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第三章

第115話 謁見場へ行きますよ

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 門をくぐっても、まだしばらく馬車は進み続けます。

「うふふ。門をくぐってからの方が長いですよ。屋敷から門までの方が近いくらいですから」

「それはすごいですね。うちの庭と変わらないくらい大きいですよ。うちの庭は広いだけですけど、あっ、池がありますね。ハサ――」

「ハサミエビ釣りは駄目よ。ここはよその国の、それも王城庭なんですからね」

「うふふ。そうですね、怒られちゃいますよ」

 ちぇっ。ちょうど橋もかかってますからあの上から釣れるかなって思っただけなのに。でも、聞いて良いよって言ってもらえたら。

(ライ······)

 はい。諦めますね。

 そして本当に、ポリーさんのところのお屋敷からより時間をかけて走った後、馬車は速度を緩め、止まりました。

 みんなで馬車を降り、メイドさんに案内された応接室でお茶とお茶菓子をいただき、待っていると。

 コンコンコン。

『失礼します』

 カチャ。

 ポリーさんが『立ってお出迎えですよ』と言われ、僕達は全員立ち上がり、入室を待ちます。

そして入ってきたのは紺色のローブを着て、白いお髭のお爺さんと兵士さんが二名だけでした。

「皆様、お待たせしました。これより謁見場にご案内致します。ポリー殿はこちらでお待ち下さいませ。聴くところによれば、発見者のパーティーが四名」

「ああ。俺達だ」

「はい。それから完全攻略された四名」

「はい。僕達です」

 僕は、ムルムルごと手のひらに乗せて僕の前に。プシュケはリントを持ち上げ抱えています。くふふ。リント、だら~んって伸びてますよ。

「ふむ。聞いた通り子供が二人と小人に猫ですね······ふむ良いでしょう」

「猫じゃないにゃよ? ケット・シーにゃ」

「こ、これは失礼しました。で、では注意事項だけ簡単に説明します」

お爺さんは立ったままで説明を開始しました。

「まず謁見場に入り、ご案内した場所で跪き、お待ちいただきます。その後は王が入室を致しますので、頭を垂れるのをお忘れなきようにお願いいたします」

はいはい

「その後ですが、代表者のお名前をお呼び致しますので、そちらは」

 お兄さん達の方から聞くようです。

「ああ。俺だ。名前はカルバン」

 そして僕達の方を見ましたので僕の番ですね。

「では。初めまして。隣国から来ました、サーバル男爵家のライリール・ドライ・サーバルと申します」

「はい。では、カルバン様とライリール様は名を呼ばれましたらその場で『はい』とだけ返事をして下さい。その後王様よりお言葉をいただき今回の報酬をお渡し致します」

「その時ですが、王様が『面を上げよ』と申されますので、カルバン様とライリール様。お二人だけ顔を上げ、その場で動かずお待ちいただきます。そして宰相様から各々おのおの名前を呼びに手渡して下さいますので二人とも受け取った後、『ありがとうございます』とだけおっしゃって下さい」

 うんうん。簡単ですね。お兄さんは、······あはは、凄く緊張した顔をしちゃってますね。できれば手助けできれば良いのですけどね。

「では、お待たせしています。早速ですが謁見場へ参りましょう」

 お爺さんと兵士さんが向きを変え部屋を出ていきますので付いて行きましょう。

「ポリーさん行ってきますね」

「はい。行ってらっしゃいませ」

 ポリーさんに挨拶をして、お爺さん達を追いかけます。

「ああーくそっ! 緊張するぜ! よくそんな普通でいられるな? ってそうだ、貴族だもんな、こんな事には慣れてるのか」

「王様違いですが、会ったこともありますからね、それに――」

「こちらにです、入っても私の後に付いてきてもらいます。そして私が向きを変えたところにカルバン様とライリール様が、その後ろに各々パーティーの皆様方が、大事な事は王様が見えるように並んでいただく事です。ふむ、少しカルバン様達の方に視線が行きがちになるやもしれませんが。そうですね並び方は······」

 すると、お爺さんが位置を決め、指示してくれます。それに合わせて僕達は立ち位置を変え、調整していきます。

「この形でしょうか、ライリール様の左後ろにそうそこですね。カルバン様とライリール様の間に二人と右後ろに一人と。良いですね、ではこの形のまま進みますので後は先程行ったように行動していただければ大丈夫です」

「はい」

「は、はい」

 くふふ。声が裏返ってますね。それに青ざめて来てますから何か緊張を解く方法は······ぐるぐるしてみましょうか。魔力の流れが四人とも無茶苦茶な流れになってますからね~、ぐるぐる~ゆっくり回して~、少し魔力も補充して上げれば良いかな。

 お兄さん達の魔力を回すと少しずつ顔色もマシになってきましたし、このまま行きましょう。

 王扉がお爺さんと一緒に来ていた二人と、大扉前にいた二人でゆっくりと手前にゆっくりと開かれ、お爺さんが進み始めます。

 僕達も並びを崩さないように進み、ついに謁見場へ足を踏み入れました。

 お兄さん達のぐるぐるは続けたまま進むこと二十メートルくらい。左右には沢山の、たぶんこの国の貴族でしょうね。片側五十人ほどがずらりと壁際に立っています。

 そして前方にある豪華ごうかな椅子がある段場へ続く階段まで、目測で五メートル。そのところでお爺さんが右に方向を変えましたから、僕達はその場所で止まり、ゆっくりと跪きました。

 さあ王様の登場です♪
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