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第三章
第101話 二つ名
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「そっちに座ってくれるか?」
「はい」
僕達はギルドマスターさんとザブマスさんに付いてきて、応接室のような部屋に通され、並んで席に着きます。
向かいにはギルドマスターさんとサブマスさんが並んで座りました。
「パーティーぐるぐるの四······四名で今回ランクアップの審査を受けてもらいたい。サブマス」
「はい。まずは隣の王国での討伐。ヒュドラの件ですが九本首で間違いないようですが、後で見せてもらいたいのと、この国のファイアーアントの件も女王蟻は置いてきてあるとの事ですが、他の多数をある程度見せてもらう事はできますか?」
「はい。問題なく見せることができます。ですが、ヒュドラは大きいので、そうですね。今から先に見せましょうか、お屋敷にじゃなくて、街の外で良いですかね。転移!」
パッ
「到着。では――」
「のわっ!」
「えはっ!」
「きゃっ」
あっ、みんな座っていましたから後ろに転けちゃいましたね······。
目の前の二人はそれはもう見事にゴロンと。プシュケもリントを抱えたままコロンと······。
「ギルドマスターさんにサブマスさん。それにプシュケもごめんなさい。座っているのを忘れてました!」
「はぁ、本当にごめんなさいね。ライ、気を付けなさいよね」
「て、転移だと! その若さで転移までマスターしていようとは、それにこれから見せると言う事は収納も持っているようだな」
二人は自分で立ち上がりながら汚れを払いおとしていますので、僕はプシュケの手を取り起こしてあげて、背中やお尻に着いた土や草を払いおとしてあげました。リントを抱えたままでしたのでリントは無事でしたよ。
「はい。では出しちゃいますね、ほいっと!」
広い草原ですから大丈夫ですね。ズズンと胴体。ズズズンと首を九本を右側に出して、左側にはファイアーアントを、ドドドドドっとヒュドラの胴体と同じくらいの高さまで積み上げた状態にして出してしまいました。するという二人は左右をゆっくり首を動かしながら見て、僕の方に向き直りました。
「よ、よし。ヒュドラは九本首、ファイアーアントもこれだけの数があるのを確認した」
ほっ。良かったです。門の方から声が聞こえていますが、大きいですからね、見て驚いているのでしょう。
そして、二人は『検分』するから少し待ってくれるかとまずはヒュドラを見に行き、切り口や色々、牙の大きさなんかも見ているようです。
「切り口と言うか傷がこの首を切断した傷以外が無い。ファイアーアントもここから見るに首を切ってあるようだな」
「ギルドマスター。二つ名は『首斬り』か『首狩り』『首断ち』この三つ、『斬首』と言うのも」
なんだか物騒な言葉が出ていますね? 二つ名と聞こえましたから僕達の二つ名でしょうか! その中でしたら『首斬り』がカッコいいかもですね♪
「ふむ。だがこの切り口は風魔法だろう。ならば、『風使い』は先代が亡くなられて久しい。その名を継ぐ事にこれほど相応しい者はいないだろう」
おお! 『風使い』ですか! お屋敷にあった冒険者の偉業が書かれた本に載っていましたよ! 確か百年ほど前に活躍した方の二つ名です。
「ライ。その『風使い』はあいつよ。だから死んじゃあいないわ。バリバリの現役で今は違うところにいるようだけどね」
「ん?」
「ライは刀をもらったでしょ」
刀を······!
「あの方が?」
「まあ。なんにせよ、二つ名ももらえるみたいだし、良かったわね」
うん。それは本当に嬉しいです。そして二人はヒュドラを見終わり、ファイアーアント見に行きました。
「なんだよ、ギルマスとザブマスがいるじゃねえか。おい! 大丈夫みたいだ! ギルドマスターとザブマスが検分しているだけだ!」
「ったく。どえらいもんがいきなり現れたから、肝を冷やしたぜ。しかしでけえな?」
門から沢山の方が近付いてきているのは知っていましたから驚きませんでしたが、皆さん武器を手にして警戒してたのですね。
「どこの軍隊が倒したんだこれ。ファイアーアントも腐るほど倒してるじゃねえか」
「そんな遠征話は聞いたこと無いが、これが街に流れれば少しは安くならねえかな? そろそろ俺の鎧もヤバイからな」
うんうん。ここでもファイアーアントの鎧は人気のようですね。これは作ってもらった物を持って来れば、この街は冒険者が多いので、大繁盛かも知れませんね。
そんな事を考えている内に、検分が終わったようで、ギルドマスターさんとサブマスさんが戻ってきました。
「なんだ? お前ら依頼は良いのか?」
「いきなりデカイのが現れたからな、一応見に来ただけだが、しかしこのヒュドラはデカイな」
「ああ。冒険者ギルドが把握している中で一番デカイやつの倍はあるな。新記録だ。それに一パーティーで倒したファイアーアントの数もおそらく記録更新しているだろうな」
「「一つのパーティー!?」」
「ああ。また発表はギルドの掲示板に貼る。ほらほら仕事に戻れ。これで依頼失敗などしては依頼者に顔向けできんぞ」
「だなぁ」「よし行くか」「ヤベェ」「走るぞ」など色々な声が聞こえ、各々元来た門へ戻っていきました。
「よし。俺達も戻ろうか」
「はい。では収納!」
ヒュドラとファイアーアントを収納して、転移で応接室に戻りました。
「キャー!」
バシャッ、カランカランとお茶が入っていたと思うコップとポットを落としたお姉さん。
ちょうど、部屋に入ってきたところだったみたいですね。いきなり現れた僕達に驚いていしまったみたいです。
「お姉さん。ごめんなさい。火傷はしてませんか?」
「ひゃ、ひゃい! ち、ちょっと驚いただけです。あっ、せっかくの高いお茶が······」
「ライ。今度からは転移する時は気を付けなさいよね」
「ムルムル。床を綺麗にしてくれるかな?」
ぷるぷる
ムルムルは肩に乗ったままみにょ~んと伸びて、床を濡らしたお茶に覆い被さりあっという間に汚れもなくなりました。
「ふむ。中々の物だ。従魔登録されていたな、テイマーでもあるのか······ますます似てるな。よし『風使い』で決まりだ」
二つ名が決まったみたいです。
「はい」
僕達はギルドマスターさんとザブマスさんに付いてきて、応接室のような部屋に通され、並んで席に着きます。
向かいにはギルドマスターさんとサブマスさんが並んで座りました。
「パーティーぐるぐるの四······四名で今回ランクアップの審査を受けてもらいたい。サブマス」
「はい。まずは隣の王国での討伐。ヒュドラの件ですが九本首で間違いないようですが、後で見せてもらいたいのと、この国のファイアーアントの件も女王蟻は置いてきてあるとの事ですが、他の多数をある程度見せてもらう事はできますか?」
「はい。問題なく見せることができます。ですが、ヒュドラは大きいので、そうですね。今から先に見せましょうか、お屋敷にじゃなくて、街の外で良いですかね。転移!」
パッ
「到着。では――」
「のわっ!」
「えはっ!」
「きゃっ」
あっ、みんな座っていましたから後ろに転けちゃいましたね······。
目の前の二人はそれはもう見事にゴロンと。プシュケもリントを抱えたままコロンと······。
「ギルドマスターさんにサブマスさん。それにプシュケもごめんなさい。座っているのを忘れてました!」
「はぁ、本当にごめんなさいね。ライ、気を付けなさいよね」
「て、転移だと! その若さで転移までマスターしていようとは、それにこれから見せると言う事は収納も持っているようだな」
二人は自分で立ち上がりながら汚れを払いおとしていますので、僕はプシュケの手を取り起こしてあげて、背中やお尻に着いた土や草を払いおとしてあげました。リントを抱えたままでしたのでリントは無事でしたよ。
「はい。では出しちゃいますね、ほいっと!」
広い草原ですから大丈夫ですね。ズズンと胴体。ズズズンと首を九本を右側に出して、左側にはファイアーアントを、ドドドドドっとヒュドラの胴体と同じくらいの高さまで積み上げた状態にして出してしまいました。するという二人は左右をゆっくり首を動かしながら見て、僕の方に向き直りました。
「よ、よし。ヒュドラは九本首、ファイアーアントもこれだけの数があるのを確認した」
ほっ。良かったです。門の方から声が聞こえていますが、大きいですからね、見て驚いているのでしょう。
そして、二人は『検分』するから少し待ってくれるかとまずはヒュドラを見に行き、切り口や色々、牙の大きさなんかも見ているようです。
「切り口と言うか傷がこの首を切断した傷以外が無い。ファイアーアントもここから見るに首を切ってあるようだな」
「ギルドマスター。二つ名は『首斬り』か『首狩り』『首断ち』この三つ、『斬首』と言うのも」
なんだか物騒な言葉が出ていますね? 二つ名と聞こえましたから僕達の二つ名でしょうか! その中でしたら『首斬り』がカッコいいかもですね♪
「ふむ。だがこの切り口は風魔法だろう。ならば、『風使い』は先代が亡くなられて久しい。その名を継ぐ事にこれほど相応しい者はいないだろう」
おお! 『風使い』ですか! お屋敷にあった冒険者の偉業が書かれた本に載っていましたよ! 確か百年ほど前に活躍した方の二つ名です。
「ライ。その『風使い』はあいつよ。だから死んじゃあいないわ。バリバリの現役で今は違うところにいるようだけどね」
「ん?」
「ライは刀をもらったでしょ」
刀を······!
「あの方が?」
「まあ。なんにせよ、二つ名ももらえるみたいだし、良かったわね」
うん。それは本当に嬉しいです。そして二人はヒュドラを見終わり、ファイアーアント見に行きました。
「なんだよ、ギルマスとザブマスがいるじゃねえか。おい! 大丈夫みたいだ! ギルドマスターとザブマスが検分しているだけだ!」
「ったく。どえらいもんがいきなり現れたから、肝を冷やしたぜ。しかしでけえな?」
門から沢山の方が近付いてきているのは知っていましたから驚きませんでしたが、皆さん武器を手にして警戒してたのですね。
「どこの軍隊が倒したんだこれ。ファイアーアントも腐るほど倒してるじゃねえか」
「そんな遠征話は聞いたこと無いが、これが街に流れれば少しは安くならねえかな? そろそろ俺の鎧もヤバイからな」
うんうん。ここでもファイアーアントの鎧は人気のようですね。これは作ってもらった物を持って来れば、この街は冒険者が多いので、大繁盛かも知れませんね。
そんな事を考えている内に、検分が終わったようで、ギルドマスターさんとサブマスさんが戻ってきました。
「なんだ? お前ら依頼は良いのか?」
「いきなりデカイのが現れたからな、一応見に来ただけだが、しかしこのヒュドラはデカイな」
「ああ。冒険者ギルドが把握している中で一番デカイやつの倍はあるな。新記録だ。それに一パーティーで倒したファイアーアントの数もおそらく記録更新しているだろうな」
「「一つのパーティー!?」」
「ああ。また発表はギルドの掲示板に貼る。ほらほら仕事に戻れ。これで依頼失敗などしては依頼者に顔向けできんぞ」
「だなぁ」「よし行くか」「ヤベェ」「走るぞ」など色々な声が聞こえ、各々元来た門へ戻っていきました。
「よし。俺達も戻ろうか」
「はい。では収納!」
ヒュドラとファイアーアントを収納して、転移で応接室に戻りました。
「キャー!」
バシャッ、カランカランとお茶が入っていたと思うコップとポットを落としたお姉さん。
ちょうど、部屋に入ってきたところだったみたいですね。いきなり現れた僕達に驚いていしまったみたいです。
「お姉さん。ごめんなさい。火傷はしてませんか?」
「ひゃ、ひゃい! ち、ちょっと驚いただけです。あっ、せっかくの高いお茶が······」
「ライ。今度からは転移する時は気を付けなさいよね」
「ムルムル。床を綺麗にしてくれるかな?」
ぷるぷる
ムルムルは肩に乗ったままみにょ~んと伸びて、床を濡らしたお茶に覆い被さりあっという間に汚れもなくなりました。
「ふむ。中々の物だ。従魔登録されていたな、テイマーでもあるのか······ますます似てるな。よし『風使い』で決まりだ」
二つ名が決まったみたいです。
応援ありがとうございます!
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