【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

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第三章

第105話 教会のダンジョン

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「「うぉぉぉぉぉー!」」

 切れちゃった岩山もついでに収納しておこうとした時背後から、そんな声が上がりました。

「少年! 君が俺達の奴隷の魔道具を外してくれたのか! ありがとう、あのままならほとんどの者がベヒモスにやられていただろう」

「スゲーな少年! あのベヒモスだぜ? Aランクの『闘う商人』が単独で傷だらけになりながらやっと尻尾の先を持ち帰った代物を、完封勝ち! Sランクかよ!」

 五十人ほどの冒険者と。

「かぁー。大したもんだぜガキんちょ! 俺の店の用心棒に雇いたかったぜ!」

「なに言ってやがる! おまえの店はぼったくりで取り締まられただろうが! 俺んとこならちょーっとエッチな店だから俺んとこだよな! 坊主、今は脱税で捕まっちゃいるが」

 犯罪奴隷の方も、褒めてくれてますので、嬉しいのですが、ぼったくりも脱税も駄目ですからね。

「あはは。まだ僕達はAランクですよ。ところでこれだけなのですか? 他に捕まってる人もいると思うのですが?」

「いるぞ、半分はこの階層の入口横から入れる隠し扉の奥に七百人はいるだろうな。このダンジョンの五階層までを俺達が攻略で良いのか分からんが、半日交代で攻略している。どっちかって言えば攻略より、命がけで金、銀、宝石を採掘しているんだがな。魔物が出てもハンマーにスコップなんかを装備ではそこくらいまでが限界だ」

「そうね、今後はBランク以上を優先的に狙うように人攫いギルドに依頼しているようだわ。普通に装備をさせてくれれば二十階層くらい行けるのに、やる事は採掘だけ、五階層まではゴブリンにオークまでしか出ないわ」

「教会の奴らは二十階層へ到達したらしいぞ、二人ほど死んだらしいが」

 だとすれば、この階層と下の階層を合わせて1400人はいそうですね。

「分かりました。では一旦、隣の国になりますが、サーバル男爵領に移動して、その後各々の国へ帰れるようにしたいと思っています。ではその隠し扉に案内をお願いしますね」

 色々採れるらしい岩山を収納して、下りてきた階段前に転移して、勿論驚きましたが、隠し扉の中にも十人の白いローブを羽織った教会の方がいましたので、ぐるぐるしながら倒し、気絶させておきます。

「ここも一緒よ、色付きは犯罪奴隷よ。やっちゃいなさい!」

「うん。ぐるぐる~。ほいっと!」

 そしてまたカヤッツにお願いをしに行った時、王様と、宰相さんが来ていましたので捕まる前に転移で戻ってきました。

「王様来てたけど良いの?」

「うん。先にこっちの冒険者さん達を助けなきゃですよ」

「そうね、行くわよ!」

 テラに見てもらって分かったのですが、三階層へは、一階層からの階段からまっすぐ進んだところにあるそうなので、走ります。

 一気に三階層へ駆け下りるとそこにも扉があり、二人の白ローブの見張りがいます。

 ぐるぐるしながら倒して気絶させ、扉を押し開けました。

「聞いた通りね、ここも草原と岩山、さっさとやっちゃいましょう」

「うん。任せて。え~っと、見つけた転移で行くよ。転移!」

 パッ

 ここにも三人の白ローブが見張りのためにいるみたいですが。

「な! 行きなり現れたぞ! 何者だ!」

「先を急ぎますので、少し痛いですが! シッ!」

 ドドドっとまたお腹に一撃を入れ、ぐるぐるで気絶させます。

 後は繰り返し、奴隷の魔道具を外してお屋敷に連れて行く。

 三階層分を繰り返し、五階層にいた方達もお屋敷に送り、その先にいる攻略を進めている方達を捕まえるため、次々と階層を下りて行きます。

「結構深くまで潜っているのかと思いましたが、十階層に固まっていますね、何かと闘っているようですが、ここでやっつけちゃいますよ」

「やっちゃいましょ! 魔物がいるのでしたら私とリントちゃんでやっつけちゃいますよ!」

「任せるにゃ! 早く扉を開けるにゃ!」

「そうね、終わるのを待っても良いけど、さっさとやってしまいなさい」

「うん。行くよ」

 これまでの扉より大きく、装飾が施された扉を開いていくと、一つ目の大きな魔物と闘っている白ローブの集団がいました。

「サイクロプスさんですか? 初めて見ましたね。とりあえずぐるぐるしちゃいますよ!」

 僕が声を出したので、幾人かは気付いたようですが、それどころでなはいようですね。

「援軍か! 何人来た! コイツいつものオークリーダーが出る場所にこんな奴が出やがった!」

「援軍だと! なんでも良い! 魔法を撃ちまくれ! 打撃は効かない、目を狙えばコイツも大人しくなるはずだ! 俺達は魔力切れギリギリだから頼む!」

「あら、ちょうど良いわね、サイクロプスを倒して、ぐるぐるしちゃえば完了よ」

「うん。首を落とせば良いよね、ウインドカッター!」

 僕の放った二メートル幅のウインドカッターは、鉄のこん棒を振り上げていた右腕も切り裂き、首を通りすぎました。

 ぼわんっとサイクロプスは消え、宝箱が出ましたので、収納しておきました。

「良くやったわライ。奴らには触らせてもやらないわ」

「そうです。後の楽しみに取っておきましょう」

「おおー! 良くやった! ······誰だ小僧は! 子供は一階層にしかいないはずだぞ!」

「あのですね、悪者さんには内緒です。それにそろそろ倒れますから、気を付けてくださいね。ぐるぐる~。ほいっと!」

「何を言っている! 奴隷がなぜここまで来たか知らんが、宝箱はどこに消えたのだ······」

 ドサッドサッと全員で十五人は次々と倒れ、立っているものはいなくなりました。

「よし。転移!」

 パッ

「ライ。送るだけなんてあなた······」

「よ、よし宝箱を、覗いてみようか!」

「そ、そうね、それは大切なことね。罠がない事は出た瞬間に見ておいたから開けても良いわよ」

 くふふ。テラだって宝箱が気になっていたのですね。

 宝箱を出し、この前みたいに全員で手を添え、せーので蓋を開けると中は――。
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