【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

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第三章

第110話 プシュケとリント

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「ライ様お帰りなさいませ」

「うわ! マ、マリーア驚かせないでよ」

「きゃー!」「きゃわ!」「なんにゃ!」

 転移で戻ったところに、背後から声がかかり、後ろを見ると、メイド長のマリーアが見慣れたメイド服ですが、ポケットが沢山付いたエプロンを着て、ハンマー片手に壁を直していました。

「えと、壁を直してくれてありがとうございます。マリーアが直してくれてたんだね」

「ええ。誰かさんが色々厄介ごとを持ち帰りまして、旦那様が修理の依頼をお忘れになっていますので、し・か・た・な・く・です。まったくライ様、今大変なのですよ? 連れてこられた方々の食事や身の回りを私以外のメイドに任せて、屋敷内の事は私だけです」

「え、あの、ご、ごめんなさいマリーア。そしてありがとうございます」

「はぁ。そう素直になられると、もう怒る事はできませんね。ほら旦那様と奥様が待っていますから。この時間ならもう執務室においでだと思いますよ。それから、テラ様、プシュケ様、リント様。当家にお越しいただきありがとうございます。どうかごゆるりとお過ごし下さいませ」

 そう言うと、部屋の扉を開け僕達の移動を促してきましたので、素直に従う事にしました。

 出る際には。

「行ってくるね」

「マリーアありがとう! ライの部屋は任せたわ」

「マリーアさんありがとう。頑張って下さいね」

「お邪魔するにゃ。ライのお部屋は任せたにゃ」

「はい。行ってらっしゃいませ」

 僕は素直に父さんの執務室に向かい、扉をノックしました。

 コンコンコン

「ライです。ただいま戻りました」

『ライ! よし入れ!』

 すぅ~はぁ~。深呼吸をして。

「失礼します」

 カチャ。

 執務室に入るとそこには父さんと王様、宰相さん、それにお義父さんがソファーでお話をしていたみたいです。

「ライ。まずは人攫いの件。良くやった。
 まだダンジョン街だけだが、あれだけの人数を集めていたのだ、他所があるのかと疑問も残るが、可能性があるのは間違いない。随時元の場所に帰れる手配は早急に進めることとしている」

 王様はそこまでやってくれるのですね、助かります。

「ラビリンス王国国王にも連絡は入れた。あちらも動くそうだ。奴らから引き出した情報により教会を国から排除する方向で我が国も動き出す」

 教会そのものを排除ですか。確かに。人攫いなんて悪い事をしたのですから当然ですよね。

「その事でな。ライ、お前はどうしたい? 今はダンジョンに行ってるそうだが」

「はい。Sランクの試験を受けに行きましたね。そこで見つけたので」

「ふむ。奴らが吐いた事だが、教国が主導して動いておる。我が国と、ラビリンス王国に報せはしたが、問題は帝国。お前が捕まえた帝国の奴らが吐いたのだが、バラマンディ侯爵を亡き者にして、国境の土地を狙っているそうだ。バラマンディがあの辺りの責任者だからな、当然許せる事ではないのだが、その事で危険に晒されるのは、そこに住む民だ、救わねばならぬ。だから帝国にもその旨を報せねばならんのだ······」

 これは僕が報せに行くのが良いのでしょうか?

「ヒュドラは討伐完了。卵も既に発見し、その件は終わったのだが、その後のファイアーアント。奴らの本気度が見えてくる」

 王様は、一つ大きく息を吸い込み続けます。

「ライよ。一つ頼みがある。ラビリンス王国からの入国でも構わん。そこから帝都に向かう間の村や町の民にまずは報せて欲しい。その場所が我が国に攻めいるため通る場所だからな、何を仕掛けるか分からん。だから今の内にヒュドラやファイアーアントの事を、その村や町の長に報せれば対策も取れるやも知れん。それから私は全土に報せるため冒険者ギルドを使おうと思っておる」

「ダンジョン街の冒険者ギルド本部に一報入れる事はできますよ。明日の朝に行く予定ですから、その後ダンジョンの報酬を貰いに王都へ行かないと行けないみたいなので、その後なら帝国へ行っても大丈夫ですし、もし、この国から帝国へ入った方が良いならそれも可能ですね。ラビリンス王国との分かれ道は転移で行けますから。そこからならすぐに帝国ですし」

「ふむ。冒険者ギルドの本部だからなダンジョン街は。あの分かれ道からすぐにバラマンディ侯爵領だな。······ん? ダンジョンの報酬などギルドでもらえんのか? 何を倒したんだ?」

「完全攻略して、ダンジョンマスターになりました!」

 そこにいた、王様に宰相さん。父さんにお義父さんは目を見開き僕達······僕を見てきます。そして父さんが。

「······はぁ。我が子に先を超されたか、それなら王都に行かねば報酬はもらえんか」

「くっくっくっ。ライよ。流石我が娘の婿だ」

「あっ、言ってたティちゃんかフィーアちゃんのお父さんね、こんにちは。私はプシュケ。こっちは」

 プシュケはだっこしていたリントを前に出してあげてます。

「リントにゃ。そうにゃプシュケ、そっちの王様に挨拶は良いのかにゃ? 王様リントにゃ、よろしくにゃ」

「あっ! そうだね、王様だから村長さんよりずっと偉いんだから挨拶しなきゃ! 初めまして。プシュケです。王様よろしくお願いしますね」

「くっくっくっ。王よ。ほれ挨拶してもらったのに挨拶は返さないのか?」

「くははは。面白い仲間だなライよ。ふむ。私がこの国の王だ。リントにプシュケ。ん? ライよプシュケも嫁か?」

「私がライと? そうですね♪ それならずっと一緒で楽しそうだし。ライよろしくね」

「ん? そうなのかにゃ? にゃらリントもお嫁さんになるにゃよ。よろしくにゃ!」

「くはははっ! ならばここにいる者で仲間外れは宰相だけだな。どうだ、孫娘でもライに嫁がせては。この分だとラビリンス王国でも叙爵は免れんぞ? 最悪伯爵までは行くであろうな。人攫いにあった者の約半分はラビリンス王国民だ!」

「ふふ。うちの孫はまだ五歳でございます。もうしばし待ってもらいませんと」

 えと、あの、皆さん話がずれていってませんか······。
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