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第二章

第43話 異世界転移者達は今

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「ふあぁぁ、なんだ? 何でこんなところで寝てるんだ? おい、お前ら起きろ!」

「んぐ? な、なんだここ?」

「イテッ! 何すんだよ!」

 俺は、みんなを軽くシバいて回り、それでやっとみんなが起き出した。

「おい、お前ら! また俺達はどっかに置いていかれたか、いや、今回は転移したのか?」

 まわりを見たら遠くに森っぽい物が見える、後は草原とポツポツ岩が見え、さらに遠くには山が見えているくらいだ。

「転移か······ありそうだな。って事はあっちに見えるのがもしかしたら、東の森って事だな」

「おおー! 転移だ! で、誰の能力だ? それとも、ゲームだしあれか? ご都合主義か? それか、え~っとなんだっけチュー何とか!」

 ゲーマーの俺からすれば、五人全員が揃って気絶、これは俺達が揃った時に発生する強制イベントだと考えるのが当然だ。

「おう、その通りだ。俺達が揃って気絶していたんだ、五人の魔力を使って転移したとみて間違いないな。そして、見えている森があの悪徳商人が向かった森だ。間違いない!」

「おお! 流石ゲーマーはスラスラと正解が分かるんだな、その発想はシューティングしかしない俺には分かんねえぞ」

「お、俺も分かってたぞ! こんなの常識だぜ!」

「お前ら頭良いな! クソー俺もゲームしとくんだったぜ! んじゃ、あの森に向かうんだよな?」

「おう、とっとと追い付いて、有り金巻き上げてやろう! ついでに俺達の専属馬車にするってのも良いな、あははははは!」

「おっ、馬車良いな、歩くのめんどうって思ってたんだ。よし、取っ捕まえに行こうぜ!」

 たまに出てくるゴブリンを追い払いながら······、絶対あのゴブリンはレア物だ、俺達の魔法を受けてもちょっと傷付くだけで向かって来やがったし、絶対魔法防御のスキル持ちだ。

 だが俺達は夜の武器屋で拾った武器を振り回し何とか全員が無事な状態で乗り越えた次は、スライムの大群だ。

 奴らは俺がやってきたゲームとは違い、ブヨブヨなのにスゲー防御力がある。

 いくら剣や槍でシバこうと、ブヨブヨして潰れねえ。

 魔法は吸い込みやがるし、だから俺達はさっさと、避けて森へ向かう。

「なあ、またオークでも落ちてねえかな?」

「おお、あれはラッキーだったよなあ、魔法の革袋付きで落ちてたし、金も入ってたしな。まあチュー何とかだったからってのもあるからだろ。主人公の勇者パーティーが冒険者見習いじゃ話が進まねえからな」

「だな、あれで登録しに行ってすぐのランクアップ、オークを出した時の受付の姉ちゃんの顔、あれは俺達の誰かにぜってぇ惚れてるぜ」

「だが、それは俺にだな」

「「いやいやいやいや」」

「ひでーな!」

「んな事より、ステータスが見れないってのが使えねえゲームだよな。教会とかで聞くパターンか?」

「だろうな、そこはマジでハードモードだぜ、魔法も、叫ばねえと出ねえし、なんでショボい水と火しか出ねーんだよ!」

 レベルアップしてねえ今はボールしか出ないからなあ。

「俺なんか風だぞ、お前ら水も火も見える魔法が出るじゃねえか! 教えろよ!」

「ってか、腹減ってきたな、森の入口で飯でも食うか、まだ袋にたんまり残ってんだろ?」

「おう、酒も一年分はあるぜ、飲むか?」

 そんな事を言いながら、森の入口に到着した。

「てかよ、さっきの分かれ道の看板に帝国←ってあったじゃん、先回りしねえか?」

「どういう事だ?」

「悪徳商人はこの森でなんか拾いに来たんだろ? じゃあ俺達は先に帝国ヘ向かえば良いじゃねえか、態々わざわざ森の中に探しに行かなくても勝手に来てくれんだろうが」

「「頭打ったのか?頭大丈夫か?」」

「お前らひでーな!」

「あははははは! それ採用だな。森なんか入っても仕方ねえし、先回りするぞ」

「んじゃ前祝いに一杯やるか!」

「「飲もう!おう!」」

 そのまま飲み食いし続け、適当に焚き火を囲い、寝ることにした。



「んあぁぁ、朝か、げふっ、飲みすぎたな。おら! 起きろ! 今日中に次の町に行こうって言ってただろ!」

 まったくこいつらはだらしねえ奴らだぜ。

「ふぁぁ、てめえも蹴んなよ、ほら起きろ!」

「っ! いてえな、げふっ、はぁぁ、歩くのか、乗り合い馬車でも通らねえかな」

 俺達は、干し肉を噛り、ワインを飲みながら、看板のあった場所まで戻り、帝国に向けて進む。


「いや~通ってくれて助かったぜおっさん! おら、お前らも馬車を止めた俺を褒めても良いぜ!」

「「わーえらいえらいわーえらいえらい」」

「なげやりだな! ったくよ、んでおっさんは帝国に行くんだろ?」

「はい♪ 売るものが出来ましたので(笑)。大銀貨にはなりますね♪ あっ、皆さん、この腕輪なんですがいかがですか? 丈夫なツノガエルの革で作ってあるのですが」

 おっさんは、五つの腕輪を渡してきた。

「ん? おお、中々カッコいいじゃねえか。嵌めてみても良いか? ってか嵌めちまうけどな、あははは!」

 そして俺達は、革の腕輪を嵌めた。

「おお~、良いじゃんぴったりにサイズが、変わるんか」

「おっさんこれくれるんだろ? ってか返さねえけどな、あははははは!」

「「うんうんうんうん」」

「あははは♪ はい♪ それは皆さんにお似合いです♪」

「だろ。おっさん良いやつだから酒をやるよ、今晩にでも飲んでくれや」

「はい♪ 臨時収入も手に入る事ですし美味しくいただきますね♪ あははは♪」

「んじゃ、帝国まで頼むぜ、俺達は、適当にこの積み荷でも物色しとくから。おい、良いの探せ!」

「「任せろ!おう!」」

 その時、おっさんが何かを言った。

「命令です。黙って下さい。大人しく座って動かないで下さい。盗賊ども」

 何て言ったか理解出来ないが俺達は口が聞けなくなり、その場に座り、動けなくなった。

「はぁぁ、まったくこいつらはどこにでも出てきますね。盗賊っていう奴らは」

 何! 盗賊だと! んな訳あるか! 俺達は勇者になるんだぞ!

「まあ、冒険者ランクAで、商人やってる私に向かって来たのですから終わりですね。それにオークを倒して血抜きのため放っておいた時に無くしたと思っていたその革袋の元持ち主ですから後で返して貰いますし、今渡されたワインも、元々は私の物ですので、犯罪奴隷を売ったお金で美味しい夕食と、のワインを美味しくいただきますね♪」

 嘘だろ! 木にぶら下げてあったが、誰もいなかったじゃねえか! 革袋もテントも俺達のためにあったんじゃないのかよ!

「それから帝国まで数日かかりますので、大人しくしていて下さいね。帝国の奴隷死亡率は高くは無いそうですので、頑張って鉱山にでも言って下さい♪」

 なんでだぁー!

 心の中で叫ぼうが声には出来ず、数日間の馬車の旅が始まった。



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