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第三章
第80話 ランクアップに向けて ①
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僕達の姿を見ていきなり言い放たれたキャンセルの言葉に驚いているとさらに追い討ちがきました。
「それに、最低Dランク以上がいる四人パーティーでギルドに依頼したはずだ! 村までの往復、たった一日で銀貨三枚も出すのになぜ見習いが! くそっ! ギルドに文句を言ってきてやる!」
「あの、その条件なら――」
「あっ、昨日のオークキングの······確かライ君!」
その時、僕達が請けた依頼ではない馬車の護衛に来ていた一組のパーティーが、商人さんの声に反応して声をかけてきました。
「どうしたの? 何か揉めてたみたいだけれど」
「おお。あなた方は以前依頼を何度も請けてくれた方達ではないですか。そうなんですよ聞いてください、ギルドにまたいつもの依頼を出したのですが、来たのはこの見習いが二人でしたのでね。ギルドに文句を言わねば」
「ああ~あははは♪ 銀貨三枚で請けてくれたなら破格の安さですよ商人さん。この子達は単独パーティーでオークキングの討伐をやってのけたのですから」
おお。僕が言おうとしてのですが、中堅っぽい使い込まれた装備を身につけた格好いいお姉さんが僕達の事を説明してくれました。
「それに、一応ですが、ライ君の肩に乗ってる小さな子と、こっちの女の子はプシュケしゃんでしたね、その子が抱えている猫さんのリントちゃんも立派な冒険者ですからしっかり条件は満たしていますよ」
「あの、オークキングと聞こえたのですが? もしや昨日の夕方から話題のパーティーぐるぐるが、この子達?」
ぬふふふ。話題ですかぁ。嬉しいですね、父さん達に負けないくらい凄いパーティーにしたいですね。
「ええ。そのパーティですよ。だよね♪」
「はい。ゴブリンを倒しにいったのですが、そこにいたのでやっつけましたそれにほら」
僕は、自分の物とテラとリントのDランクのギルドカードを三枚を広げて商人さんに見せました。もちろんプシュケは自分で出しています。
「うんうん。ライ君とテラちゃんもDランクになってるし」
「な、なるほどです。それならば依頼した通りですからお断りする事も、ギルドに文句を言う事も無いですね。あは、あは、あはは」
商人さんは、僕達が出したギルドカードを見て、少しひきつった顔でそう答えました。
「くふふ。確かに見た目はお子様だからねぇ。気持ちは分かります。でもどうせ車列を作り村に向かうのですから近くには私達もいますしね」
確か、五台の馬車で同じ村に行くのですし、協力しあって護衛をすれば良いのですね。
「ふむ。それもそうですな。分かりました。ぐるぐるの皆さん、今日はよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします」
積み荷の状態を確かめた後、僕達は車列の一番前で御者台に乗せてもらいました。
車列の一番前は、どの馬車よりも先に魔物や盗賊達と接近する位置です。
この前の護衛依頼を受けた時に教わった様にしっかり見張りをやっていかないといけません。
ですから僕はぐるぐると魔力の範囲を大きく広げ、魔物や隠れている盗賊達を警戒していく事にしました。
村までの道は昨日の街道からそれて行き、次第に左右が森になって来ました。
「あっ、昨日の森からは離れていますからそこそこゴブリンがいますね」
「本当に! 近いのですか? 後ろの皆に知らせないといけませんから」
「大丈夫ですね。まだ数キロ先ですし、まあ道に出てますから見えたところで倒してしまうので心配ありませんよ」
ほぼ真っ直ぐで数百メートル先まで見えますから見えてからでも五十匹くらいですし、問題ありません。
感じからいくと一匹はリーダーさんですからもしかして村を作るのに移動中でしょうか? オークキングも移動していましたからね。
後は魔狼が近くにいますが数頭のグループです。放って置いてもこれだけの人数で移動していますから近付いてくる事もありませんね。でも念のためぐるぐるだけしておきます。
その間も馬車は順調に進み、魔狼が気絶してすぐ、遠くにゴブリンが見えてきました。
「では商人さんこのまま進んでもらって大丈夫ですからね」
「え? あの、物凄く沢山いるのですが!」
「大丈夫大丈夫。いきますよー、プシュケとリントも頭狙いでね」
「は~い」
商人さんは、僕達のやり取りを聞いて『え?』って顔をしていますが、やっつけちゃいますから心配ありませんよ。
「せーの! ウインドニードル!」
「ウインドアロー!」
シュパパパッ!
御者台の上から放たれた魔法は二百メートルほど離れたゴブリンに次々と命中し、倒れていきます。
そして倒れたならすぐさま収納して道を開けていきます。
「ななっ! これは凄いですぞ! このようなすばらしい魔法使いは初めて目にしました!」
商人さんは先ほどまでの心配顔は綺麗さっぱり消え去り満面の笑みと、興奮のため少し赤くなってるくらいです。
「おお! もう半分消えましたよ! あっ! あそこの二匹が逃げそうです! おおー! 倒れました!」
くふふ。大興奮ですよ♪ 最後にゴブリンリーダーを倒した時には。
「うほー! こんなに興奮する事は今までなかったです! ぐるぐるの皆さん、依頼を請けていただきありがとうございます!」
「あはは。これくらいはやれないと僕達は『サーバル騎士団』を追い越すのですから」
「今や解散してしまったかの伝説パーティーですね。うんうん。私も応援する事にします。そして将来私は伝説を塗り替えたパーティー『ぐるぐる』に護衛をしてもらったと自慢することにしますよ」
おお。それは頑張らないとですね♪
その後はやはり気絶させていない他の魔狼も近付いてくる事もなく、馬車の車列は滞りなく予定の時間より少し早く村に到着することが出来ました。
村の広場に馬車が止まるとあちこちから村人が近付いて来て荷降ろしを今か今かと待っています。
商売の間は僕達護衛も休憩のため、馬車を離れる事になっていますから、少し村を見回ることにしたのですがそこでまた、あれが起こってしまいました。
「それに、最低Dランク以上がいる四人パーティーでギルドに依頼したはずだ! 村までの往復、たった一日で銀貨三枚も出すのになぜ見習いが! くそっ! ギルドに文句を言ってきてやる!」
「あの、その条件なら――」
「あっ、昨日のオークキングの······確かライ君!」
その時、僕達が請けた依頼ではない馬車の護衛に来ていた一組のパーティーが、商人さんの声に反応して声をかけてきました。
「どうしたの? 何か揉めてたみたいだけれど」
「おお。あなた方は以前依頼を何度も請けてくれた方達ではないですか。そうなんですよ聞いてください、ギルドにまたいつもの依頼を出したのですが、来たのはこの見習いが二人でしたのでね。ギルドに文句を言わねば」
「ああ~あははは♪ 銀貨三枚で請けてくれたなら破格の安さですよ商人さん。この子達は単独パーティーでオークキングの討伐をやってのけたのですから」
おお。僕が言おうとしてのですが、中堅っぽい使い込まれた装備を身につけた格好いいお姉さんが僕達の事を説明してくれました。
「それに、一応ですが、ライ君の肩に乗ってる小さな子と、こっちの女の子はプシュケしゃんでしたね、その子が抱えている猫さんのリントちゃんも立派な冒険者ですからしっかり条件は満たしていますよ」
「あの、オークキングと聞こえたのですが? もしや昨日の夕方から話題のパーティーぐるぐるが、この子達?」
ぬふふふ。話題ですかぁ。嬉しいですね、父さん達に負けないくらい凄いパーティーにしたいですね。
「ええ。そのパーティですよ。だよね♪」
「はい。ゴブリンを倒しにいったのですが、そこにいたのでやっつけましたそれにほら」
僕は、自分の物とテラとリントのDランクのギルドカードを三枚を広げて商人さんに見せました。もちろんプシュケは自分で出しています。
「うんうん。ライ君とテラちゃんもDランクになってるし」
「な、なるほどです。それならば依頼した通りですからお断りする事も、ギルドに文句を言う事も無いですね。あは、あは、あはは」
商人さんは、僕達が出したギルドカードを見て、少しひきつった顔でそう答えました。
「くふふ。確かに見た目はお子様だからねぇ。気持ちは分かります。でもどうせ車列を作り村に向かうのですから近くには私達もいますしね」
確か、五台の馬車で同じ村に行くのですし、協力しあって護衛をすれば良いのですね。
「ふむ。それもそうですな。分かりました。ぐるぐるの皆さん、今日はよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします」
積み荷の状態を確かめた後、僕達は車列の一番前で御者台に乗せてもらいました。
車列の一番前は、どの馬車よりも先に魔物や盗賊達と接近する位置です。
この前の護衛依頼を受けた時に教わった様にしっかり見張りをやっていかないといけません。
ですから僕はぐるぐると魔力の範囲を大きく広げ、魔物や隠れている盗賊達を警戒していく事にしました。
村までの道は昨日の街道からそれて行き、次第に左右が森になって来ました。
「あっ、昨日の森からは離れていますからそこそこゴブリンがいますね」
「本当に! 近いのですか? 後ろの皆に知らせないといけませんから」
「大丈夫ですね。まだ数キロ先ですし、まあ道に出てますから見えたところで倒してしまうので心配ありませんよ」
ほぼ真っ直ぐで数百メートル先まで見えますから見えてからでも五十匹くらいですし、問題ありません。
感じからいくと一匹はリーダーさんですからもしかして村を作るのに移動中でしょうか? オークキングも移動していましたからね。
後は魔狼が近くにいますが数頭のグループです。放って置いてもこれだけの人数で移動していますから近付いてくる事もありませんね。でも念のためぐるぐるだけしておきます。
その間も馬車は順調に進み、魔狼が気絶してすぐ、遠くにゴブリンが見えてきました。
「では商人さんこのまま進んでもらって大丈夫ですからね」
「え? あの、物凄く沢山いるのですが!」
「大丈夫大丈夫。いきますよー、プシュケとリントも頭狙いでね」
「は~い」
商人さんは、僕達のやり取りを聞いて『え?』って顔をしていますが、やっつけちゃいますから心配ありませんよ。
「せーの! ウインドニードル!」
「ウインドアロー!」
シュパパパッ!
御者台の上から放たれた魔法は二百メートルほど離れたゴブリンに次々と命中し、倒れていきます。
そして倒れたならすぐさま収納して道を開けていきます。
「ななっ! これは凄いですぞ! このようなすばらしい魔法使いは初めて目にしました!」
商人さんは先ほどまでの心配顔は綺麗さっぱり消え去り満面の笑みと、興奮のため少し赤くなってるくらいです。
「おお! もう半分消えましたよ! あっ! あそこの二匹が逃げそうです! おおー! 倒れました!」
くふふ。大興奮ですよ♪ 最後にゴブリンリーダーを倒した時には。
「うほー! こんなに興奮する事は今までなかったです! ぐるぐるの皆さん、依頼を請けていただきありがとうございます!」
「あはは。これくらいはやれないと僕達は『サーバル騎士団』を追い越すのですから」
「今や解散してしまったかの伝説パーティーですね。うんうん。私も応援する事にします。そして将来私は伝説を塗り替えたパーティー『ぐるぐる』に護衛をしてもらったと自慢することにしますよ」
おお。それは頑張らないとですね♪
その後はやはり気絶させていない他の魔狼も近付いてくる事もなく、馬車の車列は滞りなく予定の時間より少し早く村に到着することが出来ました。
村の広場に馬車が止まるとあちこちから村人が近付いて来て荷降ろしを今か今かと待っています。
商売の間は僕達護衛も休憩のため、馬車を離れる事になっていますから、少し村を見回ることにしたのですがそこでまた、あれが起こってしまいました。
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