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第三章

第104話 救出開始ですよ

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「カヤッツ! この子達をお願い! 人攫いの犠牲者達です!」

 門前に転移してすぐに透明ローブを脱ぎ、詰所に向かって叫びます。

「何事です! こ、これは!」

「カヤッツ! 人攫いにあった子達なの! この後冒険者達も連れてくるから、手配をお願いします!」

「ライ! オークを出して! 沢山よ! この子達と冒険者達もお腹を空かせてるからね!」

「うん、カヤッツ、マシューにも手伝ってもらって下さい! ほいっと!」

 ズドドドと門の横に、数百匹は出しておきます。

「坊っちゃん、もしや人攫いの本拠地を見つけたのですか!」

「うん! たぶんラビリンス王国のダンジョン街にある教会だよ! 父さんにも伝えてね、よし、戻って次は冒険者達もたすけちゃうよ、転移!」

 パッ

「何て事だ。確かあそこの教会は教国の······こうしちゃおれん! 俺は旦那様にご報告へ行く。お前はマシューに知らせろ! お前とお前は門番を継続! 他の者はこの子達を休ませる場所を手配しなさい!」

「「はっ!はっ!」」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 広場に戻って来たのですが、流石にあの人数が消えたのですから大騒ぎです。

「探せ! どこだ! 一人たりとも無駄には出来ないんだぞ!」

「ダンジョンの罠か何かが発動したんじゃないのか! おい! ダンジョンに詳しいやつはいないのか!」

 ここは、もう放っておいて――。

(ライ。表の花を全部刈り取ってしまってくれない。それから麻薬を作った物が保管されてるからそれも取り上げてしまいましょう)

 麻薬は駄目だからね。分かったよ。外から行くよ!

 素早く広場から、花畑の真ん中に転移。

 パッ

 花畑の真ん中からウインドカッターは止めて、お花を全て収納です!

 一瞬の内に一面緑と白の花畑が、茶色い地面に早変わりしました。

(ライって無茶苦茶ね! 普通は生えている物は収納できないのよ! ってもう良いわ! それならこの階層の物を全て収納しちゃいなさい!)

(やっちゃえにゃー!)

 ぷるっぷる

 パンパン

 みんなの声援を受けましたから、やる気全開ですよ! ぐるぐる~! 収納!

 すると広場があった建物以外が無くなり、家の中にいたのか、裸になったおじさんやお兄さんが沢山なぜか抱き合ったり、ちゅってしてる人達までいました。

(ん~。まあ良いわ、放っておいて広場に戻ってそこもやっちゃえ! そしてダンジョンに入ってる人達を開放するわよ)

 僕は頷き、広場へ転移。ここでも収納、パンツを残すのを思い出してあわてて戻しました。

 そして見えていた、階下に下りる階段に向かい、急いで下りて行きます。

「次の階層入り口に扉なんか付けちゃってるじゃない! 邪魔ね。もう見張りはやっつけちゃいなさい!」

「うん! ぐるぐるもしてたから上の全員も気絶させてるよ! ほらもうすぐ!」

「なっ! 声と足音が聞こえ――」

 ドサッ

「おい! どうした!」

 ドサッ、見張りだと思われる二人を気絶させ、扉の鍵をぐるぐるで開け二階層に突入しました。

「ここは、草原と岩山ですね。気配は岩山方面にありますから飛びますよ! 転移!」

 パッ

「くそ! なんでこんなところに下層にしかいないはずの! はっ!」

「ベヒモスなんてどこが弱点なんだよ! せいっ!」

 採掘用の大きなハンマーやツルハシで攻撃しているようですが、その大きさのため、足を叩くくらいしか出来ていませんし傷も付けることが出来ないようです。

「よ、よひ! お前らは俺達が逃げ切るまでそこで足止めだ!」

 声の方を向くと、三人が馬車から馬を外し、乗馬して逃げ出すところでした。

「ライ悪者よ、気絶させて上に飛ばしておきなさい」

 もちろん逃がしませんよ。ぐるぐるだけでは間に合いませんから、少し痛いですよ!

「シッ!」

 ドドドと三人のお腹に木の棒で一突きずつ。三人ともに手綱を手放し落馬。痛みに転げている内に、気絶しましたので上に飛ばしておきました。そして。

「冒険者の皆さん。今から奴隷の魔道具を外しますからね!」

んん神眼~! ライ。顔に入れ墨のヤツ見たいに、色付きの服を着ているのは犯罪奴隷だから外しちゃ駄目よ! 白服だけ外しなさい!」

「分かったよ! ぐるぐる~! ほいっと! 皆さんベヒモスから離れて下さい! 犯罪奴隷の方も!」

「なっ! からだの自由が! 誰だか知らねえが助かる! おいみんな離れるぞ!」

 冒険者達はベヒモスへの攻撃を止め、一斉に離れ始めました。

「ふぅ。よし透明ローブは収納して姿を見せておかなきゃね」

「そうね。早くしないと逃げてる方達に向かい始めているわ」

 僕は透明ローブ収納すると行きなり現れた僕達に気付いたベヒモスは冒険者を追うことを止め、その場に止まりました。

 そして三メートルくらいある太い足を持ち上げ、僕に向けて下ろしてきました。

「動きが遅いですよ! アルティメット・ウインドカッター!」

 あれ? 五メートルくらいのウインドカッターを出すつもりで放ったのに、倍以上大きな物が――!

 グボォォ

 上げていない前足を狙ったのですが、後ろ足もまとめて三本の足が切断されました······。後ろにあった岩山もたぶん切れていますよね······。

「言い忘れていたわ。······威力はその刀で上がってるから、次からは少し練習してからが良いかもね」

 そして、ウインドニードルを頭に打つと、ベヒモスは煙のように消えていき、宝箱が現れたのを見て、少しだけ顔がにやけたテラとプシュケはすぐに真剣な顔に戻りました。

 ······一応収納しておきますから後で中身は見ることにしましょうね。



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