【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

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第三章

第92話 ダンジョンで良いものが見つかりました。

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「ここがガルの家だ。おーいガル! 可愛い客人が来たぞ!」

 ギィと音を立て開けた、僕じゃありませんよ、一緒に来たおじさんです。戸の奥にはガルさんがいて、数人と床に腰を下ろし真ん中に置かれた銀色のたぶんムルムルくらいですかね、十センチくらいの石を嬉しそうな顔で見ています。

「ん? おお。無事に帰ってきたか」

「驚いたぞ。いきなりダンジョン入口に現れやがったからな。あははは」

「あはは。転移の罠を利用して帰ってきましたからね。驚かせてすいません」

「ん? そんな罠など十八階層までにあるとは記憶に無いのだが、ライ達は何階層まで行ったのだ?」

 中に入り、皆さんが座っているところへ近付きます。そして数メートル進んで止まりました。

「二十五階層ですね。それでその場所にあった魔物を生み出す魔道具が壊れていました。そのせいで生み出され続けてダンジョン内が魔物がいっぱいに。それで外にまで出てくるようになったと思います」

「聞き間違ったかの、二十五階層と聞こえたのじゃが」

 あっ、そうでした。十八階層が最高と言ってましたからね。ガルさん以外の方も、『え?』って顔をしてますしね。

「そうですよ。二十五階層まで頑張って行きました。それから部屋中の魔物を倒した後には宝箱も出ましたからね。これです」

 ズンと重量感のある音を立て、宝箱を出しました。

「これがその宝箱ですね」

 出した宝箱にみんなの視線が集まり、ぶつぶつと何やら呟いています。

「この形は十階層に出た宝箱とそっくりだぞ」「俺もそれを言おうと思っていた」「ここのダンジョンの物だとすれば、底に階層の番号があるはずだ」「そうじゃな。よし、持ち上げろ」

 ガルさんに言われました一人のおじさんが宝箱を持ち力をくわえました。

「ぬお! 重いぞ! 中身はなんだ!」

「中身は金、銀。それから宝石がありましたよ」

「金があったのか、重いはずだが、入っている物が分かれば話しは別だ、重いと知ったなら持ち上げるのはたやすい。ふんぬ!」

 あはは。分かっても持ち上がらない物もあると思いますよ~。はっ! もしかしてドワーフさん達の特殊な······

(ライ。残念だけど単に力があるだけ。初めのは重さを軽く見て、力が入ってなかっただけよ。ドワーフ達なら倍以上重くても片手で持ち上げるでしょうね)

 そうなんだ。あっ軽々と持ち上げちゃいましたね。

 僕達も一緒に持ち上がった宝箱の下から覗き込み、裏面を確認。言われてたように、底には二十五と刻印されていました

「何と! 儂は夢でも見てるのじゃろうか、確かに二十五階層の物じゃな、五階層ごとの宝箱と同じじゃ! ライ。疑って悪かった。二十五階層に行ったのはまことじゃな」

「はい。なので次の魔道具が生み出されて、それがまた壊れるとスタンピードになるかもしれません。定期的に見に行けると良いのですが」

 僕がそう言うと、皆さん考え込んでしまいました。

「どなたか転移の魔法は使えませんか? 使えるならその部屋に下りる階段にお連れする事ができますけど」

「ふむ。儂は使うことができるが、その後はまる一日は魔法が使えんほど魔力が減るからのう。出る魔物は何がおる?」

 そうか、ぐるぐるして魔力の補充ができないと厳しいですよね。

 あっ、魔物でしたね。

「ゴブリン、オーク、それの上位種でリーダー、ソルジャーまでですね。数も五十匹くらいだったと思います」

「ふむ。なら儂一人でも問題なかろう。一度連れていってもらえるか?」

「はい。すぐに行きましょうか?」

 そう言うと、ガルさんは何故かハンマーや、スコップなどの採掘用の道具を取り出し、魔法の革袋を腰に付け僕のもとにやって来ました。

「うむ。少し採取して何が出るのか見ておきたいからな。では頼めるか」

「はい。残りの皆さん行ってきますね。では転移!」

 パッ

 二十四階層から二十五階層へ下りる階段。その途中にある横穴に転移をしました。ここなら魔物も普段は来ないはずです。

「ここは二十四階層から下りてくる途中の横穴なんですよ。だから魔物も普段は来ないはずです。なので魔力の回復はこの場所ならできると思いますよ」

「ふむ。暗くて何も見えんのじゃがライ達は見えておるのか?」

「そっか! 待って下さいね、光を出しますね、ほいっと!」

 僕達はリントのおかげで真っ暗闇でも普通に見えるのですが、ガルさんはそうは行きません。僕は急いで三つほどムルムルくらいの光の玉を浮かべました。

「ほう。魔法の使い方が儂の知らんやり方だが上手いな。ふむ見たところ鉄鉱石に混ざり金や銀も含まれているようじゃ、良い場所があるもんだ。ここは時間をかけてもぐる価値はありそうだぞ」

「おお! 皆さんで進めば全然余裕で来れると思いますよ。では水晶玉があった場所も案内しますね」

 そこから階段を下り、二十五階層へ到着。

 ここでもガルさんは地面や壁を調べ、うんうんと頷きとても満足そうな顔をしています。

「これは驚いたぞ。ここの鉄鉱石は力があるぞ」

 ガルさんが指差したところは水晶玉が浮かんでいた所だと思います。確かにあの一帯は、魔力を含んでいますね。父さんにもらった刀と同じ感じがします。

「そのようですね、魔力が内封されているみたいですよ。それで装備を造れば良いのが出来そうですね♪」

「ああ。以前に何度も見たことがあるダンジョン製の装備と似ているな。ふむ、少し持って帰って試してみるのも良いな。まあ固いだろうから金床とハンマーから造らねばならんが······ライ。少しだけ採取したいんで時間をくれるか?」

「はい。大丈夫ですよ。お手伝いする事はありますか? 砕かなくても転がっているものなら拾い集められますよ」

 この部屋の地面にはコロコロと無数に瓦礫や石ころが転がっていますからそこそこの量が拾えると思いますし。

「じゃあ頼めるか? ライは収納が使えるんじゃったな。では儂はこの盛り上がったところを砕いて採取するとしようか」

「はい」

 そして僕達は、テラに見てもらいながらただの石分けながら拾い集め出しました。

「ライ! あの天井のとんでもなく良いものよ! 採取しなさい!」

 テラが指差した先にあった物はなんと······。


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