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第三章

第79話 護衛依頼を請けましょう

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「サ、サーバル男爵家の! 剣聖のご子息様!」

「あ、僕は三男なので家は十歳でこの通り冒険者になりましたからライで良いですよ。それよりオークキングは本物でしょ?」

「「そうだったぁぁぁー!そうだったぁぁぁー!」」

 くふふふ。皆さん叫ぶの好きですね♪

「そ、そうだったな。ふむ、攻撃跡は膝裏にアキレス腱、左腕は浅いが筋を断ち切っているな。右腕も肘のところをこれまた筋を。それとこれが致命傷か。首への突き。ふむ。ん? うつ伏せで見えないが······」

 そう言うとギルドマスターさんはオークキングの顔をよいしょと横向きに。するとウインドニードルの跡が眉間にあるのが見えました。

「これは魔法か! それも一撃、焼けた跡も無い、土でもないな水? いや、······これは風魔法だと! 風魔法に耐性があるんだぞオークキングは! ラ、ライ君この魔法はお母様、賢者様から伝授されたものですか?」

「この魔法は違いますね。教えて貰ったのは転移魔法です。これはウインドニードルですよ? 皆さんも使うじゃないですか、これは最後に動けなくなったところを撃ちましたから耐性が無くなってたのかな?」

「ふむ。とどめだけだと言うならそうなのかもしれんな」

「それでこの討伐でプシュケ達はランクアップできますか?」

 ギルドの中はまた静かになって、僕達に注目しているのは良いのですが、なぜか哀れみの顔を向けてきます。

 やっぱりオークキングですが一匹では駄目なようですね、じゃあ。

「では、残りのオークリーダーとかもだしますよ。これは本当にプシュケとリントが倒したやつですし、ここで良いですよね?」

 僕達を見るだけで何も言ってくれませんので、出していけば分かってくれますよね。

「じゃあいきますね、ほいっと!」

 ドサッドサッドサッ············。

「待て待て待て待て! でも何体あるんだ! じゃなくてだな! オークキングを倒してランクが上がらないわけ無いだろ! それにこのオークも黒いじゃないか!」

「ギ、ギルドマスター······、オークジェネラルが五匹にオークソーサラー二匹、他のもリーダー。······普通のオークはこの中には一匹もいません」

「······ライ君、君達のランクは上がる。それは間違いない。だが、あまりにも功績が飛び抜けている」

 えっと。それはどう言った意味ですかね?

「まずはDランクまで上げるのはこの場でできるがCランク以上は話すことはできないが色々と規定があるんだ」

 そうでしたね、確か護衛依頼。でも広めちゃ駄目でしたよね。

「では、Dランクには上がれるのでしたら問題ありません。だよね♪」

「やりましたよ! Eランクを飛ばしてDランク!」

「やったにゃ! これで無敵にゃよ!」

 くふふふ。リント、残念だけどまだ上があるから頑張ろうね。

 その後は、一旦オークを収納して、ギルドカードの更新、もちろんプシュケはカウンターに顎を乗せ、リントはカウンターの上でお姉さんがギルドカードに情報を打ち込む姿をじぃ~っと見つめ、一枚目、二枚目が出てきて今度はそわそわしだすしリントはシュポがぼわって広がり太くなっています。

「くふふふ。はいお待たせしました。まずはプシュケちゃんどうぞDランクのギルドカードです。次はリントちゃんどうぞどうぞ」

「ありがとうございます!おりがとうにゃ!

 ものすごく嬉しそうで何よりですね。

 そしてオークキングを売って欲しいと言われたのですがこれはムルムル用に残してあげたいのでお断りし、普通のオークとリーダーを納品してギルドを後にして、昨日と同じ宿に泊まりました。

 翌朝、次のランクアップのためまたギルドに行き、依頼の貼られた掲示板を見に行こうとしたのですが、朝はやっぱりここも混むのですね。

「よし。プシュケ達はちょっと待っててくれる? 今朝の食堂で聞いた隣村までの往復護衛依頼が残っていないか見に行ってくるからね」

「ライ頑張ってね」

「リントも待ってるにゃ」

 僕は頷くとこそこそとお兄さん達がひしめき合っている隙間を抜けて一番前に出ていきました。

「ん~、ここからは見えませんね、よし横に移動です」

 少しずつ移動しながら掲示板を確認していき、やっと見つけたのですが僕の背では背伸びをしても届きません。

 ですが問題ありません。

 依頼書に狙いをつけて······転移!

 パッ

 手元に転移させた依頼書の内容に目を通します。

「よしよし。えっと、隣町までの往復護衛。報酬が銀貨三枚、間違いありませんし、人数も四人パーティーなのでちょうど良いですね」

「うんうん。中々良い依頼ね、一日で往復して銀貨三枚。十分よね」

「よしテラ、プシュケ達のところに戻ろう、転」

「待ちなさい、これくらいで転移を後に使わないの、将来お腹がぷよぷよになるわよ」

「くふふふ。そうだね。潜り抜けるからムルムルも気を付けてね」

 そして転移は止めて、プシュケ達のところに戻るため、お兄さん達の間を潜り抜けていきました。

「ふぅ。お待たせ、受付しに行こう」

「あっ! 私が依頼書持ちたいです」

 プシュケったら目をキラキラさせて、手を僕に向けて伸ばしています。

「うん。はい、じゃあ次受ける時はテラかリントだね。僕は沢山やった事があるから」

「あら。良いの? じゃあ私も次にやらせてもらうわ」

「リントはその次にゃ! プシュケ行くにゃ! 今なら一番手前が空いてるにゃよ!」

 二人はカウンターに向けで走って行きました。で、肩ではムルムルが。

 ぷるぷるゆらゆら

「ムルムルもだね、よしみんなで順番に依頼を受けていこう!」

 そう言えば、このギルドでも絡まれませんね? 僕のギルドで絡まれるテンプレはここではないようです。

 依頼を受けて向かうのは昨日と同じ門。

 そこに待っていたのは屋根無しの馬車で衣類や雑貨。雑貨はお鍋とかフライパンなどの鉄製の調理器具や畑仕事用の道具が木箱に入れられハリネズミみたいになっている馬車でした。

「おはようございます。護衛を請けたパーティーぐるぐるです。こちらが依頼書の写しです」

 馬車で荷崩れがおきない用に縛ったロープを確認しているおじさんに声をかけました。

「ん? おはよう。今依頼を請けたって聞こえたが、遊びじゃないんだ見習いのパーティーでは話にならん。キャンセルだ」

 えっと、せっかくの護衛依頼なのですが、前途多難なようです。
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