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第三章
第94話 九匹の子達
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僕達が転移してきた森の端からでも一目で分かる、大きなナインテール。五十メートルほど先ですが、背中をこちらに向け街道脇に座っていました。
その九つある尻尾の隙間に見え隠れする小さなナインテール······子供が生まれたのですね! そのナインテールを沢山の冒険者でしょうか、街道側から弓型に取り囲み、今から攻撃を仕掛けようとしています。
「テラ! あの時のお母さんですよ! 小さい子もいます!」
「不味いわよ、生まれた子供でしょうね、九匹連れているわ」
耳たぶを掴んで凄い勢いでクイクイ引っ張る慌てたテラ。僕も同じ様に焦っています。遠目ですが子供達はお母さんの尻尾に隠れ震えてるように見えました。
(あら。ここで匂いがまた消えたので待っていましたが、そんなところに)
ナインテールお母さんはこちらを振り向くと僕の頭の中に念話が届きました。
「え? ナインテールお母さんですか? ってかこっち向いたから冒険者達が動き出しましたよ! ん~よし! お母さんも子供達もみんな、一旦お屋敷に行くよ!」
「念話ね! ライ、庭によ! 今度は間違えちゃ駄目だからね! ナインテールはライのお部屋に入りきらないから!」
「うん! 子供も一緒にぃー! 転移!」
パッ
「きゃー!」
「あっ! マリーアごめんなさい! この子達とお母さんが危なかったので」
慌てて転移した先にはメイド長のマリーアと三人のメイドさん達が、庭でシーツを干しているところでした。
でも流石、誰もシーツは落としていません。······ですが。
「ラ、ライ坊っちゃん! ま、魔物ですよ! 生きてますよ!」
「落ち着いてマリーアもみんなも。このお母さんナインテールは知り合いだから。大丈夫です」
マリーア達は僕とお母さんを交互に見て、ゴクリと喉をならして、最後に僕を見てこう言いました。
「ライ坊っちゃん······悪戯が過ぎますよ。ナインテールと言えば一匹で大きな街を簡単に攻め落とせ、ドラゴン、猫のツインテール、エンペラーイーグル、海のリヴァイアサンと並び、五大魔物と言われる魔物の中でもとびきりの魔物ですよ!」
「う、うん。そ、そうだね」
みんなが物凄く怖い顔で、昔スカートめくりをして、持っていたティーセットを落とさせてしまった時よりも怖い顔をしています。
「で、でもねマリーア、冒険者達が攻撃しそうで、お母さんは大丈夫でしたが子供達が怪我しちゃうかも知れないから咄嗟にね。本当にごめんなさい」
「はぁ。まあ今日は良いとしましょう。洗濯物も無事ですから」
「ありがとう。そうだ、マシューにヒュドラお肉を多めに渡しておくからみんなも食べてね」
「ヒュドラだと? ライ。先日連れてきた奴らに喋らせたがお前が倒したヤツだな?」
そこには御屋敷から出てきた父さんがいました。腰には剣を装備しています。
「はい。大きかったですよ。胴体なんてこーんなに大きかったんですから」
体全体を使い大きさを教えてあげました。
そしてドヤ顔をしてるとテラが。
「ライ。それじゃあ大きさは伝わらないわよ。ちょうどお庭だし、出して見せれば早いわよ」
そうですね。じゃあ胴体を出しちゃいましょう!
「せーの! ほいっと!」
みんなに危なくないよう、離れた場所にヒュドラの胴体を出してあげました。
するとみんなは。
「「なんだこれはー!」」
(まあまあ。中々大きなヒュドラですね。あっ、お前達にはまだ早いわよ。今はおっぱいですからね)
子どものナインテール達はお母さんの尻尾から出てきて、ヒュドラに興味津々です。
でもお母さんに止められて今度は僕達の方にやって来ました。子供といっても既に僕の身長を軽く越えていますから中々の大きさです。
触らせてもらうとふわふわもふもふです! お座りしてくれましたから思いきって首に抱き付くと最高に気持ちいいです!
おっと話の途中でしたね。僕と同じ様にプシュケも抱き付いていますがもふもふしながら話に戻りましょう。
「そうだ。お母さんはヒュドラを食べた事あるの?」
(遥か昔ですが、もちろん美味しくいただきましたよ。ここまで大きくはありませんでしたが)
「ふむ。デカいヒュドラだな。ライ、良くやった。私が現役で倒したものは七本首でここまでの大きさは無かったよ。美味いんだよなぁ。ライ。皆の分をもらっても良いか? 王都のシーやアースにも食べさせてやりたい」
「はい。沢山持っていって下さい。できればフィーアやティにも」
「うむ。でだ。ナインテールだが、······大丈夫なのか? 触ったり抱き付いても怒っていないようだが」
(うふふ。悪さなんていたしませんよ。その、ライに命を救われましたから、救ってもらった命を、子供達を見てもらいたくて来ただけですよ)
「なんと! 念話か! ドラゴンでも上位種は意志疎通ができると聞いたがナインテールまでもか」
父さん達に念話を広げたのですね、マリーア達も驚いた顔をしていますし。
(そうですね。その言われていた五大魔物はできるでしょうね。この子達は生まれたてですからはっきりとはいきませんが、お話はだいたい理解はしていますよ)
「そうなのですね。こんにちは、僕はライ。よろしくね」
父さんとお喋り中なので僕は、この子達にもふもふしながらご挨拶をしましょう。
一匹ずつ、もふもふしながら九匹全部にご挨拶です。
プシュケも一緒になって挨拶しています。リントはなぜか尻尾に興味津々で今にも飛び付きそうって飛び付きましたね。
「もっふもふにゃ! リントも負けてにゃいけどこれは良いものにゃ!」
それもお母さんに。完全に埋まってますし、でも気持ち良さそうです。
その間も父さんとお話し中で、長引きそうな難しいお話をしています。
そこにマシューとカヤッツもやって来ましたので、マシューにはヒュドラを頼みました。カヤッツは父さんと、お母さんとの話におっかなびっくりですが仲間に入りましたので残されたマリーア達は洗濯干しを再開し、僕達は子供達と遊ぶことにしたのですが。
「カヤッツ。それは本当か?」
「はい。末端の実行部隊ですので真相は分かりかねますが、おそらくは」
(まあ。あの辺りは確かに沢山いますが簡単ではないはずですが······)
なんだかトラブルがありそうですね。
その九つある尻尾の隙間に見え隠れする小さなナインテール······子供が生まれたのですね! そのナインテールを沢山の冒険者でしょうか、街道側から弓型に取り囲み、今から攻撃を仕掛けようとしています。
「テラ! あの時のお母さんですよ! 小さい子もいます!」
「不味いわよ、生まれた子供でしょうね、九匹連れているわ」
耳たぶを掴んで凄い勢いでクイクイ引っ張る慌てたテラ。僕も同じ様に焦っています。遠目ですが子供達はお母さんの尻尾に隠れ震えてるように見えました。
(あら。ここで匂いがまた消えたので待っていましたが、そんなところに)
ナインテールお母さんはこちらを振り向くと僕の頭の中に念話が届きました。
「え? ナインテールお母さんですか? ってかこっち向いたから冒険者達が動き出しましたよ! ん~よし! お母さんも子供達もみんな、一旦お屋敷に行くよ!」
「念話ね! ライ、庭によ! 今度は間違えちゃ駄目だからね! ナインテールはライのお部屋に入りきらないから!」
「うん! 子供も一緒にぃー! 転移!」
パッ
「きゃー!」
「あっ! マリーアごめんなさい! この子達とお母さんが危なかったので」
慌てて転移した先にはメイド長のマリーアと三人のメイドさん達が、庭でシーツを干しているところでした。
でも流石、誰もシーツは落としていません。······ですが。
「ラ、ライ坊っちゃん! ま、魔物ですよ! 生きてますよ!」
「落ち着いてマリーアもみんなも。このお母さんナインテールは知り合いだから。大丈夫です」
マリーア達は僕とお母さんを交互に見て、ゴクリと喉をならして、最後に僕を見てこう言いました。
「ライ坊っちゃん······悪戯が過ぎますよ。ナインテールと言えば一匹で大きな街を簡単に攻め落とせ、ドラゴン、猫のツインテール、エンペラーイーグル、海のリヴァイアサンと並び、五大魔物と言われる魔物の中でもとびきりの魔物ですよ!」
「う、うん。そ、そうだね」
みんなが物凄く怖い顔で、昔スカートめくりをして、持っていたティーセットを落とさせてしまった時よりも怖い顔をしています。
「で、でもねマリーア、冒険者達が攻撃しそうで、お母さんは大丈夫でしたが子供達が怪我しちゃうかも知れないから咄嗟にね。本当にごめんなさい」
「はぁ。まあ今日は良いとしましょう。洗濯物も無事ですから」
「ありがとう。そうだ、マシューにヒュドラお肉を多めに渡しておくからみんなも食べてね」
「ヒュドラだと? ライ。先日連れてきた奴らに喋らせたがお前が倒したヤツだな?」
そこには御屋敷から出てきた父さんがいました。腰には剣を装備しています。
「はい。大きかったですよ。胴体なんてこーんなに大きかったんですから」
体全体を使い大きさを教えてあげました。
そしてドヤ顔をしてるとテラが。
「ライ。それじゃあ大きさは伝わらないわよ。ちょうどお庭だし、出して見せれば早いわよ」
そうですね。じゃあ胴体を出しちゃいましょう!
「せーの! ほいっと!」
みんなに危なくないよう、離れた場所にヒュドラの胴体を出してあげました。
するとみんなは。
「「なんだこれはー!」」
(まあまあ。中々大きなヒュドラですね。あっ、お前達にはまだ早いわよ。今はおっぱいですからね)
子どものナインテール達はお母さんの尻尾から出てきて、ヒュドラに興味津々です。
でもお母さんに止められて今度は僕達の方にやって来ました。子供といっても既に僕の身長を軽く越えていますから中々の大きさです。
触らせてもらうとふわふわもふもふです! お座りしてくれましたから思いきって首に抱き付くと最高に気持ちいいです!
おっと話の途中でしたね。僕と同じ様にプシュケも抱き付いていますがもふもふしながら話に戻りましょう。
「そうだ。お母さんはヒュドラを食べた事あるの?」
(遥か昔ですが、もちろん美味しくいただきましたよ。ここまで大きくはありませんでしたが)
「ふむ。デカいヒュドラだな。ライ、良くやった。私が現役で倒したものは七本首でここまでの大きさは無かったよ。美味いんだよなぁ。ライ。皆の分をもらっても良いか? 王都のシーやアースにも食べさせてやりたい」
「はい。沢山持っていって下さい。できればフィーアやティにも」
「うむ。でだ。ナインテールだが、······大丈夫なのか? 触ったり抱き付いても怒っていないようだが」
(うふふ。悪さなんていたしませんよ。その、ライに命を救われましたから、救ってもらった命を、子供達を見てもらいたくて来ただけですよ)
「なんと! 念話か! ドラゴンでも上位種は意志疎通ができると聞いたがナインテールまでもか」
父さん達に念話を広げたのですね、マリーア達も驚いた顔をしていますし。
(そうですね。その言われていた五大魔物はできるでしょうね。この子達は生まれたてですからはっきりとはいきませんが、お話はだいたい理解はしていますよ)
「そうなのですね。こんにちは、僕はライ。よろしくね」
父さんとお喋り中なので僕は、この子達にもふもふしながらご挨拶をしましょう。
一匹ずつ、もふもふしながら九匹全部にご挨拶です。
プシュケも一緒になって挨拶しています。リントはなぜか尻尾に興味津々で今にも飛び付きそうって飛び付きましたね。
「もっふもふにゃ! リントも負けてにゃいけどこれは良いものにゃ!」
それもお母さんに。完全に埋まってますし、でも気持ち良さそうです。
その間も父さんとお話し中で、長引きそうな難しいお話をしています。
そこにマシューとカヤッツもやって来ましたので、マシューにはヒュドラを頼みました。カヤッツは父さんと、お母さんとの話におっかなびっくりですが仲間に入りましたので残されたマリーア達は洗濯干しを再開し、僕達は子供達と遊ぶことにしたのですが。
「カヤッツ。それは本当か?」
「はい。末端の実行部隊ですので真相は分かりかねますが、おそらくは」
(まあ。あの辺りは確かに沢山いますが簡単ではないはずですが······)
なんだかトラブルがありそうですね。
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