくくっ。俺と同じだが、父親のためにとは良い息子だな。承知した、その様に手配しよう。ではこ奴らは連行させてもらう。すまないが頼んだぞ」
「はい」
その後、表に停めてあった荷台に転移で盗賊達を乗せて上げて僕は帝国側の門へ向かい、街から出たところで気配を探り、砦と思われる人の集まった場所の手前に転移しました。
「うん。やっぱり朝だからちょっと並んでるね、もう少し後なら列が長くなるだろうし、並んじゃいましょう」
十人くらいしか並んでませんので、その最後尾に並んでも、すぐに順番は回ってきて、くふふ。少し驚かれて街の中に入りました。
そのまま大通りを進み、冒険者ギルドを見付けました。
やっぱり帝国側の門近くにありましたね。ダンジョンがあるんだもの、近くないと不便ですし。
ギルドの中に入ると沢山の冒険者達が食事処テーブルに集まり、掲示板はガラガラですね。
そんなのを眺めながらこちらも空いてる受け付けカウンターに向かいます。
「おはようございます。ダンジョンに入りたいのですが、ダンジョンカードをいただけますか?」
僕がそう言うと、ギルド内がシーンと静まり返り、僕の方に視線が集中しているのが分かりました。
「あのね。ダンジョンは今ウォールナットラットが大量発生していてBランク以上ー!!」
僕はテラのギルドカードと一緒に背伸びをして出しました。
ぬふふふ。話が途中で止まりましたよ――!
「え、え、Sランクぅぅー!!」
やりましたぁー!
(あはは······。ほどほどにねライ)
「す、すぐにダンジョンカードをご用意いたします!」
お姉さんは立ち上がり、カウンターに頭をぶつけるんじゃないかってくらいの勢いで頭を下げ、立ったまま魔道具を物凄い早さで操作し、僕とテラのギルドカードを両手で掲げるように持ち、震える手で魔道具に通し、魔道具から出たダンジョンカードと僕達のカードを返してくれました。
「ありがとうございます。では行ってきますね。そうだ。何を採取するのが良いのですか? 食料品が採取できると聞いたのですが」
「な、何でも大丈夫です! あるだけ買い取りますのでどうかよろしくお願いいたします! アトこの異変の情報も買わせていただきますので!」
ゴン。「痛っ!」
お姉さんは直立不動でそう言うと、また凄い勢いで頭を下げました。あ、今度はぶつけちゃいましたね。ぐるぐる~回復!
うん。治ったかな? でもそうなのですね。何でも良いなら片っ端から沢山取れるように頑張りましょう。
「分かりました。では行ってきます」
ギルドカードを収納して、出口から出るまで、ギルド内の視線がずっと僕達を追っていましたが、出た途端。
『あんな少年がSランク!』『負けたぁ!』『原因潰してくれ!』『あっ! ヒュドラとファイアーアント子だ!』『二代目風使いか!』
等々、一気に騒がしくなりました。
「くふふ。良かったわねライ。驚いてもらえて、じゃあダンジョンの異変を調べて、さっさと次に行かなきゃね」
「うん。よし行こう」
門を出るのは朝のラッシュが終わった後みたいで、歩きで出る方の門は並ばずくぐる事ができました。
そしてすぐに見えたのは帝国側の砦と、真ん中あたりにある石造りの壁、その周りに停まっている沢山の馬車です。
「あら。近いわね、あそこがダンジョンの入口よ。まあ魔力でライには分かってると思うけど行きましょう」
「うん」
壁に近付き、そして人のいない馬車の間を抜けその壁の中に入れるところはと見回すと、鉄格子の門が開いているのが見えました。
「門番さんはいないのですね」
「そうね、あそこが入口よ。やっぱり地下へ続く階段ね」
さぁどんなダンジョンか楽しみですね。
砦には向かいますが、何があったのでしょうか······。
「――帝国砦との間にある初心者向けのダンジョンでウォールナットラットが大量発生しているのだ。まだまだ溢れるほどの大量発生ではないのだが、ダンジョンで採れる作物が街の食料の大半を握っている」
なるほどです。ネズミさんが多くて収穫できないのですね。商人さん達が険しい峠道にもかかわらず多かったのはそのせいなのですね。
「それがここ最近だが徐々に増えだし、収穫の護衛が足りていないのだ。君はSランク冒険者だろう。確かギルドで原因の究明と解決の依頼が出ていた筈だ。どうだ? 助けてやって欲しいのだが急ぎの依頼を受けているなら仕方がないが」
「依頼は受けていますね。まずは帝国の冒険者ギルドと帝都に向かう街や村に行く事なのですが······」
「ライ。やってやれば良いじゃない。旅を楽しみながらはおあずけだけど、転移して砦に行けば早く着くでしょ?」
「そうだね。衛兵さん。ではお役に立てるか分かりませんがこの後行ってみますね」
「うむ。確かに商人達がこの街を通るのは街にとっては嬉しい事なのだが麓では本当に困った事なのだ、頼む、どうか解決の糸口だけでも掴んでもらいたい。よし。ではこいつらには懸賞金もかかっていた筈だ、それを渡すので、詰め所に寄ってもらう――」
「それならサーバル男爵領に送る事はできますか? 僕はサーバル男爵家のライリール・ドライ・サーバルと言います。少しでも早くその問題を解決した方がいいですし、領地の開拓費用の足しになりますから」
「ぬっ。剣聖様の! ドライと言うことは、三男坊か、くくくっ。俺と同じだが、父親のためにとは良い息子だな。承知した、その様に手配しよう。ではこ奴らは連行させてもらう。すまないが頼んだぞ」
「はい」
その後、表に停めてあった荷台に転移で盗賊達を乗せて上げて僕は帝国側の門へ向かい、街から出たところで気配を探り、砦と思われる人の集まった場所の手前に転移しました。
「うん。やっぱり朝だからちょっと並んでるね、もう少し後なら列が長くなるだろうし、並んじゃいましょう」
十人くらいしか並んでませんので、その最後尾に並んでも、すぐに順番は回ってきて、くふふ。少し驚かれて街の中に入りました。
そのまま大通りを進み、冒険者ギルドを見付けました。
やっぱり帝国側の門近くにありましたね。ダンジョンがあるんだもの、近くないと不便ですし。
ギルドの中に入ると沢山の冒険者達が食事処テーブルに集まり、掲示板はガラガラですね。
そんなのを眺めながらこちらも空いてる受け付けカウンターに向かいます。
「おはようございます。ダンジョンに入りたいのですが、ダンジョンカードをいただけますか?」
僕がそう言うと、ギルド内がシーンと静まり返り、僕の方に視線が集中しているのが分かりました。
「あのね。ダンジョンは今ウォールナットラットが大量発生していてBランク以上ー!!」
僕はテラのギルドカードと一緒に背伸びをして出しました。
ぬふふふ。話が途中で止まりましたよ――!
「え、え、Sランクぅぅー!!」
やりましたぁー!
(あはは······。ほどほどにねライ)
「す、すぐにダンジョンカードをご用意いたします!」
お姉さんは立ち上がり、カウンターに頭をぶつけるんじゃないかってくらいの勢いで頭を下げ、立ったまま魔道具を物凄い早さで操作し、僕とテラのギルドカードを両手で掲げるように持ち、震える手で魔道具に通し、魔道具から出たダンジョンカードと僕達のカードを返してくれました。
「ありがとうございます。では行ってきますね。そうだ。何を採取するのが良いのですか? 食料品が採取できると聞いたのですが」
「な、何でも大丈夫です! あるだけ買い取りますのでどうかよろしくお願いいたします! アトこの異変の情報も買わせていただきますので!」
ゴン。「痛っ!」
お姉さんは直立不動でそう言うと、また凄い勢いで頭を下げました。あ、今度はぶつけちゃいましたね。ぐるぐる~回復!
うん。治ったかな? でもそうなのですね。何でも良いなら片っ端から沢山取れるように頑張りましょう。
「分かりました。では行ってきます」
ギルドカードを収納して、出口から出るまで、ギルド内の視線がずっと僕達を追っていましたが、出た途端。
『あんな少年がSランク!』『負けたぁ!』『原因潰してくれ!』『あっ! ヒュドラとファイアーアント子だ!』『二代目風使いか!』
等々、一気に騒がしくなりました。
「くふふ。良かったわねライ。驚いてもらえて、じゃあダンジョンの異変を調べて、さっさと次に行かなきゃね」
「うん。よし行こう」
門を出るのは朝のラッシュが終わった後みたいで、歩きで出る方の門は並ばずくぐる事ができました。
そしてすぐに見えたのは帝国側の砦と、真ん中あたりにある石造りの壁、その周りに停まっている沢山の馬車です。
「あら。近いわね、あそこがダンジョンの入口よ。まあ魔力でライには分かってると思うけど行きましょう」
「うん」
壁に近付き、そして人のいない馬車の間を抜けその壁の中に入れるところはと見回すと、鉄格子の門が開いているのが見えました。
「門番さんはいないのですね」
「そうね、あそこが入口よ。やっぱり地下へ続く階段ね」
さぁどんなダンジョンか楽しみですね。
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