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第一章
第23話 王都へ
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朝食が終わり、早めに男爵家の王都別邸に転移する事となり、地下の牢屋に王子さんからのプレゼントを収納しに来たのですが。
「ライ! 早く収納して浄化してしまいなさい! 何て禍々しい!」
テラがそう言うので、急ぎましょう!
「収納! ぐうっ、なにこれ、ぎもじわるいぃぃぃ」
胃がひっくり返り、脳みそまでぐわんぐわんと揺らされているような感覚にいきなり襲われ、その場にしゃがみ込んでしまいます。
「ライ! 浄化するイメージでぐるぐるしちゃいなさい! 早く!」
じ、じょ、浄化浄化ぁ、空気清浄機ぃ、くぅぅ、みたいな感じぃぃ、わ、分っかんないけどぉぉ吸い取って集めてぇー! 気持ち悪いんだよー!
「ぐるぐる回って集まれぇぇぇぇー!」
僕的には三十分ほどかかったと思ったのですが、一分ほどだったらしいです。
僕の手のひらには、見ているだけで不快な気持ちになる黒い玉が乗っています。
「テラ、これなに、持っているのも嫌なんですが、ポイって捨てちゃ駄目?」
「呪いよ、それも中々のどぎつい部類ね、それに魅了が、このプレゼントを贈った王子は駄目な奴ね」
そう言えば、お義父さんが何か言えないみたいな事を。
「箱の中からあれだけ溢れ出すほど呪いが出ていてご丁寧に魅了付き、って事は贈った相手を好きに動かせるためにやったとしか思えないわ」
「なぜ、どうやって? 物凄く気持ち悪かったよ?」
「呪いで思考を混乱させ、まともな抵抗力をも失わせる、そしてそれを救う感じにしておいたのでしょうね、保険でこの魅了でしょ、好感度が上がったところで呪いを解いて、さらに魅了、だめ押しよ、あはは」
そうか、あんなに苦しい時に魅了に掛かり、王子に好意持つはずだから呼んだり、近付くよね。
それで目の前で、呪いを解いてって自分の呪いだから簡単に外せるのか?
「この魅了の魔法はその王子の物だと思うわ、だって自分の物にするつもりだったのでしょ? 呪いは部下か脅したかして掛けさせて、解くのは多分簡単に出来る様な仕組みにしてあるはずよ」
「そんなの······あっ! マリグノさんってサーント辺境伯の娘さんってもしかしたら!」
「うん、可能性はあるわね、ティに暗殺依頼を出す動機はあるから確実とはいえないけど、早く王都に出向くべきよ、ライ急ぎましょう」
それを聞いたステファニーさんが、凄い速さで、しゃがんでいた僕を立たせシャツを握りしめてきました。
「あ、暗殺! そ、そんな、サーント辺境伯令嬢がですか! それはいつの事ですか! く、詳しく!」
「ち、ちょっと落ち着いて下さい、足、足浮いてますから!」
ステファニーさんが詰め寄り、僕のシャツを掴んで持ち上げてます。
「はっ! ラ、ライ殿申し訳ありません、聞き捨てならない事をお聞きしたので、辺境伯令嬢のマリグノ様は、急に王子との間が狭まり婚約者の候補に上がったお方ですよね、お手付きにされたと噂もありますが、その方がお嬢様の暗殺依頼を?」
僕はあの街で起こった事を説明しました。
ステファニーさんは、僕の話を聞きながら、眉間の皺を深くして行きます。
説明が終わるとステファニーさんは苦虫を噛み潰したような顔で牢屋の壁を殴り付けました。
「ライ殿、この事を早く公爵様にお知らせしなければなりません、戻りましょう」
「はい、ステファニーさん、その前に手を、ん~、ほいっと!」
回復魔法っぽい物をステファニーさんの手を握り、掛けて行きます。
最初は僕の膝を擦りむいた時にだけど、フィーアや僕が怪我した時のためにって思い直して練習した物です。
「嘘っ! 回復魔法を使えるのですか! そんな、教会の門外不出と言われている魔法を······」
「そうなのですか? でも、膝を擦りむいた時に行って、銀貨の寄付が欲しいって言われて、子供がそんなお金持っているわけ無いのに、ですからそれから練習して使えるようになりました」
「あはは、ライ殿は。ありがとうございます、行きましょう」
先を急ぐステファニーさんの後ろに付いて行きながら、呪いの玉をテラが封印してくれました。
「くふふふ♪ 王子とやらに返してやらないとね♪ ぬふふふ♪」
テラが何か悪巧みをしています、玉に向かって手を伸ばして魔力の流れからして何かを送り込んでる? あっ! 何か玉の嫌レベルが上がりましたよ! ぬふふふ、分かりました、呪いを強化してるか、新たに付け加えているのですね♪ 全面的に協力しましょう♪
「そうですね~♪ 前世で病院の皆さんは、腰が痛いとか、膝が痛いなんて事を言ってましたし、手術で髪の毛を剃られたお婆さんも悲しそうでしたし、ぬふふふ♪ そんな呪いを掛けて上げましょう♪ くふふふ♪」
「ライ、付与も出来るのね、中々の物じゃん、他には······後、······なんて物も付与してしまわない♪」
テラは物凄く悪者の顔ですよ♪
「付与? テラがこの玉に何か付け加えてるみたいでしたから、真似したのですが、うぷぷ、ハゲ♪ 剃られるより生えてこなけりゃ良いのですね♪ その生殖不能はどんな意味ですか?」
「ん? それはライがもう少し大きくなった時に教えてやるつもりだから詳しくは言えないわね、むふふふ♪ 女誑しって言ってたから、悪さが出来なくなる呪いよ♪」
「ん~っと、じゃあ、何て言ってたかな······び~える? 男の人と男の人に恋をして恋人になるヤツにすれば、女の人に悪さが出来ないよね、あっ! ゴブリン好きにしてしまいましょう♪ 魅了はゴブリンにめっちゃくちゃ効くように、ゴブリン限定にしておきましょう♪」
盛り沢山の呪いを付与して、収納しておきました。
お返しする時が楽しみになりますね♪
階段を上り終え地上に戻ると、ステファニーさんは近くに居たメイドさんを呼び止め、いつでも出発出来るように、シルキーさんに連絡を入れるようお願いをしています、メイドさんを見送りお義父さんの執務室に向かいます。
途中の中庭でティ、フィーアと、お義母さん達、それに父さん母さんが居たので、簡単に事情を話し一緒に執務室へ、フィーアパパは執務室に居るらしい。
コンコンコン
『誰だ』
「ステファニーです、急ぎ伝えなければならない事がございます!」
『入れ』
扉を開け、皆で執務室に入りました。
中にはお義父さん達と家令さんがいて、何やら話をしていたようです。
「何事だ? 荷物に何かあったのか?」
「はっ! コション王子からの贈り物ですが、呪いと魅了の魔法が掛けられておりました」
「なんだと! 真か!」
ティお義父さんの顔がみるみる険しくなり、怒りの形相に。
「はっ! さらに、サーント辺境伯令嬢のマリグノ嬢が、シャクティお嬢様の暗殺依頼を冒険者に出していた事が判明、しかしマリグノ嬢の急なコション王子との接近も何か有ると愚考します」
「サーント辺境伯令嬢か、隣国の第二王子との婚約も噂されていたが、コションの奴に心変わり······魅了か! ぐぬぬぬ」
「公爵よ、人族の魅了などそう簡単には掛からんが、呪いか、心身喪失状態にすれば······」
フィーアパパ、テラの推理と同じです。
「よし、直ぐに王都へ向かう、準備は」
「はっ! 三番隊のシルキー隊長に動いて貰っております、正面に馬車を用意出来ているはずです」
「私も行こうか? 店は心配するな、今日は開けんからな、久しぶりに王になった坊主の顔も見てみよう、くっくっく」
フィーアパパ、悪者の顔ですよ。
僕もティにあんな贈り物をするコションかケションか知ったことではありませんが、やっつける気満々ですから、不敬罪なんて知ったことではありません!
「王を坊主呼ばわりか、くふふ、よし兄を問い詰めあのクソ王子を吊し上げてくれる、行くぞ!」
部屋の皆が執務室を出て、ステファニーさんの先導で足早に正面入口に向かいます。
大きな両開きの扉は全開に開けられており、エントランスの階段下には馬車が三台用意されていて、シルキーさん達は僕達の到着を整列しながら待っていました。
「ライ、馬車と荷物を頼みますね、馬は転移で連れていけるわ」
「うん、母さん、収納!」
馬さんは急に馬具までもが消えたので、ちょっと驚いたようですが、シルキーさんの部下の方々がなだめて落ち着かせました。
「では、頼めるか」
「はい、最近覚えたやり方で行きますね、元のやり方ですと馬までは厳しいので、では······」
「ライ! お母さんもぐるぐるやってるじゃない!」
あはは、本当ですね。
「転移!」
「ライ! 早く収納して浄化してしまいなさい! 何て禍々しい!」
テラがそう言うので、急ぎましょう!
「収納! ぐうっ、なにこれ、ぎもじわるいぃぃぃ」
胃がひっくり返り、脳みそまでぐわんぐわんと揺らされているような感覚にいきなり襲われ、その場にしゃがみ込んでしまいます。
「ライ! 浄化するイメージでぐるぐるしちゃいなさい! 早く!」
じ、じょ、浄化浄化ぁ、空気清浄機ぃ、くぅぅ、みたいな感じぃぃ、わ、分っかんないけどぉぉ吸い取って集めてぇー! 気持ち悪いんだよー!
「ぐるぐる回って集まれぇぇぇぇー!」
僕的には三十分ほどかかったと思ったのですが、一分ほどだったらしいです。
僕の手のひらには、見ているだけで不快な気持ちになる黒い玉が乗っています。
「テラ、これなに、持っているのも嫌なんですが、ポイって捨てちゃ駄目?」
「呪いよ、それも中々のどぎつい部類ね、それに魅了が、このプレゼントを贈った王子は駄目な奴ね」
そう言えば、お義父さんが何か言えないみたいな事を。
「箱の中からあれだけ溢れ出すほど呪いが出ていてご丁寧に魅了付き、って事は贈った相手を好きに動かせるためにやったとしか思えないわ」
「なぜ、どうやって? 物凄く気持ち悪かったよ?」
「呪いで思考を混乱させ、まともな抵抗力をも失わせる、そしてそれを救う感じにしておいたのでしょうね、保険でこの魅了でしょ、好感度が上がったところで呪いを解いて、さらに魅了、だめ押しよ、あはは」
そうか、あんなに苦しい時に魅了に掛かり、王子に好意持つはずだから呼んだり、近付くよね。
それで目の前で、呪いを解いてって自分の呪いだから簡単に外せるのか?
「この魅了の魔法はその王子の物だと思うわ、だって自分の物にするつもりだったのでしょ? 呪いは部下か脅したかして掛けさせて、解くのは多分簡単に出来る様な仕組みにしてあるはずよ」
「そんなの······あっ! マリグノさんってサーント辺境伯の娘さんってもしかしたら!」
「うん、可能性はあるわね、ティに暗殺依頼を出す動機はあるから確実とはいえないけど、早く王都に出向くべきよ、ライ急ぎましょう」
それを聞いたステファニーさんが、凄い速さで、しゃがんでいた僕を立たせシャツを握りしめてきました。
「あ、暗殺! そ、そんな、サーント辺境伯令嬢がですか! それはいつの事ですか! く、詳しく!」
「ち、ちょっと落ち着いて下さい、足、足浮いてますから!」
ステファニーさんが詰め寄り、僕のシャツを掴んで持ち上げてます。
「はっ! ラ、ライ殿申し訳ありません、聞き捨てならない事をお聞きしたので、辺境伯令嬢のマリグノ様は、急に王子との間が狭まり婚約者の候補に上がったお方ですよね、お手付きにされたと噂もありますが、その方がお嬢様の暗殺依頼を?」
僕はあの街で起こった事を説明しました。
ステファニーさんは、僕の話を聞きながら、眉間の皺を深くして行きます。
説明が終わるとステファニーさんは苦虫を噛み潰したような顔で牢屋の壁を殴り付けました。
「ライ殿、この事を早く公爵様にお知らせしなければなりません、戻りましょう」
「はい、ステファニーさん、その前に手を、ん~、ほいっと!」
回復魔法っぽい物をステファニーさんの手を握り、掛けて行きます。
最初は僕の膝を擦りむいた時にだけど、フィーアや僕が怪我した時のためにって思い直して練習した物です。
「嘘っ! 回復魔法を使えるのですか! そんな、教会の門外不出と言われている魔法を······」
「そうなのですか? でも、膝を擦りむいた時に行って、銀貨の寄付が欲しいって言われて、子供がそんなお金持っているわけ無いのに、ですからそれから練習して使えるようになりました」
「あはは、ライ殿は。ありがとうございます、行きましょう」
先を急ぐステファニーさんの後ろに付いて行きながら、呪いの玉をテラが封印してくれました。
「くふふふ♪ 王子とやらに返してやらないとね♪ ぬふふふ♪」
テラが何か悪巧みをしています、玉に向かって手を伸ばして魔力の流れからして何かを送り込んでる? あっ! 何か玉の嫌レベルが上がりましたよ! ぬふふふ、分かりました、呪いを強化してるか、新たに付け加えているのですね♪ 全面的に協力しましょう♪
「そうですね~♪ 前世で病院の皆さんは、腰が痛いとか、膝が痛いなんて事を言ってましたし、手術で髪の毛を剃られたお婆さんも悲しそうでしたし、ぬふふふ♪ そんな呪いを掛けて上げましょう♪ くふふふ♪」
「ライ、付与も出来るのね、中々の物じゃん、他には······後、······なんて物も付与してしまわない♪」
テラは物凄く悪者の顔ですよ♪
「付与? テラがこの玉に何か付け加えてるみたいでしたから、真似したのですが、うぷぷ、ハゲ♪ 剃られるより生えてこなけりゃ良いのですね♪ その生殖不能はどんな意味ですか?」
「ん? それはライがもう少し大きくなった時に教えてやるつもりだから詳しくは言えないわね、むふふふ♪ 女誑しって言ってたから、悪さが出来なくなる呪いよ♪」
「ん~っと、じゃあ、何て言ってたかな······び~える? 男の人と男の人に恋をして恋人になるヤツにすれば、女の人に悪さが出来ないよね、あっ! ゴブリン好きにしてしまいましょう♪ 魅了はゴブリンにめっちゃくちゃ効くように、ゴブリン限定にしておきましょう♪」
盛り沢山の呪いを付与して、収納しておきました。
お返しする時が楽しみになりますね♪
階段を上り終え地上に戻ると、ステファニーさんは近くに居たメイドさんを呼び止め、いつでも出発出来るように、シルキーさんに連絡を入れるようお願いをしています、メイドさんを見送りお義父さんの執務室に向かいます。
途中の中庭でティ、フィーアと、お義母さん達、それに父さん母さんが居たので、簡単に事情を話し一緒に執務室へ、フィーアパパは執務室に居るらしい。
コンコンコン
『誰だ』
「ステファニーです、急ぎ伝えなければならない事がございます!」
『入れ』
扉を開け、皆で執務室に入りました。
中にはお義父さん達と家令さんがいて、何やら話をしていたようです。
「何事だ? 荷物に何かあったのか?」
「はっ! コション王子からの贈り物ですが、呪いと魅了の魔法が掛けられておりました」
「なんだと! 真か!」
ティお義父さんの顔がみるみる険しくなり、怒りの形相に。
「はっ! さらに、サーント辺境伯令嬢のマリグノ嬢が、シャクティお嬢様の暗殺依頼を冒険者に出していた事が判明、しかしマリグノ嬢の急なコション王子との接近も何か有ると愚考します」
「サーント辺境伯令嬢か、隣国の第二王子との婚約も噂されていたが、コションの奴に心変わり······魅了か! ぐぬぬぬ」
「公爵よ、人族の魅了などそう簡単には掛からんが、呪いか、心身喪失状態にすれば······」
フィーアパパ、テラの推理と同じです。
「よし、直ぐに王都へ向かう、準備は」
「はっ! 三番隊のシルキー隊長に動いて貰っております、正面に馬車を用意出来ているはずです」
「私も行こうか? 店は心配するな、今日は開けんからな、久しぶりに王になった坊主の顔も見てみよう、くっくっく」
フィーアパパ、悪者の顔ですよ。
僕もティにあんな贈り物をするコションかケションか知ったことではありませんが、やっつける気満々ですから、不敬罪なんて知ったことではありません!
「王を坊主呼ばわりか、くふふ、よし兄を問い詰めあのクソ王子を吊し上げてくれる、行くぞ!」
部屋の皆が執務室を出て、ステファニーさんの先導で足早に正面入口に向かいます。
大きな両開きの扉は全開に開けられており、エントランスの階段下には馬車が三台用意されていて、シルキーさん達は僕達の到着を整列しながら待っていました。
「ライ、馬車と荷物を頼みますね、馬は転移で連れていけるわ」
「うん、母さん、収納!」
馬さんは急に馬具までもが消えたので、ちょっと驚いたようですが、シルキーさんの部下の方々がなだめて落ち着かせました。
「では、頼めるか」
「はい、最近覚えたやり方で行きますね、元のやり方ですと馬までは厳しいので、では······」
「ライ! お母さんもぐるぐるやってるじゃない!」
あはは、本当ですね。
「転移!」
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