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第三章

第113話 王都に

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「あのですね、それは偶然なのですが、人攫いの本拠地を見付けた時に見付けたというか、ダンジョンの中に沢山の方が働かされていましたので、正確には教会のどなたかが発見者で、僕の方が後になるはずです。攻略はしましたけど」

「その通りだが、ダンジョンカードを登録していなければ同じことだ。今回の新ダンジョンの報酬を受け取る資格があるのは、パーティーぐるぐる。それに加えて完全攻略についてももう既に王都に連絡を入れてるからな」

「え? え? ライリール君が? 発見者で攻略者?」

「んと、ギルドマスターの説明なら両方僕みたいですね。でも発見者はそっちのパーティーに譲っても良いですよ?」

「い、良いのか? それなら俺達は嬉しいが」

「だって、先に報告したパーティーなのですよ。その権利は十分だと思うのですが」

「ふむ。確かにその通りか······」

 ギルドマスターは腕を組み、考えているようです。

「ね、ねえライリール君。あなた今年で十歳くらいよね? あの時お腹にいたのだから」

「はい。そうですよ。今年で十歳で冒険者になりました。そして先日Sランクに上がったのですよ。ほら」

 そう言って、僕はテラとリントの分も合わせてポリーさんに見せます。プシュケも慌ててギルドカードを出して前に付き出すように見せました。

「あはは······。Sランク、本当になってます」

「なっ! Sランクだなんて、そんな馬鹿な。十歳でなれるものなのかよ······スゲー! お前らスゲーな!」

 ギルド内の半分はうんうんと頷き、もう半分は『え? マジ?』『あんな可愛い子達が!』『クソー。十歳の子に負けた!』『おい。猫と可愛い人形もS? あのスライムは?』等々ざわざわと騒がしくなってきましたが、悪い気持ちじゃないですね。

 そして長めの考え事からギルドマスターは復活しました。

「すまないが、その形で良いか? 王都にはその事を伝えるが」

「私もそれが本人の意思でもありますし、ギルドへの報告順と報告すれば問題ないかと。ライリール君の報酬が少し減りますが」

「良いですよ。確か、発見で黒貨一枚、攻略は十枚でしたよね? それだけあれば、十分ですよ。ムルムルも入れて、五人で分けても二枚ずつありますからね♪」

 ぷるぷるっ

「くふふふ。もらったらムルムル用の何か買おうね」

「ライ。お義父様の領地にも少しは入れなさいよ。色々迷惑かけてるんだから私の分はそっちに回してね」

「領地? き、貴族様!」

「あっ、お兄さん僕は三男ですから冒険者になったんです。だから平民ですよ」

「そ、そうか。ふぃ~、貴族様と話すなんて出来ねえからな、すぐに首が飛んでしまうぜ」

「うふふ。話はまとまったようですので、ライリール君達は私の馬車に、そちらのパーティーはもう一つの馬車に乗って下さるかしら? 今から出れば次の町までの中間地点にある夜営地に間に合いますから」

「ああ。俺達四人とも準備は昨日の内にすませてあるから大丈夫だ」

「僕達も大丈夫です」

「ではギルドマスターさん連絡をよろしくお願いいたしますね」

「ああ。今から連絡は入れておこう。気を付けてな」

 そして僕達は、ギルドを出て、三台ある内の真ん中の馬車に。

 お兄さん達は後ろの馬車に乗り込み、出発しました。

 お兄さん達が乗る馬車を覗いていたのですが、応接間のようなソファーが置かれた貴族用の馬車だったので、驚いていましたが、すごく座り心地が良さそうなので、後で座らせてくれないかお願いしてみましょう。

 でも僕達の乗る馬車も、フワフワではないですが、クッションのある座面でしたので、今回は座布団の用意しなくても済みそうです。

「門を出ましたよ。ライ、この馬車って前と、後ろしか窓がないから景色が楽しめないね?」

「そうだね、横にも窓があったら良いのにね、それか屋根の無い馬車なら気持ちいいよ、前に商人さんの――――」

 二時間置きに休憩を挟み、順調に進んでいきます。途中一度だけ数匹のゴブリンと遭遇したそうですが、騎馬の兵士さん達がさっさと倒して、速度を緩めること無く今夜の夜営予定地に、明るい内に到着しました。

「そうだ! ポリーさん。なぜ転移で移動しないのですか? 一度だけでもいった場所には飛べると母さんに聞いたのですが」

 そう聞くと、ポリーさんは困った顔をして答えてくれました。

「ん~、まだ魔力が回復しきってないのよ。魔力回復(中)の魔道具が壊れちゃって回復まで丸々三日かかっちゃうからね、少しでも王都に近付いて、明日のお昼に転移すれば、ギリギリ王都まで飛べると思うの。だから我慢してね。来る時は魔力も満タンだったし、人数が少なかったからダンジョン街まで半日の所まで飛べたのよ」

 確か、王都まで一週間はかかると聞いたので、一日半進めば到着できるのですから早いですよね。

「ライ。それライが魔力の補充すればいけないかにゃ? 一日馬車だから暇にゃよ。パッて飛べないかにゃ?」

 僕はリントの言葉でできると確信しました。

「リント凄いよ! それなら今からでも十分いけますよ! ポリーさん。今から転移で王都までいっちゃいましょう!」


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